薬品分析学3
連絡事項 (1) 薬品分析学3の講義は来週が最後(7/21は月曜日の講義) (2) 試験日:8/4 (火) 3限目;場所:13号館第一講義室 (3) これまでの講義資料をWeb上にアップロードします。 http://p.bunri-u.ac.jp/lab05/ 来週の講義までに
問題 1. :解答 (1) 質量分布比(保持比)kの定義式を書きなさい。(ヒント:クロマトグ ラムの保持時間 (tRA, tRB) を含まない式) (2) ピークAの化合物の質量分布比(保持比)kをクロマトグラムの保 持時間を含む形の式として表しなさい。 答 (1) (2) (3) (1)の定義式に基づいて、kが大きくなると化合物の保持時間が 長くなることを説明しなさい。ただし、流速は変えないまま、kのみ が変わるものとする。 kが大きくなるということは、固定相に存在する量がより増えて、 移動相に存在する量が減ることを意味する。 その結果、カラム に結合する時間が長くなり、溶出するまでの保持時間が長 くなる。
問題 1. :解答 (4) (2)の式に基づいて、kが大きくなると化合物の保持時間が長くな ることを証明しなさい。 より t0•k = tR − t0 整理して tR = t0•k + t0 t0 > 0 のため、kについて単調増加の一次関数 よって、kが大きくなるとtRが増加 = 保持時間が長くなる (5) ピークAとピークBの分離度RSを式で表しなさい。 分離度 (6) ピークAの化合物の保持容量VRAを求めなさい。移動相の流速 を2 mL/minとする 。 保持容量 VRA = tR•F = 2(mL/min)•tR(min) = 2tR mL
問題 1. :解答 (7) 理論段数Nの定義式を書きなさい。。 理論段数 (8) (7)の定義式に基づいて、理論段数が大きくなるとピーク同士の 分離能が上がることを証明しなさい。 (7)の定義式より理論段数が大きくなる時は W0.5h2 が小さくな る(=W0.5h が小さくなる)。 分離度 の W0.5hA と W0.5hB が小さくなる tRA, tRBは一定(定義し忘れでごめんなさい)のため、分離度の定義 式の分母のみが小さくなる。 よって、理論段数Nが大きくなると、ピークの分離度Rsが良 くなる
問題 1. :解答 (9) 上図のクロマトグラムを与えるカラムの理論段数が80であった時、 理論段数が320になった場合のクロマトグラムを下記のクロマトグ ラムに重ねて書きなさい。ただし、各ピークの保持時間は変化し ないものとし、同量の化合物をカラムに注入することとする。 理論段数 より、W0.5h2 = 5.54tR2/N W0.5h = (5.54tR2/N)(1/2) = tR(5.54/N)(1/2) 半値幅は√Nに反比例 理論段数が4倍になると半値幅は 1/2 化合物量一定: ピーク面積不変: 高さが2倍
問題 1. :解答 (10) カラムの理論段数が80でカラム長が150 mmであった時、理論段 高さHを求めなさい。 理論段高さ = 150(mm)/80(無次元) = 1.875 mm
問題 2. :解答 次のピークA, Bの分離度、ピークA のテーリング(シンメトリー)係数・ 保持時間tRAを求めなさい。 min(分), sec(秒),hour(時間)等 チャートスピード 20 mm/min と すると(定義し忘れてごめんなさい)、 tRA = 55(mm)/20(mm/min) = 2.75 min 同様に tRB = 4.75 min W0.5hA = 15(mm)/20(mm/min) = 0.75 min 同様に W0.5hB = 0.4 min 4.75(min) − 2.75(min) 分離度 = 1.18 × 0.75(min) + 0.4(min) = 2.0521••• ≈ 2.1 S = W0.05h 2f = 1.9(cm) 2×1.1(cm) = 0.863••• ≈ −0.86 リーディング
問題 2. :解答 次のピークA, Bの分離度、ピークAのテーリング(シンメトリー)係数・ 保持時間tRAを求めなさい。 分離度 9.5(cm) − 5.5(cm) Rs = 1.18 × 1.5(cm) + 0.8(cm) Rs = 2.0521••• ≈ 2.1 S = W0.05h 2f = 1.9(cm) 2×1.1(cm) = 0.863••• ≈ -0.86 リーディング チャートスピード 20 mm/min とすると(定義し忘れてごめんな さい)、tRA = 55(mm)/20(mm/min) = 2.75 min(本来の単位)
問題 3. :解答 (1) シリカゲルを用いたクロマトグラ フィーで溶離溶媒として酢酸エチ ルから始め,次第にメタノールの 量をステップワイズ(段階的に)に多くしていき,最後には メタノールのみにした.このとき,化合物(A), (B), (C)がどの ような順序で溶出されるか答えなさい.その理由も述べよ。 溶出順: (B) → (A) → (C) 理由: シリカゲルは、表面にシラノール基(Si-OH)が存在し、 高極性となっている。従って、極性の高いものほど強く吸着 する(= 極性の低いものから溶出する)。(A)(C)には水酸基 があり高極性。即ち(B)が一番低極性。(A)と(C)では(C)にエ ステルがある分、若干高極性。(A)はフラン環以外は飽和炭化 水素。よって極性が低いものから順に(B) → (A) → (C)となり、 これが溶出順となる。
問題 3. :解答 (1) シリカゲルを用いたクロマトグラ フィーで溶離溶媒として酢酸エチ ルから始め,次第にメタノールの (A) (B) (C) (1) シリカゲルを用いたクロマトグラ フィーで溶離溶媒として酢酸エチ ルから始め,次第にメタノールの 量をステップワイズ(段階的に)に多くしていき,最後には メタノールのみにした.このとき,化合物(A), (B), (C)がどの ような順序で溶出されるか答えなさい.その理由も述べよ。 溶出順: (B) → (C) → (A) 理由: シリカゲルは、表面にシラノール基(Si-OH)が存在し、 高極性となっている。従って、極性の高いものほど強く吸着 する(= 極性の低いものから溶出する)。水酸基の数が(A), (C), (B)の順で減っていく。即ち極性は(A) → (C) → (B)の順 に極性が下がる。よって極性が低いものから順に (B) → (C) → (A)の順に溶出する。
周期表 電気陰性度上昇 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 1 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 57 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 H He Li Be B C N O F Ne Na Mg Al Si P S Cl Ar K Ca Sc Ti V Cr Mn Fe Ni Cu Zn Ga Ge As Se Br Kr Co Rb Sr Y Zr Nb Mo Tc Ru Pd Ag Cd In Sn Sb Te I Xe Rh Cs Ba Hf Ta W Re Os Pt Au Hg Tl Pb Bi Po At Rn Ir Fr Ra La Ce Pr Nd Pm Sm Gd Tb Dy Ho Er Tm Yb Lu Eu Ac Th Pa U Np Pu Cm Bk Cf Es Fm Md No Lr Am 2 3 4 5 6 L 7 A 電気陰性度が下がる L A 電気陰性度 F > O > N > C ≈ H > B > Al > Na 炭化水素(C,Hのみの化合物)の極性が低い理由
演習問題 (1) 次の化合物を極性の高い順に並べなさい。δ+、δ−も書くこと (2)
演習問題 (1) 次の化合物を極性の高い順に並べなさい。δ+、δ−も書くこと > > (2) 電気陰性度 F > O > N > C ≈ H > B > Al > Na
問題 3. :解答 (2) 溶媒組成を変化させて化合物の溶出をさせる方法を何と呼ぶか。 グラジエント溶離法 (3) シリカゲルを固定相に用いたクロマトグラフィーの分離メカニズム の分類名を答えなさい。 分離機構 吸着クロマトグラフィー 教科書P150 表3-6
問題 3. :解答 (4) シリカゲルを用いたクロマトグラフィーのような溶出順となるクロマ トグラフィーを何と呼ぶか答えなさい。溶出順による分類名で答え ること。 順相クロマトグラフィー (5) シリカゲルを用いたクロマトグラフィーとは、化合物が溶出する順 序が逆転するクロマトグラフィーを何と呼ぶか答えなさい。溶出順 による分類名で答えること。 逆相クロマトグラフィー 教科書P150 表3-7
問題 3. :解答 (6) (4)の分類に属するクロマトグラフィーに用いられる固定相の 以下から選びなさい。 a)ポリエチレングリコール(PEG) b) オクタデシルシリル基 c) アルミナ d) セファデックス e) ケイソウ土 f) アミノプロピル基 答: c), d), f) (7) (6)で答えた化合物の化学構造式を書きなさい。 セファデクス アルミナ Al2O3 アミプルロピル基 ポリエチレングリコール(PEG)とケイソウ土は未分類 SiO2が主成分
問題 3. :解答 (8) (6)のa), b), c)を固定相とするクロマトグラフィーの分離メカニズム の分類名を答えなさい。 答 (9) シリカゲルの組成式を書きなさい。 答: SiO2 (10) シリカゲルと組成が全く同じ物質と、シリカゲルの組成式で表され る化合物を主成分とする物質を以下からそれぞれ選びなさい。 a) ポリスチレン b) 窓ガラスのガラス c) ケイソウ土 d) 石英 e) 溶融石英 f) 水ガラス g) ヤタガラス h) オクタデシルシラン i) 石綿 j) セルロース k) フューズドシリカ (fused silica) m) グルコース n) 石英ガラス シリカゲルと同じ物質: d, e, k, n シリカゲルを主成分とする物質: b, c