2007/11/30 自閉症の青年にみられる情緒的行動の訓練と般化 Angeliki G, Patricia J. K., Lynn E. Mc. & Claire L. P.(1996)Journal of Applied Behavior Analysis, 29, 291-304 心理学科3回生 粟田愛絵.

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2007/11/30 自閉症の青年にみられる情緒的行動の訓練と般化 Angeliki G, Patricia J. K., Lynn E. Mc. & Claire L. P.(1996)Journal of Applied Behavior Analysis, 29, 291-304 心理学科3回生 粟田愛絵

問題と目的 本研究での情緒的行動(情緒的反応)とは  表情、言葉遣い、姿勢、身振りなど、社会的コミュニケーション機能を持つ、観察可能な行動。ここでは感情的・生理的現象は含まない。

・情緒的行動は社会的相互作用において弁別刺激となるので(Rutter & Schopler,1987)、適切な表現能力が不十分だと社会的発達そのものが遅れ他者との円滑な関わり合いが持てない(Feldman, Philippot & Custrini, 1991; Walters, Barrett & Feinstein, 1990)。 ・自閉症児には、不適切な情緒的行動も含め深刻な社会的スキルの欠如がみられる(McGee, Feldman & Chernin, 1991; Snow, Hertzig & Shapiro, 1987)。

一般の子どもに情緒的反応の示し方を教授した先行 研究  ・通常発達の子どもに、強化・修正の手続きを行い、                                               生物と無生物に対する一般的な感情表現を教授(Acker, Acker & Pearson, 1973)  ・指示、モデリング、社会的賞賛がある場合に、学習障害の子どもが社会的情緒反応を向上(Cooke & Apolloni, 1976)  ・一般の幼稚園児に、要求に応じた表情をみせるこ   とを教える様々な手続きの有効性の比較(Field & Walden, 1982)

しかし・・・自閉症児の情緒的行動の改善に焦点を当てた研究はなかった そこで、状況に応じた感情に関わる表情と言語表現を情緒的反応として取り上げ、 (a)組み合わせた強化を用いて、文脈上適切な情緒的反応を自閉症者に教授すること (b)新しいセラピストと場面設定を通じ、一ヶ月のフォローアップ期において、新規反応への介入効果をみること (c)同年代の子どもの受け入れに大いに関わる情緒的反応(La Greca & Santogrossi, 1980)を訓練すること 以上を本研究の目的とした

方法 <参加者> ・自閉症と診断され、適切な情緒的反応が不十分な、11:4~18:11の4人 ・プリンストンチャイルド開発研究所の教育プログラムに入っており、教育的介入を8~13年受けてきた(全員が「不適切な笑い」を減少させるプランを受けていた) Tony:スタンフォード・ビネー知能検査(第4版)49。比較的    はっきりした発音・完全な文で話した。 Alex:WISC-Rで全IQ46。表現的な言葉は流暢ではなく、発話は    乏しかった。 Ana:WISC-Rで全IQ58。完全な文で話し、わずかに声の抑揚が    あった。 Dean:スタンフォード・ビネー知能検査36。表現的な言葉はたいてい真似言葉で分離しているが、機能的な言葉もあった。

<場面&セラピスト> セッション ・施設内の、参加者が普段使う教室より小さい教室。 ・参加者とセラピストが2人きりで向かい合って座った。 ・64×49cmの机を2つセラピストの右側に置き、データ用紙、トークンシステム(正反応ごとにチェックする24のマスの表)、セッションに使う材料(写真、雑誌など)を置いた。 ・参加者の席から対角線上の隅と、セラピストの正面にあたる位置に、ビデオカメラを一台ずつ置いた。  →それぞれの顔のクローズアップが可能 介入後の尺度は、参加者の従来の教室や施設内の休憩所・食堂で 測定した。 メインセラピストが一人でベースライン・介入の全セッションを 行った。 参加者のよく知る教師が、新規人物への反応の監査役をした。

2007/11/30 セッション中のイメージ図 参加者 セラピスト

<反応の定義> ・無関係な観察者が、参加者の情緒的反応が文脈上適切かどうか を判断した。 ・情緒的反応は次の場合適切であるとして点を与えた。  を判断した。 ・情緒的反応は次の場合適切であるとして点を与えた。  (a)表1の各反応カテゴリーで別々に記述されている言語的特徴・顔の特徴の両方を含む。  (b)セラピストが提示したシナリオに適している。  (c)シナリオ提示後5秒以内に表出される。  これらをひとつでも満たさなければ、反応は適切とされず点は与えられなかった。

・同情を示す適切な反応をみせない参加者2人は4つ、あとの2人は3つの反応カテゴリーの訓練を受けた。←同情を示す反応は他のカテゴリーとは対照的な表情が必要であるため。 ・プレテストのパフォーマンスに応じて、各参加者が不適切な反応を示した反応カテゴリーを選び、訓練を行った。 ・各参加者の好みと言語表現力・言語理解力に応じて、特定のシナリオと標的言語反応を選んだ。 ex)『感謝を示す』:音楽好きには「このテープを借りたいです か?」、スポーツ好きには「一緒にバスケットボールをし ませんか?」 標的言語反応は「ありがとう」など感謝を示す返事。 *個人に応じた言語反応に関係なく、標的とする顔の表現はど の参加者も同じ。

<シナリオ> ・全実験フェイズを通して、セラピストはシナリオの提示と同時に、文脈に合った表情をしてみせた。 ・シナリオの提示は、ベースラインと介入とで体系的には違わなかった。 ・各反応カテゴリーにシナリオ120本ずつ  うち80本が訓練試行に、40本がプローブ試行にランダムに割り当てられた。

2007/11/30 <手続き> 全体的な手続き ・1試行:シナリオ提示→5秒まで反応を待つ→結果をもたらす (結果はベースラインと介入とで異なる) ・ベースラインと介入の両方で、セラピストはシナリオ提示後に参加者の反応に応じた返答をした。 ・実験セッション:24回の連続試行(約15分間)×週5日 ―1セッションに計24本のシナリオ 4本は訓練試行 ・・・各カテゴリーから6本ずつ 2本はプローブ試行 -シナリオはランダムに提示。必要に応じて同じ順で繰り返 したシナリオが20組あった。

実験場面&デザイン 反応カテゴリーによる多層間ベースライン BL期:シナリオ提示→参加者の出席・参加をほめる→反応後5秒 あけてトークンを与える 介入期:①訓練試行 ・セラピストが適切な情緒的反応のモデルを示し、参加 者に言葉で促す「訂正の手続き」を用いた(不適切反 応をした1試行につき1~3回実施)。 ・シナリオ提示後5秒以内・訂正なしの適切な反応ごと にトークンを与えた。 ②プローブ試行 ・BL期同様、出席・参加に対しトークンを与えた。 ・情緒的反応に対しては強化も訂正もしなかった。 *トークンはセッション終了時に物や活動と交換。 23個以上→参加者が選んだ好きな雑誌・スナック・活動 23個未満→それ以外の雑誌・スナック・活動

別のセラピストと新規場面を通じた般化 ・セラピストA~CがBLと同じ手続きで人々への般化をテスト。 ・セラピストAは、BLと同じ手続きで、新しく訓練された反応が3つの新しい場面で生起するかどうかもテストした。 ・介入の最後のセッションの後、メインセラピストが、新しく訓練された反応が訓練とは別の3場面で生起するかテストした。 ・一日6本のシナリオを、2時間の授業の間に各参加者に提示。 →セラピストとやりとりを始めた時、活動の合間などに、ばらばらに提示。 ・3つの実験セッション同様、72の反応が新規場面で各参加者に提示された。 ・トークン強化システムが実験場面で機能していた場合のみ、訓練試行中にトークンを与えた。通常の教室では与えたが、休憩所や食堂での試行中には与えなかった。 ・訓練場面とは別の場面のセッションでは、訂正の手続きは行わなかった。

1ヶ月のフォローアップ ・Dean以外の3人に対し、介入の最後のセッション後1ヶ月実施。 ・適切な情緒的反応に対する介入はなし。 ・場面と手続きは介入期と同じ。 社会的妥当性 ・介入効果の妥当性を2つの観察グループが評価 ①参加者の親 ②参加者を知らない、または研究目的を知らない心理の大学院生 ・シナリオに対する参加者の反応を録画した2つの場面を見た (最後の3つのBL・介入セッションからランダムに選んだ)。 ・参加者がもっとも社会的に適切な反応を示した録画場面を確認。

現場の観察者間の一致 ・メインセラピスト、院生1人、施設で働くセラピスト3人 ・各参加者に対し、各実験場面で行ったセッションの33%以上で一致。 ・実験とは無関係の、録画するセッションの前のデータでは80%一致。 ・全参加者の全実験場面での適切な情緒的反応に対しては、訓練・プローブ試行で96~100%一致。 *BL期・介入期のメインセラピストの表情の信頼性を評価  実験に無関係な観察者2人が、さまざまなシナリオのメインセラピストの録画場面64個を採点。→100%一致 独立変数の測定 ・研究全体でプローブ試行では一度も強化・訂正をしなかった。  メインセラピストによる新規場面では訓練試行の65%で強化。 ・セラピストA~Cは実験全体で一度も強化・訂正をしなかった。 ・上述の方法(*)により、独立変数の信頼性は得られた。

2007/11/30 結果 図1 Tonyのプローブ試行の結果

2007/11/30 図2 Alexの結果

2007/11/30 図3 Anaの結果

2007/11/30 図4 Deanの結果

・介入期で、参加者の親が「より社会的に適切だ」とした反応の割合は、BLとは対照的に83~100%だった(参加者平均92%)。 ・院生16人が「より社会的に適切だ」とした反応の割合は、416の観察記録の平均が82%だった(範囲73~90%)。

考察 ・訂正と強化の組み合わせは、各参加者に文脈上適切な反応をもたらした。 ・直接訓練していないプローブ試行にも適切な反応が般化した。  特定の反応カテゴリーに関する訓練試行とプローブ試行の反応は、機能的な反応類を示すようである(Baer,1982)。 ・BLの測定は訓練場面でしか得られなかった。全場面でのBLの測定がなければ般化効果の実験的分析はできないが、逸話的な報告では、参加者が介入前に文脈上適切な反応を示していたということはない。 ・さまざまな先行研究によって、情緒的行動の形成における文化的・環境的要因の重要性が明らかになっている。しかし、文脈上適切な情緒的反応はオペラントの理論で教えられることが本結果で証明される。 ・参加者に情緒的反応をもたらした弁別刺激は実験的に確認されたわけではない。しかし観察から、セラピストの表情や声のイントネーションが、シナリオの内容だけよりもはるかに影響を与えたことは明らかである。

・社会的妥当性の測定により、研究の最後までに参加者の情緒的反応は上達したことがわかる。 ・今回の社会的妥当性の測定は大まかなものであり、反応の上達に伴い参加者の社会的相互作用全体が向上したと証明したり、参加者の反応を質的に評価することはできない。 ・将来的な研究では、感情表現の全体的な適切さを判断するのに必要な音声反応の韻律的特徴(Knapp,1960)を扱う必要性。 ・本研究の介入プログラムが、家庭で親がセラピストの役目をしながら行動の変化をもたらすのに十分かどうか 「社会的スキルの欠如により自閉症者が社会的相互作用を避ける」という点では、 適切な情緒的反応の方法を身につけること =相互作用を促す社会的スキル