検査、精密検査の実際について中心に 東京医科歯科大学医学部放射線科 久保田一徳

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検査、精密検査の実際について中心に 東京医科歯科大学医学部放射線科 久保田一徳 乳がん検診セミナー 検査、精密検査の実際について中心に 東京医科歯科大学医学部放射線科  久保田一徳 2008年10月8日(水) ジョンソン・エンド・ジョンソン(株)社内啓発セミナー

乳房の構造 乳腺は小葉や乳管からなる腺葉によって構成されています。 乳癌はこの、乳腺から発生します。 1. 胸壁 2. 胸筋 3. 小葉 4. 乳頭 5. 乳輪 6. 乳管 7. 脂肪 8. 皮膚 http://en.wikipedia.org/wiki/Breast より抜粋

乳癌の疫学について知ってますか? ①一年間に「乳癌」と診断される人数は? ②一年間に「乳癌」で死亡する人数は?  ①一年間に「乳癌」と診断される人数は?  ②一年間に「乳癌」で死亡する人数は?  ③最も「乳癌」に罹りやすい年齢層は?  ④何人に1人の割合で「乳癌」になると思いますか?

事前質問をいただいたことからわかった、今日皆さんが知りたいこと ①.どうやったら乳癌にならないで済むか? (一次予防) ②. どうやったら乳癌を早期発見して適切に治療を受けられるか? (二次予防)     とくに自己検診についての要望が多かった。 ③. 治療の実際はどうなっているのか? 興味 大                    小 ①はとても難しい。②自己検診だけでも問題がある。  本日はMMGをあわせた検診を最も理解していただきたいところです。

Q. 乳癌のリスクファクタートップ10は? 乳癌診療ガイドライン2008年度版によると、 リスクとして確実~ほぼ確実なものとして、 アルコール摂取、 肥満、 早い初経年齢、出産経験のないこと、 初産年齢が高いこと、 放射線被曝、 良性乳腺疾患、 乳癌家族歴、 閉経後ホルモン療法、 が挙げられています。上2つ以外は自分で気をつけてどうこうできるものでは無いし、これらのリスクが無くても乳癌になる可能性は十分にあります。

Q. 遺伝のリスクについて。 乳癌には、遺伝が関係して起こるものとそうでないものがあります。乳癌に強く関係する遺伝子に変異をもつ乳癌患者さんは、全乳癌患者さんのうち約5%といわれており、乳癌を発症する平均年齢は44歳と、一般の乳癌発症の平均年齢54歳に比べて若いことが特徴の一つです。 総じて、家系内に乳癌患者さんがいる人の場合、乳癌を発症するリスクは高くなります。具体的には、親、子、兄弟姉妹に乳癌患者さんがいる場合は一般の人と比べて2倍以上リスクが高くなるといわれています。

Q. 低量ピルを服用している場合のリスクについて等 経口避妊薬(ピル)の使用が乳癌発症の危険因子になるという強い根拠はありません。長期間使用すると乳癌のリスクが少し高くなる(1.1~1.6倍程度)という報告もありますが、日本人を対象にした研究はなく、乳癌発症との関連ははっきりしていません。

乳癌のリスクについてのまとめ リスクのなかで注意できることは注意する (アルコール、肥満)。 Q.日々の生活で気をつけること Q. 生活習慣や食生活で日ごろ気をつけたほうがよいことがあれば? 乳癌のリスクについてのまとめ リスクのなかで注意できることは注意する (アルコール、肥満)。 確実に乳癌にならない方法や、はっきり「なりにくい」とまで言える方法は無い。 生活習慣や社会生活はなかなか変えられない。  →予防するのは困難だと考えるべき。 (自己の健康を守るために他の部分で摂生する必要があるのは当然のことですが。)

乳腺をみてくれるお医者さん 医師 専門医・認定医 検診マンモグラフィ読影認定医 外科医、乳腺外科医 放射線科医 (放射線診断医・放射線治療医) 産婦人科医、内科医、など。 専門医・認定医 外科、放射線科、などの専門医・認定医 日本乳癌学会の専門医・認定医 検診マンモグラフィ読影認定医 このほか、放射線技師、超音波技師、看護師、細胞検査士、病理医、ほかのスタッフも診療・診断に携わります。

放射線科専門医(画像診断医) について(まずは自己紹介ですが) 画像診断専門医は大学医学部における6年間の医学教育、医師国家試験、2年間の臨床研修、2年間の画像診断と放射線治療の研修、2年間の画像診断研修を終了した上で、日本医学放射線学会の画像診断専門医試験に合格した医師です。画像診断医は一般に画像診断専門医のことで、放射線被曝の安全性と防護、MRIの安全性、各種画像の特性と適応、画像診断に必要な画像解剖や病理、画像診断報告書作成について専門のトレーニングを受けています。(日本医学放射線学会ホームページより抜粋) つまり、画像に特化した医者のこと。昨今の最新機器の画像読影はこのように画像に特化した者でないと対応しきれなくなっています。他科からの依頼に基づいて検査した画像を読影してレポート報告したり、血管撮影装置、CT、超音波などの画像で体の中を観察しながら針を刺して治療や組織生検を行ったりしています。 とくに乳腺を専門とする画像診断医も少なからず存在します。乳癌の発見や診断、組織生検、手術計画の検討(広がり診断)、転移・再発の診断や画像的な治療方針検討、などを外科医・形成外科医・病理医や他のスタッフとともにチームとして診療にあたっています。 レントゲンとかマンモグラフィを撮影してくれる人→これは放射線技師。

 MMG検診をどこで受けるか MMG検診精度管理中央委員会(精中委)の 認定を受けた ①検診MMG読影医師 ②検診MMG撮影有資格技師 ③検診MMG画像認定施設(画質の良い写真) ☆精中委の認定を受けた 医師、技師、施設 の揃っていることが望ましい

Q. マンモグラフィは読影が難しいと聞きますが、小さいクリニックでの受診でも心配はないのでしょうか? マンモグラフィの読影は難しいので、トレーニングを受けた医師でないとしっかりと見ることはできません。 マンモグラフィ精度管理中央委員会 http://www.mammography.jp/ での認定を受けた医師であれば、安心できると言えます。上記ホームページに医師のリストもあります。撮像する技師や施設についても認定がありますので、参考にしてください。

       乳癌検診 ①自己検診 ②視触診検診 ③マンモグラフィー検診 ④超音波検診 ⑤そのほかFDG-PET、MRIなど。

    自己検診の方法 ①生理開始後6~10日目 閉経後は毎月1日(日にちを決めて) ②第2~4指の指腹(指のはら)で撫でるように 鷲掴み(ワシズカミ)はダメ ③座った状態と仰向けに寝た状態とで、 それぞれ手を挙げて、下げて ④「茹でた枝豆1個」を探して!

乳房の自己検診 ①鏡の前でよく見る ②わきの下のリンパ節を触診する ③乳房の触診 15

Q. 乳癌の症状の特徴は? 「痛みの無いしこりを触る」というのが元来多いのですが、腫瘤をさわらないことも多々ありますし、痛みを伴う乳癌もあります。 このほか、乳頭異常分泌、皮膚のひきつれ、乳頭陥没などの症状が出ることがあります。 わきの下の腋窩リンパ節が腫れて、しこりとして触れることもあります。 炎症性乳癌という比較的まれな乳癌では、乳房全体の発赤、腫脹、熱感がみられます。

2. 触診で分かる大きさの乳癌のしこりの場合、 進行度はどのくらいなのか? 2. 触診で分かる大きさの乳癌のしこりの場合、 進行度はどのくらいなのか? 乳腺の大きさにもよりますが、2cmくらいになると触知可能(場合によっては1cmくらいでも発見可能)といわれています。 乳癌の病期は、しこりの大きさと、リンパ節転移、遠隔転移(骨、肺、肝臓など乳房から離れたところ)の有無により、病期(Stage)0からⅣに分類されます。 Stage0 :癌が乳腺内にとどまっているもの(非浸潤癌やパジェット病) StageI :しこりが2cm以下でリンパ節や他の臓器に転移を認めないもの StageIIA :しこりが2cmから5cm以下でリンパ節に転移を認めないものと、しこりは2cm以下だが腋窩リンパ節に転移を認めるもの StageIIB :しこりが5cm以上でリンパ節に転移を認めないものと、しこりが2cmから5cm以下だが腋窩リンパ節に転移を認めるもの StageIIIA :しこりが5cm以上で腋窩リンパ節に転移を認めるものと、しこりの大きさにかかわらず、腋窩リンパ節が周囲の組織と固定されているもの StageIIIB :しこりの大きさにかかわらず、皮膚に浮腫や潰瘍を形成したり、しこりが胸壁に固定されているもの StageIIIC :しこりの大きさにかかわらず、胸骨傍リンパ節や鎖骨上リンパ節に転移を認めるもの StageIV :骨や肺など遠くの臓器に転移しているもの だいたいStageIかIIで見つかることになります。StageIでは5年生存率が90%弱程度と言われています。 触診では死亡率低減につながらないことがわかっており、できればStage0の状態で見つけたいのです。

      視触診単独検診 ①1980年前後より行われてきた ②早期乳癌(2cm以下)は見つかるが 死亡率の改善には至らなかった ③癌発見率0.1%前後

Q. 触診だけで本当にわかるのか?健康診断で外科の先生に実施してもらったが、不安が残る。 最新の「乳癌診療ガイドライン」では         触診での検診は勧められない (推奨グレードD:患者に不利益が及ぶ可能性があるので実践しない様に推奨する)。 なのでMMG検診に移行していっています。 MMG検診のみでは見逃される乳癌もあるので、触診併用も必要な場合があります。 自己検診もエビデンスはありませんが、自分の状態を知ることには意味があると思われます。

マンモグラフィ(MMG)検診 線量が軽減、画質が向上 ①2003年頃より開始 ②乳房を挟まれて痛い →乳房を薄くすればするほど放射線の被爆  ①2003年頃より開始  ②乳房を挟まれて痛い   →乳房を薄くすればするほど放射線の被爆   線量が軽減、画質が向上 ③癌発見率0.3~0.4%  ④日本人にとってMMGでは病変検出率が   低下する(30~40代の乳腺は豊富でMMG上高濃度ないし不均一高濃度乳腺である)

13. マンモグラフィはとても痛いのですが、乳房に対して悪い影響などはないのでしょうか?もっと痛くないようにならないのでしょうか? 13. マンモグラフィはとても痛いのですが、乳房に対して悪い影響などはないのでしょうか?もっと痛くないようにならないのでしょうか? 場合によっては痛みが続いてしまうこともあると思います。 被曝を減らすため、診断能力を高めるためにも、我慢できる痛みの範囲で圧迫させてもらう必要があります(痛くないように撮るのでは、十分に圧迫できず、被曝も増え、診断能力も劣り、かえって悪影響になると思います)。 新たな診断装置の開発はいろいろと行われていますが、実用化したものが出てくるのはずっと先になりそうです。

Q. マンモグラフィ自体にリスクはないか? 理論上、被曝による致死的発癌のリスクがあると考えられている。 1回3mGyの被曝→実行線量0.36mSv →生涯の致死的発ガンのリスクは0.0009%           (1000万人に対して90人) 乳癌発見による利益の方が、大幅にリスクを上回っている。 私たちは日頃から、宇宙線や大地、体内の放射能などから、それと気づかぬうちに年間約2.40mSvの自然放射線を浴びています。マンモグラフィによる被曝量は、日常的に浴びている自然放射線量に比べてごく微量です。 もちろんリスクはゼロではありませんから、むやみに撮影していいということにはなりませんが、不必要に心配する必要もありません。無意味に頻回にとりすぎるようなことがなければよいだろうと思われます。とくに、低年齢でのマンモグラフィはやや利益が低いので注意するべきと思います。

Q. 胸に脂肪が多い人はマンモグラフィが必要なのかと思いますが、胸に脂肪が少ない人でもマンモグラフィ検診は必要なのでしょうか? たしかに脂肪の量によって、評価のし易さが変わります。 乳癌の検出能力も異なっているというデータもあります。 それでも、やはりマンモグラフィでないと発見できない早期の乳癌がありますから、マンモグラフィ検診は必要です。 30代以下で必ずしも毎年や2年毎に撮る必要はないと思います。

マンモグラフィでは、多く見積もって30%くらいの乳癌が発見できないことが知られています。 Q. 知人で乳癌検診(マンモグラフィ)を受けていたのに、その時点では乳癌は発見されず、他の部分に癌が転移してしまった方がいます。毎年マンモグラフィを受けるだけでは頻度不足なのでしょうか? マンモグラフィでは、多く見積もって30%くらいの乳癌が発見できないことが知られています。 自己検診、超音波、などをあわせることが大事なのだと思います。

超音波検査(エコー検査・US) 乳房に超音波をあて、組織からの反射をとらえて画像にし、わずかな濃度の違いで病巣を診断するものです。  乳房に超音波をあて、組織からの反射をとらえて画像にし、わずかな濃度の違いで病巣を診断するものです。  マンモグラフィに比べて小さいしこりや石灰化の診断が困難ですが、しこりの内部構造の鑑別がしやすく、乳腺の密な若い人の診断にも使うことができます。  検査によるリスク・被曝などはありません。

9. どのくらいの期間で検診したらいいのか? 20代:月一回の自己検診と、症状あればMMGや超音波。 9. どのくらいの期間で検診したらいいのか? 検診で異常がなくても、次の検診までに乳癌がみつかることがあります。これを「中間期癌」と言います。これまでの視触診による検診では中間期癌は約30%ですが、マンモグラフィによる検診では10%に減少します。 スクリーニングを実施する間隔については、50歳以上については、隔年よりも毎年がより効果的であるとするエビデンスはわずかだったという。40~49歳についてもまた、毎年の実施が隔年より明らかに有効であるとするエビデンスはなかったが、同年齢グループでは検診の感受性が低いことや、腫瘍の成長が速いことなどから、一部の専門家は毎年の実施を勧めているとしている。 国全体の費用対効果で考えるのか、個人の健康を守るのかで、考え方は変わります。 ひとつの意見としてですが、 20代:月一回の自己検診と、症状あればMMGや超音波。 30代のうちに一度はMMGの撮影(ベースラインMMG)と年次の超音波検診。 40代~50代:年次のMMG+超音波での検診。 60代~:2年に一度のMMG検診。 (場合によって超音波/MMGの組み合わせは異なることもあると思います)

Q. 乳癌の初期症状、乳腺症、乳腺炎などとの違い。マンモグラフィ受診に適した年齢(あまり若い世代では意味がないと噂で聞いたので) ●線維腺腫 20~30歳の若い女性に多い良性のしこりです。しこりの境界ははっきりしてよく動き、表面も滑らかです。痛みを伴うことはなく、あまり大きくなりません。ほとんどが癌との区別を簡単につけられますが、場合によってはしこりをとったり、針を刺して細胞の検査を行うことがあります。 ●乳腺症 乳腺外来を訪れる患者さんのなかで最も多い乳腺の病気です。35~45歳の閉経前に多く、原因は女性ホルモンの相対的アンバランスによるものとされています。正常な乳腺との境界がはっきりしない腫瘤様の硬結を触れることがあり、また痛みを伴うことも多く、月経前に症状が強くなることが特徴です。触診のみでは乳癌との鑑別が難しいため定期的な超音波検査、マンモグラフィが必要です。 ●乳腺炎 ほとんどが授乳期におこり、乳房は赤くはれ、強い痛みが主症状で熱が出ます。 線維腺腫(MMG) 線維腺腫(US)

4. 再発の可能性 現在、乳癌の手術を受けた患者さんの30~35%で再発が見られます。最近は、早期の乳癌が多く発見されているので、再発の機会はこれらの数字より低くなっていると考えられています。 再発の時期はまちまちですが、最初の3年ぐらいの間に再発するケースが多いことが知られています。しかし中には術後15年以上経過して再発することもあります。

Q. 治療法について。乳房温存方法の現在の実施状況など。 手術、薬物療法、放射線療法、が組み合わせで行われます。とくに、薬物療法(ホルモン療法、術前・術後の抗がん剤治療、分子標的治療薬など)はとても進歩しています。 乳房温存の実施状況は施設によって異なりますが、約50%~60%の症例で行われていることが多いようです。残った乳腺に放射線照射を加えることが標準となっています。温存と言っても、部分切除という意味で、整容性が必ずしも良い訳ではないことが有ります。温存術の他に、乳房再建術(シリコンなどの人工物や脂肪弁を使ったもの)もあります。 わきの下のリンパ節(腋窩リンパ節)の手術については、標準術式ですべて摘出するリンパ節郭清(かくせい)術のほか、もっとも転移する可能性が高いリンパ節を色素や放射性物質を使って探して手術するセンチネルリンパ節生検も増えてきています。 RFA(針を刺して乳癌を熱凝固させる)などの侵襲の少ない治療も開発中~一部施行されています。

Q. 例えば妊娠している時に乳癌が見つかった場合、どのような措置がとられるのでしょうか? 妊娠の時期によって、手術できるかどうかや治療の仕方が変わりますので、通常時に発見されるのよりも治療が難しくなりやすい。時期によっては胎児にたいして比較的安全に抗がん剤治療も可能です。 乳腺を本格的に専門にしているDr.にみてもらうべきです。

MRI アメリカではハイリスクの患者のスクリーニングに用いられつつあります。 乳癌術前の広がり診断にはとても有用です。 質的診断としても有用性が高い。 乳腺の場合は、造影剤を注射して撮像します。 大きな磁石でできた筒の中に入って撮像します。閉所恐怖症の方や、体内に金属がある方などでは撮影できないことがあります。 31

FDG-PET/CT 登場当初はマスコミなどで騒がれて5mmの癌でも見つかると言われていましたが、実際には小さな癌は見つけづらいので、これのみで検診できるわけでは無いことがわかってきました。ブドウ糖の代謝を放射線同位元素を使って見る検査であり、全身を一度に調べることができるので、転移の有無の評価や再発の評価には有用性が高いとされています。

病変が見つかった場合 1.明らかに良性と判定できるもの 脂肪、のう胞、線維腺腫の一部など →精密検査不要。検診の継続を。ただし、検診機関や方法によっては、再度検診で引っかかってしまうことがあります。 2.良性と判定確定できないもの 「経過観察」・・・ほぼ良性だと思われる場合は、念のため3ヶ月~半年程度で大きさや形状が変わらないことを確認することがあります。 「病理学的な検査での確定診断」・・・針を刺したり、生検をすることで確定診断にすることができます。多少の痛みを伴います。 「MRIなど画像検査の追加」・・・確実に確定診断ができるわけではありませんが、参考になることがあります。

診断確定のための検査 細胞診 針生検 吸引式組織生検(バコラ、マンモトーム) それぞれ、超音波下かマンモグラフィ下か、適切な方法で行います。

細胞診 細い針を直接病変に刺して、吸引圧をかけることで針の中に細胞を採取します。 取れてきた細胞をスライドガラスに拭きつけ、アルコール固定した後に染色し、顕微鏡で細胞検査士・病理医が観察します。 簡単にできる検査ですが、一度ではうまく細胞が取れてこないこともあります。 良性・悪性の判定が可能ですが、たまたまうまく悪性の細胞が取れてこなかった場合や、一部の良性腫瘍がまれに悪性の診断になってしまうこと、診断が迷わしいこともあります。

針生検(コアニードル) 局所麻酔を少量使って痛みをとります。 3mm程度の太さの針を病変に刺して、つめの先程度の小さな組織を採取します。 診断の精度を上げるため、一度の検査中に数本採取することがあります。 採取した組織はホルマリン固定した後に処理を行い、病理医が顕微鏡で観察するので、診断までやや時間がかかります。 細胞のみでなく、組織として観察ができるので診断精度はあがります。 免疫染色によって、ホルモン感受性なども調べることができます。 ほとんどの病変が診断確定可能ですが、まれに診断が難しいときがあります。 つめの先→ひじき、シラス、とかくらい

マンモトーム生検 針生検よりも太い針を挿入し、機械での吸引をかけながら組織生検査を行う方法です。 切除生検に匹敵する診断能力が得られます。 皮膚切開を数ミリ行いますが、傷は縫合不要で、傷跡も目立ちません。 「ステレオ下マンモトーム」・・・MMGで石灰化としてのみ見つかる病変の確定のために、MMG撮影での位置確認を行いながら生検する方法。座って圧迫するMMG装置と、うつ伏せで寝たまま圧迫して生検できる装置があります。 「US下マンモトーム」・・・針生検と同じように超音波で確認しながら生検する方法。より多くの組織が採取できるので、針生検での確定がつかないときや、術前の詳細検査などで行います。

今日知ってもらいたかったこと 乳腺をみてくれる医者は? 放射線診断医の仕事は? どうすれば乳癌にならないことができますか? 検査、精密検査の方法のだいたいがわかりましたか? 適切な乳癌検診を受けましょう。乳がんを早期発見することで、 命を守る 乳房を守る 幸せな生活を守る(家族や周りの人も含め) 乳がんは生活習慣では完全には予防できない

まずは検診をしっかり受診しましょう。 本日のスライドについては、 東京医科歯科大学医学部研修医 中川徳子先生 東京医科歯科大学医学部研修医 中川徳子先生 東京医科歯科大学医学部乳腺外科 桑山隆志先生 横浜旭中央病院 櫻井 修先生 Johnson&Johnson.K.K.  あけぼの会 からの資料提供をいただきましたことを感謝いたします。