(昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布

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◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
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Presentation transcript:

統計数理 石川顕一 http://ishiken.free.fr/lecture.html 10/17 組み合わせと確率 http://ocw.u-tokyo.ac.jp/course-list/engineering/statistics-mathematical-principle-2005/index.html (昨年度のオープンコースウェア) 10/17 組み合わせと確率 10/24 確率変数と確率分布 10/31 代表的な確率分布 11/7 ランダムウォークと破産問題 11/14 ブラウン運動と拡散 11/21 雑音

11/7 ランダムウォークと破産問題 確率過程 一次元のランダムウォーク ランダムウォークと拡散 破産問題 統計数理 石川顕一 11/7 ランダムウォークと破産問題 確率過程 一次元のランダムウォーク ランダムウォークと拡散 破産問題

4ー1 確率過程 個々の粒子の無秩序で雑然とした運動 全体として見た場合の明確で簡単な法則性 4ー1 確率過程 確率過程(stochastic process) 時間とともに変化する確率変数X(t)で表される確率的な現象 時間とともに変化する確率変数で表される、動的過程 ランダムウォーク 不規則に変化する運動する粒子の位置 (例:ブラウン運動) 雑音 都市の人口の変化 株価・為替レートの時々刻々の変化 非平衡系の統計力学 数理ファイナンス・経済物理学 個々の粒子の無秩序で雑然とした運動 全体として見た場合の明確で簡単な法則性 確率過程の理論

水に浮かんでいる花粉の粒子は、たえず無秩序な運動をしていることを発見。 4−1 確率過程 ・ブラウン運動 植物学者R. ブラウン 1827年 水に浮かんでいる花粉の粒子は、たえず無秩序な運動をしていることを発見。 花粉の生命力? (J. ペランの実験結果による) すべての十分に細かい粒子の一般的性質であることが判明 [例] 水槽中に落とした一滴のインクの拡散 [例] バクテリアの運動 バクテリアを利用した廃棄物処理施設の設計 BIS4年生岸勇気君作

4ー2 一次元のランダムウォーク t ステップ後の粒子の位置 x(t) (t, x) x -3 -2 -1 1 2 3 x 4ー2 一次元のランダムウォーク (t, x) x -3 -2 -1 1 2 3 x 時刻t=0にx=0を出発 1回のジャンプごとに1だけ、右または左へ移動する。 どの位置にいても次に右へ進む確率と左へ進む確率は1/2ずつ。 t t ステップ後の粒子の位置 x(t)

2項分布 Bin(t,1/2) 4−2 一次元のランダムウォーク t 回のジャンプ後に位置xにいる確率 原点から(t,x)にいたる経路の数 4−2 一次元のランダムウォーク t 回のジャンプ後に位置xにいる確率 原点から(t,x)にいたる経路の数 t 回のジャンプ後に位置xにいたる経路の数 x 1 2 3 -1 -2 -3 2項分布 Bin(t,1/2) t - k 回 右へジャンプ k 回 左へジャンプ 一種の拡散現象

4−2 一次元のランダムウォーク ・鏡像の原理 横軸に関して対称 AからBへの経路のうちで、横軸に接するか横軸を横切るようなものの数は、A’からBへの経路の総数に等しい。 この原理によって、何らかの条件を満たす経路の数を計算することが飛躍的に簡単になる。 経路の途中の点が横軸よりも常に上 正の道 経路の途中の点が横軸よりも下に来ない 非負の道 同様に、負の道、非正の道も定義できる。

4−2 一次元のランダムウォーク [例] 原点から点 への正の道の数は? [例] (0,0)から(2n,0)への正の道の数は?

・原点復帰の問題 4−2 一次元のランダムウォーク 時刻2nに初めて原点に復帰する確率 時刻2nまでに原点に復帰する確率 4−2 一次元のランダムウォーク ・原点復帰の問題 時刻2nに初めて原点に復帰する確率 時刻2nまでに原点に復帰する確率 粒子の原点への復帰は確率1で(つまりいつか必ず)起こる。

・レベル1への到達 4−2 一次元のランダムウォーク 時刻2n-1に初めてx=1に到達する確率 時刻2n-1までにレベル1に到達する確率 4−2 一次元のランダムウォーク ・レベル1への到達 時刻2n-1に初めてx=1に到達する確率 演習 時刻2n-1までにレベル1に到達する確率 粒子は確率1で(つまりいつか必ず)レベル1に到達する。 ランダムウォークする粒子は、確率1で任意のレベルを無限回横切る。(一次元のランダムウォークは直線を埋め尽くす。) 勝ち負けの確率が半々で、勝った時の得と負けた時の損が同額のギャンブルでは、元手の金額が十分大きければ、いつか必ず浮く。

4−3 ランダムウォークと拡散 拡散現象との関係:長時間の極限、N >> m 2項分布 スターリング(Stirling)の公式 4−3 ランダムウォークと拡散 拡散現象との関係:長時間の極限、N >> m 2項分布 スターリング(Stirling)の公式 m/Nの2次まで展開 正規分布

物質の拡散に関するフィック(Fick)の法則 4−3 ランダムウォークと拡散 m -3 -2 -1 1 2 3 「濃度」 物質の拡散に関するフィック(Fick)の法則 流束(flux, 単位時間あたりに単位断面積を通過する質量)は濃度勾配に比例 D : 拡散係数 J(x) J(x+dx) S x x+dx

ランダムウォークと拡散現象 初期条件 4−3 ランダムウォークと拡散 揺動散逸定理 (平衡状態での)ゆらぎ 散逸・輸送 位置の分散 4−3 ランダムウォークと拡散 揺動散逸定理 ランダムウォークと拡散現象 (平衡状態での)ゆらぎ 散逸・輸送 位置の分散 初期条件 t = 0での濃度分布は? ディラック(Dirac)のデルタ関数 x = 0に集中した分布 ランダムウォークは、1次元の拡散方程式 のモデルの1つ

4−4 破産問題 吸収壁がある場合のランダムウォーク 吸収壁 所持金bのプレーヤーの破産 b -a 所持金aのプレーヤーの破産 4−4 破産問題 吸収壁がある場合のランダムウォーク b -a 吸収壁 所持金bのプレーヤーの破産 所持金aのプレーヤーの破産 レベルbに到達する前に、レベル-aで消滅する確率は? a+b (所持金合計)一定で考える では?