V. 開放経済のマクロ経済学
第13章 開放マクロ経済学: 基本的概念 「交易はすべての人々をより豊かにする」 比較優位 閉鎖経済 開放経済
1.財と資本の国際フロー 財のフロー:輸出、輸入および純輸入 金融資産のフロー 純輸出=輸出-輸入(=貿易収支) 貿易黒字 貿易赤字 貿易収支均衡 金融資産のフロー
純輸出と純資本流出の均衡 純資本流出(NCO)はつねに純輸出(NX)に等しい NCO=NX
貯蓄、投資、およびこれらの国際的フローの関係 Y=C+I+G+NX ⇔Y-C-G=I+NX ⇔S=I+NX ⇔S=I+NCO
実際には…(2010年の日本) 貯蓄S= 110.6 I 貿易収支 NX 純資本流出NCO =17.3 経常収支
2.国際取引にとっての価格: 実質為替相場と名目為替相場 ある国の通貨を他の国の通貨と取引できる相場のこと (例 1ドル=80円) 実質為替相場 ある国の財・サービスと他の国の財・サービスを取引する際の相場 自国財と外国財の相対価格を意味する
3.為替相場の最初の理論: 購買力平価 購買力平価(PPP)の基本理論 一物一価の法則 裁定
購買力平価の意味合い もしドルの購買力がつねに自国と外国で同じであれば、実質為替相場はつねに1である 購買力平価説に従えば、2国間の通貨の間の名目為替相場は、これらの国の物価水準の相違を反映するはずである 中央銀行が大量の貨幣(紙幣)を印刷すると、その通貨は、その貨幣で買える財・サービスと、その貨幣で買える外国通貨のどちらに対しても価値を減らすことになる
購買力平価の限界 容易に貿易できない財が多くある たとえ貿易が可能な財でも、異なる国で生産されると必ずしも完全代替ではない
PPPレートと1人当たりGDP(先進国) =実質為替相場
PPPレートと1人当たりGDP(途上国) =実質為替相場
第14章 開放経済のマクロ経済理論 1.貸付資金と外国為替の需要と供給 貸付資金市場(S=I+NCO) 貸付資金の供給 実質利子率 均衡実質 第14章 開放経済のマクロ経済理論 1.貸付資金と外国為替の需要と供給 貸付資金市場(S=I+NCO) 貸付資金の供給 実質利子率 均衡実質 利子率 貸付資金の需要 0 均衡取引量 貸付資金量
外国為替市場 NCO=NX (純資本流出からの) ドルの供給 実質 為替相場 均衡実質 為替相場 (純輸出のための) ドルの需要 0 均衡取引量 ドルと外国通貨の 交換量
2.開放経済における均衡 純資本流出:二つの市場を結びつける変数 純資本流出が利子率に依存する程度 実質利子率 0 純資本流流出
二つの市場の同時均衡 (a)貸付資金市場 (b)純資本流出 実質 利子率 実質 利子率 供給 需要 純資流出 貸付資金量 純資本流出 実質 為替相場 供給 需要 ドルの量 (c)外国為替市場
3.政策や出来事は開放経済に どのような影響を及ぼすか 財政赤字 (b)純資本流出 実質 利子率 実質 利子率 ① 供給 ② ③ 需要 純資本流出 貸付資金量 純資本流出 (a)貸付資金市場 実質 為替相場 供給 ④ (c)外国為替市場 需要 ドルの量
貿易政策(輸入割当の影響) (a)貸付資金市場 (b)純資本流出 実質 利子率 実質 利子率 供給 需要 純資本流出 貸付資金量 純資本流出 為替相場 供給 ① ② 需要 ドルの量 (c)外国為替市場
政治的不安定性と資本逃避 (a)貸付資金市場 (b)純資本流出 実質 利子率 実質 利子率 ① 供給 ③ ② 純資本流出 需要 貸付資金量 為替相場 供給 ④ ⑤ 需要 ペソの量 (c)外国為替市場