トラウマ的な出来事に対する子どもの反応: 教員向けの研修会

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トラウマ的な出来事に対する子どもの反応: 教員向けの研修会

はじめに 研修指導員と参加者の紹介 研修資料の配布 研修会の背景

研修会の目的 被災後、社会面、行動面、学業面の回復および向 上を意識した学級環境を整える 被災後に生徒に現れやすい反応を把握する 被災後の学級管理に対する自信を高める 教員のセルフケアの重要性を理解する サポートを必要とする生徒の特定、相談窓口の紹介 を自信をもって実践できるようになる 教員用マニュアルは、第1部~第4部で構成される: 第1部 – トラウマ的な出来事に対する子どもの反応: 子どもの反応を敏感に察知できるよう、災害後の子どもに起こりやすい反応(直後、短期および長期の反応)について説明する。  第2部 – トラウマ的な出来事のあとに、子供を支援する学校や教員の役割: 災害後、学校や教員が学級単位で生徒を支援する方法、ならびに、教員のセルフケアについて説明する。   第3部 – 子どもが特別な支援を必要とするとき: サポートを必要とする生徒の見つけ方、相談窓口の紹介方法に関して情報提供を行う。  第4部(補足資料) – トラウマ的な出来事に対する反応に関する追加情報: 子どもに現れる重度な反応(例:PTSD、不安障害、うつ障害)に関する詳細情報を提供する。

アジェンダ トラウマ的な出来事に対する子どもの反応(年齢別 の反応を含む) 教員がクラスでできること 教員のセルフケア アクティビティ:セルフケア計画の作成 相談窓口を紹介する方法とタイミング 生徒の事例と意見交換 質問と意見交換

トラウマ的な出来事に対する子どもの反応 トラウマ的な出来事の種類について、ここで概説しても良い。 (教員用マニュアルの4ページ) 子どもは様々な出来事に対してトラウマ的な反応を示すことがある。子どもが主観的に苦痛に感じるまたは恐怖を覚える状況はすべて、トラウマ的な出来事である。 トラウマ的な出来事は、個人(事故など)または集団(自然災害など)の体験に分類できる。通常、集団的な出来事は重大な崩壊や破壊を伴うため、被災後の生活の変化で心理的苦痛が増幅することがある。

脅威の認識 トラウマ的な出来事に対する子どもの反応は、どの ように脅威を認識したかによって左右される 子どもの脅威の認識方法は大人とは異なる 自分や子どもの命の危険性 親から離れ離れになる 怪我 自分の怪我 私有物を失う 親の怪我や死亡 事業や職を失う ペットや大好きな物を失う 共同体を失う 日常生活の中断 最も重要なメッセージは、親/大人が脅威を認識しない、または特定の脅威を認識した場合でも、子どもがまったく違った類の脅威を認識し、後に心を痛める可能性があるということ。災害時に子どもが認識した脅威について配慮する必要がある。大人にとっては、それほど重要ではない喪失(例:おもちゃやペット)でも、子どもにとっては大きな意味をもつ可能性がある。 また、脅威の認識(例:親から離れ離れになる恐怖)は、トラウマ的な出来事が発生してから数週間~数カ月持続することがある(子どもの年齢や脅威の深刻度などによる)。

トラウマ的な出来事に対する子どもの反応 子どもの反応は多種多様であり、時間と伴に変化 することがある 発達段階、災害前の機能、人生経験、他者の反応 の模倣の有無によって左右される 親子関係が影響することが多い 家族の状況や家庭環境が重大な意味を持つ

時間の経過に伴った反応 初期にはまったく反応を現わさないが、後から症状が現れる子どもがいることも指摘。

時間の経過に伴った反応 その他のグループとして、初期にはまったく反応を現わさないが、後から症状が現れる子どもがいることも指摘。

反応の種類 恐怖/脅威 気分 行動 身体 不安/恐怖 引きこもる 被災者を助けようとする 集中することが困難、動揺する トラウマな出来事や将来のことについて多くの質問をする 泣く、落ち込む 学校の課題をこなすのが困難 寝付けない、夜中に目が覚める、夢中歩行をすることがある 出来事について話そうとしない ショックを感じる 同じ年代の子どもや大人と関わり合うのが困難 身体的な反応(例:心拍の上昇、腹痛、頭痛) 大人から離れようとしない、大切な人、家、ペットから離れることを恐れる 大切な人、ペット、私有物を失くしたことに対する悲嘆や悲しみ 日常生活への支障(例:宿題を終えることができない、カバンの準備を忘れる、水着を持っていくのを忘れる) 悪夢や怖い夢 機嫌が悪い、すぐにカッとなる トラウマのある場面を再演したり、遊びや絵として表現する

喪失と悲嘆 多くの子どもが喪失と悲嘆を体験する 悲嘆: 災害時には、トラウマになるような悲嘆を体験するこ ともある 悲しみ、睡眠症状、食欲低下、興味関心の低下、身 体の症状、苛立ち、退行現象、死について考える 非複雑性悲嘆 - 子どもは徐々に回復する 災害時には、トラウマになるような悲嘆を体験するこ ともある トラウマに対する症状が悲嘆反応と相互作用し、正常 な悲嘆過程が阻害される 死に関わる侵入的な想起(悪夢)、回避、感情の麻痺、 心身の過覚醒の増加 研修を実施する地域によっては、喪失と悲嘆について、より具体的に話し合うこともできる。 悲嘆と喪失 悲嘆反応は、子どものトラウマ的な出来事に対する反応を複雑化することがある。一般的な悲嘆反応は、悲しみ、睡眠困難、食欲不振、興味関心の低下、身体の症状、苛立ち、退行現象、死について考えるなどが挙げられる。非複雑性の悲嘆や死別の場合、子どもは徐々にアクティビティに参加するなど状況に対応して、喪失を乗り越えていく。 しかし、自然災害の被災者は、トラウマになるような悲嘆を体験するリスクがある。大切な人を衝撃的な死に方で亡くした(例:親が洪水で流されるなど)子どもの場合、トラウマ的な悲嘆が起こりやすい。この場合、トラウマに対する症状が悲嘆反応と相互作用することで、正常な悲嘆過程が阻害される恐れがある。トラウマ的な悲嘆のサインとしては、死に関する侵入的な想起(例:悪夢)、回避、感情の麻痺、心身の過覚醒の増加(例:怒りの爆発、集中困難)などが挙げられる。

時間の経過に伴った反応の変化 直後 中期 長期 復興作業 日常生活に戻る 生活環境の回復 一過性の反応 症状の発症 専門家の介入が必要な症状 トラウマ的な出来事に対する反応は、時間の経過と伴に変化することがある。考慮すべき重要な環境要因は以下の通り。 復興期 – 災害の直後、家族には援助の手があり、災害の後片付け(例:物の修復など)への対応で手いっぱいとなる。この時期、家族は非常に忙しいため、心理的な反応は抑制される傾向にある。 日常生活への復帰 –日常生活に戻り、援助の手が減る。物事を考える時間的な余裕が生れるのがこの時期。一般的に、この時期に何らかの症状が現れやすい。 長期 – 災害から2年後まで症状が長引く子どもや家族がいる。災害によってもたらされた経済的な負担や家族の負担を、ある程度時間が経った時点で認識する家族が多いからだ(例:事業が財務苦難に陥る、災害による喪失で、親に精神的な不調(例:うつ症状)が現れる)。トラウマ症状や精神的または行動的な症状を治療せずに放っておくと、慢性的または長期的な症状に悪化する可能性がある。その結果、子どもも精神的な苦痛を抱える(または、その状況が持続する)可能性が高まる。この時期には、治療なしでは改善しない臨床症状が現れることがあり、日常的な出来事(例:友達とのケンカ)により、気分の落ち込みや乱暴な言動など、ふだんとは違う反応が見受けられることがある。 最も重要なメッセ―ジ:時間の経過と伴に、症状が持続または悪化することがある。 数カ月で回復するとは限らない。

臨床症状(PTSD、不安障害、うつ障害、行動障害) 時間の経過に伴った反応の種類 直後 中期 長期 恐怖 睡眠問題 臨床症状(PTSD、不安障害、うつ障害、行動障害) 動揺 疲労 学業の低下 悪夢 対人問題 飲酒や薬物乱用 睡眠困難 気分の落ち込み 危険行為の増加 大人にくっついて離れない 不安 反社会的な行為 泣く/精神的苦痛 集中困難 行動化 退行現象 専門家の介入が必要となる障害の詳細については、教員用マニュアルの第4部を参照。

中期~長期の臨床症状 心的外傷後ストレス障害(PTSD) 不安障害: 分離不安、全般性不安、特定恐怖症、 社交不安 うつ障害/ 気分変調症 外在化障害:反抗挑戦性障害、行為障害 学業の低下 薬物乱用

子どもの回復に影響を与える要因 被災前 のリスク要因 被災関連のリスク要因 被災後のリスク要因 以前からあった精神面および行動面の症状 以前からあった家庭のストレス要因 過去のトラウマ体験 被災関連のリスク要因 自分の死や怪我の可能性、大切な人の怪我または死の目撃、大切な人の死 親や家からの分離、家や私有物の喪失、避難 強い苦痛を抱えた家族を目にする 突然の出来事 被災後のリスク要因 家族の変化(親の死、保護者の不在) 親のメンタルヘルスの問題、家庭の機能不全 親子関係の問題、子育て、しつけなどの変化 家族に関わるストレス要因 社会的な支援の喪失、地域社会や学校の喪失 二次受傷 自然災害などのトラウマ的な出来事を経験した子どもに、心理的な影響をもたらす可能性のあるリスク要因がある。 ある程度または多くのリスク要因を抱える子どもがいる。これらは単にリスク要因であり、必ずしもこれがPTSD等の問題の発症につながるというわけでない。しかし、こうした指標を考慮し、リスク要因を持つ生徒に関しては、慎重に健康観察を行う必要がある。

年齢別の反応 それぞれの学校に該当する対象年齢のスライドを利用する。小学校の場合、未就学期および学童期の資料を使用し、中高校の場合は、思春期の資料を使用する。

未就学期の子ども(0歳~6歳) 6歳未満の子どもでも、トラウマ的な出来事から悪影響を受 けることがある この年齢層に起こりやすい反応: 出来事の再現(遊び、描画、悪夢、心理的苦痛) 出来事を思い出させる事の回避、感情の麻痺 過覚醒(動揺または驚きやすい、集中困難) 行動の変化(苛立ち、かんしゃく、気難しい、関心を引こうとする、 攻撃的な態度) 分離不安/親や教員から離れたくない 退行現象 新しいことや物に恐怖心を抱く 身体の症状 食欲の変化 養育者、兄弟姉妹、友人との関係性の問題 早期介入が推奨される 最も重要なメッセージ:6歳未満の子どもも、トラウマ的な出来事による影響を受けることがある。心身ともに急速な発達を遂げる0歳~6歳の子どもは、対応能力に限りがあり、養育者による心身のケアが不可欠であるため、災害の影響を最も受けやすい年齢層であると言える。. トラウマ的な出来事に対する反応は千差万別。静かで引きこもる子もいれば、問題行動が現れる子もいる。 問題行動とは、必ずしも悪い行動ではなく、トラウマが表面化している可能性があることに注意する。

6歳~12歳の子ども 再体験(精神的苦痛を伴う記憶を思い出す、出来事につい て何度も話したがる、遊びの中で出来事を再現する) 回避(災害に関連する学校活動への参加を拒否する、出来 事について話したがらない、 記憶の空白) 過覚醒(苛立つ、怒りの爆発、集中困難、過剰な警戒心、緊 張感) 感情麻痺 心的苦痛 行動の変化(怒りの爆発、不従順) 学業の低下(不登校や記憶力、注意力、やる気の低下が原 因) 身体の症状 家族や友人からの引きこもり 食欲の変化 自分や他者の安全に対する不安や恐怖(まとわりつき)

13歳~18歳の子ども 再体験(フラッシュバック、侵入思考、出来事を思い出させる事柄によるスト レス) 回避(災害に関連した学校活動への参加の拒否、記憶の空白、出来事つい てについて話したがらない) 過覚醒(怒りの抑制困難、集中困難、睡眠困難、緊張) 感情麻痺(感情の起伏がない、感情の麻痺、感情の範囲の縮小) 心的苦痛(自責の念、罪悪感、気分の上下、苛立ち、自信や自尊心の喪失、 自分が「おかしい」のではないかという不安) 行動の変化(攻撃性、不従順) 学業困難(不登校、集中・記憶困難、やる気の低下、 権威的な存在に対す る反抗、対立的) 活動への不参加(スポーツ、友達と遊ぶ、音楽) 身体の症状、食欲の変化 精神的苦痛を麻痺させるための飲酒または薬物乱用 危険で無謀な行為(性行為、飲酒、飲酒運転、ヘルメットなしでオートバイに 乗る) 自殺的または自虐的な思考や行動、将来への希望の喪失 人間関係の問題

トラウマ的な出来事のあとに、 子どもを支援する学校や教員の役割 教員がクラスでできること 教員、トラウマ、セルフケア

教員がクラスでできること

被災後の教員の役割 良い先生であり続ける 子どもを教育面で支え続ける 災害時に生徒に起こりやすい反応、それが生徒や 教員、学級に及ぼす影響を把握する 相談窓口を紹介する準備を整える アクティビティ -被災後の学級運営において最も役に立った手法について、参加者から意見を募る。

災害後の学級運営 I 時間の経過に伴った症状の観察** 学校生活の日課の維持 生徒の精神的および心理的な健康を促すための第一の ステップ 生徒の行動や家族の状況の変化に注意し、観察を続ける 相談窓口の紹介方法について把握する 学校生活の日課の維持 規則正しい環境、明確な目標、スケジュール、アクティビ ティ スケジュールの変更を事前に知らせる - 1週間の予定な ど 不要なストレスを減らし、安全性と一貫性を確保する 災害直後のみならず、長期的に実施するのが良い 時間の経過に伴った症状の観察** - 生徒の心身の健康を支える上で最も重要な教員の役割。教員は、生徒の行動の変化や学校生活における諸問題を最も察知しやすい立場にある。しかし、支援を必要とする生徒のカウンセリングや治療は教員の仕事ではない。 生徒の健康観察に加え、子どもの心理的および精神的な回復を促進するために、教員が学級単位で実施できることは以下の通り。 学校生活の日課の維持 – 一般的に子どもは、目標、期限、活動の予定などがはっきりと決まった環境にうまく適応するものである。トラウマ的な出来事のあとの混乱で、家族や家の状況が不安定で今後の予測が立たない状況では、特にこれが重要となる。予定がはっきりと決まった安定感のある生活環境が子どもにとっては大切。最低限、学校という生活の一局面にて、生徒に望ましい行動を指導し、安全性や一貫性といった感覚を与えるよう努める。 日課の維持は、被災直後に効果的な手法だが、災害の影響が継続する、家族の状況が不安定、生徒のトラウマに対する反応が長引いている等の場合には、長期的に実施するのが良い(全生徒のメリットとなる)。 また、今後の予定やスケジュールの変化について、事前に生徒に知らせることが大切。毎日または毎週の予定を知らせ、適宜、再連絡するのが良い。高学年以降の場合、期限や大きなイベントについて事前に知らせることが必要。そうすることで、予定に対する心構えをすることができる。

災害後の学級運営 II トラウマ的な出来事について話し合いを持つ 心のサポートに役立つ 生徒への話しかけ方に注意 トラウマ的な出来事について話す: トラウマ的な出来事について語ることが、問題やストレス反応の発症につながると誤解されることがある。出来事について話すことは問題の誘発につながらないが、生徒に対する話かけ方には十分配慮する必要がある。生徒が精神的苦痛を覚えたり、不適切な対処方法を学びとる可能性があるからだ。 災害から時間が経過している場合はなおのことである。時間が経過したあとに体験について語ることで、子供が精神的苦痛を覚えるようであれば、既に問題を抱えていたサインであるため、専門家の介入が必要となる場合がある。 最も重要なメッセージ:トラウマ的な出来事について話し合うときは、生徒に対する話しかけ方を検討およびモニタリングすることが重要となる。

生徒と話し合うときのアドバイス 災害の話し合いにはルールを設け、必要に応じて、実施内 容に変更を加える 生徒が感じる恐怖を受け止める 危険やその恐れは過去に起きたことで、今は復興と再建の時 期なのだというメッセージを強調 適宜、別の教員のサポートを受ける 教員自身の被災体験について話すときは、先生としての役 割を忘れないように意識する 模範となる冷静さを保つ 心の強さ、適切な対処方法、前向きな成果を強調する 「話し合い」の代替策を用意する(絵を描く、遊戯) 高学年以降の子どもの場合、複雑な問題や人間関係に焦 点を当てた話し合いが可能な場合もある 詳細は、教員用マニュアルの16~17ページを参照。 災害が自分や家族にどのような影響を与えたかを生徒に語ってもらうときには、家族や大事な物を喪失したり、この体験を特に苦痛と感じている子どもに十分配慮することが重要である。こうしたアクティビティに参加するのが困難または不適切となる場合もある。話すことが当人のためであったとしても、それぞれの子どもの状況に配慮して、アクティビティの予定を立てる必要がある。 十代の生徒の場合、適宜、友人や家族に相談するよう勧めることもできる。

災害後の学級運営 III 生徒に期待する行動、行動の許容範囲をはっきりと 定める 注意: 行動化の原因を探る必要性が生じるときもあ る 生徒が実施する課題やクラス内での行動 集中力を高めるため、学級活動の実施方法に変更を 加える 不適切な行動に対しては、論理的な結果を課す 注意: 行動化の原因を探る必要性が生じるときもあ る 被災直後には、生徒に課すルールをある程度調整する必要がある(例:制服の着用、学習用具の持参など)。 しかし、規則的な学校生活が回復していくにつれ、生徒に期待する行動をはっきりと再設定することが大切。生徒が実施する課題や生徒に期待する行動自体を変えるのではなく、子どもの負担にならないよう、内容に変更を加えるのが良い。 例えば、生徒の集中力が続かないことがあれば、課題や活動の時間を短めに切る(例:15分~30分)など工夫できる。課題や活動の途中に体を動かすアクティビティ(例:起立して、身体をほぐすなど)を組み入れることで、生徒の集中力や注意力を高めることができる。 生徒の問題行動に関しては、トラウマ反応の可能性を考慮することが大切。トラウマ反応は、引きこもりだけではない。トラウマ的な出来事に起因する不安症状の表れとして、行動化が起こることもある。特に災害前から変化が見られる場合には、感情の行動化や問題行動の原因を探ることが重要である。こうした行為は、災害後から時間が経った後に表面化または発症する可能性がある。

災害後の学級運営 IV 生徒間においての「助け合い」制度 安心できるリラクゼーションスペース 適切であれば、生徒に選択肢を与える 感情面や学業面で助け合える環境作り 安心できるリラクゼーションスペース スペースを使用する際のルール 適切であれば、生徒に選択肢を与える 無力感とコントロール感 困難な状況を想定し、事前に準備する できる限り、事前に対策を練り、サポート体制を整える 反応を誘発する可能性のある状況に対する備え 例:消防訓練、嵐、雨、大きな音 強さと前向きさを強調する 望ましい対処姿勢を強調 助け合い体制作りのサポートをする 生徒間においての「助け合い」制度:これは特に被災直後に効果的。生徒を二人組にして、構内で生徒同士が助け合える体制を整える。この手法は、特に低学年の児童に適しており、心の支えとなる友人関係を築いてもらうことが狙い。被災直後に一番必要となるが、長期的に続けることが有益な生徒もいる(例:問題が持続する生徒、一人になるのが嫌いな生徒、心のサポートを必要とする生徒)。こうしたバディ制度(Buddy 英語で、相棒、友達という意味)は、学級活動やグループで行う活動の際にも役に立つ。 安心できるリラクゼーションスペース:被災直後または中期の対応策として効果的。学校で心が動揺したとき、生徒が冷静さを取り戻すために使えるスペースを、教室の一角等に設けるのが良い。教員が生徒と個別で会話をする場合にも使用できる。低学年の生徒の場合は、机上の端に決まった色のカードを置くなど、スペースの使用許可を得る方法を事前に決めておくのが良い。 選択肢を与える:災害時や災害後に、子どもが無力感やコントロール感の喪失を覚えることがある。学級活動について、生徒に選択させたり、意見を求めたりすることで、コントロール感を取り戻すことができる生徒(年齢による)もいる。学級活動の決定や選択を生徒に促す方法については、教員用マニュアルの19ページを参照。 反応を誘発する可能性のある状況に対する備え:生徒によっては、突然の行動、騒音、何らかのきっかけ(例:騒音、消防訓練、嵐、雨の接近、電灯を消す)により、トラウマ的な出来事を想起したり、恐怖を覚えたりすることがある。できる限り、事前に子どもに心の準備をさせてから行動に移るように心掛ける。高学年以降の生徒の場合、反応を誘発する可能性のあるイベントや課題(例:自然災害の調査、雨や洪水について話し合うアクティビティなど)については、事前に連絡しておく必要がある。生徒によっては、別の課題を選択させる必要性が生じることもある。 強さと前向きさを強調する:被災後からある程度の期間は、被害への対応や復興作業が、日々の生活の中心となりがち。精神面や行動面の問題も含め、生活のマイナス面ばかりが目につきやすくなる。子どもの好ましい行動や対処姿勢に気付いてあげること(例:褒める)がおろそかになる時期だが、きちんと気付いてあげることが、子どもの自尊心の回復に役立ち、どのような行動が望ましいのかを伝えることにもつながる。 教員にとって、生徒が見せる心の強さ、望ましい行動や対処姿勢を認識および促進することは、日常生活の中で手軽に実践できることでもある。子どもの前向きな行動(否定的な行動よりも)に気付くように努め、適宜、こうした行動を褒めるように心掛ける。生徒を褒める方法や好ましい言動を促す方法については、教員用マニュアルの21ページを参照。この時点で、教員用マニュアルに記載されるヒントを紹介しても良い。 「助け合い」体制作りのサポートをする:特に、家族の喪失、余儀ない引っ越し、周囲の人からのサポートの喪失を経験した生徒には、校内の助け合い体制が重要となる。ストレスを抱えている、または感情のコントロールが困難と感じる生徒にとって、助け合いの体制は重要な保護機能を果たす。誰かが欠けたときのために、複数人の相談相手を設けておくことが大切。生徒にとっては、単純に誰が話し相手になってくれるかを知っているだけでも大きな支えとなる。

教員、トラウマ、セルフケア

教員とトラウマに対するストレス 教員の反応を複雑化する要因 教員も深刻な影響を受けることがある 災害から直接的または間接的な影響を受ける 以前から抱えていたストレス トラウマ体験を持つ他者を支える 教員も深刻な影響を受けることがある 心身ともに疲労する 自分および生徒の体験に圧倒される 災害によるトラウマ的なストレス 二次的外傷性ストレス/共感疲労 最も重要なメッセージ:教員の心的苦痛やストレス反応は精神的な弱さの現れではなく、むしろ他者をケアすることによる代償なのである。

二次的外傷性ストレスのサイン 集中力や注意力の低下 (生徒、家族、友人に対する)苛立ちや動揺の増加 学級活動や授業の計画、日課の維持が困難 感情の鈍麻や解離 生徒のトラウマに関する強い感情、侵入思考や夢 (時間と伴に軽減しない) 症状の持続 早期の発見と介入が重要

教員のセルフケア セルフケアが徹底している教員は、生徒管理も効果 的に行うことができる セルフケアの方法: 教員のストレス = 冷静かつ建設的な方法で生徒に対 応することが困難 セルフケアの方法: ストレスに気付く ストレスや情緒反応を適切なレベルに抑制する 適切な対処方法を実践する 意見交換-どのようにセルフケアを実践しています か? 学校教員はふだんからストレスの多い仕事であり、セルフケアが特に大切な職業である。災害に関連する持続的なストレス要因があり、生徒にとっても困難な時期には、教員のセルフケアがますます重要となる。 セルフケアが徹底している教員は、生徒の管理も効果的に行うことができる。自己管理を行い、ストレス反応や情緒反応への対処方法を把握し、心身のケアが徹底していれば、問題行動や症状が見られる生徒にも冷静に対応することができる。 アクティビティ ふだんからのどのようなセルフケアを心掛けているか、それらが今の状況に適しているかどうかを参加者に尋ねる。災害後の現状で、教員が実践できるセルフケアの方法について意見交換をする。アイディアを黒板かプロジェクターに書き出すのが良い。参加者にも、アイディアをメモに取るよう促す。

教員のセルフケアのアドバイス 自身の反応、感情、ニーズを観察する 災害関連のストレスについて誰かに相談する 助け合いの体制を築く 計画性のある学級活動 準備や計画を徹底する リラックスまたは静かにする時間を設ける 建設的な対処方法 呼吸法、筋肉のリラクゼーション、イメージトレーニング 心理的苦痛の原因となるマイナス思考を抑制する 建設的(現実的!)な思考や姿勢を心掛ける セルフヘルプの情報を検索する(例:ウェブサイト、書籍) 健康的なライフスタイルの維持 自分の時間、家族、友達との時間を確保する 誰かから声が掛かるのを待つだけでなく、積極的に予定を立てる トラウマ的なストレスを抱えていない生徒と時間を過ごす 健康的なライフスタイルの維持 = 食事、運動、リラックス、睡眠。健康的なライフスタイルを維持している教員は、自分のストレスをうまくコントロールし、生徒の反応や問題行動に効果的に対処することができる。

ユビキタス・カウンセリング http://www.ubiquitous-counseling.com/ ユビキタス・カウンセリング http://www.ubiquitous-counseling.com/ ユビキタス・カウンセリング   http://www.ubiquitous-counseling.com/

みんなのメンタルヘルス総合サイト みんなのメンタルヘルス総合サイト  http://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html

兵庫県こころのケアセンター http://www.j-hits.org/ 兵庫県こころのケアセンター http://www.j-hits.org/ 兵庫県こころのケアセンター  http://www.j-hits.org/

Utsu.jp(うつ病と不安の病気の情報サイト) http://utsu.jp/

アクティビティ: セルフケア計画の作成 自分のストレスサインを知っていますか? あなたのストレス解消法は何ですか? 相談相手がいますか? 1ヵ月のスケジュールに、いつ、どのようなアクティビ ティを盛り込むことができますか? このアクティビティでは、参加者にセルフケア計画を作成してもらう。 セルフケア計画のフォームを配布し、ストレスサイン、ストレス解消法(例:呼吸法、リラクゼーション、相談)、相談相手、1カ月のカレンダーにリラックスできる予定を記入してもらう。

生徒が特別な支援を必要とするとき 相談窓口を紹介する方法とタイミング 自然災害で重大な喪失を経験した子ども(例:家族の死亡)の場合、すでに健康観察下にあり、専門家の紹介を受けていることだろう。しかし、災害の影響を受けたその他の生徒についても、何らかのサポートが必要となる可能性がある。既にサポートを受けている生徒でも、問題が持続し、別のサポートが必要となる場合もある。よって、すべての生徒を対象に、専門家の介入を必要とする心的苦痛のサインを観察していくことが重要となる。 このセクションでは、生徒のカウンセリングを行ったり、生徒の精神的な問題を治癒することが教員の役割ではないことを、参加者に伝えることが重要。問題を抱える生徒を発見し、適宜、適切な相談窓口や専門家を紹介することが教員にとっての重要な役割となる。教員は、継続的に生徒の行動や感情を観察することにより、生徒の微妙な異変に気付くことができる。必要に応じて、別の学校職員からの助言を受けつつ、専門機関でサービスを受ける方法について把握しておくのが望ましい。 専門機関を紹介した後に、生徒をどのように継続的にサポートしていくべきか、生徒を支援する上で専門家とどのように連携していけるか等について知りたいと思うこともあるだろう。これは各生徒と学校の状況によって異なる。研修指導員は、各市町村のサービスや災害時における青少年精神衛生サービスの役割について、できる限り把握しておくように努める。

事例 1:けいこちゃん(7歳)は、ふだんから不安になりやす い性格ではあるものの、森林火災があってから、いつもよ りも大人にまとわりつくようになりました。朝、学校に送ら れる際に泣き出すため、お母さんは娘をなだめるのにい つも時間をとられます。お母さんが立ち去った後も、できる 限り最前列に座って先生の近くにいようとします。また、以 前にはなかったことですが、おもらしをするようになり、他 の生徒もこれに気付くようになりました。お母さんは、けい こちゃんが前よりも怖がりになり、悪い夢を見るようで寝付 きも悪くなったと話しています。宿題を終えずに学校に来 ることがあり、家に宿題ノートを忘れてくることもあります。 お母さんも不安を抱えているようで、娘についてとても心 配しています。この家族は、数カ月の修復作業を終えた 自分たちの家に近々戻る予定ですが、新しい家に住むこ とに対して、お母さんは複雑な心境です。

アクティビティ 事例 1 この児童が抱える精神的苦痛のサインを見て取れ ますか?どのような反応が現れていますか? アクティビティ 事例 1 この児童が抱える精神的苦痛のサインを見て取れ ますか?どのような反応が現れていますか? 精神的苦痛の持続に寄与するリスク因子を見て取 ることができますか? どのような追加の情報が必要ですか? 教員として、今あなたができることは何だと思われ ますか?

事例 2:けんじ君(10歳)は、たくさんの友達を持つ、と ても外交的な男の子でした。しかし、洪水があってか ら、前のように友達と関わり合うことがなくなり、お昼 の時間には図書館にこもり、スポーツもすることがなく なりました。学校の課題はこなすものの、授業中に積 極的に手をあげなくなり、クラスの生徒と関わりを持た なくなったようです。気分も平坦で、前ほど笑わなくな りました。

アクティビティ 事例 2 この児童が抱える精神的苦痛のサインを見て取れ ますか?どのような反応が現れていますか? アクティビティ  事例 2 この児童が抱える精神的苦痛のサインを見て取れ ますか?どのような反応が現れていますか? 精神的苦痛の持続に寄与するリスク因子を見て取 ることができますか? どのような追加の情報が必要ですか? 教員として、今あなたができることは何だと思われ ますか?

情報収集の方法 I 当人と話し合いを持つ 別の職員にサポートを依頼する(教員、校長、スクールカ ウンセラー、養護教諭) 守秘義務の遵守 生徒が安心できる環境作り 「いろいろと大変だったね。こういうときの反応はみんなそれぞれだから、話 したくないと思うのも普通なんだよ。」 理解を示す 全般的な質問から、具体的な質問に移る (無理強いしない) 「地震/津波があってから、どういう風にしてる?」 「前は楽しんでいたのに、辞めてしまったことがあるようだけど?先生 に話してみてくれる?」 しっかりと耳を傾けている態度を示す(理解度を確認する) 「地震/津波があってから、家でも大変なんだね。お父さんもお母さん にもストレスがあるんだね。」 生徒の苦痛を現実として受け止める 強さと前向きな対処方法を強調する 別の職員にサポートを依頼する(教員、校長、スクールカ ウンセラー、養護教諭) 守秘義務の遵守 災害の影響で生徒が何らかの問題を抱えているのではと疑う場合、または、介入の必要性の判断に追加情報が必要といった場合に、教員が実施できる情報収集の方法を紹介する。 当人と話し合いを持つ  適切な場合に限定して、出来る限り、今抱えている問題について生徒と話し合いを持つ。生徒の年齢、教員の対応力、問題の難度によって、これが実施可能かを判断する。別の学校職員に関与してもらうよう積極的に働きかけることもできる。生徒指導員、養護教諭、スクールカウンセラーがいる場合は、生徒との会話にこうした職員を介入させることが有益である。 生徒に対する話し方のヒント(教員用マニュアルの32ページを詳細): 安心できる環境作り -先生から批判されることはないという、安心できる環境作りを徹底することで、生徒が正直かつオープンに現状について話してくれることがある。例えば、災害から時間がたっているのに、なかなか気分の整理や状況への適応ができていない、うまく順応している他者と比べ、自分は何かがおかしいのではないか、こんな気持ちになってはいけない、と考えている生徒もいるかもしれない。良い反応、間違った反応などなく、あなたをサポートするために先生はいるのだという安心できる環境を作りだすことが重要である。

情報収集の方法 II 保護者に懸念点を伝え、生徒の基礎的な背景情報を 得る 堅苦しさや威圧感のない温和な雰囲気を心掛ける 校長、スクールカウンセラー、養護教諭を関与させる 行動の異変や心配な点があるかを保護者に尋ねる 「ご家族も大変でしたね。皆さんがどうしてらっしゃるかお伺 いしようと思いまして。」 「お子さんの様子はどうですか? 何か前と変わった事や心 配な点はおありですか?」 慎重かつ敬意を払った態度で、保護者に心配な点があ ることを伝える 「お子さんの行動の変化に気が付きまして、ご意見を伺おう と思った次第です。ご家庭でも、同じような行動の変化が見 受けられますか?」 生徒の懸念点について保護者と話し合うことは、特に低学年の場合、情報収集の観点からも有益である。保護者からの話をきくことで、同生徒に行動の変化があるか、学校外で症状が見受けられるか、介入が必要かなどを明確にすることができる。 学業以外の事柄について保護者と話をすることに馴れていない教員もいるため、面談をスムースに実施するためのポイントを紹介する。

情報収集の方法 III 生徒の懸念点について、保護者も教員と同意見である かを確認する 子どもの問題行動に寄与する家庭問題の有無について 確認する 「今、ご家庭や家族のことで悩みがあると思われますか?」 こうした問題は一般的であることを伝え、安心感を与える 学校や教員に何かできる事はないかを尋ねる 「今、お子さんにとって特に難しい時のようです。何かサ ポートが必要なようでしたら、適切な相談機関を紹介するこ ともできますよ。」 相談窓口に関する情報やアドバスを提供する 生徒の懸念点について保護者と話し合うことは、特に低学年の場合、情報収集の観点からも有益である。保護者からの話をきくことで、この生徒に行動の変化があるか、学校外で症状が見受けられるか、特別な支援が必要かなどを明確にすることができる。 学業以外の事柄について保護者と話をすることに馴れていない教員もいるため、面談をスムースに実施するためのポイントを紹介する。

相談窓口を紹介するタイミング 症状が持続または悪化する 学業の深刻な低下が見られる 生徒の問題が、日常生活に支障をきたし、深刻な心 理的苦痛を伴う 感情のコントロールが困難(例:泣く、怒りなど)で、 これが持続または悪化する 社会的機能の深刻かつ長期的な変化が見られる

続き… 頻繁に他者に迷惑をかけるような行動が見られる 年齢に準じた課題をこなすことが難しい 下の年齢の子どもに見られる行動への退行現象 複数の場面で問題が現れる 学校外にストレス要因がある 重大な苦痛や不安を誘発する要因がある(生徒ま たは家族)

支援を得る方法 校内の情報資源を使用する 地域のサービス 校内の情報資源やサポート職員について把握する チャイルドライン(子どものためのホットライン) こころの健康相談統一ダイヤル よりそいホットライン 全国のいのちの電話 全国の児童相談センターおよび教育相談機関 ユビキタス・カウンセリング 支援を必要とする生徒を察知した場合に、どのような情報を校内で使用できるかを参加者に尋ねる。 チャイルドライン(子どものためのホットライン) こころの健康相談統一ダイヤル よりそいホットライン 全国のいのちの電話 全国の児童相談センターおよび教育相談機関 ユビキタス・カウンセリング

支援を得る方法(続き・・・) 特別な支援を必要とする生徒を察知したときに活用でき る校内の情報資源は何かを参加者に尋ねる 公立機関: 全国の児童相談センター、教育相談機関、精神保健福祉 センター 民間機関: 民間のメンタルヘルスクリニックやカウンセリングセンター 日本臨床心理士会(JSCCP)を通して、臨床心理士を検索 することも可能 支援を必要とする生徒を察知した場合に、どのような情報を校内で使用できるかを参加者に尋ねる。 公立の機関: 全国の児童相談センター、教育相談機関、精神保健福祉センター 民間の機関: 民間のメンタルヘルスクリニックやカウンセリングセンター 日本臨床心理士会(JSCCP)を通して、臨床心理士を検索することも可能。

質問と意見交換

アクティビティ: 生徒の事例 時間があれば、問題を抱える生徒が自分の学級にいるかどうかを尋ねる。 生徒に現れる反応の種類、ストレス要因、リスク要因、必要となる追加情報、教員として何ができるか等について、質問を投げかける。 生徒に現れている反応はどのようなものですか? どのような追加情報が必要ですか? 生徒にどのような質問をすべきですか? 誰が生徒にこうした質問をすべきですか? 保護者との面談が必要ですか? 生徒をさらにサポートする上で何ができますか?