けやき2001年度総会 日本における          LD教育の最近の動向 タイトル LD教育の最近の動向 東京学芸大学 上野一彦.

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学習目標 1 .セルフマネジメントモデル,学習援助型教育とは何か を理解する. 2 .セルフマネジメント支援のために必要な構成要素につ いて理解する. 3 .セルフマネジメントにおいて看護職に求められる能力 と責任について理解する. SAMPLE.
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平成 24 年度 キャリア教育に関する研究事業 中間発 表会 中芸高等学校教育フォーラム 「授業改善をはじめとする中芸高校の取り組みについ て」 「発達障害をはじめとする支援を必要と する 生徒に 対する支援の在り方の実践的研究」 平成 24 年 11 月 30 日(金) 高知県立中芸高等学校昼間部.
1.情報教育について 2 情報教育. 情報教育とは 児童生徒が自ら考え、 主体的に判断・表現・行動 児童生徒は主体的に学ぶ 「情報活用能力」を育成する教育.
教員に組織の一員としての経営参画 意識を育てる 校内組織や組織マネジメントの工夫 小平市立小平第十四小学校 校 長 村松 守夫 1.
言語教師としての 役割と認知 平成 21 年度教員免許状更新講習 3 共立女子大学 02/08/2009 笹島茂 1.
1.現 状 ○ 発達障害は、人口に占める割合は高いにもかかわらず、法制度もなく、制 度の谷間になっており、従来の施策では十分な対応がなされていない ○ 発達障害に関する専門家は少なく、地域における関係者の連携も不十分で 支援体制が整っていない ○ 家族は、地域での支援がなく大きな不安を抱えている 2.発達障害者支援法のねらい.
発達障害等支援・特別支援教育総合推進事業(新規) 発達障害を含む全ての障害のある幼児児童生徒の支援のため、各種教員研修、外部専門家の巡回・派遣、厚労省との連携による 一貫した支援を行うモデル地域の指定などを実施することにより、学校(幼小中高特)の特別支援教育を総合的に推進する。 文 部 科 学 省 厚生労働省.
伊藤 崇 北海道大学大学院教育学研究院 教育心理学 発達障害と特別支援教育. 期日:2月8日(月)3時間目 場所:649教室 方式: 記号選択式,全50問全25問 制限時間60分30分 範囲は,講義で話したことすべて 注意事項: 一切の持ち込みを禁止する 不正行為をした者は所定の処遇とする 60点未満取得者は不可とする.
『特別支援教育と 就学までの流 れ』. 専門的な教育の場と 対象の児 童生徒 特別支援学校:障害の比較的重い児童生徒を対 象 特別支援学校:障害の比較的重い児童生徒を対 象 視覚、聴覚、知的、肢体、病弱の原則5障害 「訪問教育」:教員を家庭に派遣して指導す る 「訪問教育」:教員を家庭に派遣して指導す.
特別支援教育につい て. 「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」 ( 文 部科学省 答申) <特別支援教育の在り方の基本的考え方> 特別支援教育とは、従来の特殊教育の対象の障害だ けでなく、LD、ADHD、高機能自閉症を含めて 障害のある児童生徒の自立や社会参加に向けて、そ.
設置者・管理者の責務② ~職員の育成指導等~ 平成 26 年度 青森県障害者虐待防止・権利擁護研修 公益社団法人 日本社会福祉士会 平成 26 年度障害者虐待防止・権利擁護指導者養成研修から.
高等教育機関における軽度発達障害学生の支援について(2) 関東1都3県の大学・短期大学に対する2次調査の結果より
特別支援教育支援員の活用について.
広義の自閉症と考えてよい。 知的障害のある「自閉症」「非定型自閉症」と、知的障害のない「高機能自閉症」「アスペルガー症候群」などがある。
販売行動を通した自発的コミュニケーションスキルの促進
特別支援教育の対象の概念図(義務教育段階) (平成26年5月1日現在) 義務教育段階の全児童生徒数 1019万人 特別支援学校 視覚障害 知的障害     聴覚障害 肢体不自由 病弱・身体虚弱  0.67% (約6万9千人) 小学校・中学校 特別支援学級 視覚障害 聴覚障害 知的障害 肢体不自由 視覚障害.
茨城県立美浦特別支援学校 特別支援教育コーディネーター 石川裕香
教育の情報化に関する手引のポイント 平成21年6月 平成21年度情報教育担当者研修
経営参画意識を育てる学校運営 ~校内組織と組織マネジメントの工夫~
平成25年校務分掌表 校長 教頭 職員会議 運営委員会 総務部 教務部 教科部 専門部Ⅰ部 専門部Ⅱ部 学年部 各委員会 4組 3組 2組
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桑 名 市    市議会定例会[6月] 提出議案の概要について.
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第1回 英語教育推進委員会 資料 平成24年5月30日 福井県国際交流会館 1.
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保健学習の進め方・指導案の書き方 さいたま市立三橋小学校   豊島  登.
子どもたちが発達段階に応じて獲得することが望ましい事柄
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平成17年度調査研究 「障害のある児童生徒等の教育の総合的情報提供体制におけるコンテンツの充実・普及方策に関する実際的研究」 研究協議会資料
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特別支援教育 障害のある幼児児童生徒の自立や社会参加に向けた主体的な取組を支援するという視点に立ち,児童生徒一人一人の教育的二一ズを把握し,その持てる力を高め,生活や学習上の困難を改善又は克服するため,適切な指導や必要な支援を行うものである。 (「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」平成17年12月8日.
県立朝霞高校(全日制)~生徒の成長物語(高校生活は団体戦)~
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ポジティブな行動支援実践の流れ 個人 小集団 クラスワイド スクールワイド 指導すること(目標)を決める 指導の仕方を決める
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(相互に利益を得、円満な関係で良い結果を得る)の関係です。
不登校対策担当者の役割 キーパーソン? 学校の 組織的な対応 不登校対策担当者ナビー1 宮城県総合教育センター ②校外研修に参加
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・特別支援教育について ・発達障害等の特性 ・教育環境等の整備
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けやき2001年度総会 日本における          LD教育の最近の動向 タイトル LD教育の最近の動向 東京学芸大学 上野一彦

障害とは        個性である 理解と支援を必要とする

特別支援対象児の推移 (1980~2000)   %

21世紀の特殊教育の在り方に関する 調査研究協力者会議 21世紀の特殊教育の在り方に関する      調査研究協力者会議  わが国の特殊教育の今後の基本的な方向 就学指導のあり方の改善 これからの特別支援教育の在り方 特殊教育の改善・充実のための条件整備

    特別支援教育(文部省)          特別支援教育         特殊教育   小・中・高等学校     通級学級 特殊学級      LD・ADHD等 盲・聾・養護学校

特殊教育 special education  特別な specific 特別 支援 教育    special support education 

平成12年度 文部省LD関連事業 LDの判断・実態把握体制に関するモデル事業 平成12年度 文部省LD関連事業 LDの判断・実態把握体制に関するモデル事業 都道府県(政令市)教育委員会に専門チームを設置                (15→ 平成13年度 47) 各都道府県内の小・中学校の数校を研究指定校                           として指定 LDの判断・実態把握の基準の有効性、手続きなど                         について検討

平成13年度 特別支援教育の在り方 に関する調査研究 平成13年度  特別支援教育の在り方        に関する調査研究 ADHD児、高機能自閉症児などへの             特別な支援教育の在り方 特殊学級、通級、通常学級における                      支援の在り方 盲・ろう・養護学校と小・中学校の連携

LDへの気づきと対応過程 Ⅰ 校内委員会 (気づきの委員会) Ⅰ 校内委員会 (気づきの委員会) 申し出:保護者・担任から 対 象:配慮指導ニーズをもつすべての子 目 的:校内での理解と対応 Ⅱ 専門委員会による判断(教育委員会)   申し出:保護者の同意によって、学校から    対 象:専門的指導ニーズをもつ                        LDの疑いのある子   目 的:専門的診断と基本的指導方略の提示

LD児指導における支援の場と形態 「通常の学級」における指導 「通常の学級」への支援指導 担任による配慮指導 ティームティーチングによる指導 「通常の学級」における時間外の個別指導 (オープン教室など) 専門家による「通常の学級」への巡回指導

「特別な場」での指導 「通級による指導に類似した指導」の場の設置 (LDに特化した指導の場) 既存の「通級による指導」の場の利用 「特別な場」での指導       「通級による指導に類似した指導」の場の設置 (LDに特化した指導の場) 既存の「通級による指導」の場の利用 (言語障害・情緒障害など) その他の特殊教育の場における教育力の利用

LD・ADHDへのアプローチ LD ADHD 学力指導 コミュニケーション指導 薬物療法 行動修正 ソーシャルスキルトレーニング      学力指導  コミュニケーション指導 薬物療法 行動修正   ソーシャルスキルトレーニング         感覚統合療法   LD・ADHDへのアプローチ

ADHD児が見せる教室での行動 席にじっと座っていない 口をはさむ 教室での課題が終了しない 教科でケアレスミスをしたり,作業が雑 校則を守れない 宿題を忘れたり,やり終えない 口頭での指示に従えない 気が散りやすく,フラストレーションを感じやすい 状況に過度の反応する ルーチンの行動パターンが確立しにくい 教室内のルーチンの変化に適応できない ソーシャルスキルが弱い

中枢刺激剤の投薬 リタリン(メチルフェニデート) デキセドリン(d-アンフェタミン) アデロール(d-,l-アンフェタミン) サイラート(ペモリン)  コンサータ 

何が期待できるか 過活動の改善 集中力・取り組む努力の増大 自制力の向上(衝動性の減少) 態度の改善(従順,努力の持続) 攻撃性の減少(身体・言葉) 否定的行動の減少(社会的関わりの増大) 作業量と正確さの増大

何を期待すべきでないか 永続的な行動の改善 副作用はない 摂食,睡眠,チック 認知や機能に関する心理的影響 副作用はない                     摂食,睡眠,チック                       認知や機能に関する心理的影響 学習能力の飛躍的改善              学業,運動,ソーシャルスキルなど   症状の一時的(約3時間)緩和であって その時間内に何を身につけさせるかが  課題となる

行動修正の基本手法 目標行動の設定 スモールステップ化 強化子の選択 即時フィードバック             適切な行動に対する強化          不適切な行動に対するタイムアウト 般化

ソーシャル・スキル・カリキュラム 挑発に乗らない 主張する 受容する よいスポーツマンシップ (ルールを守るなど) 共同作業への参加 よいスポーツマンシップ       (ルールを守るなど) 共同作業への参加 問題解決

 ADHDの予後 症状の改善・消失 症状持続 ADHD 症状悪化           内在化  不安障害     回避性人格障害   外在化   行為障害     反社会性人格障害

指導の原則 数は少なく 何をするのかをはっきり伝える やったことの結果をはっきりさせる やらなかった場合の結果をはっきりさせる 子どもと一緒に十分に検討する

子どもの思い 精一杯がんばっているのに… 何をがんばればいいの? がんばれば出来る みんなはちゃんとできるよ それはいつなの? 僕だってできるようになりたい いつかできるようになる 勉強よりも大事なことがある

自分で道を拓いていくために 選択する力を育てる 一緒に手だてを考える チャレンジ精神をもつ 失敗を次のバネにする

新しいタイプの高校の種類 課 程 種 類 全日制 総合学科高校 単位制高校 科学技術高校 中等教育高校 体育・福祉高校 第二国際高校  新しいタイプの高校の種類   課  程          種  類   全日制 総合学科高校   単位制高校 科学技術高校   中等教育高校 体育・福祉高校  第二国際高校 総合芸術高校   その他    定時制 チャレンジスクール 単位制高校(昼間定時制)   通信制 通信制課程

進路決定におけるキーポイント 自信と自尊心を大切に育てる 自分の能力や長所を正確に知る 苦手なことを克服する経験をする 選択の豊富な経験が自己決定を助ける できるだけ豊富な情報収集をする 聞くより読むより自分で体験する