1.報道の意義 2.ニュースと現実の関係 3.マス・メディアと民主主義 “報道”について考える 1.報道の意義 2.ニュースと現実の関係 3.マス・メディアと民主主義
1.報道の意義 (1)報道とは ニュースを報道すること=ジャーナリズム つまり、新聞・放送などのマス・メディアにより時事的な情報や解説を人々に伝達すること。 報道内容は多岐にわたる。 (2)マス・メディアにおける報道の比重 新聞:報道が中心と考えてよい 放送メディア:報道(20%)<娯楽(40%) 教養(25%)、教育(12%)
①環境監視機能(ラスウェル, 1968) (2)メディアとしての報道機能 ①速報性:ニュースの第一報を即座に伝える。 ②詳報性:調査報道やインサイド・ストーリーの発掘 に重点をおき、ニュースをさまざまな角度から報 道する。 ③解説性:ニュースを社会全体の文脈の中に位置 づける。 (3)報道=マス・コミュニケーションとしての機能 ①環境監視機能(ラスウェル, 1968) ある社会の内外で生じた出来事を人々に知らせ、それへの対応を促す。受け手に満足をもたらすこともある。
②世論喚起・形成機能 社会的出来事をニュースとして報じることによって、その出来事の存在を人々に知らせるだけではなく、それに対する人々の関心を高め、賛成、反対、無関心などの態度や意見の形成を促している。 適切な社会的反応を作り出すことを試みている。 ③教育と社会化の機能 社会で公認されたあるいは社会を支配する価値観や規範を伝達している。 受け手の社会的適応を促す。
3.ニュースと現実の関係 ニュース←客観的な現実世界の出来事 すなわち、マス・メディアにおけるニュースは“客観的に報道されるもの” しかし、ニュースは受け手が直接体験できない出来事を、ニュース素材の取捨選択を経て伝えている。 =送り手によって「構成される現実」 受け手はニュースを選択的に受容する =受け手によって「再構成される現実」 →受け手は「疑似環境」を頭の中に作り上げ、人々 はそのような「疑似環境」を共有する。 →我々はこの「疑似環境」に基づき行動する。
現実 疑似環境 受け手が再構成する現実 送り手が構成する現実 図1 現実・構成される現実・疑似環境の関係
3.マス・メディアと民主主義 DVD視聴 マス・メディアは民主主義を実現できるか? 民主主義社会におけるマス・メディアとは? 「チョムスキーとメディア ―マニュファクチャリング・コンセント」
以下のことを考えてみよう。 (1)民主主義社会におけるマス・メディアは誰 の支配下にあるか。 (2)マス・メディアは誰のためのものか。 (3)マス・メディアの情報源は誰/何か。 (4)マス・メディアの攻撃対象/敵は誰か。 (5)大衆は権力を批判するのにどんなツール を使うことができるか。
参考文献 チョムスキー, N.、 鈴木主税(訳) (2003) メディア・コントロール 集英社新書(Chomsky, N. (1991) Media Control: The Spectacular Achievements of Propaganda. Seven Stories Press.) チョムスキー, N.、 本橋哲也(訳) (2008) メディアとプロパガンダ 青土社(Chomsky, N. (2004) Letters from Lexiton: Reflection on Propaganda. Sheridan Square Press, Inc. and the Institute for Media Analysis, Inc.) 猪俣征一 (2006) 実践的新聞ジャーナリズム入門 岩波書店 リップマン, W. 掛川トミ子(訳) 世論(上・下) 岩波書店
McCombs, M. E. & Show, D. L. (1972) the agenda-setting function of mass media. Public Opinion Quarterly, 36, 176-187. ノエルーノイマン, E. 池田謙一(訳) (1988) 沈黙の螺旋理論 ブレーン出版社 大石裕・岩田温・藤田真文 (2000) 現代ニュース論 有斐閣アルマ ラスウェル, H. 本間康平(訳) (1968) コミュニケーションの構造と機能 学習院大学心理学研究(訳)W.シュラム(編) 新版 マス・コミュニケーション 東京創造社 田村紀雄・林利隆 (1993) ジャーナリズムを学ぶ人のために 世界思想社 タックマン, G.(著) 鶴木眞・櫻内篤子(訳) (1991) ニュース社会学 三嶺書房(Tuchman, G. (1978) Making News. The Free Press.)