高等部の知的障害児が、 購入する物の代金を一人で 財布から出して支払うための支援

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高等部の知的障害児が、 購入する物の代金を一人で 財布から出して支払うための支援

指導目標 【長期目標】 生活単元学習の買い物の練習時、レジの金額を見 て、お金を財布から出す。 【短期目標】   生活単元学習の買い物の練習時、レジの金額を見   て、お金を財布から出す。 【短期目標】   1、文字で提示された硬貨を財布から出す。 (step1) 1円・10円・100円を使う (step2) 1円・10円・100円・500円を使う   2、音声で聞いた硬貨を財布から出す。 (step1) 1円・10円・100円を使う (step2) 1円・10円・100円・500円を使う

標的行動 文字カードを見て、(1円、10円、100円の3 種類の硬貨から)お金を財布から出す。 3 3

現状のABC分析 金額を示す 間違っているかも 文字カードあり という不安(↓) 提示された 金種のまじった 教員の 金額を出す 財布あり 訂正あり(↓) 先生に「マル」と 言われる(↑) 自立活動 (対面学習) の時間 目の前に教員 財布からお金を 出しにくい(↓)

解決策のABC分析 間違っているかも という不安(↓) 金額を示す 文字カードあり 教員の 訂正あり(↓) 金種ごとの 提示された 財布あり 金額を出す 先生に「マル」と 言われる(↑) 自立活動 (対面学習) の時間 カウンティング シートあり 出す枚数が明確(↑) 目の前に教員 出そうと思う 金種が すぐに出せる(↑)

方法(1) 【対象児】 Iさん(特別支援学校高等部1年 女子) 知的障害 S‐M社会生活能力検査 CA16歳1ヶ月 SA4歳9ヶ月 SQ37  S‐M社会生活能力検査    CA16歳1ヶ月 SA4歳9ヶ月 SQ37 【指導場面】  自立活動(対面学習) 【般化場面】  校外学習での買い物  家庭での買い物

方法(2) 【教材】  (step1) お金のカウンティングシート 1円玉(10枚) 10円玉(10枚) 100円玉(10枚) お財布(3つ) (step2)   step1の準備物   500円玉(1枚)と財布1つを追加

手続き(1) 「文字で提示された硬貨を財布から出す」 (step1、1円・10円・100円を使う) (1)1円10枚、10円10枚、100円10枚をそれぞれ入れた財布   (計3個)を本人に手渡しておく (2)教員はカウンティングシートに100円~600円までの金額をラ   ンダムに記入する。 (3)「お金出してください」という声かけを行う。 (4)正しい金額を出すことができた場合は「すごいね!」と褒める。    間違った金額をだした場合は、教員と一緒に確認しながら修正   をする。   動きが止まってしまった場合は「1円の数字はなにかな?」と   ヒントを与える。

手続き(2) 「文字で提示された硬貨を財布から出す」 (step2、1円・10円・100円・500円を使う) (1)指導開始から2日間は、100円5枚と500円が同じである  ということを、教員がお金を並べて説明する。 (2)1円10枚、10円10枚、100円10枚、500円1枚をそれ  ぞれ入れた財布(計4個)を本人に手渡す。 (3)教員はカウンティングシートに100円~600円まで金額を   ランダムに記入する。

手続き(3) (4)「お金出してください」という声かけを行う。 指導開始から2日間は、500円以上の場合は500円玉を使 (4)「お金出してください」という声かけを行う。     指導開始から2日間は、500円以上の場合は500円玉を使   うように声かけをする。 (5)正しい金額を出すことができた場合は「すごいね!」と褒める。    間違った金額をだした場合は、教員と一緒に確認しながら修正   をする。    動きが止まってしまった場合は「1円の数字はなにかな?」とヒ   ントを与える。

教材写真       お金のカウンティングシート

記録方法 1回の指導で5問行う。 正答率を算出してグラフに表す。 (問題として出した金額も記録しておく)

達成基準 ○達成基準 (step1) 80~100%の正答率が20回連続した場合を達成とする。

結果(1) step1 step2

結果(2) (step1) ○12月7日(指導開始2日目)より、80~100%の正答率が続き、1月28日(指導開始から21日目)に目標を達成した。 (step2) ○2月7日、『500えん』という問題で500円玉を自ら出したが置く場所が分からず、財布に戻し、100円玉で出し直した。 →本人が出し終えた後で、100円玉5枚でもいいが500円玉1枚出してもいいということ、500円玉は100円玉を出す場所に出すことを伝えた。 →次の問題で再度『521円』という500円台の問題を出すと、500円玉を用いて出すことが出来た。

結果(3) ○ 2月8日には『600えん』という問題で100円玉6枚で出したので、500円玉を用いて出す出し方を伝えた。 →2月9日に再度『600えん』という問題を出すと、500円玉を用いて出すことができた。 ○2月9日以降、100%水準が続き、2月24日(指導開始から12日目)に目標を達成した。 ○指導の中で、出した金額を教員と一緒に読むようにしていたが、自ら金額を読むようになった。 (般化) ○2月10日に行った校外学習で、レジの数字『147』を見て ジュース代147円を支払うことができた。 16 16

考察(1) ○「不安」の減少 →カウンティングシートと金額毎に小分けした財布を用いることで、お金が数えやすく、本人にとって「間違う不安」が減少した。 ○本人の特性を考慮した指導期間 →達成基準を20日(10日)と長くとり、練習回数を多くすることで、ステップアップしても自信を持って学習に取り組むことができた。 17 17

考察(2) (今後の課題) ○カウンティングシートを用いず、お金を出すことができるようになる →教員が文字で書いた金額を財布から出す →金額を書いた袋にお金をパッキングする →教員が音声で指示した金額を財布から出す など ○般化場面を広げて行く →移動支援の人と行く買い物 →家庭での買い物