心理実験における データ分析 Q&A 平成15年12月3日(水) スポーツ心理学会第30回大会 ラウンドテーブルディスカッション

Slides:



Advertisements
Similar presentations
第2章 なぜ発達心理学を学ぶのか? 道案内 1 準備 (0) 授業を始める前に * (1) 発達心理学とはどんな学問か? 2 知覚の発達 (3) 子供に世界はどう見えるか? 3 認知の発達 (4) 子どもはものごとをどう理解するか (5) 子どもは心をどう理解するか 4 感情の発達 (6) 子どもに愛情を注ぐこと.
Advertisements

●母集団と標本 母集団 標本 母数 母平均、母分散 無作為抽出 標本データの分析(記述統計学) 母集団における状態の推測(推測統計学)
シーケンス図の生成のための実行履歴圧縮手法
心理的ストレスに対する心臓血管反応 ー認知的評価の導入ー 社会精神生理学への招待 日本大学大学院理工学研究科 山田クリス孝介
フレームディアスの使い方 動作解析ソフトウエア
再帰定量化解析による非線形時系列解析の手順
時系列の予測 時系列:観測値を時刻の順に並べたものの集合
データの分析 東京大学大学院 門田宏 時系列解析の応用 東京大学の門田です。 よろしくお願いします。
  個人投資家向け株式分析   と予測システム A1グループ  劉 チュン.
補章 時系列モデル入門 ー 計量経済学 ー.
コメント 「ファセット・アプローチの 魅力とパワー」
マルチジャンプテスター の使い方.
「原子核と電磁場の相互作用」 課題演習A3 原子核が電磁場中で感じる超微細な相互作用
第3章 「やる気」の心理学.
エージェントモデル シミュレーション.
音声からの心的状態の推定における 生理心理学的アプローチの導入
第37回日本看護研究学会学術集会 シンポジウムII 20011/8/8(月)(デブの日)14:40~16:40 中山和弘(聖路加看護大学)
生物統計学・第3回 全体を眺める(2) 主成分分析
米山研究室紹介 -システム制御工学研究室-
疫学概論 母集団と標本集団 Lesson 10. 標本抽出 §A. 母集団と標本集団 S.Harano,MD,PhD,MPH.
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
ソシオン理論における 三者関係のシミュレーション
クロストーク成分の相互相関に 着目した音場再生システム
大阪工業大学 情報科学部 情報システム学科 宇宙物理研究室 B 木村悠哉
顔表情認識のための顔特徴点抽出 徳島大学 大学院 工学研究科 長野 信男.
異種センサを用いた人の行動検知 研究概要 研究の独自性 isi担当 高汐グループ成果 スライド到着待ち yasu担当.
情報システム演習B 論文講読 『知識マップ上での同学習における 携帯端末を用いた成的評価に関する研究』
データ分析入門(13) 第13章 主成分分析 廣野元久.
「教育工学をはじめよう」  第2章     学会発表に向けて     プロポーザルを書く 発表 菊池 陵  皂 智樹.
ベイズ基準によるHSMM音声合成の評価 ◎橋本佳,南角吉彦,徳田恵一 (名工大).
ワークショップ ユーザーとメーカーの公開相談会
中距離走におけるバウンディング トレーニングの有効性について
春の統計学・計量経済学勉強会 第1回:2017年2月21日(火) 市野泰和
補章 時系列モデル入門 ー 計量経済学 ー.
脳活動に関するデータ データの種類 データの特徴 脳波・脳磁図・fMRI画像 脳活動とパフォーマンスの関係はきわめて冗長。
基本姿勢と態度 専門職のビジネススキル レポート作成の基本 ③図表の使い方.
情報管理論 2018/11/9 情報分析の道具 2018/11/9 情報分析の道具 情報分析の道具.
ソースコードの変更履歴における メトリクス値の変化を用いた ソフトウェアの特性分析
4章までのまとめ ー 計量経済学 ー.
スピーキングタスクの繰り返しの効果 ―タスクの実施間隔の影響―
Bottom-UpとTop-Down アプローチの統合による 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
NTTコミュニケーション科学基礎研究所 村山 立人
米山研究室紹介 -システム制御工学研究室-
卒論の書き方: 参考文献について 2017年9月27日 小尻智子.
指標の数と信頼性・ 内容的妥当性 指標の数は多いほうがよい.
社会シミュレーションのための モデル作成環境
ETPB:歩行者行動コンテクストの抽出 申請学生1: 諸富 賢 総合政策学部3年 申請学生2: 佐藤 文啓 環境情報学部1年
数量分析 第2回 データ解析技法とソフトウェア
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 亀田弘之
再討論 狩野裕 (大阪大学人間科学部).
A4-2 高強度レーザー テーマ:高強度レーザーと物質との相互作用 井上峻介 橋田昌樹 阪部周二 レーザー物質科学分科
第12回授業(12/18)の目標 ANOVA検定の実習 WEB を用いたANOVA検定と、授業で行った検定結果の正誤の確認方法(宿題)
コードクローン分類の詳細化に基づく 集約パターンの提案と評価
Bottom-UpとTop-Down アプローチの組み合わせによる 単眼画像からの人体3次元姿勢推定
1.因子分析とは 2.因子分析を行う前に確認すべきこと 3.因子分析の手順 4.因子分析後の分析 5.参考文献 6.課題11
データ解析 静岡大学工学部 安藤和敏
クロス表とχ2検定.
オブジェクトの協調動作を用いた オブジェクト指向プログラム実行履歴分割手法
高次元データにおける2次形式の近似について
対象:せん断補強筋があるRCはり(約75万要素)
イメージや意識通りの動きの習得 ~野球の打撃において~
ロボットから人に話しかける 判断モデルの構築
エイリアス関係を考慮した Javaプログラム用静的スライシングツール
宿題を提出してください. 配布物:ノート 3枚 (p.49~60), 中間アンケート, 解答用紙 3枚 (1枚は小テスト,2枚は宿題用)
確率的フィルタリングを用いた アンサンブル学習の統計力学 三好 誠司 岡田 真人 神 戸 高 専 東 大, 理 研
低速小型多価イオンビーム装置の開発 ~イオンビーム偏向器、及びビームプロファイルモニター~
Report about JPS in Okayama-University
確率的フィルタリングを用いた アンサンブル学習の統計力学 三好 誠司 岡田 真人 神 戸 高 専 東 大, 理 研
一問一答式クイズAQuAsにおける学習支援の方法
Presentation transcript:

心理実験における データ分析 Q&A 平成15年12月3日(水) スポーツ心理学会第30回大会 ラウンドテーブルディスカッション スポーツ心理学会第30回大会 ラウンドテーブルディスカッション 心理実験における データ分析 Q&A 東京大学 工藤和俊

論文作成の手順 論文 着想 作業 結果 こんなことが言いたい/知りたい、こんなことが言えれば面白いという論旨明快なアイデア 器具作成 実験 測定 プログラミング データ分析 アイデアを支持する結果 分かりやすいグラフ 論文

スポーツ心理学会会員相互にできること 着想 作業 結果 着想の提供 分析方法の提案 解釈の示唆 こんなことが言いたい/知りたい、こんなことが言えれば面白いという論旨明快なアイデア 器具作成 実験 測定 プログラミング データ分析 アイデアを支持する結果 分かりやすいグラフ 着想の提供 分析方法の提案 解釈の示唆

発表概要 1. 実験データの種類 2. データからの情報抽出・実験例 2.1 複数レベル間の関係     2.1 複数レベル間の関係 2.1.1 動作のキネマティクス・ダイナミクス 2.1.2 筋活動 2.1.3 脳活動     2.2 時系列という情報 3. 非線形時系列解析法     4.1 フラクタル解析     4.2 再帰定量化解析 4. まとめ

発表概要 1. 実験データの種類 2. データからの情報抽出・実験例 2.1 複数レベル間の関係     2.1 複数レベル間の関係 2.1.1 動作のキネマティクス・ダイナミクス 2.1.2 筋活動 2.1.3 脳活動     2.2 時系列という情報 3. 非線形時系列解析法     4.1 フラクタル解析     4.2 再帰定量化解析 4. まとめ

実験によって得られる様々なデータ 実験データ ・ パフォーマンス ・ 内観報告 ・ 動作のキネマティクス ・ 動作のダイナミクス ・ 筋活動 ・ 脳活動 実験データ → 運動心理学 → バイオメカニクス → 運動生理学 → 脳神経科学

動作経過に関する実験データの特徴 膨大である 変動が大きい パフォーマンスに対して冗長性をもつ 物理学的・生理学的要因を考慮する必要がある 非線形性をもつ

発表概要 1. 実験データの種類 2. データからの情報抽出・実験例 2.1 複数レベル間の関係     2.1 複数レベル間の関係 2.1.1 動作のキネマティクス・ダイナミクス 2.1.2 筋活動 2.1.3 脳活動     2.2 時系列という情報 3. 非線形時系列解析法     4.1 フラクタル解析     4.2 再帰定量化解析 4. まとめ

複数レベルにわたる データ分析から分かること 複数のレベルに存在する多数の冗長な自由度がレベル内およびレベル間で如何に協応するか分析できる。 パフォーマンスの背景にある力学的・生理学的プロセスを検討することができる。 概念的ではなく、力学的・生理学的妥当性をもつ(身体性をもつ)心理学的理論を構築する一助となる。

動作のキネマティクスとダイナミクスに関するデータ データの種類 動作のキネマティクス 動作のダイナミクス 筋活動 脳活動 動作のキネマティクスとダイナミクスに関するデータ データの種類 位置・速度・加速度・躍度・角度・角速度・角加速度 筋トルク・相互作用トルク・外力 データの特徴 キネマティクス/ダイナミクスはパフォーマンスに対して冗長な自由度をもつ。 動作は筋トルクだけでは決まらない。 多関節動作のダイナミクスは、単関節動作のダイナミクスとは異なる。 相互作用トルクの利用により、動作はダイナミックに安定する。

冗長性な自由度を利用することにより多様な動作は再現性の高い動作よりも正確になりうる 実験設定  ( )3 リリース変数の協応の指標の算出法 実験結果  Kudo, Tsutsui, Ishikura, Ito, & Yamamoto, J. Mot. Behav. (2000), 工藤(2003)

論文作成手順 作業 ( )3 結果 着想 学習に伴い冗長な自由度の利用性が向上

冗長な自由度の利用性は リーチング動作でも定量化できる 2次元でプロットした協応マップ SD of Drand(tall ,t1 ) IC(tall ,t1)= SD of Dreal(tall ,t1 ) n tall t1 単関節リーチング動作の 角度変化と協応の指標 工藤 (未発表データ)

相互作用トルクは 速さと正確さの実現に貢献する 実験設定  相互作用トルクの算出 実験結果  Hirashima, Kudo, & Ohtsuki, J. Neurophysiol. (2003)