C: 等級 2006年10月23日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一 教官名 中田 好一 授業の最後に出す問題に対し、レポートを提出。 成績は「レポート+出欠」でつけます。 授業の内容は下のHPに掲載されます。 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html C: 等級
C.1. ハーシェルの等級 紀元前2世紀にギリシアのヒッパルコスが目で見える星の明るさを1等から6等までの6グループに分けた。(と、プトレマイオスのアルマゲストに書いてあるらしい。) その後、1830年にジョンハーシェル、1856年ポグソンが定式化した。 ハーシェルの方法 口径Daの望遠鏡で明るさAの星を、Dbの望遠鏡で明るさBの星を見たら 同じ明るさに見えた。 これは、 A×Da2 = B×Db2 したがって、 A / B =Db2 /Da2 を意味する。 こうして、等級が1等上がると明るさは約 (1/2.5)倍に落ちることを見出した。 = C: 等級
ちょっと、ハーシェルの真似をして、1等差が明るさで何倍かを推定して見よう。 1等が明るさ(1/A)倍に対応し、星の本当の明るさは皆同じと仮定する。見かけの 明るさは距離Dと1/D2の関係だから、明るさが1/A倍になると距離は(√A)倍、 体積はA3/2倍になる。太陽の周りの星の密度を一定とすると、体積はその等級 までの数に比例するから、1等増える毎に星の数が何倍になるかを調べればA が決まるはずである。 N2 N1 N2/N1=V2/V1 =(R2/R1)3 =A3/2 log(N2/N1)=(3/2)logA 2等 1等 C: 等級
ヒッパルコスの等級の表はしらないので、ややいんちきだが、理科年表から、 実視等級(M) -1 0 1 2 3 4 5 6 個数 2 7 12 67 190 710 2000 5600 累積(N) 2 9 21 88 278 988 2988 8588 log N 0.30 0.95 1.32 1.94 2.44 2.99 3.48 3.93 4 log N 右のグラフから、 log N =0.95+0.5*M 3 2 1等暗くなる(Mが1上がる)と、logNが0.5増加する。 前頁の式から、 0.5=(3/2)log A log A=1/3 A=2.2 1 0 0 1 2 3 4 5 6 -1 M C: 等級
C.2. みかけ等級 (apparent magnitude) C.2. みかけ等級 (apparent magnitude) 見かけ等級 m の定義 m=ー2.5 log10( F / Fo ) F=対象天体のフラックス Fo=基準天体のフラックス F(λ) λ log Fo(λ) logF(λ) m(λ) =見かけ等級 0 のフラックス =αLyrae(ベガ)のフラックス(に近い) 注意 二つの星があり、 等級はm1とm2、フラックスはF1とF2とする。 m1-m2=Δm=-2.5log(F1/F2) F1/F2=10-0.4Δm であるから、等級差が1等、Δm=1のとき F1/F2=10-0.4=1/2.512 1等差はフラックスでは約2.5倍に相当 この2.5(2.512) は最初の行、等級の定義、に出てくる2.5とは違う。 C: 等級
0等フラックス Fo (1) 単純には、αLyr (A0型) のフラックス = 0等 0等フラックス Fo (1) 単純には、αLyr (A0型) のフラックス = 0等 0等がIAU(International Astronomical Union)1922年総会で定義された時代は 写真等級で、光電管、CCDは存在しなかった。 ーー> 同じバンドでも、研究者によって、有効波長、 0等フラックスが異なる。 ここで、フラックスは「星の方向に垂直な単位面積を単位時間に流れるエネルギー」 である。エネルギーとして、 (1) 総エネルギーならフラックスは1種類のF。 (2) 単位波長当たりのエネルギーだと、Fλ (3) 単位周波数当たりだと Fν を考える。 Fλ Fν Fλ Fν ν λ C: 等級
0等フラックス(2) このように、フラックスは表示方式を指定する必要がある。 しかし、等級mは周波数表示の等級mνや波長表示のmλは必要ない。 mλ=-2.5log10[F(λ)/Fo(λ)] =-2.5log10[λF(λ)/λFo(λ)] =-2.5log10[νF(ν)/νFo(ν)] =-2.5log10[F(ν)/Fo(ν)]=mν だからである。 dF=F(λ)dλ=[λF(λ)]dλ/λ dF=F(ν)dν=[νF(ν)]dν/ν だが、λν=cなので dλ/λ=dν/ν よって、λF(λ)=νF(ν) 現在ではゼロ等のフラックスFoは、多数の標準星のセット+精密な大気モデルから決められる。下のシステムではV(ベガ)=0.03、A0V星のカラー=0 下の表は、波長λに対してFo(ν)が示されているので注意。1Jy=10-26W/m2/Hz F(mag=0,ν) バ ンド U B V Rc Ic J H K L M N Q λ(μ) 0.366 0.438 0.545 0.641 0.798 1.22 1.63 2.19 3.45 4.8 10.6 21 Fo(Jy) 1790 4063 3636 3064 2416 1590 1020 640 285 170 36 9.4 Bessell, Castelli,Plez 1998 Rieke,Lebofski,Low 1985 C: 等級
0等フラックス(3) αLyr αLyr(Vega) のスペクトルは10000Kの黒体輻射に近い。 0等フラックス(3) αLyr αLyr(Vega) のスペクトルは10000Kの黒体輻射に近い。 IRAS(InfraRed Astronomical Satellite 1983)では、 温度T=10,000K, 立体角Ω=1.57・10-16の黒体円盤からの フラックスを0等として採用した。 A0V星の半径Rは太陽の2.5倍=1.74×109m αLyrの距離Dは7.7pc=2.37×1017m したがって、視角θ=R/D=7.34×10-9 αLyrの立体角=πθ2=1.69×10-16 上の1.57と少し違う(8%)のはA0V星の有効温度Teff=9800Kとの2%の 温度差による総フラックス差(8%)を補うためらしい。 C: 等級
1) UBVバンドでずれが大きい。後の課で説明する。 2) 下に示すように遠赤外でフラックス超過が見られる。ダスト円盤がついていた。 αLyrは黒体輻射を比べると、 1) UBVバンドでずれが大きい。後の課で説明する。 2) 下に示すように遠赤外でフラックス超過が見られる。ダスト円盤がついていた。 バ ンド U B V Rc Ic λ(μ) 0.366 0.438 0.545 0.641 0.798 12 25 60 100 Fo(Jy) 1790 4063 3636 3064 2416 Vega 1736 3941 3527 2972 2343 41.5 11.0 9.5 7.7 FIRAS 2420 2887 2951 2764 2397 28.3 6.73 1.19 0.43 C: 等級
B B V R I J U H K L αLyr(Vega)と黒体輻射と比べると、 Fo(Vega) F(IRAS) 青い波長帯で 4 log F(ν) (Jy) 3 2 B B V αLyr(Vega)と黒体輻射と比べると、 R I J Fo(Vega) U H F(IRAS) K L 青い波長帯で 黒体輻射からずれ 遠赤外超過 1 -0.5 0 0.5 1 1.5 log λ(μ) C: 等級
等級とフラックス m=ー2.5 log10( F / Fo )を書き直すと、 m=ー2.5 log10( F / Fo )を書き直すと、 等級 m(λ)の星のフラックス F(λ)= 10ーm(λ)/2.5 F0(λ) 例1. m=-1 F(m=-1)= Fo×101/ 2.5=2.512 Fo m=+5 F(m=5)= Fo×10-5 / 2.5=0.01 Fo Δm<<1 のとき、 F(m+Δm)/F(m)=10-Δm/2.5=exp (-Δm×ln10 / 2.5 ) = exp(-Δm×2.302/2.5)=exp(-0.921Δm) ≒(1-Δm ) 上の関係は概算の際に便利。 例えば、等級が0.1大きい星は、フラックスで約1割小さい。 C: 等級
C.3. 絶対等級 (absolute magnitude) 絶対等級= 天体を距離10pcに置いたときの等級 記号は、見かけ等級: V、 K または、 mV、mK 絶対等級: Mv,MK 距離Dの星を10pcに置いたときの等級を計算しよう。 F=L/4πD2 F10pc=L/4π(10pc)2 m=-2.5log (F/Fo) M=-2.5log (F10pc/Fo) m-M=-2.5log (F/Fo)+2.5log (F10/Fo) = 2.5 log(D/10pc)2 = 5 log(D/10pc) m = M + 5 log(D/10pc) 距離指数( Distance Modulus )= (m-M)o =5 log(D/10pc) 途中で光が吸収されると、見かけ等級mはA等大きくなるので、 m=M+5log(D/10pc)+A C: 等級
等級と距離 フラックス=F2 F2=L/(4πD22) F1=L/(4πD12) 等級=m2 D2 m2 ーm1 =ー2.5log(F2 /Fo)+ 2.5log(F1 /Fo) =5log(D2 /D1) フラックス=F1 等級=m1 D1 注意: 2つの天体の等級差は、距離の比を表わす。距離の絶対値ではない。 maーmb=10 だと、5 log(Da/Db)=10 より、Da/Db=100 は正しい。 しかし、Da-Db=10m とか、Da-Db=100pc と考えてはいけない。 C: 等級
距離指数の例 天体 距離 距離指数 αCen 1.4 pc -4.3 αLyr 7.7 pc -0.57 天体 距離 距離指数 αCen 1.4 pc -4.3 αLyr 7.7 pc -0.57 α UMi (北極星) 120 pc 5.4 オリオン大星雲 460 pc 8.3 銀河中心 8.5 kpc 14.6 7.0 kpc 14.2 大マゼラン雲 50 kpc 18.5 M31(アンドロメダ銀河) 0.71 Mpc 24.3 Virgo銀河団 18 Mpc 31.3 C: 等級
C.4.輻射等級 見かけ輻射等級 Apparent Bolometric Magnitude : mBOL=-2.5 log [∫F(λ)dλ / FoBOL]=-2.5 log (F / FoBOL) FoBOL : mV=0のF3Vの星の全フラックス =2.5 10-8 W/m2 通常の等級はA0V星で決めるが、ここだけF3V星が登場する。 全波長でmλ=0等となるA0V星の全フラックスは輻射等級のゼロ点でない。 その理由は次の輻射補正で考える。 絶対輻射等級 Absolute Bolometric Magnitude MBOLは10pcから見た輻射等級。 C: 等級
波長により、αLyrとのフラックスの比は変わるから、波長の指定が必要。 見かけ等級 見かけ等級 絶対等級 αLyr αLyr 10pc 距離はそのまま。 等級の基準はαLyrのフラックス。 波長により、αLyrとのフラックスの比は変わるから、波長の指定が必要。 U,B,V,...または、mU,mB,... 10pcに置いたときの見かけ等級 等級の基準はαLyrの地球上でのフラックスであり、αLyrを10pcに置いたときのフラックスではない。 波長により、αLyrとのフラックスの比は変わるから、波長の指定が必要。 MU,MB,MV,... C: 等級
総フラックス F=∫Fλdλ と基準フラックス Fo との比を等級にする。 基準星はV(0.55μ)=0のF3V型星。 見かけ輻射等級 絶対輻射等級 総フラックス F=∫Fλdλ と基準フラックス Fo との比を等級にする。 基準星はV(0.55μ)=0のF3V型星。 この星はB(0.44μ)=0.38, R(0.71μ)=-0.36 である。 全波長で見かけ等級=0(αLyr)のスペクトルとの比較を下に示す。 距離=10pcに置いたときの見かけ輻射等級。 Fλ 0 1 2 V λ(μ) C: 等級
写真システム 北極星の周りの96星(周極星)のセットが標準星。 (IAU1922) C. 5. UBVシステム 眼視等級 Hipparcos catalogue 前2世紀 1等=最も明るい星。 6等=目で見える最も暗い星。 Pogson 1856 ma-mb=-2.5log(Ea/Eb) m=等級 E=入射エネルギー 口径 D m の望遠鏡を覗いた時、何等まで見えるか? 暗い晩の人間の瞳孔径=7mm mb=6等 D m Eb×( 7mm)2 =Ea ×(D m)2 ma = mb-2.5log(7mm/D m)2 =6+2.5log(D2106/49) =16.8+ 5logD 写真システム 北極星の周りの96星(周極星)のセットが標準星。 (IAU1922) Pg : photographic magnitude 0.43 μm Pv : photovisual magnitude 0.54 μm C: 等級
UBV Response CurveとA0型星のスペクトル ( ) UBVシステム=最も広く使われていた。 H.L.Johnson and W.W.Morgan, 1953, Ap.J. 117, 313-352 U Corning 3384 350 nm B Corrning 5030 + Schott GG13 + 1P21 フォトマル 430 nm V Corning 9863 (RCA) 550 nm UBV Response CurveとA0型星のスペクトル ( ) 3,000 4,000 5,000 6,000 λ(A) U B V A0星 透過率 C: 等級
UBV Primary Standard Stars (次ページの ) UBVシステムの標準星 ゼロ等の決定 (次ページの ) V B-V Sp. V B-V Sp. αLyr 0.03 0.00 A0V γUMa 2.45 0.00 A0V 109 Vir 3.75 -0.01 A0V α CrB 2.23 -0.02 A0V γ Oph 3.72 0.04 A0V HR 3314 3.89 -0.01 A0V B-V=-2.5 log (B出力/V出力)+1.040、 U-B=-2.5 log (U出力/B出力)- 1.120 A0V 6星のカラーの平均値=U-B=B-V=0 UBV Primary Standard Stars (次ページの ) V B-V Sp. V B-V Sp. α Ari 2.00 1.151 K2III HR 875 5.17 0.084 A1V β Cnc 3.52 1.480 K4III η Hya 4.30 -0.185 B3V β Lib 2.62 -0.111 B8V α Ser 2.66 1.165 K2III ε CrB 4.15 1.227 K3III τ Her 3.89 -0.155 B5IV 10 Lac 4.88 -0.203 O9V HR8832 5.57 1.010 K3V C: 等級
UBV 標準星 H.Johnson in Basic Astronomical Data 1963 0 V 1 2 K2III K2III B8V 3 K4III B5IV 4 K3III B3V O9V 5 A1V K5V 6 0 1 -0.4 B-V 1.6 C: 等級
標準星と色補正(1) A B 二つの観測システム A:標準 (例えばJohnson) B:例えばハワイ があった時 標準星と色補正(1) 二つの観測システム A:標準 (例えばJohnson) B:例えばハワイ があった時 AとBでは同じバンドでも感度曲線が異なる。 A B 感度 赤い星 (長波長側が強い) 青い星 (短波長側が強い) λ λA λB 図の赤い星と青い星は、Aシステムでは同じ等級だが、Bシステムでは異なる等級となる。 Bシステムの観測値をA(標準)システムでの値に直す必要がある。 C: 等級
標準星と色補正(2) A B mA-mB 感度 星1 星1 星1 星2 β 星2 λ 0 1 カラー(B-V)A λA λB 標準星と色補正(2) mA-mB A B 感度 星1 星1 星1 星2 β 星2 λ 0 1 カラー(B-V)A λA λB mA=mB+α(B-V)A+β 普通、1次式を仮定して補正する。 αを決めるためには、 (B-V)Aが青(≒0)と赤(≒1.5)の両方欲しい。 ーー> 標準星がO,B,A型(青星)とK型(赤星)から選ばれている。 C: 等級
C.6.UBVシステムの拡大 RIJKLMN Johnson/Mitchell 1962 Comm.Lunar Plantary Lab.1,73 Johnson et al. 1966 Comm.Lunar Plantary Lab.4,99 バンド R I J K L M N Q λc 0.7 0.9 1.25 2.2 3.4 4.9 10.2 20.0 Cousins 1976, Mem.RAS 81, 25 バンド Rc Ic λc 0.638 0.797 H (1.63μ) Glass 1974 MNAS SA,33, 53 注意 λ(R)=0.7μ、λ(Ⅰ)=0.9μ、 λ(Rc)=0.66μ、 λ(Ⅰc)=0.81μ 実際の観測にはもっと大きな標準星表を使う。 UBVRcIc Landolt 1992、Astron.J. 104,340 JHK Elias et al. 1982、AJ, 87, 1029. C: 等級
Stromgren 4-color system uvby U B V その他のシステム(1) Stromgren 4-color system uvby U B V バルマー不連続、金属量、温度をより正確に測る。A-F型星向き 透過率 A0星 u: 完全にバルマージャンプ より短波長側。 b: メタル吸収の影響をB ほどは受けない。 y: 基本的にはVと同じで、 巾が狭い。 u b v y 0.3 0.4 0.5 0.6 λ(μ) m1=(v-b)-(b-y) : 金属量 c1=(u-v)-(v-y) : バルマー不連続 b―y : 温度 C: 等級
その他のシステム(2) DDO system McClure 1976 AJ 81、182 U B V A0星 その他のシステム(2) DDO system McClure 1976 AJ 81、182 G,K型星 35フィルター 4-colorのu 38フィルター vより金属吸収によい 41フィルター CNバンド測定 42,45,48 連続光 U B V 透過率 A0星 48 45 38 41 35 42 0.3 0.4 0.5 0.6 λ(μ) (35-38)カラー: バルマージャンプ (38-42)カラー: 金属量 (42-45)カラーと(45-48)カラー: 重力と温度 C: 等級
その他のシステム(3) Thuan-Gunn システム Thuan/Gunn1976 PASP 88, 543 市街地の水銀線と夜光の[OI]線 を避ける。 基準星は。 CD+174708 (G型矮星) で、この星の g=9.50 g-r=u-v=v-g=0 と独特の定義。 U B V 透過率 A0星 u v g r 0.3 0.4 0.5 0.6 λ(μ)0.7 C: 等級
その他のシステム(4) AB等級 Fν(0等)=3631Jy SDSSで採用 その他のシステム(4) AB等級 Fν(0等)=3631Jy SDSSで採用 AB=-2.5 log [fν/3631Jy]= 8.900-2.5 log [fν(Jy)] 旧来のゼロ等がABで何等になるか? F(mag=0,ν) バ ンド U B V Rc Ic J H K L M N Q λ(μ) 0.366 0.438 0.545 0.641 0.798 1.22 1.63 2.19 3.45 4.8 10.6 21 Fo(Jy) 1790 4063 3636 3064 2416 1590 1020 640 290 170 36 9.4 AB 0.768 -0.122 –0.002 0.184 0.442 0.897 1.378 1.885 2.744 3.324 5.009 6.467 C: 等級
C.7.カラー フラックス⇒等級 フラックスの勾配⇒カラー 約束 F 勾配を指定する方法は幾つも考えられる: フラックス⇒等級 F フラックスの勾配⇒カラー 勾配を指定する方法は幾つも考えられる: 単純にはdF( λ )/dλ、dF( ν )/dν 近接した2波長λ1 、λ2でのフラックスの比、 F( λ1 )/ F( λ2 )を用いてもよい。 λ1 λ2 天文では等級の差、すなわちフラックス比の対数表示(カラー)を採用している。 カラー( λ1 、λ2 )=m(λ1)-m(λ2) =-2.5 log[F( λ1 )/ F( λ2 )]+2.5 log[Fo( λ1 )/ Fo( λ2 )] 約束 カラー m(λ1)-m(λ2) では、λ1<λ2 C: 等級
[B-V]BB=-0.83+ 2.5 log{[exp(3.270/T4)- 1] / [exp(2.616/T4)- 1]} 黒体輻射のカラーと温度 このBはBバンドのB 黒体輻射のカラー [B-V]BB=-0.83+ 2.5 log{[exp(3.270/T4)- 1] / [exp(2.616/T4)- 1]} このBは黒体の輻射強度(プランク関数) Fo,B(T,ν) は、 Fo(ν=B )=4063Jy,Fo(ν=V)=3636Jy C: 等級
同様にUバンド(λ=0.36μm)では、Fo(U )=1790Jy、 XU=14388/ 0.36 /T (レーリージーンズ領域のカラー T→∞では、 B(T,ν)2kT(ν/c)2=2kT/λ2 なので、(レーリージーンズ近似) このように、高温極限ではカラーはー∞ではなく、有限の値でとまる。 C: 等級
T→0では、 Bν (2hν3/c2)exp(-hν/kT) なので、(ウイーン近似) ウイーン領域のカラー T→0では、 Bν (2hν3/c2)exp(-hν/kT) なので、(ウイーン近似) [B-V]BBも[U-B]BBも∞に発散する。 C: 等級
カラーの表現 天文でよく使われるバンド: B=m(0.44μm) V=m(0.55、μm) 天文でよく使われるバンド: B=m(0.44μm) V=m(0.55、μm) Fo(B)=4063Jy Fo(V)=3636Jy 1Jy=10-26W/m2/Hz フラックス 天体 F(B ) F(V) (Jy) (Jy) シリウス 1.493 ×104 1.356 ×104 太陽 1.102×1014 1.804×1014 ベテルギウス 663 2380 バンド カラー B V B-V 温度 色 -1.43 -1.44 0.01 9400 白 -26.10 -26.75 0.65 5780 黄 1.95 0.45 1.50 3370 赤 一般に、天体の温度が高いと (1) 短波長側のフラックスが大きい。 (2) 短波長の等級が小さい。 (3) カラーが小さい C: 等級
C.1.銀河座標銀経 l=180°、銀緯 b=0°の方向を観測したところ、G型矮星 レポート問題C 出題10月23日 提出10月30日 レポートには、問題番号、学生証番号、学科、学年、氏名を書くこと。 少し難しいので、どこで分からなくなったかを書いて提出も可。 C.1.銀河座標銀経 l=180°、銀緯 b=0°の方向を観測したところ、G型矮星 の等級分布(光度関数 luminosity function)として次のような式を得た。 ここに、V=みかけV等級 dN=V等級の巾dV、立体角dωの中に見える星の数 簡単のためG型矮星の絶対等級を太陽と同じ、Mv=4.83 とする。星間吸収がないとして、観測方向に沿ってのG型矮星の数密度 n(星/pc3)を太陽からの距離R(pc)の関数として表し、R=0-3000pcの範囲で図示せよ。 C.2.G型矮星の太陽周辺の数密度は n =3.3・10-3星/pc3である。仮にG型 矮星がこの数密度で太陽のまわりに一様に散らばっていたとして、 星間吸収がないときの光度関数F(V)を求めよ。 C: 等級