© Yukiko Abe 2014 All rights reserved ミクロ経済学Ⅰ 2014年度 北海道大学 経済学部 安部由起子 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
イントロダクション: ミクロ経済学はなぜ面白いのか? イントロダクション: ミクロ経済学はなぜ面白いのか? (例1)日本における女性の就業 なぜ日本の女性の就業率は低いのか? なぜ女性は日本海側で他地域よりも働いているのか? なぜ都市部では保育園に子どもを預けるのが困難なのか? こういうことを知ることに意味はあるのか? ミクロ経済学はこういうことに答えを提供できるのか? © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 女性労働力の活用と日本経済 女性の労働力を活用することが、日本の経済成長には重要である Goldman-Sachsのレポート(女性の就業率を上げれば日本のGDPは15%上昇する) Abenomics The Global Gender Gap Index 2012 rankings (World Economic Forum)によれば、日本のランクは135か国中101位。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 日本の女性就業率と国際比較 年齢階級別の就業率を計算 就業率の定義は、 (労働力率とは別の概念なので注意) 年齢階級別に計算する(年齢によって就業率が異なることが多いため)。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 日本については、地域別にプロット 都市部:東京・神奈川・千葉・埼玉・京都・大阪・兵庫 (次ページ:青) 日本海側: 山形・新潟・富山・石川・福井・鳥取・島根 (次ページ:赤) それ以外 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 地域の区分:地図上で © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 女性の年齢階級別就業率、2010年 データ出所:OECD, 総務省(国勢調査) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 女性就業率の地域差の大きさ 日本では女性の就業率が低いと捉えられているが、実は、日本海側地域においては、就業率が高いとされる国と同程度の就業率となっている。 国際比較と同程度の、国内における地域差が存在。 とりわけ、都市部において就業率が低い。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 属性(学歴・配偶関係)別の状況 全国を6地域に分ける (1)東京近郊(埼玉・千葉・神奈川): Suburban Tokyo (2)東京: Tokyo (3)日本海側(山形・新潟・富山・石川・福井・鳥取・島根): Northern Coast (4)中部(岐阜・愛知・三重): Chubu (5)関西(京都・大阪・兵庫): Kansai (6)上記以外 : Other 学歴: 高卒または短大卒(Senior high school or Junior college)、大卒以上(University) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 学歴別・男女別の就業率の地域差 女性 男性 Abe (2013) 、データは2007年就業構造基本調査(総務省) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 子どもをもつ有配偶女性に限ると 就業率 正規雇用就業率 Abe (2013) 、データは2007年就業構造基本調査(総務省) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved 日本における女性就業の地域差 日本海側の就業率が高いのは、子どもをもつ有配偶女性が正規雇用で働く割合が高いからである。 (スライドには示されていないが)無配偶女性や、有配偶女性の非正規雇用には、地域差は小さい。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved ミクロ経済学はなぜ面白いのか? (例2)なぜ女性パート労働者は103万円で収入を抑えるのか? パートの103万円の壁 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved パートの103万円の壁 左の図は、平成24年度男女共同参画白書に掲載のもの( 第1部、 第2章、第13図) 既婚女性給与所得者のうち300万円以下の部分について、年間収入の分布を、年齢階級別に示したもの。 103万円のあたりに集中がみられる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
なぜパート労働者は103万円で収入を抑えるのか? 社会保障制度・税制? このように集中していることは、非効率性を生み出しているのではないか? 非効率だとの前提で: その非効率性は具体的にどのようなものか(働けるのに働かない、キャリア形成が阻害される、等)?またそのコストは大きいのか? これに対して、既婚女性は、収入を抑える以外にどのような行動をとっているだろうか(退職年齢の調整等)? なぜ、非効率性は長年(少なくとも20年以上)解消されていないのか? © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved パートの103万円の壁とミクロ経済学 パートの103万円の壁の影響を分析するには、ミクロ経済学はきわめて有効 とりわけ、間接効用関数はこれに類した問題(予算制約が複雑な形状をしている問題)の解析に有益。 また、103万円の壁と退職年齢の関連について考察するには、ミクロ経済学は不可欠。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved