財政-第26講 6.社会保障財政(7) 2008年7月8日 第2限.

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1 財政-第 21 講 6. 社会保障財政 (2) 2008 年 6 月 24 日 第 1 限. 2 公的年金②  日本の公的年金制度 ( 続 )  負担と給付の現状 ( 1) 保険料 ( 率 ) (2) 国庫負担 (3) 給付額 (4) 支給開始年齢  国際比較.
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1 経済学-第 12 回 年金① 2008 年 6 月 27 日. 2 社会保険における年金 日本の公的年金制度  現行の制度体系  負担と給付の現状 (1) 保険料 ( 率 ) (2) 国庫負担 (3) 給付額 (4) 支給開始年齢.
第 13 章 制度設定の変更が必要な 社会保障制度. 社会保障制度の重要性と それに対する根強い不安感 不景気の一因 不景気の一因 1997 年以降 かつてない不況 原因 ① 消費税率の引き上げ 原因 ① 消費税率の引き上げ ② タイや韓国を中心とした アジアの通 貨危機 アジアの通 貨危機 ③ 山一證券の経営破綻に代表さ.
第7章 高齢者がいきいきと安心して 暮らせる社会の実現 前田唯衣. 介護保険制度運用 介護保険制度の創設( 2000 年 4 月) 介護保険制度の創設( 2000 年 4 月)  持続可能な制度の構築  認知症高齢者や一人暮らし高齢者への 対応  2005 年介護保険法改正.
平成22年度収支決算 (平成23年7月25日) 日本合成化学健康保険組合 <一般勘定> ・収入 922百万円 ・支出 794百万円 収支差額 128百万円 経常収支 123百万円(対予算 +102 、対前年 +257 ) <介護勘定> ・収入 80百万円 ・支出 62百万円 収支差額 18百万円(対予算.
年金の基礎年金部分は 全額税方式か、全額保険料か? 椎野、鈴木、篠崎、畑 全額税方式派. 我々の主張 ① 無年金者、低年金者がいな くなる! ②税方式なら将来的にも財源 調達可能! ③国民の負担が重くなる! ① 無年金者、低年金者がいな くなる! ②税方式なら将来的にも財源 調達可能! ③国民の負担が重くなる!
全日本民医連 介護・福祉部 1 「利用者負担増」のメニューが目白押し ○ 利用料の引き上げ(2割負担) ○ 居住費徴収対象の拡大 ○ 補足給付要件の厳格化 ○ ケアプランの自己負担導入 ○ 軽度者の「2割負担」か「生活援助外し 」 地域包括ケアの実現に向けた 新たな施策の提案 ○ 地域包括ケア関連の施策.
1 医療機関の窓口で保険証を提示 <保険証をお届けする時期> ○ 平成20年3月31日の時点で75歳になっている方 ⇒ 3月末までに1人1枚の後期高齢者医療の保険証をお渡しします。 ○ 平成20年4月1日以降に75歳の誕生日を迎える方 ⇒ 75歳の誕生日を迎える日までに後期高齢者医療の保険証をお渡しします。
利用者負担の更なる軽減 【障害児のいる世帯】. 1 障害児のいる世帯の利用者負担の見直しについて ○ 障害児のいる世帯の負担軽減措置について、保護者など家庭の負担が大きいといった事情に 配慮 し、次の措置を講じる。(平成19年度実施) ① 1割負担の上限額の引下げ(現行2分の1 → 4分の1)(通所施設・在宅サービス利用児.
2005/2/23 長野県経営者協会 1 これからの税財政・社会保障 と 企業の対応 2005 年 2 月 23 日 日本経団連 藤原清明.
1 財政-第 22 講 6. 社会保障財政 (3) 2008 年 6 月 24 日 第 2 限. 2 公的年金③  今後の課題-公的年金制度全般に関して-  将来の給付水準見通し  厚生年金と共済年金の一元化  社会保険方式から税方式への移行  制度上の問題点  未納・未加入問題.
1 経済学-第 13 回 年金② 2008 年 7 月 4 日. 2 日本の公的年金制度 ( 続 )  今後の課題-公的年金制度全般に関して-  将来の給付水準見通し  社会保険方式から税方式への移行  制度上の問題点  国民年金保険料未納問題.
社会保障費班 前期最終研究成果発表 〜社会保障費の削減の可能性〜 Shimane.K Ikehara.K Matsumoto.D
少子高齢化社会と年金 澤崎 下村 戸田 山川 中京大学総合政策学部 大森ゼミⅱ. 労働力の枯渇 生産年齢人口の減少 参照 平成 25 年度総務省「人口統計」 現状 高齢者を労働力として活躍させよう.
1 経済学-第 14 回 年金③ 2008 年 7 月 11 日. 2 日本の公的年金制度 ( 続 )  制度上の問題点 ( 続 )  国民年金第 3 号被保険者問題  離婚のリスクと年金分割.
1 保険料の軽減措置① 【所得の低い方への軽減措置】 所得の低い方は、保険料の均等割額が、所得の水準にあ わせて、 7 割・ 5 割・ 2 割のいずれかで軽減されます。 その軽減割合は、同一世帯内の被保険者及び世帯主の総所得金額等を 基に、以下の基準で判定します(①公的年金控除= 120 万円、②高齢者.
厚生白書 各国の社会保障制度 ~スウェーデン・イギリス・アメ リカ~ 971221 波多野宏美. スウェーデン v 所得保障(年金制度) – 国民基礎年金(FP) 65 歳に達したすべての国民に定額の年金を支給65 歳に達したすべての国民に定額の年金を支給 – 国民付加年金(ATP) 従前の所得(稼得所得の高い.
1 経済学-第 9 回 医療保険① 2008 年 6 月 6 日. 2 日本の公的医療保険  制度の目的  制度体系  給付と負担.
~国民経済的な視点から見た社会保障~ 2000/6/14 木下 良太
日本の医療制度: 漸進的調整を続けるべきか?
財政-第20講 6.社会保障財政(1) 2008年6月17日 第2限.
 公的年金・定年  引き上げの是非 小瀬村  柏嶋 阿部  藤田.
最低賃金1000円の是非.
社会保障論講義 2章「本当に重要なことだけを必要最小限にまとめた社会保障入門」3、4節
医療制度とその改革.
後期高齢者医療制度の財政の仕組み 自 己 負 担 《交付》 保険料 保険料 広域連合が各医療機関に支払う医療費
医療型入所施設(療養介護、重症心身障害児施設等)の費用負担
資格取得日 制度開始前に75歳になっている方     平成20年3月31日の時点で、75歳以上で老人保健制度を適用されている方は、平成20年4月1日です。 制度開始後に75歳を迎える方     平成20年4月1日以降に75歳の誕生日を迎える方は、誕生日から後期高齢者医療の被保険者となります。 例:平成20年9月15日に75歳になる.
医療制度改革 2002.11.9 ~徹底した効率化を目指して~ 専修大学3年 原田ゼミナール 「医療改革パート」 星卓巳 沼本和俊 勝又良和
あなたの負担はこうなります(自立支援医療)
ベーシックインカム導入の是非 肯定派 神谷・棚倉・水田・安塚.
後期高齢者医療制度に関するQ&A Q1 後期高齢者医療制度は、なぜ創設されるのですか? ○ ○
消費税10%導入の是非                    肯定派 大岸・福田・山田.
社会保障論講義 5章「社会保障制度の積立方式への移行」医療、介護編
年金・定年引き上げの是非 否定派 棚倉 彩香 林 和輝 西山 夏穂 水田 大介.
入所施設における工賃控除の見直しについて
平成18年10月1日から 療養病床に入院する高齢者の 入院時の食費の負担額が変わり、 新たに居住費(光熱水費)の 負担が追加されます
9.医療制度と医療費 1.医療の供給と医療保険       2.医療費  .
後期高齢者医療制度では、生活を支える医療を目指します。
後期高齢者は、どのような医療が受けられるのですか?医療の内容が制限されるようなことはありませんか?
我が国の人口の推移 実績値 (国勢調査) 平成18年推計値 (日本の将来人口推計).
平成28年4月1日から 入院時の食費の負担額が変わり、 新たに調理費の負担が追加されます
高額医療・高額介護合算療養費制度の参考事例
連合が提案する「子育て基金(仮称)」 現行の次世代育成支援制度の課題 1 日本労働組合総連合会(連合)
21世紀の日本の高齢社会と年金問題 テーマ設定について パネルの手法 パネルの議論の流れ
国保制度改革後の国保財政イメージ 国 大阪府 市町村 一般会計 国保特別会計 一般会計 国保特別会計 一般会計 支払基金 国保連 被保険者
障害者自立支援法案について 厚生労働省.
平成20年4月から新しい医療制度が はじまります
平成24年度の健保組合財政の健全化策について <平成24年2月9日開催の組合会で決議された事項の報告>
制度経済学Ⅰ⑫ Q1 健保組合? 協会健保? Q2 健保財政悪化の理由? Q3 「負の連鎖」とはなにか?
経済学-第10回 医療保険② 2008年6月13日.
介護保険財政運営の 今後のあり方について 学習院大学経済学部 鈴木 亘.
都道府県も国民健康保険制度を担うことになりました
特定健診・特定保健指導と 医師会の役割    平成18年12月20日 日本医師会常任理事        内田健夫.
公共経済学 24. 地方分権と政府間の役割分担.
―いのち・暮らしまもれ― いつでも どこでも だれでも 安全・安心の医療・介護を 中央社会保障推進協議会.
経済学-第11回 介護保険 2008年6月20日.
公平・安定的な医療費助成の仕組みの構築(難病に係る新たな医療費助成の制度)
県 1 国保制度改革の概要 国保制度改革の概要(運営の在り方の見直し) 安定的な財政運営等に中心的役割を担う 【現行】 市町村が個別に運営
都道府県も国民健康保険制度を担うことになりました
歯科健診で、 健康寿命を延ばそう! (健診概要)
第7回 社会福祉の法制度.
資料2 石綿による健康被害の救済に関する法律の概要 事業者 国 地方公共団体 (独)環境再生保全機構 石綿健康被害救済基金 環境大臣
財政-第23講 6.社会保障財政(4) 2008年7月1日 第1限.
財政-第25講 6.社会保障財政(6) 2008年7月8日 第1限.
財政-第24講 6.社会保障財政(5) 2008年7月1日 第2限.
参考資料.
運営方針策定に当たり調整会議で決定すべき事項
平成18年10月1日から 療養病床に入院する高齢者の入院時の食費の負担額が 変わり、新たに居住費(光熱水費)の負担が追加されます
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財政-第26講 6.社会保障財政(7) 2008年7月8日 第2限

公的医療保険② 今後の課題(続) 医療保険財政の危機(続) 後期高齢者医療制度の見直し 混合診療

公的医療保険②

今後の課題(続)

医療保険財政の危機(続) 制度改革の方向性(←第25講) ①給付割合の引下げ ⇔一部負担(自己負担)の引上げ ②保険料の引上げ  ⇔一部負担(自己負担)の引上げ ②保険料の引上げ ⇒被保険者(疾病者)の負担が増加 ③医療費の抑制 ⇒被保険者(疾病者)の負担を抑制

①給付割合の引下げ ~2003年3月 健康保険(政管健保,組合健保) 本人:8割-家族:入院8割・外来7割  健康保険(政管健保,組合健保)   本人:8割-家族:入院8割・外来7割   ⇔3歳未満:8割,70歳以上:9割(高所得:8割)  国民健康保険(自営業者,農業者等)   本人:入院8割・外来7割 2008年4月~   本人:7割-家族:7割   ⇔義務教育就学前:8割,70歳以上:8割→1年間凍結?(高所得:7割)   本人:7割

②保険料の引上げ 政管健保 ~1997年8月:月収の8.2% 1997年9月~:月収の8.5%  ~1997年8月:月収の8.2%  1997年9月~:月収の8.5%  2003年4月~:総報酬(月収+賞与)の8.2%  →cf. 2008年10月~:国→都道府県単位に⇒都道府県による差異? 組合健保  2008年度の赤字分穴埋め ⇒現行:7.4%(平均)+0.8%引上げ(平均)?

③医療費の抑制 過剰・非効率医療の見直し X線撮影⇔被曝→発がん 低価格の後発薬(ジェネリック)の普及  →2,800億円~3,200億円/年の医療費削減?

特定健康診査・特定保健指導(2008年4月~)  =メタボ健診 40~74歳→腹囲,血糖値,中性脂肪,血圧 被保険者・家族の受診率向上 (2006年度:42%→2012年度:70%を目標) ⇔受診率の低い被用者保険・国民健康保険   →後期高齢者医療制度への支援金を増額 →メタボ該当者等を25%減(~2015年度) ⇒医療費2兆円の削減

後期高齢者医療制度の見直し 後期高齢者医療制度の導入(2008年4月~) 老人保健制度(~2008年3月)  医療費=給付+自己負担 ※資料25-2      =各保険からの拠出金:50%       公費負担:50% 後期高齢者医療制度(2008年4月~) 医療費=給付+自己負担      =各保険からの支援金:40%       後期高齢者からの保険料:10%

後期高齢者の保険料負担 被用者保険の被扶養者:負担なし  →後期高齢者医療制度の被保険者:負担あり ⇒負担の発生 被用者保険の被保険者:負担あり ⇒低所得者→負担増⇔高所得者→負担減 国民健康保険の被保険者:負担あり

負担の発生 or 低所得者→負担増への対応 (2008年度:年7.2万円→2015年度:年8.5万円?)  ⇒保険料負担の軽減 or 激変緩和措置?   ⇔保険料の収入減は国庫負担でまかなう?  ※医療保険財政の危機への対応   ⇒後期高齢者医療制度(2008年4月~)    =各保険からの拠出金(→支援金)抑制     ⇔後期高齢者に保険料負担

混合診療 保険診療→自己負担+給付 保険外診療(自由診療)→全額自己負担 ※安全性,有効性に問題=原則禁止 混合診療=保険診療+保険外診療  ※安全性,有効性に問題=原則禁止 混合診療=保険診療+保険外診療        →原則全額自己負担 ※安全性,有効性に問題=原則禁止   ex. がん治療=放射線+リンパ球移入  ⇔混合診療原則禁止→違法判決    →自己負担+給付?⇒混合診療が容易に?

第27講の予定 6.社会保障財政(8) 公的介護保険 社会保険における介護保険 現行の制度体系 給付と負担の現状 今後の課題 総括 講義の総括

参考資料の出典等 資料25-2…厚生労働省[2007]『厚生労働白書 平成19年版』 資料25-2…厚生労働省[2007]『厚生労働白書 平成19年版』     http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/07-3/kousei-data/PDF/030203.pdf 参考文献(6.社会保障財政-公的医療保険)   中垣陽子[2005]『社会保障を問いなおす-年金・医療・少子化対策』ちくま新書   池上直己[2006]『ベーシック医療問題<第3版>』日経文庫、日本経済新聞出版社   兪炳匡[2006]『「改革」のための医療経済学』メディカ出版