認識の差とは? A 不登校の理解ガイド Aー2 宮城県総合教育センター A 不登校の理解ガイド Aー2 認識の差とは? 不登校の理解をするための研修として,「Aー2 認識の差とは?」を始めます。 今回のねらいは,教職員で支援の基本的な考えを理解し,その方向性を一致させることです。 宮城県総合教育センター
2枚の絵をご覧ください。 画面をご覧ください。 宮城県総合教育センター
宮城県総合教育センター 出典 ogatajiro.com 何が見えますか? 【間をおかずに指名してください。】 何が見えますか? 【間をおかずに指名してください。】 (例:「手すり」や「柱」等の答えが出た場合) なるほど。手すりが見えた方は手を挙げてください。 【挙手しなかった人に指名してください。】 他に何が見えましたか。 【「女性」という答えが出た場合はすぐに次のスライドへ移動してください。】 出典 ogatajiro.com 宮城県総合教育センター
宮城県総合教育センター 出典 ogatajiro.com 線で囲んだ中に女性のシルエットが見えますね。見つめようとしないと,見つからないものもありますね。 では,次の絵です。 出典 ogatajiro.com 宮城県総合教育センター
宮城県総合教育センター 何が見えますか? 【間をおかずに指名してください。】 (例:「ウサギ」という答えが出た場合) 何が見えますか? 【間をおかずに指名してください。】 (例:「ウサギ」という答えが出た場合) なるほど。ウサギが見えた方は手を挙げてください。 【挙手しなかった人に指名してください。】 では,他に何が見えましたか。「アヒル」 なるほど。アヒルが見えた方は手を挙げてください。 【先に「アヒル」という答えが出た場合は「アヒル」に見えた人に挙手してもらい,他に何が見えたか問いかけてください。】 宮城県総合教育センター
宮城県総合教育センター 囲んだところが耳なら右を向いた兎,くちばしなら左を向いたアヒルに見えますね。 囲んだところが耳なら右を向いた兎,くちばしなら左を向いたアヒルに見えますね。 同じ場所で,同じものを見ているつもりでも,同じものが見えているわけではないですよね。複数の目で1つのものを見ていても,その捉えは様々です。児童生徒への支援にも,同じことが言えるかもしれませんね。 宮城県総合教育センター
不登校児童生徒の支援に対する見方・考え方はどうでしょうか?2つのケースで考えてみてください。 不登校児童生徒の支援に対する見方・考え方はどうでしょうか?2つのケースで考えてみてください。 不登校児童生徒の支援に対する見方・考え方はどうでしょうか?2つのケースで見てみましょう。ワークシートを使いますので確認の上,画面をご覧ください。 1 ワークシートに児童生徒がどんな思いでいるか 吹き出しに書いてみてください(2分) 2 グループで話し合ってみてください。(2分) 宮城県総合教育センター
■ケース1 登校できた!今日はこれで十分だよ! みんなは,こんな事ができるようになったよ。あなたも頑張らないと! さあ,教室に 行くぞ! 【3通りのセリフを,異なる調子で読んでください。】 ケース1「(励ますように)登校できた!今日はこれで十分だよ!」「(強引な調子で)さあ,教室に行くぞ!」「(高圧的に)みんなは,こんな事ができるようになったよ。あなたも頑張らないと!」 さあ,教室に 行くぞ! 宮城県総合教育センター
■ケース2 登校できた!今日はこれで十分だよ! ○○君が来るのを待ってたよ。顔を見られてとってもうれしいなあ! 頑張ったなあすごいぞ!! 【励ますように読んでください。】 ケース2「登校できた!今日はこれで十分だよ!」「頑張ったなあすごいぞ!!」「○○君が来るのを待ってたよ。顔を見られてとってもうれしいなあ!」児童生徒がどんな思いでいるかワークシートの吹き出しに書いてみてください。書き終わった先生は,お隣の方と書いた内容を紹介し合ってみてください。時間は1分間です。 頑張ったなあすごいぞ!! 宮城県総合教育センター
話し合いましょう 「2つのケースについて,どんな印象を持ちましたか。」ワークシートにお隣の方とペアで,話し合ってください。 ■2人で・・・(2分間) 「2つのケースについて,どんな印象を持ちましたか。」ワークシートにお隣の方とペアで,話し合ってください。 2つのケースについて,どんな印象を持ちましたか。お隣の方とペアで,話し合ってください。時間は2分間です。では,どうぞ。 【2分後】 2分が経ちました。では,話し合ったことを聞かせてください。 【数名の先生に話してもらってください。】 なるほど。ありがとうございます。 宮城県総合教育センター
■ケース1 登校できた!今日はこれで十分だよ! 頑張って登校したのに認めてくれないのか… えっ,ぼくはこれでいいの。それとも,もっとがんばらなきゃ ならないの? さあ,教室に 行くぞ! ケース1のように,複数の教職員がそれぞれの考えに基づいた声掛けをすることで,不登校児童生徒は困惑してしまうことが考えられます。 教職員が不登校に対する支援の方向性について共通理解をせず,それぞれが自分の経験に基づいて別々の支援を行うことがあります。結果,不登校が長期化する可能性が高くなると言えます。 みんなは,こんな事ができるようになったよ。あなたも頑張らないと! 先生が話していることは分かる…でも… 教室には行けない 宮城県総合教育センター
■ケース2 登校できた!今日はこれで十分だよ! ぼくの頑張りを先生たちは認めてくれた! 頑張ったなあすごいぞ!! 【スライド11で参加者から出た意見を参考にすると効果的です。出なかった場合は例の『 』を抜いた上で,そのまま伝えてください。】 (例)それに対し,『○○先生がおっしゃったように,』ケース2は不登校を前向きに捉えて支援しています。不登校児童生徒は自分が受容されていることを実感することでしょう。 ○○君が来るのを待ってたよ。顔を見られてとってもうれしいなあ! 今日は来て, よかったなあ 宮城県総合教育センター
また先生に会いたいな! 学校が楽しい! 宮城県総合教育センター 支援の基本的な考え方を理解し,一致させることで,不登校児童生徒は,どの教職員からも同じ方向性の支援を受けることができます。児童生徒の孤立感は解消され,自信と,学校への期待を抱くことでしょう。結果として,行動の変容につながる可能性が高くなると言えるのです。 宮城県総合教育センター
考えてみましょう 【場面の設定】 小学校3年生の男子児童が不登校傾向になった際のことです。家庭訪問や別室登校で会話をしました。 ■1人で・・・(2分間) 【場面の設定】 小学校3年生の男子児童が不登校傾向になった際のことです。家庭訪問や別室登校で会話をしました。 【学校に応じて場面の設定の学年を変えてください。】 では,次のケースに移ります。これから示す2つのケースについて,先生方が放課後登校や保健室登校をした不登校児童生徒になったつもりで考えて,ワークシートの下の欄に児童(生徒)の気持ちを書いてください。対象は,小学校3年生児童です。 宮城県総合教育センター
A B そろそろ学校へ行けそうだね。一緒に行こうか! 「そろそろ学校へ行ってみる?」と誘ってもいい? ケース1 そろそろ学校へ行けそうだね。一緒に行こうか! 「そろそろ学校へ行ってみる?」と誘ってもいい? 【吹き出しは,実際に語りかけるように読んでください。】 ケース1について考えましょう。欠席が3日間続き,家庭訪問をした児童生徒への声掛けです。 Aのケースです。 「そろそろ学校へ行けそうだね。一緒に行こうか!」 Bのケースです。 「『そろそろ学校へ行ってみる?』と誘ってもいい?」 欠席が3日間続き,家庭訪問をした児童生徒への声掛けです。 ワークシートに書いてみてください。(2分) 宮城県総合教育センター
A B せっかく来たし,調子も良いからもう少しやってみよう。 もっとできるのだろうけど,今日はここまでだよ。 ケース2 せっかく来たし,調子も良いからもう少しやってみよう。 もっとできるのだろうけど,今日はここまでだよ。 【吹き出しは,実際に語りかけるように読んでください。】 続いてケース2です。 「1時間活動しよう」という約束のもと,放課後登校をした児童生徒についてです。意欲的に活動し,楽しげに活動する様子がうかがえました。もうすぐ1時間が経過します。どのような声を掛けますか。 Aのケースです。 「せっかく来たし,調子も良いからもう少しやってみよう。」 Bのケースです。 「もっとできるのだろうけど,今日はここまでだよ。」 「1時間活動しよう」という約束のもと,放課後登校をした児童生徒への声掛けです。 ワークシートに書いてみてください。(2分) 宮城県総合教育センター
考えてみましょう 先生方が不登校児童生徒になったつもりで考えて,児童生徒の気持ちをワークシートに書いてください。 ■1人で・・・(2分間) 【学校に応じて場面の設定の学年を変えてください。】 それでは,2つのケースについて書いてください。時間は2分間です。始めてください。 宮城県総合教育センター
話し合いましょう 「不登校児童生徒になったつもりで,左右どちらの方が,気持ちが軽くなったか」をお隣と話し合ってください。 ■2人で・・・(1分間) 「不登校児童生徒になったつもりで,左右どちらの方が,気持ちが軽くなったか」をお隣と話し合ってください。 【ペアワークの際は交流の様子を見て回り,その後に指名をするペアを考えておいてください。】 2分が経ちました。では,書いたことについて,お隣同士で話し合ってみてください。その際,A,Bどちらの方が,気持ちが楽になるかも合わせて確認してください。 【1分後】 ありがとうございました。では,ペアで話し合ったことを聞かせてください。 【数名の先生に話してもらってください。】 ありがとうございました。2つのケースとも,Aは教師の思いが前面に出てしまった言葉で,Bは児童生徒の思いを大切にしようとした言葉です。 宮城県総合教育センター
A 断るのが難しい状況 ⇒ プレッシャーに ケース1 そろそろ学校へ行けそうだね。一緒に行こうか! 無理って言えない… ケース1のA「そろそろ学校へ行けそうだね。一緒に行こうか!」について考えてみましょう。教職員からの誘いは断りにくいものです。児童生徒の状態によっては,プレッシャーを感じてしまうこともあるでしょう。相手の思いに応えられないことで自信を失い,「誘われるのが嫌。もう先生には会いたくない。」という気持ちになってしまう児童生徒もいるかもしれません。 に 断るのが難しい状況 ⇒ プレッシャーに 宮城県総合教育センター
B 寄り添い ⇒ 支援の手掛かりに ケース1 「そろそろ学校へ行ってみる?」と誘ってもいい? 誘ってほしいけど,今はまだ無理かも・・・ 話を聞いてもらえる…嬉しい。 【スライド19で参加者から参考になる意見が出た場合,以下の話にその内容も加えてください。】 それに対し,ケース1のB「『そろそろ学校へ行ってみる?』と誘ってもいい?」という問いかけは児童生徒に寄り添った声掛けであり,児童生徒は自分の気持ちを大切に考えてもらっていると感じることでしょう。その後,児童生徒の気持ちをゆっくり聞くことで,支援の手掛かりをつかめることもあるでしょう。 に 寄り添い ⇒ 支援の手掛かりに 宮城県総合教育センター
A 約束を守らない ⇒ 学校不信に ケース2 せっかく来たし,調子も良いからもう少しやってみよう。 1時間の約束を守ってくれないのか… 続いてケース2のA「せっかく来たし,調子も良いからもう少しやってみよう。」について考えてみましょう。 私たち教職員の立場で考えると,不登校児童生徒が登校したことがうれしいあまり,つい善意で「もう少し!」などと言ってしまいたくなります。しかし,児童生徒の立場で考えると,力を振り絞って学校に来たのに,事前に約束したこととは違うことをされることになります。「先生にうそをつかれた」という思いから,児童生徒と家庭双方に不信感を与えてしまうことになりかねません。そして,このことをきっかけに,次の登校機会を無くしてしまう可能性が高くなります。 に 約束を守らない ⇒ 学校不信に 宮城県総合教育センター
B 次回以降の 約束を守る ⇒ ステップに ケース2 もっとできるのだろうけど,今日はここまでだよ。 本当はもっとできるかもしれない…次は頑張るぞ! 【スライド19で参加者から参考になる意見が出た場合,以下の話にその内容も加えてください。】 それに対し,ケース2のB「もっとできるのだろうけど,今日はここまでだよ。」について考えてみましょう。児童生徒の立場に立って考えると「先生は約束を守ってくれる。」と信頼関係を築くことができます。さらに,「僕はもっとできる。でも先生がここまででいいと言ったからこれでいい。次はもっと頑張ろう!」というように自信を深め,次回の登校への意欲につながります。 に 次回以降の ステップに 約束を守る ⇒ 宮城県総合教育センター
支援の方向性が一致していないと, 不登校児童生徒や保護者の困惑が深まる 不登校児童生徒への支援は,効果が見えにくく,成果がすぐに出るものでもありません。支援の方向性を一致させず,教師それぞれが自分の思いや経験に沿った支援を続けていくと,それがどんなに効果的なものであったとしても,不登校児童生徒や保護者の困惑が深まるだけになります。 支援の方向性が一致していないと, 不登校児童生徒や保護者の困惑が深まる 宮城県総合教育センター
支援の方向性が一致すると,不登校児童生徒の 不登校が不登校児童生徒にとって自己形成や成長のための大切な過程となるように教職員で不登校支援の方向性を一致させることが大切です。支援の方向性が一致すると,不登校児童生徒の行動が変容する可能性が高くなります。 今後の研修では支援の具体的な方法を確認していきます。 支援の方向性が一致すると,不登校児童生徒の 行動が変容し,保護者も納得する 宮城県総合教育センター
本日の研修から ・考えたこと ・感じたこと ・今後生かして いきたいと思うこと 宮城県総合教育センター 【参加者からの感想発表を行う。】 いきたいと思うこと 本日の研修から 【参加者からの感想発表を行う。】 研修の感想を教えてください。 【感想を受けて,まとめを行う。まとめに至らない場合は次のスライドを活用してください。】 (例)ありがとうございました。先生方のおっしゃる通り,支援の方向性が一致すると,児童生徒の行動が変容する可能性が大きくなると感じました。一致した支援の継続は,児童生徒の不安感を払拭するとともに,安定した心理状態を維持させ,現状を前向きに変容させることでしょう。チームとして支援の方向性を確認し合い,一致させた上で児童生徒の支援にあたっていきましょう。 以上で不登校の理解をするための研修 『認識の差とは?』を終わります。 宮城県総合教育センター
研修のまとめ 認識の差とは? 支援の方向性が一致すると,行動が変容する可 能性が高まる。 A不登校の理解ガイド Aー2 支援の方向性が一致すると,行動が変容する可 能性が高まる。 研修のまとめ 今回の研修のまとめをします。「支援の方向性が一致すると,行動が変容する可能性が高まる」ということです。一致した支援の継続は,児童生徒の不安感を払拭し,安定した心理状態を維持させることで,現状を前向きに変容させることにつながります。以上で,不登校の理解をするための研修「認識の差とは?」を終わります。 より具体的な支援については,B-4「支援の方法とは?」で研修を深めることができます。個人で使える資料もありますので,ぜひ活用してください。 宮城県総合教育センター
以下のスライドは,次年度以降実施する際など,構成に変化を持たせるためにスライドを入れ替える場合を想定したものです。スライド4~7と交換してください。 宮城県総合教育センター
1枚の絵をご覧ください。 宮城県総合教育センター みなさんのものの見方・考え方はどうでしょうか?2つのケースで見てみましょう。画面をご覧ください。 宮城県総合教育センター
宮城県総合教育センター 出典 smartnews.jp 何が見えますか? 【間をおかずに指名してください。】 何が見えますか? 【間をおかずに指名してください。】 (例:「水辺の風景」という答えが出た場合) なるほど。水辺の風景が見えた方は手を挙げてください。 【挙手しなかった人に指名してください。】 他に何が見えましたか。 【「赤ん坊」という答えが出た場合はすぐに次のスライドへ移動してください。】 出典 smartnews.jp 宮城県総合教育センター
なるほど。確かに,線で囲んだ中に横になった赤ん坊が見えます。 では,次の絵です。 出典 smartnews.jp 宮城県総合教育センター
何が見えますか? 【間をおかずに2,3人に指名する。】 宮城県総合教育センター
黄色が顔で青がグラスです。たった1枚の絵でも,人によって,ものの見方・考え方は異なる場合があります。 宮城県総合教育センター