気血津液学説 熊本大学医学部 東洋医学研究会
☆本日の発表内容 ②気について *気の種類 *気の作用 *気の変調 ③血について *血の作用 *血の変調 ④津液について *津液の作用 ①気・血・津液とは? ②気について *気の種類 *気の作用 *気の変調 ③血について *血の作用 *血の変調 ④津液について *津液の作用 *津液の変調 ⑤気・血・津液の相互関係
☆気・血・津液とは? 人体を構成する基本要素であり、これらが体内を めぐることで生命活動が維持されている めぐることで生命活動が維持されている 気・血・津液は互いに協調し合っている
☆気とは? ☆気の種類 あらゆるものを作り出し、生命活動のエネルギー 源ともなる 先天の精、水穀の精微、清気の3つから作られる 源ともなる 先天の精、水穀の精微、清気の3つから作られる ☆気の種類 元気・宗気・営気・衛気の4種類がある。
元気 最も重要で基本的な気 それぞれの組織を機能させる、生命活動の基本 になるもの 主に先天の精が変化したもので、後天の精によって補充される になるもの 主に先天の精が変化したもので、後天の精によって補充される *先天の精・・・両親から受け継いだもの *後天の精・・・飲食物が脾と胃で消化吸収される ことによって作られた水穀の精微
宗気 水穀の精微と清気が結合したもの 呼吸を行い、心臓を規則正しく拍動させ、血の循環 をコントロールしている をコントロールしている 見る、聞く、話す、動くといった体の機能と関係している
営気 水穀の精微からできる、栄養分の多い気 血脈中に存在し、血の流れによって全身を循環し、 栄養分を補給する
衛気 水穀の精微からできる 全身にくまなく分布している 体表面を保護して、邪気の侵入を防ぐ 汗腺を開閉して体温調節をする (臓腑を温め、皮膚を潤す)
☆気の作用 推動作用 温煦作用 防御作用 固摂作用 気化作用
*推動作用=押し動かす作用 成長、臓腑や組織の活動、血や津液の運行 *温煦作用=温める作用 体温の維持や組織や臓腑の働きの維持 *防御作用=体を護る作用 体の表面を保護して、外邪の侵入を防ぐ *固摂作用=漏出を防止する作用 体液が漏れ出ないようにする 血脈が破れたとき、血が外に出ないように防ぐ 汗や尿の量を調節している *気化作用=気のエネルギーで変化を起こす作用 水穀の精微から気・血・津液を作ったり、それぞれを 他のものに変化させたりする 津液を汗として排出し、体温を維持する 余分な水分を尿として排泄する
☆気の変調 5つの機能が失調して起こる病気を気病という。 気虚 気陥 気滞 気逆 気の機能の低下 気の運行の低下
*気虚:気が不足している状態 倦怠感・懶言・脈が弱い・自汗 *気陥:気が不足して、臓器などを上に持ち上げておく力が働かない状態 胃下垂・下痢・頻尿・脱肛・子宮脱 *気滞:気の動きが悪く、滞っている状態 憂うつ感・脹痛・げっぷ *気逆:下に降りるはずの気が上に突き上がった状態 せき・ぜんそく・イライラ感・頭痛・めまい・嘔吐・悪心・げっぷ
☆血とは? 脈管内の赤い液体で、水穀の精微から化生されてできる 血は気によって、気化・推動・固摂の3つの作用を受けている 血は肝にためられ、心によって全身に送られる 栄養物や酸素と結合して全身をめぐり、組織に栄養を供給する 神を滋養し、精神意識活動の基礎をなす
☆血の変調 血が変調して起こる病気を血病という。 血虚 :血の不足 血熱 血寒 血瘀 血の流れの異常
*血虚:血が不足して、栄養が足りない状態 顔色萎黄・めまい・舌が白い・脈が細い・不整脈・爪の変形・月経困難 *血熱:体内にこもった熱が血に移り、血が熱くなった状態 血行が異常に速くなる 鼻血・喀血・吐血・血尿・血便 *血寒:体内に冷えがたまり、血も冷やされた状態 冷え(特に手足の冷え) *血瘀:血熱や血寒が続いて、血が滞り、瘀血が生じている状態 刺痛・拒按・舌が紫色・脈がひっかかる
☆津液とは? 体内に含まれる血以外の全ての水分 水穀の精微が変化したもので、脾が吸収した水分で作られる 肺から全身に送られて体を潤す 津液はその性状によって「津」と「液」に分けられる 津:さらさらした水 全身を循環し、各組織を潤している 液:ねっとりした水 関節や頭部の髄にたまり、脳に栄養分を供給し、外部の 刺激から守ったり、関節が滑らかに動くようにしている *体表面を流れる津液を五液という 汗・涙・鼻水・よだれ・つば
☆津液の変調 *津液の不足 肌の乾燥・髪の乾燥・関節の異常・声がかれる・便秘 *津液の停滞 ★無汗・尿が出ない ★湿の発生 むくみ・下痢 肌の乾燥・髪の乾燥・関節の異常・声がかれる・便秘 *津液の停滞 ★無汗・尿が出ない ★湿の発生 むくみ・下痢 ★痰の発生 せき・食欲不振・吐き気・動悸など
☆気・ 血・津液の相互関係 気 血 津液 気・血・津液は生理的に互いに依存・制約し、相互扶助 しあっている。
<気と血の関係> 気は血を生じる (水穀の精微を材料として血を生成する) 気は血をめぐらせる 気は血を固摂する 血は気の母 (気が血中になければ血は正常に運行しないが、気は 血から栄養を受け取らないと機能できない) 気は陽に属し、血は陰に属す (気と血がバランスよく存在することで、陰陽の調和が 保たれる)
<気と津液の関係> 気旺生津、気随液脱[気が盛んなれば津を生じ、気は液にしたがって脱す] →津液は脾胃によって水穀から生成されるので、脾胃の気が盛んで あれば津液の生産性は充足する →気は津液に従属してもいるので、津液を過度に損失するとそれに伴 って必然的に津液を損傷することになる 気能化水、水停気阻[気は水を化し、水が停れば気も阻滞する] →津液の生成・輸布・排泄は気の昇降出入という運動に基づいて行わ れており、肺・脾・腎・三焦・膀胱などの臓腑の気化作用と関係してい る。すなわち、気の気化作用、推動作用に依拠している。気化作用が 失調すると水液の停留がおこり、気運の流通を妨げる原因ともなる。
津液も血も液体であり、ともに栄養・滋潤が主な作用であり、 両者とも陰に属するとされる。生理的には津液は血液の重 要な一成分である。 <津液と血の関係> 津液も血も液体であり、ともに栄養・滋潤が主な作用であり、 両者とも陰に属するとされる。生理的には津液は血液の重 要な一成分である。 *病理的にみると、繰り返し出血すると津液も損失し「耗血傷津」 という病証が現れる。また傷津脱液がひどい場合は血液に影響 し、津枯血燥の状態が現れる。