工業力学 補足・復習スライド 第13回:偏心衝突,仕事 Industrial Mechanics
おさらい
角運動量 (angular momentum) (I:慣性モーメント,w:角速度) 角運動量は物体がトルクを受けることで変動する.その変化の法則性は角運動方程式から導出できる. つまり,角運動量の時間変化率は,受けているトルクに等しい. この式の両辺を時間に関して積分すると…
角衝撃量 (angular impulse) すなわち,時刻 0 から t までトルク N(t) を受けた結果起こる角運動量変化の合計はトルク N(t) の時間積分値に等しい.トルクが時間変化せず一定値 N である場合は DL = Nt である. このトルクの時間積分値を 角衝撃量 (angular impulse) または,角力積,力積のモーメント と呼ぶ.
運動量保存則 質量 m1, m2 の物体 A, B がそれぞれ v1, v2 の速度で同一方向に運動しており,衝突時に時間 Dt の間 A が B に一定力 F を加え,結果それぞれの速度は , に変化したとする. (運動量変化) = (力積) であるから, 両辺足しあわせて整理すると, 左辺は衝突前の運動量の合計であり, 右辺は衝突後の運動量の合計. つまり,衝突の前後で運動量の合計は 変化していない. A B F -F A B A B
運動量保存則・角運動量保存則 運動量保存の法則 (law of conservation of momentum) 物体群にかかる外力の和が 0 であるとき,物体間に衝突などの相互作用が起こって物体ごとの運動量が変動したとしても,運動量の合計は一定値に保たれる: 同様の法則性は回転運動についてもなりたつ. 角運動量保存の法則 (law of conservation of angular momentum) 物体群にかかる外力のモーメントの和が 0 であるとき,物体間に相互作用が起こって物体ごとの角運動量が変動したとしても,角運動量の総和は一定値に保たれる:
衝 突 (collision) 運動している物体どうしが衝突することで,各物体の運動量・角運動量は変動する.その変動のしかたを解析する. 向心衝突 ’ v2 v1 v1 v2 F -F 運動方向に垂直な速度は双方とも 0 斜めの衝突 v1 ’ v2 v1 v2 F -F 衝突方向に垂直な速度は双方とも不変:衝突方向だけ考えれば良い
衝 突 (collision) 運動している物体どうしが衝突することで,各物体の運動量・角運動量は変動する.その変動のしかたを解析する. 偏心衝突 v1 F -F ’ v2 v1 w2 vG 作用する力が物体の重心を貫いていない:衝突により回転運動が生じる
向心衝突の解析方法 衝突現象をどう扱うか? 利用可能な法則性の一つ:運動量保存則 式一本じゃ,未知数一つしか求まらない. もう一つの拘束条件:反発係数 衝突現象のパラメータで,衝突によって,相対速度がどの程度の割合で減衰するかを示す. 衝突前の相対速度:接近速度 衝突後の相対速度:離脱速度 反発係数: 向心衝突の場合:この2つの式を連立させて解くだけ. (7.16) (7.17)
斜めの衝突の解析方法 下図のようだとすれば,相互作用は鉛直方向のみ. 水平方向には加減速せず,鉛直方向速度は向心衝突と 同じ法則性に従う. 速度の水平方向成分は衝突後と衝突前で同じ.鉛直方 向成分について,先ほどと同様に,(鉛直方向の) 運動 量の保存の式と反発係数定義式を連立させる. 斜めの衝突 v1 ’ v2 v1 v2 F -F
特殊なケース:地面との衝突 式 (7.16) と (7.17) を連立させて解いた結果が式 (7.18) である. (この式を憶えようとするのはナンセンス) 物体 2 を「地球」とすれば, ということになり,これを上に代入すると, . すなわち物体 1 は e 倍の速さで跳ね返る. 地面に斜めに衝突した場合は,摩擦等を考えない場合, 速度の水平成分は不変,鉛直成分は -e 倍になる. (7.18)
偏心衝突の解析方法 換算質量 (離心軽減質量) m red により向心衝突と同じ扱いが可能. m2 ’ w2 vG m1 v1 d ’ -F