B: 黒体輻射 2006年10月16日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一

Slides:



Advertisements
Similar presentations
基礎セミ第7章 (1-4) 偏光のしくみと応用 12T5094E 龍吟. 目次 光の偏光とは? 複屈折とは? 偏光を作り出すもの (偏光プリズム、偏光板、位相板)
Advertisements

宇宙ジェット形成シミュレー ションの 可視化 宇宙物理学研究室 木村佳史 03S2015Z. 発表の流れ 1. 本研究の概要・目的・動機 2. モデルの仮定・設定と基礎方程式 3. シンクロトロン放射 1. 放射係数 2. 吸収係数 4. 輻射輸送方程式 5. 結果 6. まとめと今後の発展.
ブラックホール時空での摂動 冨松 彰 御岳セミナー 2011.9.1. 内容 1. Anti-de Sitter (AdS) BH と第1法則 2. BH− 円盤系における電磁波の伝播.
Determining Optical Flow. はじめに オプティカルフローとは画像内の明る さのパターンの動きの見かけの速さの 分布 オプティカルフローは物体の動きの よって変化するため、オプティカルフ ローより速度に関する情報を得ること ができる.
●母集団と標本 母集団 標本 母数 母平均、母分散 無作為抽出 標本データの分析(記述統計学) 母集団における状態の推測(推測統計学)
電子物性第1 第4回 ーシュレーディンガーの波動方程式ー 電子物性第1スライド4-1 目次 2 はじめに 3 Ψがあると電子がある。
生体分子解析学 2017/3/2 2017/3/2 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
電磁気学C Electromagnetics C 7/27講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
自己重力多体系の 1次元シミュレーション 物理学科4年 宇宙物理学研究室  丸山典宏.
コリオリ力の復習資料 見延 庄士郎(海洋気候物理学研究室)
天体物理学 I : 授業の内容 天文学は天体からの光を研究する学問です。 そこでこの授業では、「光」をどう扱うかの基礎を学びます。
天体物理学 I : 授業の内容 天文学は天体からの光を研究する学問です。 そこでこの授業では、「光」をどう扱うかの基礎を学びます。
       光の種類 理工学部物理科学科 07232034 平方 章弘.
授業の内容 天文学は天体からの光を研究する学問です。 そこでこの授業では、「光」をどう扱うかの基礎を学びます。 授業計画は、
電子物性第1 第3回 ー波動関数ー 電子物性第1スライド3-1 目次 2 はじめに 3 電子の波動とは? 4 電子の波動と複素電圧
第5回 黒体放射とその応用 東京大学教養学部前期課程 2013年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
平成25年度 東京工業大学 大学院基礎物理学専攻
第9回 星間物質その2(星間塵) 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
第5回 黒体放射とその応用 東京大学教養学部前期課程 2012年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
学年 名列 名前 福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛 名列____ 氏名________
学部:天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 講義の狙い=天体輻射の基礎的な知識を、 (1) 天文学の学習を始めた学部3年生 と、
平成25年度 東京工業大学 大学院基礎物理学専攻
天体物理学 I : 授業の内容 天文学は天体からの光を研究する学問です。 そこでこの授業では、「光」をどう扱うかの基礎を学びます。
1.Atwoodの器械による重力加速度測定 2.速度の2乗に比例する抵抗がある場合の終端速度 3.減衰振動、強制振動の電気回路モデル
みさと8m電波望遠鏡の性能評価 8m (野辺山太陽電波観測所より) (New Earより) 和歌山大学教育学部 天文ゼミ  宮﨑 恵 1.
第2課 黒体輻射とカラー 2.1. 黒体輻射の式 熱平衡にある振動数νの輻射を考える。 フォトンの個数は常に揺らいでいる
第4回 放射輸送の基礎 東京大学教養学部前期課程 2015年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
第4回 放射輸送の基礎 東京大学教養学部前期課程 2014年冬学期 宇宙科学II 松原英雄(JAXA宇宙研)
中心力の仮想世界 逆二乗+逆三乗 ベルトランの定理を問う
授業の内容 天文学は天体からの光を研究する学問です。 そこでこの授業では、「光」をどう扱うかの基礎を学びます。 授業計画は、
天体物理学 I : 授業の内容 天文学は天体からの光を研究する学問です。 そこでこの授業では、「光」をどう扱うかの基礎を学びます。
天体物理学 I : 授業の内容 天文学は天体からの光を研究する学問です。 そこでこの授業では、「光」をどう扱うかの基礎を学びます。
実習 「太陽の光球面のようすを調べよう」 「太陽の黒点の温度を求めよう 」
5.3 接地アンテナ 素子の1つを接地して使用する線状アンテナ 5.3.1 映像アンテナと電流分布
第3課 カラー 2005年11月7日 授業の内容は下のHPに掲載されます。
A: 輻射強度 I とフラックス F 2006年10月2日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一
黒体輻射とプランクの輻射式 1. プランクの輻射式  2. エネルギー量子 プランクの定数(作用量子)h 3. 光量子 4. 固体の比熱.
マイケルソン・モーレーの実験の検証 マイケルソン・モーレーの実験ではもう一つの往復光を垂直方向に分けて行った。
第9章 混合モデルとEM 修士2年 北川直樹.
正規分布確率密度関数.
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
第8課 エディントン近似 平成17年12月12日 エディントン近似 Eddington Approximation
太陽放射と地球放射の エネルギー収支 温室効果.
黒体輻射 1. 黒体輻射 2. StefanのT4法則、 Wienの変位測 3. Rayleigh-Jeansの式
第9課: 恒星のスペクトル 2005年12月19日 授業の内容は下のHPに掲載されます。
前回の講義で水素原子からのスペクトルは飛び飛びの「線スペクトル」
メンバー 梶川知宏 加藤直人 ロッケンバッハ怜 指導教員 藤田俊明
電磁気学C Electromagnetics C 7/17講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
J: 連続吸収 2006年12月18日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一
第12課 星間ダスト 平成17年 1月 24日 講義のファイルは
I:線吸収 2006年12月11日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/4講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
2.4 Continuum transitions Inelastic processes
FUT 原 道寛 学籍番号__ 氏名_______
パイプ風鈴の振動理論 どの様な振動をしているか。周波数は何で決まるか。 (結論) ・振動数は棒の長さLの二乗に反比例する。
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
大学院理工学研究科 2004年度 物性物理学特論第5回 -磁気光学効果の電子論(1):古典電子論-
偏光X線の発生過程と その検出法 2004年7月28日 コロキウム 小野健一.
第4課 輻射の方程式 I 平成16年11月1日 講義のファイルは、
I:銀河系 単位名 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一 授業の内容は下のHPに掲載される。
1:Weak lensing 2:shear 3:高次展開 4:利点 5:問題点
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
K: 恒星スペクトル 2007年1月22日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一
第5課 輻射の方程式 II 平成16年11月8日 講義のファイルは
F: エディントン近似 2006年11月13日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一
輻射伝搬効果の検証(中) 都丸隆行.
ここでは、歪エネルギーを考察することにより、エネルギー原理を理解する。
生体分子解析学 機器分析 分光学 X線結晶構造解析 質量分析 熱分析 その他機器分析.
電磁気学C Electromagnetics C 7/10講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
60Co線源を用いたγ線分光 ―角相関と偏光の測定―
Presentation transcript:

B: 黒体輻射 2006年10月16日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一 教官名     中田 好一 授業の最後に出す問題に対し、レポートを提出。 成績は「レポート+出欠」でつけます。 授業の内容は下のHPに掲載されます。 http://www.ioa.s.u-tokyo.ac.jp/kisohp/STAFF/nakada/intro-j.html A: 輻射強度

B.1. 黒体輻射の式の導出 温度Tの熱平衡にある、大きさL3=Vの箱を考え、この箱の中の熱平衡輻射の強度 B(ν、T) を決めたい。νは光子の振動数である。 n(ν, Ω)=周波数ν、進行方向Ωの光子の数密度、つまり、 n(ν, Ω)dνdΩdV=体積dV,周波数dν、方向dΩ(立体角)                の範囲にある光子の数とすると、 B(ν,T)=c・hν・n(ν, Ω) である。 光子密度 n は、量子状態の密度Dと各量子状態にある光子数s(p)の掛け算で決まる。   n(ν、Ω)dνdΩdV =D(ν、Ω)dνdΩdV・<s(p)>=光子数 以下では、まず<s(p)>、次にD(p、Ω)を調べる。 ΔP ΔX P フォトンの量子状態はΔp3Δx 3= h3 毎に2(偏光)である。 X A: 輻射強度

まず、 与えられた量子状態に存在する光子の数<s>を調べよう。 <s(p)> まず、 与えられた量子状態に存在する光子の数<s>を調べよう。 c・p=h・ν : 運動量pの光子一つのエネルギー  Es=s・h・ν: 光子s個のエネルギー     Ps : その量子状態に光子がs個存在する確率 すると、<s>=∑s・Ps  熱平衡のギブス分布は、Ps∝ exp(-Es/kT)=exp (ーs・h・ν/kT)  となるので、ΣPn=1の規格化を課すと、 A: 輻射強度

この式を計算するため、x=exp(-hν/kT) とおく。 exp(-nhν/kT)=xn なので、 (計算には下の二式を使った) A: 輻射強度

こうして、振動数νの光子の量子状態1つに存在する光子数の平均、 <s> = 1/ [ exp (hν/kT)-1] であることが分かった。 D(ν、Ω) 次に、大きさL3=Vの箱の中の光子の量子状態密度 D(p, Ω)を考えよう。 一辺Lの箱の中の定常波と考えると、量子状態はΔ(L/λx)(L/λy)(L/λz)=1 毎に2つ(光子の偏光があるため)存在する。  したがって、箱の中の量子状態の数は、 ΔN=2・Δ{(L/λx)(L/λy)(L/λz)}     =(2L3Δ{(1/λx)(1/λy)(1/λz)}     =(2V/c3)・Δ{(c/λx)(c/λy)(c/λz)}     =(2V/c3) (Δν)3= (2V/c3)ν2dΩdν D(ν、Ω)=ΔN/(V・Δν・ΔΩ)=2ν2/c3    A: 輻射強度

B(ν、T) D(ν、Ω)と<s(ν、T)>が求まったので、 B(ν、Ω、T)=c・hν・ n(ν、Ω、T) =c・hν・ D(ν、Ω)・ <s(ν、T)> を計算すると、 第1課 I(ν、Ω)のところでやったように、黒体輻射強度(Intensity)B(ν、T)は、温度Tの熱平衡輻射が、単位面積を通って、その法線方向に単位立体角、単位時間、単位振動数当たりに流れるエネルギー量という言い方もする。 A: 輻射強度

B.2.黒体輻射の表示法 周波数表示Bν(ν、T)と波長表示Bλ(λ、T) dB=Bν(ν、T)dν=Bλ(λ、T)dλで、 Bλ(λ、T)を定義する。 Bν(ν、T)・ν(dν/ν)= Bλ(λ、T)・λ(dλ/λ) であるが、ν・λ=cなので、 (dν/ν)= (dλ/λ) したがって、 Bν(ν、T)・ν= Bλ(λ、T)・λ Bλ(λ、T)=Bν(ν、T)・ν/λ=(c/λ2)Bν(ν、T) なので、 A: 輻射強度

I(ν) I(λ) Io ν λ λI(λ) νI(ν) λ ν 対称表示 Bν(ν、T)・ν= Bλ(λ、T)・λ 対称表示はνとλが対称に扱える。  (BlackbodyB(ν,T)に限らず Intensity 一般に通用するのでIで話す) 例: I(ν)=Io=一定                   I(λ)=(c/λ2)Io I(ν) I(λ) Io ν λ I(ν)ν= I(λ)λ 表示では λI(λ) νI(ν) λ ν A: 輻射強度

表示法により、エネルギー分布の見掛けはかなり変わる。下の4つのグラフは全て同じスペクトルを表している。ただし、logλ-I(λ)の図だけは曲線の下の面積がエネルギー量に対応していない点に注意。 I(ν) I(λ) λ・I(λ) A: 輻射強度

黒体輻射の規格化表示 そこで、 とおいて、Fとxの関係を図示すると右のようになる。 この時、 A: 輻射強度

このように、log-log 表示では黒体輻射は同じ形になる。 log B(T,ν)とlogν の形で書き直すと、 log B(T,ν)=3・logT+F(logν-logT) の形をしているので、 logT+Δ logTのBν(ν、T)のグラフは右図のように左図の曲線を平行移動したものである。 Bν(ν、T)のグラフが左図のようであるとき log Bν 3Δ logT log Bν Δ logT logν logν このように、log-log 表示では黒体輻射は同じ形になる。 A: 輻射強度

全輻射強度 B(T)=∫Bν(T,ν)dν= ∫Bλ(T,λ)dλ σ = 2π5k4/15h3c2   =5.6696 10 ー8 W/m2/K4 = ステファンボルツマン係数 全輻射強度B(T)を黒体表面からの全輻射フラックスF(T)と混同しないように。 Intensity = (σ/π)T4 Flux = σT4 A: 輻射強度

B.3.黒体輻射のその他の性質 黒体輻射のエネルギー密度 U(T) エネルギー密度 u(ν)は、 右式では、B.1.の最後で導いた n(ν、Ω、T)   = D(ν、Ω)・ <s(ν、T)> を使った。 なお、 であったから、 である。 A: 輻射強度

したがって、黒体輻射の全エネルギー密度U(T)は、 は、輻射密度定数(radiation density constant)と呼ばれる。 A: 輻射強度

レーリー・ジーンズ近似 (hν/kT<<1) レーリー・ジーンズ近似 (hν/kT<<1) つまり、λ(μm)>>15,000/T(K) の時は、 B(T,ν)が下のような形で近似される。 A: 輻射強度

下のグラフは黒体輻射のx3/(exp x-1)をレーリージーンズ近似 x2 と比べたものである。両者の差はx=0.4ではまだ20%あり、x=0.3 で15%以下となる。x=0.3に対応する波長を見ると、 λ(μ)>50,000/T(K)   T(K)    λ(μm) 100 500 3,000       20 10,000 5 30,000 2 A: 輻射強度

ウイーン近似  (hν/kT>>1) A: 輻射強度

A: 輻射強度

A: 輻射強度

黒体輻射のピーク位置は、表現法で変わる。 B(ν)= [B(λ)λ/ν]= [B(λ)λ2/c]なので、 黒体輻射のピーク 図に見えるように、ピーク位置波長はB(ν)が一番長い。 B(λ)が短く、B(λ)λが中間。 B(ν) B(λ)   B(λ)λ =[B(ν)ν] ピーク波長を求めるため、輻射強度を x=hν/kT で表す。 logλ A: 輻射強度

の極大に対応する。 数値的に極値を探した結果は以下のようになる。 ピーク波長(振動数)は、 (n=3,4,5) の極大に対応する。 数値的に極値を探した結果は以下のようになる。 4 3 2 1 の解がピーク位置を与える 0 0 1 2 3 4 5 X               B(T,λ)      νB(T,ν) = B(λ)λ       B(T,ν)    Fn(x)   x5/[exp(x)-1]   x4/[exp(x)-1]    x3/[exp(x)-1]   x       4.965       3.92               2.82 T4λμ     0.290      0.367              0.510   A: 輻射強度

B.4.黒体輻射の数値表現 h=6.626×10-34 Js, k=1.381×10-23 J/K, c=2.998×108 m/s A: 輻射強度

レーリージーンズ領域 傾き一定、 強さはTに比例 ウィーン領域 傾きと強さが 大きく変化する A: 輻射強度

B(T,ν)ν= B(T,λ)λ もよく使われる。 A: 輻射強度

B.5.熱輻射 壁の輻射吸収率A、反射率 R と放射率 K 左図で、輻射が壁と熱平衡となった場合を考える。RとKには変化がない。 熱平衡なので、壁の表面で、 入射光=反射光+放射光 I(λ)=B(λ,T) である。したがって、 B(λ)=R・B(λ)+K・B(λ) つまり、 R+K=1 である。 K・B(λ,T)=放射光 温度T R・I(λ)=反射光  A・I(λ) =吸収光 I(λ)=入射光  A・I(λ)+R・I(λ)=I(λ)  A+R=1 したがって、A=K=(1-R) A: 輻射強度

R=0 の表面はA=1であり、入射光を完全に吸収する。K=1なので表面からはB(λ、T)の輻射が放射される。  黒体   R=0 の表面はA=1であり、入射光を完全に吸収する。K=1なので表面からはB(λ、T)の輻射が放射される。   K>1の表面は存在しない。すなわち、熱的な放射としては物体の表面から黒体輻射以上の放射は起こらない。 (b) 鏡面   R=1 の表面はK=0となるので、表面からの放射=0 である。 (c) 色の付いた物体   常温で赤い物体は0.6μmより長い波長で反射率R(赤)が高く、   それより短い、 典型的には青い、波長で反射率R(青)が低い。   したがって、赤い物体は放射率K(赤)は低く、K(青)が高い。つまり   赤い物体自身が出す放射光は青いのである。 A: 輻射強度

A. 地球から見る太陽は直径θ=32′のほぼ一様に輝く円盤に見える。スペ 問題2         出題 平成18年10月16日  提出 平成18年10月23日 A. 地球から見る太陽は直径θ=32′のほぼ一様に輝く円盤に見える。スペ     クトルの観測から、その表面輻射は温度T=5800度の等方的な黒体輻射     に近いと考えられる。地球が受ける太陽のフラックス(太陽定数)を観測す     ると F=1.395 kW/m2 である。 以上の数値を用いて太陽から地球までの距離を求めよ。 B. 反射率=R(λ)、 放射率=E(λ)の、青い壁の部屋を考える。 前章で説   明したようにR(青)=大、E(赤)=大である。 この部屋の中を青い光、   I(青)=強、I(赤)=弱、で満たしておく。その状態で部屋を閉め切る。   壁の温度Tはどこも一定として、部屋の中の輻射はどうなるだろうか。   簡単のため、図で右向きと左向きの光のみを考える。 1) 左向きのIo(λ)の光が壁に当ると、    反射光=R(λ)・Io(λ)、    壁の熱放射=E(λ)・B(λ,T)    E(λ)+R(λ)=1   右向きの光I1=R・Io+E・B I R・I E・B A: 輻射強度

I2(λ)=R(λ)・(R(λ)・Io(λ)+E(λ)・B(λ))+E(λ)・B(λ) 2) この光が又壁にぶつかると、   反射光=R・(R・Io+E・B)、   熱放射=E・B   結局、第二回目の左向き光    I2(λ)=R(λ)・(R(λ)・Io(λ)+E(λ)・B(λ))+E(λ)・B(λ)  閉じた部屋の中は、上のプロセスを無限に繰り返したときのI∞(λ)で 満たされるであろう。 I∞(λ)は最初に部屋の中に入れた輻射I0(λ)、壁の色にどう影響されるか? A: 輻射強度