日本は、何故、 Open Innovationが 上手くいかないのか? 会社形態の原点回帰 Partnership論入門 「独立企業達を親密に束ねた協業」 もはや株式会社が会社形態の究極ではない。 Partnership会社の良さとは、 1)役務拠出者の権利強化。 2)協業すればするほど税金 が安くなる「税務会計自由」。 “負の所得税”の活用。 Partnershipとは、共通の利益を実現するために、資産や役務を組み 合わせようとする二人以上の人間によって合意された契約である。 Partner A Partner B 何らかの Benefit 何らかの Contribution 何らかの Benefit 何らかの Contribution 出典;Tom Petska, et.al., “An Analysis of Business Organizational Structure and Activity from Tax Data” 2009.05.07 rev.22 経済産業研究所(RIETI) BBL 東京大学客員研究員 齋藤旬 「LLC制度研究会」http://www.llc.ip.rcast.u-tokyo.ac.jp/ Partnership AB (コラムへのアクセスのパスワードは“LLC”) Partnershipが、日本人には未知のNon arm’s length経済 に属する会社形態である、と認識することが何より重要。 この資料で表明する意見は、齋藤の個人的意見であり、所属する団体が持つ意見とは関わり有りません。
目次 0. 問い;日本は何故Open Innovationが・・・ 「独立企業達を親密に束ねた協業」 0. 問い;日本は何故Open Innovationが・・・ 第四の経済主体;Partnership と 「取引」の原点;Non arm’s length取引 大恐慌の亡霊; 独立企業間原則、移転価格税制 本来、会社(Company)には二形態ある。CorporateとPartnership 日本にはPartnershipという会社形態は存在しない。 結論;Arm’s length entitiesにNon arm’s length collaborationさせようとするのが、 土台無理。 和訳すれば、「独立取引事業体達に親密な協業をさせようとするのが土台無理」 、となろう。 Partnership制度の日本導入は極めて困難。 「何が社会正義か」の根本的見直しすら必要に。 Economic Entity 1929年 おまけ
第一章 第四の経済主体;Partnership と 取引の原点;Non arm’s length取引Business Corporate、家計、政府、そしてPartnership Economic Entity 21世紀経済のイメージ 外縁部; Arm’s length経済 を媒介にした経済 中心部; Non arm’s length経済 public market a lot of private markets
Marketとは、「共通の価値物差しを持った集団」 その内部で「取引」が成立する集団 活働目的が、「衣食住」充足にあった時代; →public market 活働目的が、 「衣食住」充足 + 「個々人ごとの豊かさ」の追求 に移っていく時代; →public market + a lot of private markets Private marketとは、 「ある特定のテーマで、共通の価値物差しを持った集団」のこと。 該特定テーマ関連の財・サービス・権利に関して、「非・お金」、例えば「一般に対しては“未だ”換金性の無い、財産・サービス・権利」での「取引」が可能となることが特徴。
「・・・共同研究では企業が自社の利益を優先するために・・・実業に結びつく様な成果が出なくなっている。」 「日本は何故Open Innovationが・・」問題の所在 「・・・共同研究では企業が自社の利益を優先するために・・・実業に結びつく様な成果が出なくなっている。」 「なぜ、かつては世界を席巻した日本の技術が今では遅れをとっているのか。忸怩たる思いがある。」-----。 東京の多摩川に近いマンションの自室で、今年80歳になる垂井康夫氏はつぶやいた。今から約30年前の1976年から80年までの4年間にわたり、国家的プロジェクトとして設立された超LSI共同研究所で、現場のリーダーとして研究を引っ張った。 富士通、日立製作所、三菱電機、NEC、東芝というライバル5社から、平均20人程度ずつが1カ所に集まったこのプロジェクトは、米国に遅れを取っていた日本勢がまさに「挙国一致」で新しい技術開発に取り組んだもの。そこでのブレークスルーがステッパーなどの生産設備の開発に結びつき、80年代には日本の半導体産業は世界シェア90%を握るほどとなる。 (中略) しかし、今では日本の半導体の世界シェアは10%を切っている。日本も国家プロジェクトを繰り返しているものの、シェアの減少傾向は止まらない。この状況について垂井氏はこう言う。 「・・・共同研究では企業が自社の利益を優先するために・・・実業に結びつく様な成果が出なくなっている。」と指摘する。半導体王国の座から転げ落ちていった日本。逆転したASMLには、日本に欠如しているイノベーションの仕組みが備わっている。スピード、オープンなネットワーク作り、健全な議論、大胆なリーダーシップなど学ぶべき点は多い。 日経ビジネス 2009.3.30 pp.124-128
経済の三主体;お金での取引 Arm’s length取引 売買取引、お金が介在する取引 先ず復習から 経済の三主体;お金での取引 Arm’s length取引 売買取引、お金が介在する取引 企業 Business Corporates 代金 労働力 代金 投資 財・サービス 補助金 財・サービス 利子・配当 給料 税金 社会保障 家計 Families 政府 Governments (中央・地方) 租税 給与 労働力
第四の経済主体;Partnership Non arm’s length取引 「特有財役(ざいえき)出資-特有成果分配」取引 Economic Entity 第四の経済主体;Partnership Non arm’s length取引 「特有財役(ざいえき)出資-特有成果分配」取引 Contribution in kind Distribution in kind “・・・tribution in kind”の和訳は… tributeの語源はtribune、つまり「捧げ物」であり、 in kind”は「関係性によって有効となった..」の意味、従って「関係性によって有効となった財・サービス・権利」が適しているだろう。 Contribution in kindは、 「その事業で必要とされる役務、知財、技術、資金、設備などを出資し合うこと」を意味する。 「特有財役(ざいえき)出資」と和訳してみた。 Distribution in kindは、 「事業活働の後生じる成果の分配」を意味する。 「特有成果分配」と和訳してみた。 Business Corporates Distribution in kind Contribution in kind Partnerships Contribution in kind Distribution in kind Distribution in kind 家計 Families Contribution in kind 政府 Governments (中央・地方)
Partnershipに対して使われた場合 Contribution in kind と Distribution in kind Corporate用語とPartnership用語で和訳が異なる Corporateに対して使われた場合 Partnershipに対して使われた場合 Contribution in kind 現物出資 特有財役出資 Distribution in kind 現物支給 特有成果分配
Arm’s Length 親密さを排除できる距離 (用語集;QuickTaxWeb より) 簡単に言えば、、、 他人関係間の取引 仲間関係間の取引 Arm’s length transaction; 個々の利益のために行動する人々の間での取引 a transaction between persons in which each acts in their own self-interest. Non-Arm’s length transaction; “関係性”例えば、一つの家族、血縁や結婚や(法的または事実上の)養子縁組で繋がった人々の様な関係性をもった人々の間で行われる取引 Non-arm's length transactions include transactions between people who are related, such as members of a family, or anyone connected by blood relationship, marriage, or adoption (legal or in fact). 用語集;QuickTaxWeb では、 Corporate = Arm’s length entity であり Partnership = Non-arm’s length entity である。
Corporate Corporate 企業と企業のNon arm’s length取引 この場合、通常、Distribution in kindは「成果」そのものでなく、 「事業活動後に成果に与(あずか)る権利;利益持率(Profits interest)」の付与によって行われる。 エーッと、でもー、おたくさん 一体どんな製品や サービスを売ってくれるの? 私どもは、貴社の課題を 解決するのが仕事。 Win-Winをモットーとします。 「売る」ことは しません! PARTNER 取引をします。 ウチも買わないよ!ただ、「ガツガツかき集める」だけさ。 福澤諭吉になったつもりで和訳すれば,,, Profits Interest 利益持率 ;事業活動後に成果にあずかる権利 Contribution in kind 特有財役出資 ;その事業で必要とされる役務や 知財や技術や資金や設備などを 出資し合う事。 Partner A Partner B Partnership AB Contribution in kind Profits Interest in kind 「関係性」によって有効となったナニナニ
「特有財役出資-利益持率」取引の原型 商業ルネサンス期(11世紀)の欧州、Commenda契約 LLC制度研究会WebSite、 コラム#22『Credit Culture, Equity Culture』より抜粋
Arm’s length取引 と Non arm’s length取引 何と何を比較するのか お金 と 財・サービス・権利 財・サービス・権利 と 財・サービス・権利 絶対評価, 相対評価 お金による 絶対評価 具体的財・サービス・ 権利同士の相対評価 評価の場 public market one of private markets 税務当局は 利益が生まれる 取引と見なす (取引時には)利益は生まれていない取引と見なす 所得税 課税 課税される 課税されない (後日、利益が生まれれば、それはPartnerに パススルーされ、その合算所得に課税される。) の様な取引は除外。
Arm’s length課税 と Non arm’s length課税 鳴かぬ・・ ・・・・・・・ ホトトギス 鳴かぬとも 税は貰うぞ ホトトギス 鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス 利益発生 認識は何時か 取引毎に利益が生まれるとして課税する。 事前課税exante taxation 一連の取引が上手く進み、更に、契約された役務が首尾良く遂行された後に利益が生まれる、として課税繰延する。 事後課税expost taxation 「急いては事をし損ずる。」
Non arm’s length取引の例1 Dream Works LLC設立(1994年)
Non arm’s length取引の例2 わらしべ長者 絵の出典;http://www.e-hon.jp/warash ①わらしべがミカン三個に ②ミカン三個が反物に ③反物が馬に ④馬が長者様の屋敷と身分に
Non arm’s length取引(?)の例3 日本にもPrivate marketはあることはある? 美術品にNon arm’s length取引を許せば、「プーリング美術館」が増える? 出典:http://www.bs-j.co.jp/kantei/ 出典:http://www.bs-j.co.jp/kantei/ いい仕事 してますね! その一言で ン億円! 中島 誠之助 Public marketと違い、Fair market value(公正市場価格) というものは無い。「一般公平な取引、中立な取引」は無い。
Non arm’s length取引の例4 映画オーシャンズ11 カジノの金庫を破り、結果、15億円を 11人で山分けした。 つまり、、、 この11人で形成されるprivate market では、11人それぞれが拠出した技量・ 役務は「等価」と評価され、一人一人に 「十一分の一」というprofits interestが Distribution in kindされた、と表現できる。 まさにprivate marketとは、「Place your bets.お前さんの思惑は?」の世界 なのだ。 公正市場価格は無い。 出典:cinemaposter.blog48.fc2.com
MPEG L.A. LLC Expireする特許にあわせて分配率を毎年かえる。LLCを毎年組成する。 Non arm’s length取引の例5 MPEG L.A. LLC 技術標準化 および License Feeの徴収と分配(←利益持率に応じた) MPEG-2(ビデオ・システム)の例 特許権者23社1大学(2005年) ライセンサー群 A社 B社 C社 N社 License Fee収入分配 MPEG-2 ISO/IEC 13818-2 ビデオ・システム 必須特許 約150件 プールされた特許 特許a 特許b 特許c1c2 特許n USP :95 JP: 31 EP :3 KRP :1 弁理士 資金 契約 MPEG L.A. LLC Expireする特許にあわせて分配率を毎年かえる。LLCを毎年組成する。 Law Firm 資金出資者 Distribution 顧問弁護士 License Fee徴収 ライセンシー群 α β γ δ ε η 772社 出典;2006年日本知財学会 知財情報マネジメント分科会セッション 『MPEGを中心とした最近の著作権管理技術の国際標準化動向』 東京大学 小暮拓世教授
Partnershipの分類 と、「特有財役出資-特有成果分配」取引の具体例 Business Corporates Profits Interest 利益持率を獲得 要素技術を拠出 1)Common Lawによる税務会計自由 2)Common Lawによる契約自由 3)Recourse Asset設定による有限責任 三大特徴 LLC 年末の火の用心 見回活働に参加 NPO PPP ターンパイク が整備できる 家計 Families 政府 Governments (中央・地方) 町の安全 を獲得 国有地 を拠出
注目すべきNPOの例; Mega Church 学校も職場も病院もショッピングモールも備えた、一つの町、自治区 Wikipedia; Megachurch; (http://en.wikipedia.org/wiki/Megachurch) メガチャーチとは、毎週のミサにおおよそ2000人以上の参列者のある教会と定義されている。The Hartford Institute‘s databaseによれば米国にはその様なプロテスタント教会が1300以上存在する。 このうち約50の教会が一万人から四万七千人の参列者を有している。ちなみに、約三千のカトリック教会が毎週のミサに二千人以上の参列者を集めるが、これらの教会はメガチャーチとは見なさないのが一般的である。 世界的には、 この様な大規模信徒団はプロテスタント教会の発展例とされる。米国に始まった動きだが、この現象は世界中に広がっており、2007年時点で韓国には規模で世界ランクトップテンの内五つのプロテスタント教会が存在する。多くのメガチャーチが福音派ないしペンテコステル派に属するが、主要なキリスト教宗派とは半独立の立場を取ることが多い。 Exploring the Megachurch Phenomena:(http://hirr.hartsem.edu/bookshelf/thumma_article2.html) メガチャーチに魅了される人々は、毎日の生活の場としてそこに様々な機関を見いだしている (Eiesland 1995) 。メガチャーチのメンバーは様々な大規模施設の中で快適に生活している (Ostling 1991; Schaller 1992) 。 彼らはそこで生まれそこで育てられたのである。多くの者が付属の巨大病院で生まれ、付属の高大一貫校で教育を受け、メガチャーチ内のロック・コンサート、ケーブルTV、シネコンを楽しむのである。疑いもなく彼らは付属のモールでショッピングし食事し、付属のOffice Parkにある大企業に30分程度の通勤時間をかけて通っているのである。これら施設の現実性と機能性は、メガチャーチのメンバー達のニーズと性格を反映している。彼らはメガチャーチを自分達の“ホーム”だと感じ、五千人もの名も知らぬ信者達に混じって礼拝に与るために、喜んで幾つもの他の宗派の前を車で通りすぎ、駐車スペースを見つけるのに悪戦苦闘し、空き託児所を示すサインに従うのだ。これらがまさに彼らの日常生活なのである。 出典;http://blog.kir.com/archives/megachurch.jpg Wikipedia; Megachurch; (http://en.wikipedia.org/wiki/Megachurch) A megachurch is a church having around 2,000 or more attendants for a typical weekly service.[1][2] The Hartford Institute's database lists more than 1,300 such Protestant churches in the United States. According to this data, about 50 churches on the list have attendance ranging from 10,000 to 47,000.[3] Additionally, while some 3,000 individual Roman Catholic parishes (churches) have 2,000 or more attendants for a typical weekly service, these churches are not seen as part of the megachurch movement.[4] Globally, these large congregations are a significant development in Protestant Christianity. While generally associated with the United States, the phenomenon has spread worldwide; as of 2007, five of the ten largest Protestant churches are in South Korea.[5] Most megachurches tend to be evangelical or Pentecostal, and are often semi-independent from the major Christian denominations. Exploring the Megachurch Phenomena:(http://hirr.hartsem.edu/bookshelf/thumma_article2.html) Those who are drawn to megachurches find their various organizational forms quite familiar, a part of their everyday lives (Eiesland 1995). Megachurch members are at home in large scale institutions (Ostling 1991; Schaller 1992). They grew up in them and were nurtured by them. They were probably born in a giant hospital, educated in a consolidated high school and large public university, and entertained by rock concerts, cable television, and multiplex movie theaters. No doubt they shop in malls and food warehouses, and may commute thirty minutes or more to jobs in large corporations situated in office parks. These institutional realities and their practices have shaped both the character and the needs of these people. They find the megachurch to be "home." They are willing to drive past dozens of other congregations, fight to find a parking space, follow the signs to get to the nursery, and worship in a communal setting with five thousand other relatively anonymous persons, just like they do every day of their lives.
米国(2008年)キリスト教人口 18歳以上の成人(2.28億人)の76.0%がクリスチャン 出典:http://www.americanreligionsurvey-aris.org/ 米国Partnership制度の進化が異様に速いことの理由? ドル紙幣ドルコインの「In God we trust」も、理由の一つ?
Public Private Partnership (PPP) PublicとPrivateの間は連続スペクトル 出典;『Strategic Issues in Public-Private Partnerships』 Mirjam Bult-Spiering & Geert Dewulf著、4頁
21世紀経済は二種類の経済で成立 Arm’s length経済 と Non arm’s length経済 public market 新・混合経済 a lot of private markets Business Corporate Business Corporate Business Corporate Business Corporate 技術研究開発 Partnership 新製品開発Partnership Technology R & D New Product D Partnerships 家計 Family 家計 Family 家計 Family は大して 介在しない 政府 Governments (地方) 政府 Governments (地方) 家計 Family 家計 Family 家計 Family 家計 Family 家計 Family 家計 Family 政府 Governments (中央) 政府 Governments (中央) 家計 Family 家計 Family 政府 Governments (地方) 家計 Family
Corporate Accounting v.s. Partnership Accounting 全ての金額は、裁判所の選任する検査役等による監査・鑑定ないしMarket fair valueによって、確定できなければならない。 「役務」などの無形財産を、任意の値付けで、 「資本」に組み込むことが出来る。 資産 Cashable Asset 負債 Debt 資産 Cashable Asset 負債 Debt 資本 Capital Cさんの資本 Bさんの資本 Aさんの資本 収入 Revenue 収入 Revenue 利益 Profit 利益 Profit 費用 Cost 費用 Cost 資本勘定、しかもPartner ごとの資本勘定しか無い。 五大勘定科目を使う。
まさにPartnershipは、第二のPublic Administration(行政)なのである。 Partnershipは税を納めない。 Capital gainがPartner達にAllocate(Pass through)され、Partner達が納税する。 「資金の現実の移動は伴わない」ことに注意されたい。 「負の所得税」も可能 もし、Capital LossがPartnershipに計上されると、それはやはりPartner達にAllocateされ、個々のPartnerの「他所で得た所得」と合算される。つまりこの場合「減算」され、その減算された合計所得額に課税される。 即ち、「Partner達の所得税の減額」が起こる。 ちなみに・・ 米国のNPOはPartnership形態を取るのが通例。この場合、Capital gainが生じてもそれはPartner達にはAllocateもDistributeもされない。(非分配制約) 結果、NPO Partnershipは自動的に所得税免税となる。Capital GainはNPO内に内部蓄積されていくし、そのCapital GainはNPO Partnershipそのものの「所有財」となる。 負の所得税 Capital Loss Business Corporates Capital Gain 税 Partnerships 家計 Families 政府 Governments (中央・地方) Capital Gain 税
今や、米国産業利益の大半は Partnershipの類が生み出している。 米国産業利益に占める割合 Partnership全体で負の所得税! 出典;Tom Petska, et.al., “An Analysis of Business Organizational Structure and Activity from Tax Data”
Inter-Corporate Cross-Border Partnership 比較優位説が正しいならば、これが最強の企業体
Inter-Corporate Cross-Border事業体を もしCorporateにしてしまうと・・・ これら取引 が、独立企業間原則と移転価格税制により、Arm’s length 取引(利益を生む取引)であると税務当局が認定し、所得税課税される。 (ペナルティー?)
Inter-Corporate Cross Border Partnerships 21世紀グローバル経済の究極の姿 A国 B国 C国 D国 Inter-Corporate Cross Border Partnerships この成功には、NAFTAやEUの様なEPA(Economic Partnership Agreement)のネットワークが世界中に整備される必要がある。
Inter-Corporate Cross-Border Partnershipの例 AMD Saxony LLC & Co. KG 製造プロセス部門 @ドイツ ドレスデン 米国企業AMDが米国に作ったLLCと、欧州半導体製造装置メーカー達がドイツのドレスデンに作った会社の合弁組合 CPU設計部門 Kommanditgesellschaft
半導体産業クラスターを形成する ドレスデン 彼らの素晴らしい協業に対して感謝します。 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ http://www.goinginternational.de/ref.php ★は齋藤がマークした。注目の企業
そして更にAMD Fab36Fab38ドレスデン から AMD Fab4X ニューヨーク へ NY州が1.2B$、アラブ首長国連邦の政府系ファンド(ムバダラ)が3B$。 AMD設計開発部門とは切り離したファウンドリー企業。 32nm nodeから、22nm nodeまでを扱う。 恐らく、Partnershipを多用したInter-firm collaboration。
Inter-Corporate Cross-Border Partnershipの例 Philips社アイントホーフェン研究所 …「次の様な企業達がOI新時代を生き残ることが出来る。即ち、外部のアイデアを活用して自分たちのビジネスを有利に運ぶとともに、内部のアイデアを使って現在の自分たちの営業範囲を拡大する企業達である。」
「呉越同舟」させるには、 「その方が皆にとって有利」となるインセンティブ設計が必要。;この論点が日本には抜けている 敵同士が一緒になるには何か相当な仕掛けがあるはず!
『武器よさらば』のパロディ? 否、真摯な論文 A Farewell to Arm’s Length ROBERT PHILLIPS AND CRAIG B. CALDWELL, 2005 ネットワーク型の“新たな”事業組織体が次々と生まれている、ということが言われている。組織と組織の境目はよりボンヤリとしたもの、互いに混じり合ったもの、識別困難なものとなり、Stake holder達の相互作用は企業達が成す織物の中に益々シッカリと織り込まれるようになった。どのStake holderが内部者でどのStake holderが外部者なのかハッキリさせるのは日に日に難しくなってきている。30年弱前ならば、企業の境界はハッキリと見間違えようのないものだった。境目の外にあるのは、企業が防護壁を設けるべき外敵の世界だった。例えば、企業は数日分から数週間分の適正在庫を手元に置き、下流への供給と上流からの生産の流れを中断させることの無いようにした。ところが今日の企業達は、境目がハッキリせず互いに混じり合っている。企業達は適正在庫の時代から、Just-in-time在庫管理の時代へとシフトした。外部世界はさほど敵対的ではないと見なされ、同時に、内部世界と区別がつきにくいものへと変わっていった。 訳責;齋藤旬
第二章 大恐慌の亡霊; 独立企業間原則、移転価格税制 独立企業間原則;「Corporate間取引は全て、利益を発生する」とする原則。 移転価格税制 ;上記の独立企業間原則を、国境を越えた取引に適用する税制。
1933年、国際租税ルールに独立企業原則が成立@国際連盟 Corporate所得税(日本で言う法人税)の盛衰史 保護主義の嵐が吹き荒れる時代 1933年、国際租税ルールに独立企業原則が成立@国際連盟 Corporate所得税(日本で言う法人税)の盛衰史 欧米と日本の比較 欧米 日本 11世紀 イタリアを通じてPartnership制度が欧州に広まる。 19世紀 英米においてCorporate(株式会社)制度の発明 1894年 米議会でCorporate所得税制度が可決された。 1867年 大政奉還。急激な資本主義化始まる。殖産興業。 1887年 個人所得税法創設。 1913年 米憲法16条修正。Corporateに納税の義務。 1893年 会社法創設 1914年 第一次世界大戦勃発 日清戦争勃発 1933年 国際租税ルールに独立企業原則が成立@国際連盟 1899年 渋澤栄一の薦めにより、法人所得税法創設 1939年 第二次世界大戦勃発 1958年 米アイセンハワー政権によりS Corporate制度創設。 1940年 戦時下,新法人税法創設 大増税改革。 1977年 米ワイオミング州で世界初のLLC制度創設。 1947年 GHQ,シャウプ勧告により直税三法;法人,贈与,相続 1980年 米,ミルトン・フリードマンがCorporate所得税廃止を提案 1960代 高度経済成長を経験。 1997年 米、Check the Box制度創設。LLC設立が簡単に。 1980代 バブル経済を経験。ジャパン アズ No.1と呼ばれる。 2000年 Hansmann, Kraakman『株式会社法制史の終焉』 1990代 “失われた10年“を経験。(米は空前の好景気。) 2005年 米IRSのペツカ等が「C Corporateの凋落」を発表。 2007年 「2006年度税収、30%が法人税収」 6月1日日経 米財務省『企業税制と国際競争力』『21世紀の米国企業税制の競争力を改善する方法』でCorporate所得税廃止を提案 政府関係者も、Partnership減税に関心示す。 Partnership制度の800年間 興 Corporate所得税(日本で言う法人税)の歴史は僅か70年間だった。 盛 興 衰 盛 盛 盛 盛 盛 盛
Corporate所得税の発明国米国、戦争中は企業に重税
日本、戦後は一貫して企業に重税
主要税源; 『日本は法人所得税、米国は個人所得税、欧州は消費税』 データ出所;財務省HP 各種税金の資料 国際比較に関する資料 所得・消費・資産等の税収構成比の国際比較(国税+地方税) (注) 1. 日本は平成18年度(2006年度)予算ベース、諸外国はOECD“Revenue Statistics 1965-2004”による。 2. 所得課税には資産性所得に対する課税を含む。
余談だが… 理想の主要税源は二本建て? Corporate Income Tax(有体所得税) と Individual Expense Tax(個人支出税) Corporateの本来の意味は、「Tangible Asset Stock; 有体資産のストック」 Business Corporates Partnershipの“負の所得税” のために、税収不足になるのでは? と心配になる人は、次のスライド; “The less, the more”へ 有体所得税 不況の時の主要税源 (勿論、“有体資産ストック”の続く間限りが条件。) Partnerships 家計 Families 政府 Governments (中央・地方) 個人支出税 好況の時の主要税源
The magic formula “The less, the more.” 参考1 パススルー課税によって、黒字LLCの2重課税、即ちLLC側と出資者側との2重課税は防止されるし、赤字LLCの負の所得は、出資者にパススルーされ、出資者側に“節税効果”を生む。いずれにせよ、税収は減るはずだが、、、 The magic formula “The less, the more.” 参考1
独立企業間原則 「法人間取引は“利益が直ぐに確定する”取引に限定」 Inter-corporate transaction must be arm’s length. つまり、InnovationのためにTechnology Fusion(技術融合)が益々必要になった21世紀社会においては、「Corporate」という企業形態は使いづらくなった。 言い換えると、Corporate単位で経済を成長させる、いわば、「Corporate計画経済」が上手くいかなくなった。 そして、「Partnership」という企業形態が欧米では「使いやすい会社形態」として復活した。
移転価格税制の仕組み(図解) http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/178.htm
移転価格税制の暴走 不意の追徴課税 理念的な適正利益額を税務当局によって 付加された、更正所得金額 日経ビジネス 2005.12.26-2006.1.2新年合併号 48p-49p
法人所得税法22条2項では、 「無償取引にも収益が生じ、 Cross Boarderでなくとも、Inter-corporate取引はArm’s length taxation 第22条第2項「無償取引への所得課税」 法人税法 (各事業年度の所得の金額の計算) 第二十二条 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。 第2項 内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。 矛盾語法(Oxymoron) 法人所得税法22条2項では、 「無償取引にも収益が生じ、 課税所得が発生する旨」 が定められている。 企業間協業が阻害される。 例えば、「A社の技術をB社の 技術と組み合わせる」という場合、 現実には収益が一切無かったと しても、一定額の「所得」が有った と税法上では見なされる。
Start-up時の無形財への課税 しかも現在は、法人税法第51条「圧縮記帳による課税繰延」が削除(平13)されているため、「出資即課税」。 従来のCorporateによるStart-upでは、 役務提供者の力量が大きければ大きいほど → 課税評価額が高くなり、 → Start-up時の課税額が大きくなる。 例); 知財の譲渡益課税
独立企業間原則、移転価格税制の論拠 表向きの理由; 取引の公平性、中立性 正常な対価で取引を行った者との間の負担の公平性を維持し、同時に法人間の競争中立性を確保するため。(金子宏著『租税法 第11版』 279頁) …しかし、Private marketでの取引には元々中立性・公平性はあり得ない。 本当の理由; 戦費調達 大恐慌から大戦突入へ向かう世界不況の中で、各国は法人税(Corporate income tax)を基幹税源としようとしたため。
Corporate課税所得= 企業会計上の利益+税務損金不算入+税務益金算入-税務損金算入-税務益金不算入 参考 Corporate課税所得= 企業会計上の利益+税務損金不算入+税務益金算入-税務損金算入-税務益金不算入 税務益金算入 収入 費用 税務損金不算入 企業会計上の 利益 Corporate課税所得
参考 米国でも不況時には 企業会計上の利益 < Corporate課税所得 http://www.irs.gov/pub/irs-soi/05boynton.pdf 企業会計上の利益 Corporate課税所得
第三章 本来、会社(Company)には二形態ある。 CorporateとPartnership
CorporateとPartnershipの違い あらまし 参考 CorporateとPartnershipの違い あらまし タイプ 属性 Corporate Partnership Legal Entity Element (法的主体格要素) 所有権主体 ○ 契約主体 ○ 裁判を受ける主体 ○ 会計主体 ○ Ownership ○ Entity Contracts ○ of Court Accessibility ○ Accounting △ Liability ( 返済責任) Limited Liability 有限責任 無限責任 Accounting (会計) B/S, P/L 換金性のある資産の 計上が強要される 会計自由 「投資額の即時一括損金算入」が可能。 (税金ゼロの会社運営が可能。) 「資産勘定」が強要されない。 Taxation (課税) 課税適格性あり Tax Qualified 税務会計上の損金と益金は 独立企業原則に則って算出される。 Pass through taxation (Non arm’s length Taxation) Partnershipで発生した税務会計上の 損金と益金がPartners(共同出資者達)にパススルーされ、その所得に合算される。 ここを新型有限責任 にしたのがUS-LLC Default時に、 出資者が担う 貸借対照表、損益計算表 赤枠で示した概念は日本には事実上、導入されていない 52
「Economic Entityであり、且つ、Legal EntityでもあるPartnership」 という概念の世界的普及は決定的! 本家英国も驚く大進化;米国LLC 最古のPartnership Actを1890年に策定した、本家英国は、ごく最近まで、Partnershipに法的主体格を持たせることを躊躇していた。 (例えば、英国法学者Geoffrey Morse著『Partnership Law 6th Edition』、pp.2) だが英国も2001年4月6日、Limited Liability Partnership Act 2000を施行し、米国LLCと同類の「税務会計自由、契約自由、有限責任」の特性を持つ会社形態を持つに至った。 Legal entity 「Economic Entityであり、且つ、Legal EntityでもあるPartnership」 という概念の世界的普及は決定的!
日本にはPartnershipという概念がない 例えば、2004.03.30に発効された新・日米租税条約の英文と和文を比較すると ARTICLE 3 1. For the purposes of this Convention, unless the context otherwise requires: ****************** (j) the term “national” of a Contracting State means: in relation to Japan, any individual possessing the nationality of Japan and any juridical person or other organization deriving its status as such from the laws in force in Japan; and in relation to the United States, any individual possessing the citizenship of the United States and any legal person, partnership or association deriving its status as such from the laws in force in the United States; 第三条 1 この条約の適用上、文脈により別に解釈すべき場合を除くほか、 ****************** (j)一方の締約国の「国民」とは、次の者をいう。 日本国については、日本国の国籍を有するすべての個人及び日本国において施行されている法令によってその地位を与えられたすべての法人その他の団体 合衆国については、合衆国の市民権を有するすべての個人及び合衆国において施行されている法令によってその地位を与えられたすべての法人、パートナーシップその他の団体 Legal person なお、2006.10.12に発効された新・日英租税条約も同じ状況である。
Corporate も Legal Entity も 「法人」と和訳する「愚」。 この様に直さないと、 「A partnership is an unincorporated legal entity.」が「Partnershipとは“法人でない法人”」とチンプンカンプンになってしまう。 詳しくはコラム#15参照方。 「LLC制度研究会」http://www.llc.ip.rcast.u-tokyo.ac.jp/ 左フレーム最下部をクリックして、LLC とパスワードを打ち込めば、コラムにアクセスできる。
参考 米国Partnershipの税務会計自由 米国Law school必修教科書;『Corporate and Partnership Taxation』より A partnership generally is free to select its own accounting method. Partnershipは、原則としてその税務会計方法を自由に選んで良い。 (教科書p.439、IRC§703(b)) C Corporations generally must use the accrual method of accounting. C Corporationは、原則として発生主義の税務会計を使わなければならない。 (教科書p.109、IRC§448(a)) Partnershipは租税回避の主要ツール。 租税回避は米国民の権利。(1935年の米国最高裁 Gregory v. Helvering判決) この判決で「経済的実体;Economic Substance があるならば租税回避は正当化される。」という「経済的実体法理」が形成された。 米国には、 「 Law Firmが自社開発の租税回避スキームを売るビジネス」が存在。 (金子宏、増井良啓 著 『租税法 第12版』 110pp) 56
正と負の税務所得を 等価に計上すれば、 平均税負担率≒ゼロ の会社運営が可能。 この3年間に合計1700億円の税務所得損失を計上し、税還付を合計550億円獲得している。 税負担率 税務会計自由が許される国では 正と負の税務所得を 等価に計上すれば、 平均税負担率≒ゼロ の会社運営が可能。 例えば、「周期的に、利益および内部留保金を全額投資に回し、且つ、該投資額を即時全額税務損金算入すること」。
成長率を税負担率から見る。 (産業政策だけではないが、単純な強い相互関係がある。)
Business Corporate向けの Partnership活用形は大別すると二種類 NPD用のInter-Firm Partnership と TRD用のCorporate-Vehicle-LLCs Business Corporate向けの 新製品開発 技術研究開発 CoDev大会はPartnership活用事例報告会。 モットーは、CO-DEVELOPING PRODUCTS WITH PARTNERS, SUPPLIERS AND CUSTOMERS 例年、NPD型の報告が多いのだが、今年はTDR型の報告が目立った。 例) HPが2003年から、ひとつのVCであるFoundation CapitalにR&D資金を投資。 Kraftが1998年から、バイオ系VCであるBurrill Companyに投資を開始。 Unileverが、「2001年に250Mユーロの一号投資」、「2006年に350Mユーロの二号投資」。
Arm’s lengthな経済、 Non arm’s lengthな経済 日本人には 未知の世界 仲間内の,親密な間柄の Arm’s length Non arm’s length 会社形態 Corporate Partnership 金融手法 アルビトラージ金融 バリューアップ金融 取引形態 Arm‘s length Transaction (主に、売買取引) Non arm’s length transaction 活動場所 public market one of private markets 目的 各自が独立に金銭的利益の最大化を目指す 「親密な信頼」とか「人と人との繋がり」によって非・売買取引を活性化させ「新種の実体価値」を生み出す 詳細は、私のWeb Site 「LLC制度研究会」のコラム#21と#22をお読み下さい。
企業間協業; Inter-firm Collaboration Arm’s length collaboration と Non arm’s length collaboration Corporate A Corporate B Corporate C Arm’s length Arm’s length 部門 a1 部門 b1 部門 c1 Non-arm’s lengthにも Arm’s lengthにも 為し得る。 Non-arm’s lengthにも Arm’s lengthにも 為し得る。 Non-arm’s lengthにも Arm’s lengthにも 為し得る。 部門 a2 部門 b2 部門 c2 部門 a3 Non-arm’s length 部門 b3 Non-arm’s length 部門 c3 近年、欧米の多くの企業間協業がこの様なPartnershipの形態である。
CVLsスキームとは 参考 CVLsスキーム 1/3 地球 株式会社Corp 持分 Vehicle LLC 持分 持分 持分 Tech LLC Tech LLC Tech LLC 大幅な節税が出来る、Open Innovationな、研究開発事業体
CVLs実例;アステラス・ベンチャー・マネージメント・LLC (AVM LLC) 出典;http://asia.stanford.edu/events/spring06/ee402t/slides/250406-yoneyama.pdf このデータをまとめた。 2/3 CVLs実例;アステラス・ベンチャー・マネージメント・LLC (AVM LLC) アステラス製薬会社; 日本最大手製薬会社 売上げ約1兆円、 参考 現地小会社Corp;AUS 持分 AVM LLC 社長;米山 喜隆 総額67.5M$ 持分 API; アステラス製薬 日本本社; 売上げ約1兆円、最大手製薬会社 AVM; ビークル事業体(カリフォルニア、Los Altos) AUS; アステラス製薬 米国子会社 APEL; アステラス製薬 欧州子会社
参考 3/3 CVLsスキームとは 「大数の法則」を活用した投資ファンド。 つまり、言い換えれば・・ 「“L”一つでは、ほぼ確実に“ハイリスク・ノーリターン”」 例題); 『100件のR&D投資案件がある。100件とも1件あたりは、成功確率=1/100、 成功した時の予定収入=100億円、と見積もられた。このとき、一件だけに投資した 時の収入期待値と、百件全部に投資した時の収入期待値を求めよ。』 答え); 一件だけに投資; 100億円×1/100=1億円 ・・・ 恐らく、出資額および経費を差し引けば大赤字! 百件全部に投資; 100億円×1/100×100=100億円
第四章;結論 法人所得税法では「親密な協業は御法度!」 「Open Innovation」 「結論」 「独立取引事業体達に親密な協業をさせようとする」のが土台無理! 答え: Corporate Income Tax Law の考え方 には、 Inter - Corporate Non Arm ’ s Length Collaboration という概念は存 在しないから。 質問: 日本は何故、 Open Innovationが・・・ 「企業間親密協業」 第四章;結論 法人所得税法では「親密な協業は御法度!」 Corporate Income Tax Law 質問: 日本は何故、Open Innovationが・・・? 答え: 独立企業間原則(Arm’s length Principle)に則った 法人所得税法では「親密な協業は御法度」! そして、日本では企業といえば殆ど全て が、 「法人(Corporate)」扱いになり、 この税法に縛られるから。 「個々の企業は独立に利益を最大化する」、「全ての企業間取引には利益が伴うはず」、という税制原則 Corporate Income Tax 日本版LLC(合同会社)も「法人」である。 「Partnership論を知らずしてOpen Innovationを論じる」のは、「砂糖を準備せずにお汁粉を作ろうとするようなもの」だ。 例) 鉱工業技術研究組合法 第二条 鉱工業技術研究組合(以下「組合」という。)は、法人とする。
税務会計自由の効果の一つ:「会社の税負担をゼロにする運営も可能」を説明したスライドをもう一度ご覧頂きたい。 おまけ1 というかこれが最も重要かも知れない 実は、Partnership制度導入には 「日本特有の大きな障害」がある。 それは、「税金の使い道を個人が決められる」という個人主義への反発。「何が社会正義か」の根本的見直し。 税務会計自由の効果の一つ:「会社の税負担をゼロにする運営も可能」を説明したスライドをもう一度ご覧頂きたい。 ここには実は、我々日本人には信じられない考え方が潜んでいる。それは「税金の使い道を個人が決められる」という個人主義の考え方。 つまり「何が社会正義か」の捉え方に、諸外国と日本で大きな違いがあるのだ。 「何が社会正義か」を個々人の状況も斟酌して裁くCommon Law(慣習法)が、諸外国の司法には備わっており、Partnership制度が可能となっている。 Principle of Intuitu personae と欧米では呼ぶ
Partnership制度は「氷山の一角」; 日本人には未知の種々の社会哲学概念が 揃ったとき始めてPartnershipは機能する。 おまけ2 というかこれが最も重要かも知れない Partnership制度は「氷山の一角」; 日本人には未知の種々の社会哲学概念が 揃ったとき始めてPartnershipは機能する。 要件主義にとらわれない「Common Law」をはじめ、 「個人主義」、「Accountability概念」、 「租税回避の権利、あるいは小規模な革命権?」、 「Principle of Intuitu Personae」、「Principle of Subsidiarity」、 税負担ゼロの会社運営を可能にする「税務会計自由」、 「契約自由」、「Recourse Asset設定による有限責任」、 「Contribution in kind と Distribution in kindによる取引」、 あるいは、「取引時には、利益実現が確定しない”取引”」、 Codifyしないことに意義を見いだす「Economic Substance Doctrine」等々。 これらがあってはじめてPartnershipが機能する。
Se-Jik KimとHyun Song Shinの論文;『Industrial Structure and Corporate Finance』を齋藤流に解釈すると・・・ 日本企業の「Arm’s length度合い」は強い Business Corporate 日本企業は買掛金が増えれば増えるほど、即ち、借金が増えれば増えるほど、規模拡大が図れる、即ち、売掛金が増える。 Cobb-Douglas生産関数(一般式;Y=定数・Lβ・Kγ,β+γ≒1 )を援用して、 (売掛金)=定数・(買掛金)β・(売上額)γ が既知。 (Rajan-Zingalesモデル) 両辺の対数を取って、 log(売掛金)=α+βlog(買掛金)+γlog(売上額) ・・論文では式(24) 企業財務データベース(例えばCompustat Global database)を 使って各国の弾性率(β、γ)を割り出す。例えば右図、日本のγは、0.58。 各国のβ、γ表;Table 1。 括弧内は標準偏差。 βとγをグラフにプロットする。 傾き;0.58 β γ γ(売上額依存性) 買掛金依存性が高いグループ β(買掛金依存性)
「金融;Financing」には二種類ある (詳細は、私のWeb Site 「LLC制度研究会」のコラム#21と#22をお読み下さい。) Arm’s lengthな経済 Non arm’s lengthな経済 金融 アルビトラージ型 バリューアップ型 金融対象 Credit(信用貸し付け) (注意) と Corporate Equity Partnership Equity 実体価値増大を 伴わなくても良い お金さえ増えればO.K. この経済全体では必ず伴う (例;技術開発ベンチャー) 注意) Rajan-Zingalesは、Credit Financeの一部、ことに日本の銀行等がかつて行っていた対面相談融資を“Relationship-based finance”と呼んでいる。Creditにも、Non arm’s length経済に属するものがあり得る、という立場を取っている。 他方齋藤は、「社会主義計画経済が崩壊し、Corporate計画経済が困難になった現在では、Creditは全てArm’s length経済に属する」、と考えている。詳細は、齋藤のWeb Site 「LLC制度研究会」のコラム#21と#22を参照方。
a lot of private markets とても悩ましい問題が生ずる。 所謂、「公正価値測定」問題。 Private marketsとPublic marketの境界にある資産の公正価値を決めなければならない状況は、例えば上場CorporateがPartnershipに出資した場合など、少なくない。米国財務会計基準審議会(FASB)は157文書;Fair Value Measurementsを出すなどしてこれを解決しようと苦戦している。 この問題は、巡り巡ってサブプライム事件などの元凶につながるものであり、スッキリと解決したいのは山山だが、恐らくこの問題は「Per se unsolvable;本質的に解決不可能」なのだと思う。 Innovability is per se unaccountable. Innovationは「諸刃の剣」。一方では 大層役に立つが、他方では大害を招くものともなりかねない。No Venture, No gain. 安全な冒険は無い。「取扱注意」を旨とするしかないかもしれない。 価値の物差しが揃いにくい a lot of private markets public market Partnershipは 「新種の実体価値」を 湧き出させる泉、つまりInnovationの泉。 Corporateは 「定番となった実体価値」を 量的に増やす仕掛け。 新・混合経済 Business Corporate Business Corporate Business Corporate Business Corporate 技術研究開発 Partnership 新製品開発Partnership Technology R & D New Product D Partnerships 家計 Family 家計 Family 家計 Family は大して 介在しない 政府 Governments (地方) 政府 Governments (地方) 家計 Family 家計 Family 家計 Family 家計 Family 家計 Family 家計 Family 政府 Governments (中央) 政府 Governments (中央) 家計 Family 家計 Family 政府 Governments (地方) 家計 Family 境界にある資産の例 新興ITの持分 新興クリーンテックの持分 17世紀のチューリップ球根 2005年のライブドア株式 サブプライム債権
複雑で継続的で生産性の高い生産技術セットを、 バッファーに格納しておく必要性、緊急性 Post Chandlerianのひとり;Langlois氏の 消えゆく手(Vanishing Hand)について 彼の”markets”には、複数を表す“s”がついていることに注意したい! 彼の言うVanishing handは、実はVanishing hand in public marketであり、同時進行でEmerging hands in private marketsが出現してきているのではないかと齋藤は考えている。 「沢山のprivate marketsにおいて旺盛に勢力を拡大していくEmerging hands。その陰で、従来のVisible hand in public marketは存在感が従来ほどではなくなっていく。」といったイメージ。 Firm(齋藤註;Langloisはこの言葉で「バッファ ー格納庫」を意味している。つまりCorporate) のバッファー能力の下限、を示す直線。 この直線の上側に“バッファーの緊急性”曲線 が存在する時代、即ち「20世紀中葉」には、 CorporateによるIntegrationとManagementが 選好された。即ち20世紀=Visible handの時代。 バッファーの緊急性 を示す曲線 in public market 、 Emerging hands in private markets 複雑で継続的で生産性の高い生産技術セットを、 バッファーに格納しておく必要性、緊急性 つまり、意味 する事は同じ 市場の厚み
輸出管理規制とOpen Innovation 米国光学学会の機関誌OPN 2008年6月号、pp.15-17 テロ国家に重要技術が流出しないようにする 輸出管理規制とOpen Innovation 米国光学学会の機関誌OPN 2008年6月号、pp.15-17 Language isn’t the only barrier that complicates collaboration among scientists from different countries. Many researchers also find themselves struggling to communicate with foreign colleagues while adhering to export regulations that restrict information exchanged within the United States. 色々な国から集まった科学研究者がcollaborationしようとするとき、単に言葉だけが 障害となるのではない。「情報交換」を厳しく制限する米国の輸出管理規定と折り合いをつけながら、研究者の多くは、如何に諸外国の仲間達とコミュニケーションするのか悪戦苦闘しているのだ。 Deemed Export Rules Make Research a Commodity In some cases, the deemed export rules allow knowledge to be shared only after a license is obtained from the Commerce Depart- ment. In other cases, information sharing is banned altogether. 多くの場合、みなし輸出規制により、米国商務省からライセンスを獲得した後にしか、知識のシェアは許可されない。ライセンス獲得できない場合、情報のシェアは完全に禁止されている。 みなし輸出規制では、 「研究」は大衆商品と同列