販売行動を通した自発的コミュニケーションスキルの促進
問題 精神障害者が養護学校(現在は支援学校)を卒業後、就労することを考えたとき、できるだけ多くの労働スキルを獲得しているにこしたことはない。 精神障害者が養護学校(現在は支援学校)を卒業後、就労することを考えたとき、できるだけ多くの労働スキルを獲得しているにこしたことはない。 働くことのなかには、人とコミュニケーションをとることが含まれるので、コミュニケーションスキルも向上させる必要があるのではないか。
先行研究 買物行動についての研究は多いが、販売行動についての研究は少ない。 困難場面において、誰かに援助を求めるということを含んでいない。
目的 以上を踏まえた上で、今回は販売行動をコミュニケーションスキルの一環であると捉え、 以上を踏まえた上で、今回は販売行動をコミュニケーションスキルの一環であると捉え、 販売場面を利用して、自発的に人に話しかける能力を養う。 その中に、困難場面での援助要請を含める。
目的 普段は支援学校での保護者向けの販売会を行い、最終的には大学祭で、自分で作成した陶芸作品を販売してもらう。
方法 被験者 自閉症の高校2年生の男児一名 材料 販売語彙カード、ビデオカメラ 標的行動 販売行動
方法 <販売シミュレーションを行わない場合> 介入期間 8月の終わりから11月半ばの立命館大学祭まで、週に一回 場面 介入期間 8月の終わりから11月半ばの立命館大学祭まで、週に一回 場面 支援学校エントランスでの保護者に向け た販売会
方法 <販売シミュレーションを行う場合> 介入期間 8月の終わりから11月半ばの立命館大学祭まで、週に2回 場面 介入期間 8月の終わりから11月半ばの立命館大学祭まで、週に2回 場面 支援学校エントランスでの保護者に向け た販売会および、立命館大学内においての販売シミュレーション
方法 手続き 人に話しかけるときの語彙を選定し、それを記したカードを作成する。 人に話しかけるときの語彙を選定し、それを記したカードを作成する。 その中にはわからないときは指導者を呼ぶという項目も付け加える。
方法 独立変数 販売語彙の教授 従属変数 人に対して自発的に発話した回数
方法 手続き ベースライン 販売中、指導者のプロンプトなしで発話した 回数を計る。 介入期1 指導者のプロンプトありで販売を行う。 介入期2 ベースライン 販売中、指導者のプロンプトなしで発話した 回数を計る。 介入期1 指導者のプロンプトありで販売を行う。 介入期2 指導者のプロンプトなしで販売を行う。
方法 プロンプト 声かけ 強化子 言語的賞賛 会話に伴う自然な随伴性による強化(人に話 しかける→人が応える)
考慮中のこと シミュレーションを行うか否か。シミュレーションを行うとしたら、その意義は学習の機会を増やす(担任の先生と話し合って対象者の弱点を克服するための機会を設ける)こと。 強化子として、トークンエコノミーなど、言語的賞賛以外のものを用いるかどうか。
考慮中のこと 言語的なコミュニケーション以外の行動(袋に品物を包むとか)も介入するかどうか。つまり、販売をスムーズに行えるよう、そうした行動も強化するかどうか。言語的コミュニケーションに特化せず、それも販売活動の一環という考えで、全体的に介入する?
参考文献 藤金倫徳 (1988). 強化子としての固執行動の利用に関する研究―行動連鎖の観点からの要求言語行動の形成と般化促進―.特殊教育学研究,25(4),49-55 藤金倫徳 (1992) 要求言語の自発的使用促進に関する研究―選択要求言語の刺激統制の転移―.特殊教育学研究,30(2),13-21 石原幸子・青木千帆子・望月昭 (2002) 自閉症児のコミュニケーション支援―活動選択の機会設定による効果―. 立命館人間科学研究,3,73-81
参考文献 根来あゆみ・谷川尚・西岡有香 (2006) 高機能広汎性発達障害児に対するコミュニケーションスキル指導の試み―ビデオ評価による自己認知の改善を目指して―. LD研究,15(2),183-197 仁部さおり・和士朗 (2001) 養護学校場面における生徒とのコミュニケーション促進のための要件の検討―子どもの発声に対する徹底的な応答が及ぼす効果―. 情緒障害教育研究紀要,20,231-238
参考文献 渡部匡隆・山本淳一・小林重雄 (1990). 発達障害児のサバイバルスキル訓練―買物スキルの課題分析とその形成技法の検討―. 特殊教育学研究,28(1),21-31. 渡部匡隆・上松武・小林重雄(1993) 自閉症生徒へのコミュニティスキル訓練―自己記録法を含むバス乗車指導技法の検討―. 特殊教育学研究,31(3),27-3