心理学概論Ⅱ 第13講 2012年1月17(火) 担当:岡田佳子.

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心理学概論Ⅱ 第13講 2012年1月17(火) 担当:岡田佳子

次回は、電卓を持参してください。 そんなに難しい計算ではないので、携帯電話の電卓でも十分です。

12講で配布したプリントから

教育心理学の基礎(3) 教育評価(児童・生徒をどう評価する) 第12講 教育心理学の基礎(3) 教育評価(児童・生徒をどう評価する)

教育評価 (児童・生徒をどう評価するか)

「評価」といって ちょっと考えてみてください どのようなことを思い浮かべますか?  「評価」といって どのようなことを思い浮かべますか?  なぜ評価が必要なのでしょうか。評価の目的にはどのようなものがあるでしょうか?

(今日「指導と評価の一体化」と言われている) なんとなく、試験や受験に影響する成績とか内申書とかのイメージと結びついてなんとなくいやなイメージ? 評価=最終結論みたいなイメージ?評価が下る・・・みたいな ⇒評価にはもっといろいろな目的があるのに従来あまりにも評価される=成績をつけられる(それでおしまい)という部分ばかりが強調されてきた ⇒評価には他にどのような目的があるのだろう? (今日「指導と評価の一体化」と言われている)

評価は「励みになるもの」、「それによってやる気がでるもの」だった人もいる? でもそれって、ここにいるみなさんは成績上位陣だったからじゃないですか? もし成績がいつも下のほうだったら、そのように思えたかな? ⇒成績が良い子もそうでない子も、すべての子どもにとって励みとなり、学ぶ意欲につながるような評価って? ⇒相対評価から絶対評価へ

1.教育評価の目的 ①教師の指導のための評価 教師が自らの教育の目標や指導方法を省みるための評価 例)「円の面積を求める」という授業。テストで少数の掛け算がまだ不十分。  →いきなり円の面積じゃなくて、まずは少数の掛け算の復習からだな。

②生徒の学習のための評価 学習の成果を生徒にフィードバックし、さらなる学習を支援するもの 自分はどこができてどこができてないかを知りどこにポイントを置いて学習したらよいか自己調整。

④クラス分けなどの選抜・振分けのための評価 ③教授方法や教材などの効果研究 のための評価 一般的な教授方法やカリキュラムの効果を評価 ④クラス分けなどの選抜・振分けのための評価 例)入学試験、学年末の単位認定、能力別クラス編成のための評価 評価=なんとなく最終結論的なイメージ? 目的④の成績をつける、選抜するだけではない。他の目的にももっと目を向ける必要

2.評価の時期による評価方法の分類 ―いつ評価するのか- 評価の3分類 ブルーム(Bloom, B. S.)

①診断的評価(事前評価) diagnostic evaluation 指導を開始する前に生徒がもっている意欲や知識、能力、性格傾向などの現状を把握するために行われる評価 例)能力別クラス分けのための試験   (英会話スクール)   面積の学習の前に掛け算の確認

②形成的評価(事中評価) formative evaluation ある単元の指導の途中で個々の学習要素を生徒が確実に習得しているかどうかを確かめるための評価   例)中間試験、小テスト

③総括的評価(事後評価) summative evaluation 単元の終了時や学期、学年の終了時に実施される。それまでの学習内容の習得状況をみる最終的な評価。成績や単位の認定などに用いられる。    例)学年末テスト(形成的評価とも言える) ⇒評価=総括的評価と考えがち。指導と評価の一体化のためにも形成的評価が重要。

3.評価基準による評価方法の分類 ―何を基準に評価するのか-

相対評価と絶対評価 2001年(平成13年)に指導要録が改定になり、これまで相対評価で行われてきた評定が全て絶対評価になりました。 従来1~5をつける人数が決まっていた。改定後は何人につけてもよくなった。 ここにいるみなさんは一番若くて18歳なので、2001年といえば小学2,3年生ぐらい? 絶対評価を経験したことある(と思う)方いますか?

相対評価と絶対評価 相対評価と絶対評価はどのように違うのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

相対評価 評価規準 所属集団全体の中で占める相対的位置 別名 集団基準準拠評価 例えば・・・ 以前の5段階評定、偏差値、順位

絶対評価 目標準拠評価 目標への達成の度合い(達成度) (到達度評価、目標基準準拠評価) 評価規準 別名 例えば・・・大学の優、良、可、不可。現在の5段階評定 (免許の試験、医師国家試験、大検などの試験の評価)

相対評価と絶対評価 その他に相対評価と絶対評価はどのように違うのでしょうか。 プリントの資料1・2および「AERA」の記事のコピーを参照にして、表に特徴の違いをまとめてみましょう。 資料に書かれた内容は最低限の内容なので、自分で思いつくことがあれば、書き出してみましょう。

グループワーク 各自で表に特徴を書き出す。 3人~4人程度でグループを作り、意見交換。 私が、合図をしたら、代表の方1名が前に来て、グループで出た意見を黒板に1つ書く。 他の班と重ならないように。 早い者勝ちだよ。

4.相対評価から絶対評価へ -2001年(平成13年)指導要録改定-

相対評価から絶対評価へ (資料3参照) ●戦後~ 客観性を重視する相対評価の考え方に基づく5段階評定の導入(2001年の改定まで続く)  客観性を重視する相対評価の考え方に基づく5段階評定の導入(2001年の改定まで続く) ●1980年(昭和55年)の指導要録改定  「観点別学習状況」の欄を新設。各教科の学習状況を「関心・意欲・態度」、「思考・判断」、「技能・表現」、「知識・理解」の4つの観点ごとに絶対評価することとなる

相対評価から絶対評価へ ●1991年(平成3年)の指導要録改定  “個性化教育”を推進する視点から、「評定」の重心が相対評価による評定から(絶対評価で行われる)観点別評価に移される。小学校1、2年生は評定廃止。3~6年生も5段階から3段階に。 ●2001年(平成13年)の指導要録改定  「評定」の評価方法も観点別学習状況の評価を総括するかたちで絶対評価で行うこととなる

評価規準の具体化に向けた取り組み 絶対評価では到達すべき目標と規準をいかに明確かつ客観的に設定するかが最も重要 資料4参照 「評価規準の作成,評価方法の工夫改善のための参考資料-評価規準,評価方法等の研究開発(報告)」 中学社会科だけで60ページにわたる。単元ごとに具体的な教育目標が記述されている。

従来のペーパーテスト以外の評価技法 「関心・意欲・態度」、「思考・判断」などを重視する「新しい学力」を評価するために、従来のペーパーテスト以外の評価技法を積極的に取り入れることが必要。 資料3中の表を参照