改質アスファルトによる 混合物の疲労性状への影響 内容 : 現在のSHRP試験法の問題点と 新評価法の提案

Slides:



Advertisements
Similar presentations
No.2 実用部材の疲労強度           に関する研究 鹿島 巌 酒井 徹.
Advertisements

円形管における3次元骨組解析への適用事例 平成16年9月17日 (株)アイエスシイ 犬飼隆義.
20. ショットの跳返りを利用した機械部品内面への ショットピーニング加工法の開発
蒸気養生を行なった高炉セメントコンクリートのスケーリング評価に関する検討
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
土木学会 舗装工学委員会 舗装材料小委員会 アスファルト分科会 報告書目次 【担当】 1. バインダの種類と性状
配合設計 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
1.バインダの種類と性状 1.1 バインダの種類と用途 ・ストアス 伊藤 ・改質アス 大道
外部拘束係数の適用方法 マスコンクリ-トの温度応力研究委員会報告書 外部拘束係数の見直しとCP法の適用範囲拡大 1998年4月.
膨張性超速硬繊維補強コンクリートにより増厚補強したRC床版の性能評価に関する検討
混合物の低温時クリープおよび破壊挙動への影響
高分子電気絶縁材料の撥水性の画像診断に関する研究
神奈川大学大学院工学研究科 電気電子情報工学専攻
硬化コンクリートの性質 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
P,Q比が変更可能なScaLAPACKの コスト見積もり関数の開発
建築構造演習 座屈実験(第3回) 鋼構造研究室.
高流動コンクリート コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
土木学会 舗装工学委員会 舗装材料小委員会 アスファルト分科会 調査報告 永久変形 (進捗状況報告) 担当:千原,村山.
セラミックス 第9回 6月18日(水) セラミックスの物性.
屋外における温冷感指標を作成する 既存の体感指標SET*,PMVなど 室内の環境を評価対象 放射←周りからの赤外線放射のみ
R&D Division, Polyplastics Co., Ltd. Technical Solution Center
配合とは?配合設計とは? コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリートと鉄筋の性質 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
凍害 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリートの強度 (構造材料学の復習も兼ねて)
問題13(耐久性)    コンクリートに劣化現象に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
使用限界状態 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
コンクリートの強度 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
配合設計 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
鉄筋コンクリート構造の材料(1) ・図解「建築の構造と構法」     91~93ページ ・必携「建築資料」   材料:78~79ページ.
機械創造工学課程 08104288 鈴木翔 担当教員 小林泰秀 准教授
硬化コンクリートの性質 弾性係数,収縮・クリープ
バインダの評価方法 改質アスファルトの材料分離について.
ひび割れ面の摩擦接触を考慮した損傷モデル
塩害促進条件の違いがRC床版の材料劣化に及ぼす影響
建築構造演習 座屈実験(第3回) 鋼構造研究室.
モルタルの化学反応による 劣化メカニズムと数値解析
4章:曲げモーメントを受ける部材 キーワード:非線形挙動、断面解析、終局耐力、 等価応力ブロックによる塑性解析、
硬化コンクリートの性質 コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
高分解能ビーム軌道傾きモニターの設計開発
舗装材料小委員会 資料  改質バインダの混合温度および締固め温度 (出典) NCHRP REPORT 459
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
ダイナミックシミュレーションの活用と課題
BIのデータ解析法と 高エネルギー側の検出効率
高分子電気絶縁材料の誘電特性計測を用いた劣化診断に関する研究
第1回、平成22年6月30日 ー FEM解析のための連続体力学入門 - 応力とひずみ 解説者:園田 恵一郎.
4章:曲げモーメントを受ける部材 キーワード:非線形挙動、断面解析、終局耐力、 等価応力ブロックによる塑性解析、
円管の口絞り加工におけるカーリング現象の 有限要素シミュレーション
熱音響コアが多段接続された 電力フィードバック進行波型熱音響発電機の 発振条件及び実験
コンクリートの応力-ひずみ関係のモデル化
水ジェットキャビテーションによる 有機物分解効率の向上に向けた基礎研究 2002年12月26日
配合設計 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
曲げを受ける鉄筋コンクリート部材 (状態III)
屋外絶縁用高分子材料の 撥水性の画像解析に関する研究
対象:せん断補強筋があるRCはり(約75万要素)
環境配慮型水田におけるイシガイ類の生息域及び 水管理による成長量の違い
鉄筋コンクリート構造の材料(1) ・図解「建築の構造と構法」     91~93ページ ・必携「建築資料」   材料:78~79ページ.
建築構造演習 座屈実験(第3回) 鋼構造研究室.
1.5層スペースフレームの 接合方法に関する研究
鉄筋コンクリートはりの 曲げ耐力の算出 コンクリート工学研究室 岩城一郎.
大型ホイールのディスク成形における 有限要素シミュレーション 有限要素 シミュレーション 工具と素材形状の最適化 材料の歩留り向上
高分子がいし材料の吸水及び乾燥過程と表面粗さ
高性能コンクリート (講義ノート) コンクリート工学研究室 岩城 一郎.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
塑性加工 第2回 今日のテーマ ・応力ーひずみ線図の正しい見方 (ヤング率はなぜ異なるのか?) (引張と圧縮は同じ?)
臨界温度比推定のために熱音響エンジンを 定常発振させる時変ゲインを用いた 定エネルギー制御系の安定性解析
2.9 混合物の低温時のクリープおよび破壊挙動における改質バインダの影響
RCはりをU字型補強した連続繊維シートによる
Presentation transcript:

改質アスファルトによる 混合物の疲労性状への影響 内容 : 現在のSHRP試験法の問題点と 新評価法の提案 2007.7.13 舗装材料小委員会資料 改質アスファルトによる 混合物の疲労性状への影響 内容 : 現在のSHRP試験法の問題点と      新評価法の提案

混合物のビーム疲労試験 ◆試験条件 ・空隙率 : 7.0±0.5% ・供試体寸法 : 380×50×63 [mm] ・劣化条件 : 135℃オーブン内で4時間 ・ひずみ : 250~750 [μ]  ※載荷回数N=50のときに再設定 ・周波数 : 10Hz ・初期スティフネス(N=50)の1/2で  試験終了 初期スティフネス 試験終了 スティフネス N50 載荷回数

バインダの種類と温度性状 ビーム試験温度 G*sinδ=5000kPaとなるときの温度 この温度でのG*sinδ(10Hz)

疲労応答例(同一バインダを使用)

9種のバインダでの疲労寿命 石灰石-粗粒 石灰石-細粒 砂利-粗粒 砂利-細粒

混合物の疲労寿命とG*sinδとの関係 どの骨材においても、相関関係が小さい R2=0.0895 R2=0.1887 R2=0.2323

バインダの疲労試験の開発 ◆従来の試験 ・G・sinδと混合物の疲労寿命において相関性が低いのは、   線形粘弾性の範囲(微小ひずみ)で測定しているため  ・疲労ひび割れはバインダから始まり、伝播するが   くり返し載荷による、疲労ダメージを考慮できていない ◆新しい試験方法  ・バインダだけの疲労試験で、疲労現象をシミュレート  ・選定した温度と載荷回数で応力またはひずみを  くり返し与える簡便な方法 Time-Sweep 試験

新しいバインダ試験法 ◆試験条件 ・使用バインダ : 9種 ※RTFOで劣化(混合と締固めによる劣化を考慮)  ・使用バインダ : 9種  ※RTFOで劣化(混合と締固めによる劣化を考慮)  ・試験温度 : 混合物のビーム疲労試験温度と同じ  ・載荷状態 : 10Hz、ひずみ3%(ひずみ制御)

バインダの疲労挙動 (10Hz、3%) ※試験温度は、混合物のビーム疲労試験の温度 50%G*

バインダと混合物の疲労寿命関係 ※試験温度は同じ、載荷はともに10Hz R2=0.8412 バインダ 相関関係あり 混合物

バインダと混合物の疲労寿命関係(骨材別) ※初期G*の50%となるときの回数Nを疲労寿命とする 石灰石-粗粒 石灰石-細粒 砂利-粗粒 砂利-細粒

例 : バインダの疲労試験結果 ◆試験条件 ・使用機器 : ダイナミックシェアレオメータ(DSR) 2005.12 ブリヂストン実施 ◆試験条件  ・使用機器 : ダイナミックシェアレオメータ(DSR)  ・使用バインダ : StAs、改質Ⅱ型、高粘度改質アスファルト  ・試験温度 : 20℃  ・載荷状態 : 10Hz、ひずみ3% 改質Ⅱ型 TB0.4mm-12.5% StAs 高粘度 ・StAs、改Ⅱは類似の傾向が見られた ・高粘度は20℃では  G*の低下はほとんどない

バインダの疲労パラメータの開発 ◆散逸エネルギーとは… くり返し載荷時に消散するエネルギー → 疲労と関係あり ◆疲労過程   くり返し載荷時に消散するエネルギー → 疲労と関係あり ◆疲労過程  ・疲労過程には                がある  ・くり返し載荷時(疲労過程)には散逸エネルギーが 大きく変動するときがある →このとき、Stage1からStage2へ移行していると考えられる Wi : 単位体積1サイクル当たりの散逸エネルギー Wc: nサイクル後に蓄積された散逸エネルギー Stage1 : ひび割れ発生 Stage2 : ひび割れ伝播

バインダの疲労パラメータの開発 散逸エネルギーで評価するには… 『Dissipated Energy Ratio (DER)』が有効 Wi : サイクルiでの散逸エネルギー Wc: サイクルnでの散逸エネルギー ※なぜ、散逸エネルギーの増減率の評価ではダメなのか…  ・ひずみ制御では変曲点が不明確  ・Stage1からStage2への移行にはかなり時間がかかる

散逸エネルギーの概念を  バインダの疲労試験解析に適用した例 ひずみ制御 疲労寿命

Time Sweep試験結果(応力制御) 応力制御 疲労寿命

破壊 : 『DER=Nから20%外れるサイクル数』と定義 バインダの疲労性状における応力の影響 エネルギー比の変化=ひび割れ発生  →有効面積減少により急速にひび割れ伝播 初期=散逸エネルギー一定 破壊 : 『DER=Nから20%外れるサイクル数』と定義

異なる載荷条件でのバインダの疲労性状 ひずみ3% ひずみ2% ひずみ1% 1サイクル当たりのエネルギー 疲労寿命

混合物およびバインダの疲労に関して 従来のG*sinδによる評価は混合物の寿命と相関性が低い 一方、Time Sweep試験は…  ・混合物との相関性が見られる  ・骨材の種類に影響されるが、   バインダのグレードや改質の影響よりは小さい  ・この試験から得られる散逸エネルギー比による解析方法は   バインダの疲労寿命の評価に適している