筑波メディカルセンター病院 緩和ケア病棟 佐々木智美 STASーJへの取り組み 筑波メディカルセンター病院 緩和ケア病棟 佐々木智美
今までの経過 2004年からSTASーJを導入しているが、有効なカンファレンスが行えずなかなか定着しなかった。 原因は・・・ ・プライマリーナーシング制 ・カンファレンスの予定をプライマリーナースに委ねていたために定期的に行なえなかった。
今年度の取り組み 病棟でSTASーJに取り組む主要スタッフを決定。 目標を立て、病棟に合った方法について検討。 カンファレンスで用いる用紙の作成。 STAS係り ・係りがカンファレンスの予定をカレンダーに書き管理 ・カンファレンスがスムーズに行なえるように中心的な役割となるように心がけた。
今年度のSTASーJカンファレンスの目標 ①情報が共有できる。 ②患者のケアの向上のために解決すべき問題を明確にする。 ③ケアの成果を実感できる。 まずは①を目標に取り組んでいる。 評価することや点数をつけることにこだわらずに、話し合うプロセスを大切にするように呼びかけました。
対象と評価日 対象:病棟に入院する全患者 評価日 初回:入院日又は翌日 2回目:初回評価の1週間後 評価日 初回:入院日又は翌日 2回目:初回評価の1週間後 3回目以降:必要性に応じてプライマリナースが設定 ⇒平均在棟日数は約17日であり、入院から早期にケアの評価を行い改善していくため、入院直後と入院1週目の必要性が高い。 評価することや点数をつけることにこだわらずに、話し合うプロセスを大切にするように呼びかけました。
カンファレンス方法 プライマリナースの参加にこだわらず、STASーJ係でカンファレンスの予定を管理。 その日の受け持ち看護師が司会をしてカンファレンスを行う。 看護師・介護スタッフ・医師が参加。 週1回他職種合同カンファレンスを実施、それ以外の昼のカンファレンスで行う。 1事例約20分程度 その日の受け持ち看護師が司会、スタッフからの情報、日々の記録や入院時の家族アンケートを参考にSTASを評価していく。
カンファレンスのポイント STASーJ評価後に以下の事について話し合い を行う。 問題点を明確にする ケアを改善すること 解決案 2回目の場合は前回との比較
カンファレンスで用いる用紙 STASーJ評価用紙 病棟で作成したレーダーチャート ⇒レーダーチャートは前回との変化を一目でわかるようにするために併用することとした。
STASーJ結果について調査 対象 平成18年6月1日から8月30日までの入院患者60名中35例について調査 平成18年6月1日から8月30日までの入院患者60名中35例について調査 1回目35例ーうち評価不能の項目なし2例 2回目22例ーうち評価不能の項目なし6例
評価不能の内訳 <7:情報不足による 8:家族がいないため 9:認知の低下や深い鎮静による> 評価不能が多い。 患者の病状認識・家族の病状認識・患者と家族のコミュニケーションの項目の評価不能が多い。 2回目の評価が行えなかった事例が多い。 1回目は情報不足での評価不能が多い。2回目は情報不足は少なくなり、せん妄や意識状態が悪く評価できない例が多い。 n=22 n=22 <7:情報不足による 8:家族がいないため 9:認知の低下や深い鎮静による>
3ヵ月後アンケート 以下の項目についてアンケートを実施。 STASーJを実施して、良かったこと。 STASーJを実施して、困ったこと。
アンケート結果① STASーJを行って良かったこと 知らない情報を共有できる。 情報収集の意識づけになる。 問題や方向性を早期に検討できる。 いろいろな視点で話し合うことができる。 その後の方針を考えながらケアにつなげることができる。 情報不足な部分が明らかになる。→意識づけになる
アンケート結果② STASーJ評価で困ったこと 患者を受けもった事がない場合は情報不足でカンファレンスにならない。 プライマリナースが参加したほうがさらに有効なカンファレンスが行えるのではないか。 評価の仕方が慣れず難しいと思った。 レーダーチャートが使いづらい。 情報不足で評価できないことが多い 特に入院後の1回目の評価 プライマリーナーシング制のため、プライマリーが多く情報を持っている。 カンファレンスで得た情報を共有しケアにつなげていくためにも、プライマリーナースの参加が望ましい レーダーチャート:情報不足が多いと線が結べず見にくい。
考察① 目標であった、①情報の共有②問題の明確化が達成できた。 STASーJの利点や効果を感じる事ができてきている。 情報不足が多い原因の一つに、プライマリナースがカンファレンスに参加していない事が考えられる。
考察② 入院時にSTASーJに必要な情報をいかにとるかが問題になるが、入院直後での情報収集には限界があり、在宅や外来からの情報が必要になる。 レーダーチャートが使いづらい背景に、情報不足が考えられる。
今後の課題 さらに有効なカンファレンスを行うために、プライマリナースの参加について検討する。 ⇒プライマリナースが参加するように改善 情報不足の原因を明確にする必要がある。 入院時から始めるのではなく、病棟・在宅・外来との連携を深めSTASーJを継続して使用する。