いろいろな船 [貨物を運ぶ船] 暮(く)らしを運ぶ船 エネルギーを運ぶ船 海の手帳・8 木材専用船 チップ専用船 冷凍運搬船 コンテナ船 (もくざいせんようせん) 木材を専門(せんもん)に運ぶ船。貨物 は船倉内だけでなく甲板(かんぱん)上 にも積まれ、甲板積みの木材は両舷 (りょうげん)に建てられたスタンションと 呼(よ)ばれる支柱(しちゅう)で左右を 押(お)さえ、じょうぶなワイヤーで固 定される。 船はさまざまな貨物を運んでいます。原 油、LNG(エル・エヌ・ジー/液化(えきか)天 然ガス)、鉄鉱石(てっこうせき)、穀物(こく もつ)、自動車、雑貨(ざっか)など、その形 や大きさもいろいろです。それぞれの貨物 の特ちょうに合わせて、もっとも安全で効率 的(こうりつてき)な輸送(ゆそう)方法を追求 した結果、いろいろな専用船(せんようせん) が生まれました。また、大量輸送を効率的 に行うための大型化も進んでいます。そん な個性豊かな専用船を紹介(しょうかい)し ましょう。 【総(そう)トンと重量トン】 総トン数は、船の大きさ(容積(よう せき))を表す単位。重量トン数は、 満さいきっ水線の限度(げんど)まで 貨物を積んだ時の全重量から船自 体の重量を差し引いたトン数であり、 燃料(ねんりょう)・水・食料などの 重量をふくむが、船が積める貨物の 重量を示(しめ)す目安となる。 さ チップ専用船 (せんようせん) 製紙(せいし)原料となるチップ(木材を くだいた小さなかけら)を専門(せんも ん)に運ぶ。チップは比重がきわめて小 さいため、船倉容積(ようせき)を最大 限(さいだいげん)にして大量に積みこ むとともに、バラストスペースを船底部 に設(もう)けている。 水を積むバラストタンク 積み荷スペース 荷役装置(にやくそうち) 暮(く)らしを運ぶ船 冷凍運搬船 (れいとううんぱんせん) 野菜や果物、冷凍肉、鮮魚(せんぎょ) などの生鮮食品を低温輸送(ゆそう)す る。野菜や果物のように常温(じょうお ん)に近いものからマイナス50℃という 超低温(ちょうていおん)が必要な冷凍 マグロまで、輸送温度の異(こと)なる 貨物を積み分けて運べる。 コンテナ船 貨物船の中では最速をほこる雑貨輸送 (ざっかゆそう)の専用船(せんようせん)。 衣類や電気製品(せいひん)などの生活 雑貨から、危険(きけん)品まで多種多 様な貨物を、国際規格(こくさいきかく) のコンテナに収納(しゅうのう)して運 ぶ。大型の船は、コンテナを約10‚000 個も積める。 エネルギーを運ぶ船 ばら積み船 原油タンカー 原油を運ぶ専用船(せんようせん)。複数 の区画に仕切られたタンク状(じょう) の船倉を持ち、事故の時に原油が海に 流れ出るのを最小限(さいしょうげん) におさえるため、船側と船底を二重構 造(こうぞう)化している。現在(げんざ い)は30万重量トン級が主力。 穀物(こくもつ)や石炭などを、ふくろ や箱につめずに、そのまま船倉に入 れて運ぶ。貨物の流動を防(ふせ)ぐため、 船倉上部に傾斜(けいしゃ)をつけ、ト ップサイドタンクという三角形のバラス トタンクを設置(せっち)している。 16 17