パブリックアートとしての彫刻作品制作 A Study on the Sculpture for Public Art 1DS04201S 松本芳郎 指導教員:石川教授
背景・目的 ・公的な場(公園や広場など)で展示されている彫刻には、美術館で観賞するのとは違う魅力があり、また違った可能性があると考える。 ・パブリックアートとしての性質を持つことを射程とした作品制作を目指す。
パブリックアートについて ・言葉の誕生 ・日本のパブリックアート 単に「公的空間に設置された彫刻」と思われがちで ある。 第二次世界大戦後のアメリカで誕生 ・日本のパブリックアート 1960年代から地方自治体の野外彫刻展の活発化 宇部市・神戸市・横浜市など各地方の街作り事業に取り入れられている 単に「公的空間に設置された彫刻」と思われがちで ある。
リチャード・セラの「傾いた弓」から見るパブリックアートの本質 1981年、ニューヨーク市マンハッタン フェドラルプラザに広場を横断して設置された。 地元市民により、景観の無味乾燥化・防犯上の危険などを理由に撤去の訴えがおこる。 1989年、リチャード・セラ自らの手により撤去
リチャード・セラの「傾いた弓」から見るパブリックアートの本質 パブリックアートにおける公的空間と彫刻の関係において、主は公的空間であることを明確にした。 作品と人と場の関わりがパブリックアートの必要条件である。
作品制作 安田侃(1945年~) 「意心気」・「回生」(北海道洞爺湖) 『それぞれの人が自由に彫刻と対話することを望む』(安田侃)
作品「こえ」 440×150×350(cm)/木・鉄/第9回九州二紀展、日韓交流展
作品「こえ」 テーマはコミュニケーション 原始の人も持ちえたはずの根源的なこえのイメージの視覚化を目指した
作品「無題」 18×34×23(cm)/ベニヤ板・FRP/第9回九州二紀展出品
作品「無題」 テーマは不思議である 本来ありえない状態を示すことにより観るものに想像力の喚起をうながす。これが「不思議」を感じることにつながると考えた。 木の表面に波立つようなしわを彫ることで柔らかさを表現した。
作品「ここ」 2200×1500 ×1200(cm)/鉄/第61回二紀展出品
作品「ここ」 空間の一部となるとともにこれを観るものの日常の一部に溶け込める作品を目指した。 人々が現在の立ち居地を見失わないための目印として制作。
考察 パブリックアートであろうとすることによる作品の萎縮 形状には水平・垂直の要素が強い。これらは水面・木の成長方向などに見られる自然要素。そもそも自然から派生した人間にとって、安定へとつながるものになれたのではないか
おわりに 現在の都市空間において人間は疎外されがちである。現代のパブリックアートに求められるのはその充足であると考える。
参考文献 杉村荘吉『パブリックアートが街を語る』東洋経済新報社 竹田直樹『アートを開く パブリックアートの新展開』公人の友社 杉村荘吉『パブリックアートが街を語る』東洋経済新報社 竹田直樹『アートを開く パブリックアートの新展開』公人の友社 竹田直樹『パブリックアート入門 自治体の彫刻設置を考える』1992年 公人の友社 カトリーヌ・グルー(藤原えりみ訳)『都市空間の芸術―パブリックアートの現在』鹿島出版 彩草じん子『安田侃、魂の彫刻家』集英社 現代彫刻懇談会『世界の広場と彫刻』中央公論社