言語学の基礎 ①.

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言語学の基礎 ①

成績評価について 授業参加 (10) 筆記試験 (10) 期末試験 (80) 授業開始直後の発表など 期末試験直前の筆記(試験) 4択の客観問題 言語学用語などに関する筆記

言語と言語学 「言語学」 「ことば」は,2000年以上に渡って人類の興味関心の的であった 初期の分析は,主観的であり,また神話などと結びつけられていた 18世紀の終わりから,学問として多くの学者が取り組み始める はじめは,言語学 (linguistics) ではなく,文献学 (philology) と呼ばれた (比較言語学) [p.38-9] 話し言葉も研究対象としてから言語学 ( linguistics / linguistic science ) と呼ぶようになる

言語学の発展 (補足) ギリシャ プラトン(Plato)の『クラテュロス』(Cratylus) 言語の起源と意味の本質についてソクラテスとヘルモゲネス,次にソクラテスとクラテュロスが議論 ヘルモゲネス (Hermogenes) の主張 “For nothing has its name by nature, but only by usage and custom” クラテュロス (Cratylus) の主張 “There is a correctness of name existing by nature for everything: a name is not simply that which a number of people jointly agree to call a thing.” 議論はしっかりした結論を導いていない

言語と言語学 言語学の基本的目的は,話者が無意識に従う社会規範やそれを可能にする話者の知識を明らかにすることである。 ソシュール (F. de Saussure, 1857-1913) は,社会規範としての言語の仕組みをラング(langue)とよび,現実の言語使用のことをパロール(parole)と呼んでいる。 チョムスキー(Noam Chomsky, 1928-) は,話者の観点から,前者を言語能力(competence),後者を言語運用(performance)と呼んでいる。

言語と言語学 ソシュール補足 ソシュールは,ラングとパロール,共時態と通時態という二分法を用いた。 言語学の研究対象はラングであるとした。 共時態におけるラングがまず追求されなくてはならないということを示す。 このほか、シニフィアンとシニフィエという概念もソシュールによる成果だが、後で扱う

クイズ パロールの特徴として適切なものは次のうちどれか、答えなさい。 (a) 日本語は語順が変えられる。 (b) 聞き手が誤解することがある。 (c) いろいろな頼み方がある。 (d) ら抜き言葉を使う人が増えた。 (d) 見られる、見れる

言語と言語学 言語の数 現在世界に存在する言語の数は? 3000~5000/6000(±1000) 何故このようにばらつくのか? 毎年のように発見される新言語 滅び行く言語 言語と方言

言語と言語学 言語の本来の機能 伝達,通信の手段 人類が秩序ある社会生活と高度な文明を維持するための必需品 人間は,ことばによって,文化の蓄積,伝達,継承が可能 (他の動物にはない能力)

言語の定義 ワードハウによる定義: Language is a system1 of arbitrary2 vocal3 symbols4 used for human5 communication6. -Wardhaugh, Ronald, 1977: 3

言語の定義 体系 (System):言語は記号の体系である 言語を構成する「音」「語」「文」「意味」にはそれぞれ体系がある 日本語と英語の「音」の数: 日本語:母音5 子音14 英 語:単母音18,二重母音10 子音27 その他の例:p.4 を参照

言語の定義 恣意性 (arbitrariness):言語記号には恣意性がある

言語の定義 恣意性 (arbitrariness):記号と意味の恣意的な結びつき 人間の使用する記号と伝達の内容には,ほとんどの場合,必然的な結びつきがない すなわち,使われる記号は恣意的 (arbitrary) である 擬音語は反例となる場合がある 言語記号は以下の2つからなる 能記:シニフィアン (意味するもの) 意味を表すための形式 所記:シニフィエ  (意味されるもの) 記号によって表される意味

クイズ 言語は記号の体系であるが,次のうち記号の体系と言えないものはどれか。 (a) 交通標識 (b) 等高線 (c) 手旗信号 (d) ピクトグラム  → (b)

クイズ 言語記号の恣意性に関わる現象は次のうちどれか。 (a) 子どもが犬を「ワンワン」と言う。 (b) 犬の声を「ワンワン」で表す。 (c) 英語で「ワンワン」が bowwowになる。 (d) 犬を英語では dog と言う。 (d)

言語の定義 音声 (voice) 人間の言語は,大部分が音声をもちいた表現手段である 文字は音声記号にもとづいている では,用いないものは? 手話 文字は音声記号にもとづいている

言語の定義 記号 (symbol) 言語はすべて記号であり,音声 (体系) や意味もその一部である (p.5) 実体的要素 情意的要素

言語の定義 人間 (human) 伝達 (communication) 言語は人間に固有のものである したがって,人間には生来的に言語能力があると考えられる (cf. チョムスキー,生成文法) 伝達 (communication) 言語は最高の伝達 (communication)手段である

言語の定義 言語の応用的側面 人は言語により思考する 概念に名前を与え,その概念は新しい概念を生む 虚構的概念の例としては文学作品がある 言語の世界の特筆すべき発明は文字である