教育相談論 (教職科目) 第9講 2010年11月27日(土) 担当:岡田佳子 1 1
連絡 プリント2枚を前に取りに来てください。 出席管理システムは使用しません 前回のプリントを使います。 前回休んだ方は、前にプリントをもらいに来てください。 2 2
12月4日(土)⇒来週 休講のお知らせ(再アナウンス) ごめんなさい。2回目の休講になります。 補講、課題については第7講プリント参照。 本日夕方補講です。 2限の方⇒4限 3限の方⇒5限 参加予定の方は? 3 3
前回の質問より 教育関係のボランティアに参加してみたい →豊洲の掲示板には、中学校から結構募集がありました。 →次回から、少しずつ紹介できるようにしたいと思います。 →YMCAなどでも、子どもの野外キャンプのリーダボランティア等募集しています。「YMCA ボランティア募集」で検索。 不登校だった子は将来(現在)どうなっているのですか? →私がかかわった子は、もう大学生になっていて、普通に大学に行っています。 →今、かかわっている中学生2名は来春からサポート校に進学。 →不登校からそのまま引きこもってしまうケースもあります。 4 4
今後のスケジュール(予定) 授業内容 備考 10月30日 第6講 不登校の理解と対応(1)―不登校の理解― 11月13日 第7講 不登校の理解と対応(2)―不登校への対応― レポート課題発表 11月20日 第8講 休講 補講日 11月27日 11月27日 第9講 開発的カウンセリングの実際(1) 12月4日 第10講 補講なし・レポート 12月11日 第11講 開発的カウンセリングの実際(2) 12月18日 第12講 障害のある児童生徒の理解と支援(1) 学習困難とその支援 12月25日 第13講 障害のある児童生徒の理解と支援(2) 行動調整の困難とその支援 1月8日 第14講 障害のある児童生徒の理解と支援(3) 対人関係の困難とその支援 1月22日 第15講 教場試験 注意 1月15日はセンター試験のため授業なし 5
先週のプリントの残りからやります
第7講 不登校の理解と対応(1) ー不登校への対応ー
事例の復習 1週間空いてしまったので・・・ A子さんの事例をもう一度読んで、概要を思い出しましょう。
スクールカウンセラーなどと連携しながら、生徒の状態を分析し、仮説を立てる。 見立てに基づき、具体的な支援策を考える。 不登校支援の流れ 見立て 支援策 情報収集 スクールカウンセラーなどと連携しながら、生徒の状態を分析し、仮説を立てる。 生活面は? 学習面は? 心の状態は? 養育環境は? 見立てに基づき、具体的な支援策を考える。 誰がやるのか? いつやるのか? どこでやるのか? ・様子を観察する ・本人から話を聴く ・保護者から話を聴く ・他の教員から話を聴く などによって 情報を集める。
スクールカウンセラーなどと連携しながら、生徒の状態を分析し、仮説を立てる。 見立てに基づき、具体的な支援策を考える。 不登校支援の流れ 見立て 支援策 情報収集 スクールカウンセラーなどと連携しながら、生徒の状態を分析し、仮説を立てる。 生活面は? 学習面は? 心の状態は? 養育環境は? 見立てに基づき、具体的な支援策を考える。 誰がやるのか? いつやるのか? どこでやるのか? ・様子を観察する ・本人から話を聴く ・保護者から話を聴く ・他の教員から話を聴く などによって 情報を集める。
見たまま、聞いたままを客観的に記録すること。 1.情報収集 ポイント 見たまま、聞いたままを客観的に記録すること。 × 授業中に勝手に発言してばかりいて、 自分勝手でわがまま。 ○ 授業中に指名されないときに発言することが、 1回の授業に2~3回程度ある。 日ごろの思い込みや、常識を一度棚上げして、自分がカメラになったつもりで客観的に記録することが大事。
演習 ①A子さんに関する情報を整理してみましょう。 ②A子さんの支援に役立ちそうな資源(人や場所)を整理してみましょう
②支援に役立つそうな資源 学内 「学習支援室」と学力支援講師 養護教諭・スクールカウンセラー・5年時の担任、6年時の担任・・・など 学外 家庭支援センター・児童相談所 教育相談所・・・など
スクールカウンセラーなどと連携しながら、生徒の状態を分析し、仮説を立てる。 見立てに基づき、具体的な支援策を考える。 不登校支援の流れ 見立て 支援策 情報収集 スクールカウンセラーなどと連携しながら、生徒の状態を分析し、仮説を立てる。 生活面は? 学習面は? 心の状態は? 養育環境は? 見立てに基づき、具体的な支援策を考える。 誰がやるのか? いつやるのか? どこでやるのか? ・様子を観察する ・本人から話を聴く ・保護者から話を聴く ・他の教員から話を聴く などによって 情報を集める。
2.見立て 情報収集によって見えてきた情報を、改めて理論によって意味づけすることが「見立て」。 スクールカウンセラーなどの心理学の専門家との協力も重要。 ※A子さんのケースでは SCが見立てを提示しています
スクールカウンセラーなどと連携しながら、生徒の状態を分析し、仮説を立てる。 見立てに基づき、具体的な支援策を考える。 不登校支援の流れ 見立て 支援策 情報収集 スクールカウンセラーなどと連携しながら、生徒の状態を分析し、仮説を立てる。 生活面は? 学習面は? 心の状態は? 養育環境は? 見立てに基づき、具体的な支援策を考える。 誰がやるのか? いつやるのか? どこでやるのか? ・様子を観察する ・本人から話を聴く ・保護者から話を聴く ・他の教員から話を聴く などによって 情報を集める。
3.支援策 不登校への支援を確実に実行するために・・・ 1.担任任せにしない ⇒チームでできる支援策 2.具体的に ⇒チームでできる支援策 2.具体的に ⇒誰が、いつ、どこでやるか?
演習 の予定でしたが解説にします ③以下は、4月の委員会でスクールカウンセラーが提示した見立てと介入の案です。 演習 の予定でしたが解説にします ③以下は、4月の委員会でスクールカウンセラーが提示した見立てと介入の案です。 これをもとに、学校では具体的にどのような支援ができるかを考えてみましょう。 今日は、実際にA子さんの学校で行われた支援策を併せて紹介します。
スクールカウンセラーの 見立てと介入の案
体・生活 生活リズムが崩れているので、日中に疲れやすくだるさを感じやすい。 朝食、夕食の時間が不規則で栄養も偏っている。 家でもじっとしていることが多いので、本人が楽しめる範囲で体を動かす活動を入れる。 食育、生活習慣の建て直し
実際の支援策 学習支援室で体を動かすゲーム、風船バレー、卓球などの活動を入れる 栄養士による食育。生活習慣の立て直しを養護教諭が援助。
学習 現在、生活全般に無気力で意欲が減退しているが、学習を拒否してはいない。 反復練習が不十分で、分数の計算、比例、5年生の漢字などが定着していない。 理科・社会は実験、調べ学習ができない。 図工の時間は比較的取り組みがよい。 遅れているがついていける可能性がある。安心して学べる個別指導が望ましい。 別室登校の際はルールを明確にする。 登校した際は、別室登校をする場合にも、必ず担任と顔を合わせる工夫をする。
実際の支援策 学習支援室で個別指導を行っていく。担任と講師で連絡帳を作り、教室と本人の進度がお互いにわかるようにする。 掲示されるプリント、書道、図工の作品は、できるだけ取り組ませる。できたものはみんなと一緒に掲示する。 登校した際は担任に連絡帳を本人が出す。
心・対人関係 不安定な養育環境下で自分を大切にするとはどういうことか実感が育っていない。 自己主張しないことで養育者との間に波風を立てないようにしてきた。他者理解はできるが自分の感情を抑え込みやすく、情緒的な関わりを持とうとする意欲は薄い。 集団場面では緊張が高い。 学校の中に安心して一緒にすごせる人と場所を用意する。安心できると本人が思える環境の中で心の面でも自分を大切にする感覚を育てる。その上で少しずつ自己開示に向けて働きかける。
実際の支援策 養護教諭による生活習慣の指導で体や食事を大事にすることが自分を大切にすることだと教えていく。 SCのカウンセリング 学習支援室での個別指導 相談室・支援室でワーク(すごろくトークなど)を取り入れながら、ソーシャルスキルトレーニング、アサーショントレーニングを行う。
養育環境 母親は不在、父親は仕事に手一杯で本人の面倒を見る余裕はない。 親族からの援助も多くは望めない。 現時点では、父親にもっと面倒を見てほしいなどの要請はかえって逆効果になる可能性がある。 本人と保護者の了解が得られれば、家庭支援センター等より家事ヘルパーを派遣してもらう 父親は本人の生活を把握していないので学校での情報を伝える。定期的に連絡をとることで学校との信頼関係を強める。
実際の支援策 担任が定期的に父親に電話をして学校の様子を知らせる。電話の頻度は父親と相談して決める。 ヘルパーの提案を担任がしてみる (→ヘルパーは頼まず、祖母宅へ週末泊りに行くことに)
その後のA子さんは・・・ 支援室で個別に丁寧に勉強を教えてもらったり、話を聞いてもらったりするうちに笑顔が見られるようになる 支援室への登校から徐々に教室復帰へ 父と担任は信頼関係ができる。教育相談センターへ。進路について相談。 本来の学区の中学ではなく、小規模で面倒見のよい隣接校へ 中学で一時不登校になるが、高校に進学。
今日のプリントに入ります
第9講 開発的教育相談の実際(1) ― ソーシャルスキルトレーニング(SST)を体験してみよう ― 30
教師が行う教育相談では開発的教育相談が大事! 第3講の復習:教育相談の種類と担い手 治療的教育相談=「治すカウンセリング」 予防的教育相談 開発的教育相談=「育てるカウンセリング」 子どもたちの健全な成長・発達を促すための支援。教育の一環としての相談援助活動の側面。 年間を通した構成的エンカウンターグループの実施(人間関係づくり) ソーシャルスキルトレーニングの導入(対人関係スキルの向上) 教師が行う教育相談では開発的教育相談が大事!
ソーシャルスキル(social skill) 1.ソーシャルスキル教育とは? ソーシャルスキル(social skill) 人間関係に関する知識と具体的な技術やコツ (ソーシャル) (スキル)
例えば・・・ ・朝、友だちに会えば笑顔で「おはよう」 ・休み時間になれば、自分から友だちを遊びに誘う ・困っている同級生がいれば、話を聞いて慰める ⇒友だちとの関係を軽々とこなし、良好な関係を結ぶことが出来る子 ⇒ソーシャルスキルを適切に発揮している子 しかし・・・みんなができるわけじゃない 仲間関係から引っ込んでしまう子 逆に周りの子どもと攻撃的にしか関われない子どももいる
人間関係の問題はソーシャルスキルの学習不足から 人間関係の問題≠性格の問題 ・引っ込んでしまう子≠引っ込み思案な子、恥ずかしがりや =友だちを作る方法を学んでこなかった。人前に出て緊張したときに、黙り込むことを学んでしまった。 ⇒仲間に加わる具体的な方法や緊張を和らげるコツを教えてあげればよい ・でしゃばってしまう子≠おせっかいな子、乱暴な子 =自分の言いたいことやしたいことを相手に押し付けるやり方を学んできた。暴力に訴えれば自分の欲求が満たされることを学んできた。 ⇒相手の気持ちを確かめる方法や、暴力よりも有効な手段があることを教えてあげればよい 人間関係の問題はソーシャルスキルの学習不足から ×性格だから仕方ない ○教育的な対処
2.なぜソーシャルスキル教育が必要か? ○自然にはソーシャルスキルが身につかない現代社会 本来:子どもたちが家族や友だちとの日常的交わりの中で、自然に身につけていくもの。 近年:自然な形でソーシャルスキルを身につけることなく成長してしまう傾向。
○なぜ子どもたちが変わったのか? 遊び:様々な玩具の開発。豊富な玩具。屋外での多数異年齢集団による遊びから、屋内での少数同年齢同士による遊びへ 放課後:お稽古、塾に忙しい。遊び相手探しの困難。テレビゲームなど1人で楽しめる遊びへ 少子化:きょうだい数の減少。核家族化。教育力のある「大家族」の崩壊
○なぜ子どもたちが変わったのか? 地域:地域の結びつきが失われた(育児の援助、物の貸し借り…お隣さんと関わることはおせっかい) プライベートを大切にする文化:互いが手を結ぶことから、距離をとってつきあうことを大切にする価値観へ ソーシャルスキルを自然に学ぶ機会がなくなってきている ⇒教育の場で伝えておくしかない現状
なぜソーシャルスキルを教えることが大切か? ○ソーシャルスキルが獲得されていないと・・・ うまくコミュニケーションができないと孤立してしまう ソーシャルスキル不足は、不適応を招きやすい ○ソーシャルスキルを教えれば・・・ 現在の適応状態を改善できる 将来の精神面の問題に対して、予防的な効果を発揮
3.ソーシャルスキルの種類 「基本の力」 「自分づくり」 「仲間づくり」 「集団づくり」 ・ルールを守る ・基本的な話す力 ・基本的な聴く力 ・基本的なあいさつ 基盤となる力 「共感性」 ・愛着心 ・感情の分化 「基本の力」 ・自己理解 ・セルフエスティーム ・ストレスマネジメント 「自分づくり」 「道徳性」 ・ルール ・規範 狭義のソーシャルスキル ・自己表現 ・他者理解(配慮・かかわり) 「仲間づくり」 ・問題解決 ・対立解消 ・協力 ・リーダーシップ 「集団づくり」
4.いつ行うのか? 「教科(国語など)」 「道徳」 「特別活動」に取り入れてる HRなど
「基本的な話す力」 「基本的な聴く力」 を育てるためのSST 小学校4年生での実践例 都内の公立小学校・学級の多くが1人っ子 1人遊び(本を読む)が多く友達とのかかわりが希薄
ソーシャルスキルとは? 「基本の力」 「自分づくり」 「仲間づくり」 「集団づくり」 ・ルールを守る ・基本的な話す力 ・基本的な聴く力 ・基本的なあいさつ 基盤となる力 「共感性」 ・愛着心 ・感情の分化 「基本の力」 ・自己理解 ・セルフエスティーム ・ストレスマネジメント 「自分づくり」 「道徳性」 ・ルール ・規範 狭義のソーシャルスキル ・自己表現 ・他者理解(配慮・かかわり) 「仲間づくり」 ・問題解決 ・対立解消 ・協力 ・リーダーシップ 「集団づくり」
設定 皆さんが乗った船が難破し、このわりばしだけがここに残りました。そこに海賊が来て、宝物を要求しました。みなさんでこのわりばしがどんなに便利な宝物であるか、その使い道たくさん考えて、海賊にアピールしましょう。
演習 SSTを体験してみよう 自己紹介すごろく(すごろくトーク) 背景 活動のねらい 実施時期 対象学年 友達同士でかかわり合う経験が少ないため、自分を表現するのが苦手な子どもが多い 活動のねらい ・簡単な遊びを通して、自分を理解してもらう伝え方、人の話を聞く態度を育てる ・友達のことをお互いに知り、関係づくりのきっかけとする 実施時期 ・学級開きや班編成後 ・保健室登校の生徒間の交流時 対象学年 小学校高学年~中学生
ソーシャルスキルとは? 「基本の力」 「自分づくり」 「仲間づくり」 「集団づくり」 ・ルールを守る ・基本的な話す力 ・基本的な聞く力 ・基本的なあいさつ 基盤となる力 「共感性」 ・愛着心 ・感情の分化 「基本の力」 ・自己理解 ・セルフエスティーム ・ストレスマネジメント 「自分づくり」 「道徳性」 ・ルール ・規範 狭義のソーシャルスキル ・自己表現 ・他者理解(配慮・かかわり) 「仲間づくり」 ・問題解決 ・対立解消 ・協力 ・リーダーシップ 「集団づくり」
自己紹介すごろく 1.4人組みを作る まだ一度もグループになったことのない人と 2.グループごとに順番を決めてサイコロを振り、コマ(自分の消しゴムなど)を進める 3.止まった枠で、指示されたことを話す 4.聞く人は肯定的な言葉を返す
約束 顔をみながら最後まで話す 次の人は、前の人に肯定的な言葉を返してからサイコロを振る 肯定的な言葉 次の人 話し手 私は猫が好きです 猫はふわふわしてカワイイよね 私は猫が好きです 肯定的な言葉 次の人 話し手
友達や自分のことで発見したことや感じたことは? やってみた感想は? ふりかえり 友達や自分のことで発見したことや感じたことは? やってみた感想は?
すごろくとさいころを前に戻してくださいね。 来週は休講です。 おつかれさま。 今日の授業は終わりです すごろくとさいころを前に戻してくださいね。 来週は休講です。 おつかれさま。