日本の高校における英語の授業は 英語がベストか?

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日本の高校における英語の授業は 英語がベストか? 2014/12/15 日本の高校における英語の授業は 英語がベストか? 3回 A12LA130  堀 美穂

0. 前提 前提: 生徒たちは従来通り、ほぼ日本語で行われる英語の授業 を受けてきた 目標: 自分の考えを英語で表現できるようになること 0. 前提 前提: 生徒たちは従来通り、ほぼ日本語で行われる英語の授業 を受けてきた 目標: 自分の考えを英語で表現できるようになること ※レベルは個人の必要性に合わせる 例)日常会話・メール ~ アカデミックな内容

1. 結論:日本語と英語両方が必要 日本語で行う部分 文法知識/単語・熟語・構文の意味/ 英語のままでは深く理解できない文の和訳 1. 結論:日本語と英語両方が必要 日本語で行う部分  文法知識/単語・熟語・構文の意味/  英語のままでは深く理解できない文の和訳 英語で行う部分  英語の理解/英語での自分の意見の表現

1.1. 日本語で行う部分 intake の基礎となる input が必要 文法知識 文法知識・文法構造の説明 単語・熟語・構文の意味 1.1. 日本語で行う部分 intake の基礎となる input が必要 文法知識   文法知識・文法構造の説明 単語・熟語・構文の意味 英語のままでは深く理解ができない文   →和訳をすることでより深く理解ができる

1.1.1. なぜ「日本語で」なのか 発達相互依存仮説 言語能力 ・基礎的対人伝達スキル:短時間で習得できる 1.1.1. なぜ「日本語で」なのか 発達相互依存仮説 言語能力 ・基礎的対人伝達スキル:短時間で習得できる ・認知学力的言語能力:L1とL2で相互に転移可能                習得に時間がかかる

1.1.1. なぜ「日本語で」なのか 発達相互依存仮説から、 認知学力的言語能力はL1とL2で相互に転移可能 習得に時間がかかる 1.1.1. なぜ「日本語で」なのか 発達相互依存仮説から、 認知学力的言語能力はL1とL2で相互に転移可能 習得に時間がかかる ⇒これまでの文法知識(用語)は日本語で身についている ため、高校レベルの高度な文法知識は、英語よりも日本語 で教わった方が身につきやすく、理解も深まる + 日本語で教えることで、 language awareness が生じ、 学 習が促進される

1.2. 英語で行う部分 英語を理解する = input & intake 英語で自分の意見を伝える = output 1.2. 英語で行う部分 英語を理解する  = input & intake 英語で自分の意見を伝える  = output ⇒ input と output の両方が必要   また、授業では interaction も必要

1.2.2. なぜ「英語で」なのか Swain の output 仮説: output により、 1.2.2. なぜ「英語で」なのか Swain の output 仮説:   output により、 自分が表現したいことと、自分の現在の能力で実際に表 現できることのギャップに気付くことができる 情報の受け手(聞き手・読み手)からの反応(feedback)を 得ることができる どのように話したり書いたりしようかと意識的に考えるこ とができる 意味を文法などと結びつけることができる

1.2.2. なぜ「英語で」なのか 自分が表現したいことと、自分の現在の能力で実際に表 現できることのギャップに気付くことができる 1.2.2. なぜ「英語で」なのか 自分が表現したいことと、自分の現在の能力で実際に表 現できることのギャップに気付くことができる  →日本語では考えられるし伝えられるのに、    英語では伝えられないことに気付く 情報の受け手(聞き手・読み手)からの反応(feedback)を 得ることができる  →自分の言語能力のどこに問題があるのかわかる    (発音、文法、文章の組み立て方、…)

1.2.2. なぜ「英語で」なのか どのように話したり書いたりしようかと意識的に考えるこ とができる →英語の文章の組み立て方を実践的に 1.2.2. なぜ「英語で」なのか どのように話したり書いたりしようかと意識的に考えるこ とができる  →英語の文章の組み立て方を実践的に    身につけることができる    英語を「道具」として意識することができる 意味を文法などと結びつけることができる  →文法を「知っている」で終わらせず、    「使える」ようにする

1.2.2. なぜ「英語で」なのか ただし、output だけでは効果がない →input も output も必要 1.2.2. なぜ「英語で」なのか ただし、output だけでは効果がない  →input も output も必要 英語での input により、   英語特有の言い回しや文章の組み立て方を知り、   身につけることができる

2. どのような授業をするのがよいか 日本で行う部分は従来通りの教え方 英語で行う部分に注目

2. どのような授業をするのがよいか 英語で行う部分は英語のみしか許さないのか? →日本語を介在させてもよい 2. どのような授業をするのがよいか 英語で行う部分は英語のみしか許さないのか?   →日本語を介在させてもよい 英語で自分の考えを伝えられないのはなぜか?   →高校生ともなれば考える力自体はついているはず   →そもそも考えようとしていないから ⇒「まず考えてみる」という姿勢を身につけるために、   「考える」機会を増やす

2.1. 長文読解の授業を例にとって 長文読解の途中、あるいは長文読解の後に、   長文の内容に関しての感想や自分の意見を、   質疑応答で発表する

質問(英語) 日本語を交えて質問 フィードバック 2.1. 長文読解の授業を例にとって 教師 生徒 質問(英語) 日本語を交えて質問 フィードバック 回答(英語) 日本語で補足 回答(日本語)

2.1. 長文読解の授業を例にとって 英語⇔英語の場合、中学レベルの英語でもよい どうしても伝わりにくければ日本語で補足してもよい 2.1. 長文読解の授業を例にとって 英語⇔英語の場合、中学レベルの英語でもよい どうしても伝わりにくければ日本語で補足してもよい   →「まずは考えてみる」という姿勢を身につける   ⇒「出来た」という経験や達成感から、    英語で表現することに対する情意フィルターを下げる 質問の難易度を徐々に上げていく   →高校レベルの文法を含む文も使っていく

2.1. 長文読解の授業を例にとって かなり高度な内容は、 質問(日本語) フィードバック にし、まずは日本語で、 2.1. 長文読解の授業を例にとって かなり高度な内容は、    質問(日本語)    フィードバック   にし、まずは日本語で、 ex) 原発問題、社会問題、      回答(日本語) 高度な内容も考えさせる 政治、… 教師 生徒

3. まとめ 結論:日本語と英語の両方必要 日本語→ intake の基礎となる input を行う 3. まとめ 結論:日本語と英語の両方必要 日本語→ intake の基礎となる input を行う 英語→ input, output の両方を行う 授業では interaction も取り入れる 日本語でも英語でも「考える」という姿勢を身につける