ながっぱなのディーディーン 作成 三重県健康福祉部地域福祉室 「ディーディーン」はユニバーサルデザイン国に住んでいる象の男の子です。 彼はちょっぴり長くできた鼻でみんなを助けてあげます。 「帽子を落としたよ」 「ありがとう。ディーディーン」 「おばあちゃん。荷物を持ってあげようか」 「いつもすまないね」 「えらいなあ。ディーディーン」 「ディーディーン」は町の人気者です。
「ディーディーン」は小学生。近所の駅から3駅先の小学校へ電車で通学しています。 「お母さん、いってきまーす」 「忘れ物はない?体操服は持った?」 「持ったよ」 「気をつけてね」 「はーい」 「ディーディーン」は駅の方へ歩いていきました。
駅の前の信号で目が不自由な人が信号を待っています。 「よかったら一緒に信号を渡りましょうか?」 「どうぞ。僕の肩に手をかけてください」 「どうもありがとう。やさしいのね」
駅の階段で、おとしよりが重い荷物を持ちながら階段を登っています。 「よかったら荷物を持ちましょうか?」 「ありがとうね。ぼうや」
駅のホームに到着しました。 その時です。 「ピン・ポン・パン・ポン。2番線7時35分発 にこにこ駅行き急行は、事故のため20分遅れます。3番線7時55分発に変更となりました。」 みんなが階段の方へ移動しています。 その時です。 一人の女性がポツンとフォームにたたずんでいます。 「ン?・・」 「ディーディーン」は女の人に話しかけました。
「すいません」・・・・・ 「すいません」・・・・・ 「す・い・ま・せ・ん」・・・・・ 「ディーディーン」が何度、話かけても女の人はきづいてくれません。
「すいません」 「・・・・・」 「にこにこ駅行きの電車は、3番線になったみたいですよ・・・」 「すいませーん」
「ディーディーン」は勇気を出して女の人の腕を「ポン。ポーン」と叩いて、発車ホームと時間の変更が書かれている掲示板を指差し、「にこにこ駅行きの電車は、3番線になったみたいですよ」と言いました。
女の人はとってもうれしそうに「・・・・・・・・・・。」と言いました。
「お姉さんよろこんでくれたなあ。でもなんて言ってたんだろう?」 「ディーディーン」は不思議な気持ちです。
「ディーディーン」のクラスは授業中です。 「みなさん。最近気になった事を発表してください。みんなで考えましょう」先生が言いました。 「はーい!」「ディーディーン」が手を上げました。 「「ディーディーン」君。では発表してください」 「ディーディーン」は今日あった不思議な出来事をみんなの前で発表しました。
「ん・・・。どういうことかな?」 「なんでだろう?」 クラスはがやがやしています。 先生が言いました。 「みんなわからないようですね。それはね。その人は耳が聞こえないのよ。町にはいろんな人が暮らしているのよ」 「みんなのおじいちゃん、おばあちゃんも耳が遠いでしょう」 「その女の人はありがとう!って感謝していたんでしょう」
「そうかあ」 「ディーディーン」は嬉しくなりました。 「言葉はわからなかったけれど、わかったよ」 「ディーディーン」はニコニコ笑顔で言いました。 「言葉がなくても気持ちは伝わるのね」 誰かが小声でつぶやきました。 あったかい学校での一日となりました。