計算力学技術者2級 (熱流体力学分野の解析技術者) 認定試験対策講習会 - 3章・1 熱力学・伝熱学の基礎 -

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熱流体力学 第4章 番外編 熱力学的系 状態方程式 熱力学で扱う偏微分公式 熱力学の第一法則(工学系と物理系)
2007/01/27 - 卒業論文合同発表会 - ♪ 早稲田大学理工学部 電気・情報生命工学科4年 神保直史 熱音響管の解析とシミュレーション.
1 重力 力に従って落下 → E P 減少 力に逆らって上昇 → E P 増加 落下・上昇にともなう重力ポテンシャルエネルギー 変化 P32 図2-5 力が大きいほど E P の 増減は大きくなる. ポテンシャルエネルギーと力の関係.
1 今後の予定 8 日目 11 月 17 日(金) 1 回目口頭報告課題答あわせ, 第 5 章 9 日目 12 月 1 日(金) 第 5 章の続き,第 6 章 10 日目 12 月 8 日(金) 第 6 章の続き 11 日目 12 月 15 日(金), 16 日(土) 2 回目口頭報告 12 日目 12.
内燃機関と外燃機関.
2009年6月25日 熱流体力学 第11回 担当教員: 北川輝彦.
気体の熱的挙動 KANO 気体の挙動.
今後の予定 7日目 11月 4日 口頭報告レポート押印 前回押印したレポートの回収 口頭報告の進め方についての説明 講義(4章),班で討論
熱と仕事.
Kumamoto University ペットボトルロケットの力学 自然科学研究科機械知能システム 森 和也.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
1.ボイルの法則・シャルルの法則 2.ボイル・シャルルの法則 3.気体の状態方程式・実在気体
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
反応ギブズエネルギー  ΔrxnG (p. 128).
伝達事項 皆さんに数学と物理の全国統一テストを受けても らいましたが、この時の試験をまた受けていただ きます。
医薬品素材学 I 3 熱力学 3-1 エネルギー 3-2 熱化学 3-3 エントロピー 3-4 ギブズエネルギー 平成28年5月13日.
熱力学Ⅰ 第1回「熱力学とは」 機械工学科 佐藤智明.
国際物理オリンピック実験試験のシラバス 1.標準的な実験器具・装置が使える(マニュアル無しで使える):
2009年4月23日 熱流体力学 第3回 担当教員: 北川輝彦.
2009年8月27日 熱流体力学 第14回 担当教員: 北川輝彦.
x: 質量モル濃度を mol kg-1 単位で   表した時の数値部分 上の式は実験(近似)式であり、 ½乗に物理的な意味はない。
常微分方程式と偏微分方程式 1.常微分方程式 独立変数が一個のもの 振動の運動方程式 2.偏微分方程式 独立変数が二個以上のもの
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2009年5月28日 熱流体力学 第7回 担当教員: 北川輝彦.
薬学物理化学Ⅲ 平成28年 4月15日~.
1.Atwoodの器械による重力加速度測定 2.速度の2乗に比例する抵抗がある場合の終端速度 3.減衰振動、強制振動の電気回路モデル
一成分、二相共存系での平衡 一成分 固液共存系    氷-水.
反応性流体力学特論  -燃焼流れの力学- 燃焼の流体力学 4/22,13 燃焼の熱力学 5/13.
国際物理オリンピック実験試験のシラバス 1.標準的な実験器具・装置が使える(マニュアル無しで使える):
気体の熱的挙動 KANO 気体の挙動.
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
課題 1 P. 188.
2009年5月21日 熱流体力学 第6回 担当教員: 北川輝彦.
今後の予定 4日目 10月22日(木) 班編成の確認 講義(2章の続き,3章) 5日目 10月29日(木) 小テスト 4日目までの内容
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化学工学基礎 −後半の後半− 第1回目講義 (2009年7月10日) 1 担当 二又裕之 物質工学1号館別館253ー3号室
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相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
連続体とは 連続体(continuum) 密度*が連続関数として定義できる場合
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
2009年4月23日 熱流体力学 第3回 担当教員: 北川輝彦.
2009年7月9日 熱流体力学 第13回 担当教員: 北川輝彦.
(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
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低温物体が得た熱 高温物体が失った熱 = 得熱量=失熱量 これもエネルギー保存の法則.
物質機能化学1および演習 注意事項 1. 成績は全て、小テスト、中間テスト、期末テストの点数で決定する。
建築環境工学・建築設備工学入門 <空気調和設備編> <換気設備> 自然換気の仕組みと基礎
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
今後の予定 8日目 11月13日 口頭報告答あわせ,講義(5章) 9日目 11月27日 3・4章についての小テスト,講義(5章続き)
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
宿題を提出し,宿題用解答用紙を 1人2枚まで必要に応じてとってください 配布物:ノート 2枚 (p.85~89), 小テスト用解答用紙 1枚
熱量 Q:熱量 [ cal ] or [J] m:質量 [g] or [kg] c:比熱 [cal/(g・K)] or [J/(kg・K)]
有効座席(出席と認められる座席) 左 列 中列 右列.
ここでは、歪エネルギーを考察することにより、エネルギー原理を理解する。
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
2009年5月14日 熱流体力学 第5回 担当教員: 北川輝彦.
2009年6月18日 熱流体力学 第10回 担当教員: 北川輝彦.
外部条件に対する平衡の応答 ◎ 平衡 圧力、温度、反応物と生成物の濃度に応じて変化する
熱伝導方程式の導出 熱伝導:物質の移動を伴わずに高温側から低温側へ熱が伝わる現象 対流、輻射 フーリエの法則Fourier’s law:
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
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計算力学技術者2級 (熱流体力学分野の解析技術者) 認定試験対策講習会 - 3章・1 熱力学・伝熱学の基礎 - 計算力学技術者2級 (熱流体力学分野の解析技術者) 認定試験対策講習会 - 3章・1 熱力学・伝熱学の基礎 -

認定レベル 認定を取得した技術者は,基本的な流体力学,熱力学(伝熱学を含む)の問題に対して,単相の非圧縮性流/圧縮性流/層流/乱流の範囲において正しく解析問題を設定することができ,解析方法の内容を理解しており,さらに解析結果の信頼性を自分自身で検証することができる. よって,いずれかの信頼のおけるCAE ソフトウエアを用いて適切な解析機能を選択しながら,基本的な熱流体問題を大はずれを出すことなく解けるものと期待できる.

1.3(熱力学)の代表的なキーワード 熱量・仕事 理想気体 状態方程式 熱力学の第1法則 熱力学の第2法則 内部エネルギー エンタルピー エントロピー 熱機関 熱効率 断熱変化 比熱比 音速 等温変化 サイクル p -V 線図

問3-1 1kcal(キロカロリー)は kJ(キロジュール)単位で表すとどれだけか. ① 9.8 kJ ② 8.3 kJ

カロリーとジュール 1kcal 1N (ニュートン) 国際単位系SI 1J (=N・m) (ジュール) 国際単位系SI 水1kgの温度を1℃上昇させるのに要する熱量 1N (ニュートン) 国際単位系SI 質量1kgの物体を1m/s2で加速する場合の力 1J (=N・m) (ジュール) 国際単位系SI 物体に1Nの力を加えてその向きに1m動かしたときの仕事 1 kJ = 1000 J

熱の仕事当量:Jouleの実験 Joule の実験 Joule は図のような装置を用いて,おもりの重力仕事による水の温度上昇を測定し, 系のエネルギーは,熱だけでなく,仕事によっても変化することを示し, 従来の単位(kcal)で表した熱の仕事当量を求めた . 熱の仕事当量 1 kcal = 4.186 kJ

答3-1 1kcal(キロカロリー)は kJ(キロジュール)単位で表すとどれだけか. ① 9.8 kJ ② 8.3 kJ 暗記するしかない! SIでは「J」に統一されている!

問3-2 理想気体の状態方程式は次のうちどれか. ここで,p は圧力,r は密度,R は気体定数,T は温度である. ① p = RT/r ② p = r R/T ③ p = rT/R ④ p = r RT

理想気体の状態方程式 状態方程式: p-V-T 間の関係式 pV = nRT n: モル数,R :普遍気体定数                       (R = 8.314J/mol・K) pV = mRT m: 気体質量,R :気体定数( =R / M) M: 気体のモル質量(分子量) pV = nRT = nMRT = mRT pv = RT v: 比体積( =V / m) p = r RT r: 密度( =m / V)

理想気体の状態状態式について 温度一定で気体を圧縮すると圧力が上昇する(自転車の空気入れ) pV = const. 圧力一定で気体の温度を下げると体積は小さくなる V  T これらのことを考慮すると pV = (const.)・T  の形,つまり p = (const.)・rTと考えられる

答3-2 理想気体の状態方程式は次のうちどれか. p は圧力,r は密度,R は気体定数,T は温度である. ① p = RT/r ② p = r R/T ③ p = rT/R ④ p = r RT

問3-3 閉じた系に対して加えた熱量 Q が外部になす仕事 W と内部エネルギーの増加 DU に変換されることを表す熱力学の法則 Q= W+ DU を何と呼ぶか. ① 熱力学の第0法則 ② 熱力学の第1法則 ③ 熱力学の第2法則 ④ 熱力学の第3法則

熱力学第0法則 熱平衡 系1と系3が熱平衡 系2と系3が熱平衡 系1と系2は熱平衡 温度計(系3)の存在

熱力学第1法則 エネルギー保存則 Q = W + DU δQ =δW + dU W 系 系に加えられるエネルギー 系から取り出されるエネルギー         + 系に蓄えられるエネルギー 微小変化では Q = W + DU δQ =δW + dU

熱力学第1法則(ピストン・シリンダー系) x dV =Adx シリンダー 熱 機械的仕事 ピストン Q W 内部エネルギー

答3-3 閉じた系に対して加えた熱量 Q が外部になす仕事 W と内部エネルギーの増加 DU に変換されることを表す熱力学の法則 Q= W+ DU を何と呼ぶか. ① 熱力学の第0法則 ② 熱力学の第1法則 ③ 熱力学の第2法則 ④ 熱力学の第3法則

問3-5 エンタルピー H の定義は次のうちのどれか. ここで,U は内部エネルギー, p は圧力,V は体積,T は温度,S はエントロピーである. ① H = U + pT ② H = U + pV ③ H = U + TV ④ H = U + TS

開いた系のエネルギー保存1 流動系で質量と共に流入する全エネルギー 比内部エネルギu, 流動仕事,流動エネルギ,pv 系の温度に関係,du=cvdT 流動仕事,流動エネルギ,pv 流体を系に押込む・押出すために               必要な仕事 物質に貯蔵されるエネルギではない. 比エンタルピ h [kJ/kg] h=u+pv , dh=cpdT 理想気体の場合 Q 工業仕事 m Wt 開いた系 p1,v1, w1,u1 p2,v2, w2,u2 z1 z2 理想気体の場合

開いた系のエネルギー保存2 ※ δQ = dU + pdV = dH - Vdp 流動系のエネルギー保存 熱力学の第1法則 閉じた系 運動・位置エネルギを無視できる場合 工業仕事 m Wt 開いた系 p1,v1, w1,u1 p2,v2, w2,u2 z1 z2 熱力学の第1法則 閉じた系 開いた系 ※ δQ =  dU + pdV  =  dH - Vdp 内部エネ ルギ増分 絶対 仕事 エンタル ピ増分 工業 仕事 入熱量

答3-5 エンタルピーH の定義は次のうちのどれか. U は内部エネルギー, p は圧力,V は体積, T は温度,S はエントロピーである. ① H = U + pT ② H = U + pV ③ H = U + TV ④ H = U + TS

問3-4 閉じた系に対して,温度 T 一定の下で,熱量 Q を与えたときのエントロピーの変化を表す法則 DS  Q / T を何と呼ぶか. ① 熱力学の第0法則 ② 熱力学の第1法則 ③ 熱力学の第2法則 ④ 熱力学の第3法則

熱力学第2法則 系の変化の方向を示す 熱は温度の高い方から温度の低い方に伝わる エントロピーの法則 dS = δQrev / T dS  δQ / T dS = (δQ / T ) + dSgen 可逆変化の場合 不可逆変化の場合(等号は可逆変化の時) dSgen  0 熱の出入りによるエントロピー輸送 不可逆性によるエントロピー生成

熱力学第2法則から導かれる式 dS = δQrev / T δQrev = TdS ⇒ δQ = TdS , δq = Tds 可逆変化の時 ★ 可逆断熱変化   では dS = 0 dS = δQrev / T δQrev = TdS    ⇒ δQ = TdS ,   δq = Tds 温度T で、熱量δQrevが系に流入した時、 系のエントロピーがdS だけ増減する。 変形すると 可逆変化が自明の時、revを省略 熱力学の第2法則から導かれるエントロピーの式

T Q W エントロピーとは? 可逆過程 可逆なカルノーサイクル ミクロな統計力学 マクロな熱力学による エントロピーの定義 ミクロな 状態の数 T Q W 可逆なカルノーサイクル

エントロピーとは? 不可逆過程 温度の異なる2つの物体AとBを接触させると(仕事をさせずに), AとBの 熱容量が 等しい時 Q 平衡状態へ

答3-4 閉じた系に対して温度 T 一定の下で熱量 Q を与えたときのエントロピーの変化を表す法則 DS  Q / T を何と呼ぶか. ① 熱力学の第0法則 ② 熱力学の第1法則 ③ 熱力学の第2法則 ④ 熱力学の第3法則

熱力学第3法則 絶対零度でエントロピーはゼロになる 絶対エントロピー 系のエントロピーに関しては,相対値ではなく絶対値を求めることができる.

状態量 熱力学的平衡状態にある系の状態を記述する物理量 温度 T 圧力 p 体積 V 密度 r 内部エネルギー U エンタルピー H エントロピー S     等                  

示量性状態量と示強性状態量 示量性状態量 体積 V 内部エネルギー U エンタルピー H エントロピー S 示強性状態量 温度 T 圧力 p 密度 r 系A 系A VA, TA … VA, TA … 系2A V2A= VA+VA T2A = TA …

ペアになる状態量 圧力 p と体積 V pV or pdV 温度 T とエントロピー S TS or TdS pV, TS ともにエネルギーの単位 (示強性状態量)×(示量性状態量) ※ 熱力学の第1法則(微小変化) δQ = dU +δW  TdS = dU + pdV = dH - Vdp 熱力学の 第2法則

問3-6 図に示すように,高温熱源1から熱量Q1をもらい低温熱源2に熱量Q2を捨てて外部に仕事W するサイクル(熱機関)がある.このサイクルの効率hは次のどれか. ① h = Q1 / W ② h = Q2 / W ③ h = W / Q1 ④ h = W / Q2 熱源1 熱源2 Q1 Q2 W

熱機関の熱効率 サイクル(熱機関)は系に熱を加えて,仕事を取り出すことを目的としていることが多い. 「加えた熱量に対して,どのくらい多くの仕事を取り出せたか」がサイクル(熱機関)の性能評価と考えられる. 高温熱源1 低温熱源2 Q1 Q2 W h = W / Q1= (Q1 - Q2)/Q1 = 1- Q2 /Q1 (エネルギー保存則:Q1= W + Q2)

冷凍サイクルの成績係数 冷凍サイクルは系に仕事を加えて,熱源2(冷蔵庫)から熱を奪い取ることを目的としている. 「加えた仕事に対して,どのくらい多くの熱量を奪い取ることができたか」が冷凍サイクルの性能評価と考えられる. 成績係数 高温熱源1 Q1 W Q2 低温熱源2 COP = Q2 / W (Q1= W + Q2)

答3-6 図に示すように,高温熱源1から熱量Q1をもらい低温熱源2に熱量Q2を捨てて外部に仕事W するサイクル(熱機関)がある.このサイクルの効率hは次のどれか. ① h = Q1 / W ② h = Q2 / W ③ h = W / Q1 ④ h = W / Q2 高温熱源1 低温熱源2 Q1 Q2 W

熱機関の原理 (永久機関とは?) ヒートポンプ・冷凍機 系 熱機関 高温熱源 T 1 高温熱源 T 1 Q 1 Q 1 系 機械的仕事   系    機械的仕事 Q 2 低温熱源 T 2 ヒートポンプ・冷凍機    高温熱源 T 1         Q 1      系    Q 2    低温熱源 T 2 系(熱機関) ◎ 熱力学の第1法則:エネルギーの保存   第1種の永久機関 ◎ 熱力学の第2法則:効率の限界 第2種の永久機関 熱効率 矛盾

熱機関とエントロピー 可逆サイクル 不可逆サイクル 高温熱源 T 1 高温熱源 T 1 DS1 Q1 DS1 Q1 DSgen W' W ・熱機関では     熱量とエントロピーを高温熱源から受取り,低温熱源へ排出し,  仕事を取出す. ・不可逆現象が生じると  系内でエントロピ生成(DSgen>0)があるが,  系のエントロピ変化は0なので,このエントロピ生成分を排出するために廃熱が増え,その分仕事が減る. ・系内のエントロピ変化は0であり,不可逆過程を含むと熱源を含む全系のエントロピは増加する. 熱機関とエントロピー 可逆サイクル 不可逆サイクル 高温熱源 T 1 高温熱源 T 1 DS1 Q1 DS1 Q1 DSgen W' W Q2 DS2' DS2 Q2' 低温熱源 T 2 低温熱源 T 2 第1法則:Q1=W+Q2 第2法則:系ではDS=Q1/T1-Q2/T2=0,  全系ではDStotal=-Q1/T1 + DS + Q2/T2 = 0 第1法則:Q1=W'+Q2' 第2法則:系ではDS=Q1/T1+DSgen-Q2'/T2=0,   全系ではDStotal=-Q1/T1+DS+Q2'/T2 = DSgen              =(Q2'-Q2)/T2=(W-W')/T2 > 0 高温熱源 サイクル内 低温熱源

問3-7 理想気体が断熱変化するとき状態変化を表す式は次のどれか. p は圧力,r は密度,R は気体定数,g は比熱比,T は温度である. ① p /r g = const. ② pT g = const. ③ p /r g -1 = const. ④ pT = const.

可逆変化における状態量変化 h = u + pv du = dq - dw dh = du + d(pv) du=Tds – pdv = Tds - pdv + pdv + vdp dh = Tds + vdp cpdT=Tds + vdp (dh = cpdT) du = dq - dw du=Tds – pdv cvdT=Tds – pdv (du =cvdT) 熱力学の第2法則のエントロピーの式 理想気体の場合 理想気体の場合

状態変化のまとめ(単位質量当たり) 熱力学の第1法則(微小変化)+第2法則 δq = du +δw  Tds = du + pdv = dh - vdp du = Tds - pdv , dh = Tds + vdp   du = cvdT ⇒ u = cvT dh = cpdT ⇒ h = cpT cp - cv = R , cp =γR/(γ-1) , cv =R/(γ-1) ∵ dh = du + d (pv) = du + RdT cpdT = cvdT+RdT (dTを消去すれば上式) 理想気体の場合 g は比熱比

可逆断熱変化(等エントロピー変化) ds = 0 du=cvdT=Tds – pdv dh=cpdT=Tds + vdp 理想気体の場合 ds = 0 du=cvdT=Tds – pdv dh=cpdT=Tds + vdp cvdT= - pdv (ds=0) cpdT= vdp (ds=0) cp / cv= g → cp = g cv g cvdT=g (-pdv)= vdp g pdv+ vdp = 0 dp/p + g dv/v = 0 log p + g log v         = const. log pvg = const. pvg = const. p/r g = const. p = r RT pT = const.

可逆断熱変化(等エントロピー変化) 別の導出方法 可逆断熱変化では ds = 0 なので du = Tds - pdv 理想気体の場合

答3-7 理想気体が断熱変化するとき状態変化を表す式は次のどれか. p は圧力,r は密度,R は気体定数,g は比熱比,T は温度である. ① p /r g = const. ② pT g = const. ③ p /r g -1 = const. ④ pT = const.

問3-8 理想気体の断熱音速aを表す式は次のうちどれか.p は圧力,R は気体定数,g は比熱比,T は温度である. ① ② ③ ④

音速 微小圧力じょう乱の伝播速度 微小変化であることから,等エントロピー変化(可逆断熱変化)と考えることができる 音速 a の定義式 空気@300℃では,g =1.4, R=287 [J/(kg·K)] → a = 347.2 m/s

音速の導出 a + dw 速度 a p + dp 圧力 p 密度 r r + dr エントロピs s + ds 波面 速度 a 圧力 p 密度 r エントロピs a + dw p + dp r + dr s + ds 1次元的な微小擾乱波面が速度 a で進行 波面に固定した座標系 連続の式 運動量保存の式 二つの式から dw を消去して整理すると 音波の波面を通る流れ dw/a≪1,微小擾乱

音速の導出 音波を通過する時のエントロピー変化 音速 a の定義式 理想気体の等エントロピ変化では dp/p≪1,dr/r≪1

答3-8 理想気体の断熱音速aを表す式は次のうちどれか.p は圧力,R は気体定数,g は比熱比,T は温度である. ① ② ③ ④

問3-9 p – V 線図上で理想気体の等温変化はどのように図示されるか. ① ② p V p V ④ ③ p V p V

可逆変化(理想気体) 等温変化(dT=0) 等圧変化(dp=0) 加えた熱量=取り出す仕事

答3-9 p – V 線図上で理想気体の等温変化はどのように図示されるか. ① ② ④ ③ pV=const. T:大 双曲線 p p V

問3-10 図に示すサイクルのなす仕事を表す図はどれか. p V ① ② p V p V ④ ③ p V p V

仕事 準静的過程(可逆過程) p = pext 図の青色部の面積が仕事を表す. 仕事は状態量ではない! p pext p a W1-->2 図の青色部の面積が仕事を表す. 仕事は状態量ではない! a v

仕事 過程a(1→2) 過程b(2→1) サイクルの仕事 p Wa v p Wb’ v p W DWb‘ v 1 a 2 1 b’ 2 1

答3-10 図に示すサイクルのなす仕事を表す図はどれか. p V ① ② p V p V ④ ③ p V p V