フォークリフト運転技能講習資料 力 学 編 C HiroTech
力学 INDEX Copyright by HiroTech SI単位について 1 力 2 力の三要素 13 運動と速度 3 作用・反作用 1 力 2 力の三要素 13 運動と速度 3 作用・反作用 14 加速度 4 力の合成 14-1 加速度とは 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 14-2 加速度(事例) 6 力の分解・分力 14-3 加速度(例題) 7 力のモーメント 15 慣性と慣性力 7-1実例解説 16 遠心力と求心力 7-2トラックとのバランス比較 17 摩擦力 8 力のつりあい 18 最大静止摩擦力・静止摩擦係数 8-11点に作用する力 19 仕事・動力 8-2 平行力のつりあい 8-3 平行力 計算演習 20 荷重の種類 8-4 平行力 逆比の関係 (1) 力(荷重)の向きによる分け方 8-5 平行力 例題(計算) (2) 荷重にかかる速度による分け方 8-6 平行力 例題(線図) (3) その他の分け方 9 質量と比重 (4) 荷重・性能・状態に関する用語 9-1 質量 21 荷重と応力 9-2 比重 22 材料の強さ 9-3 単位体積の物体の質量 22-1 材料のひずみ 9-4 体積算出の簡略式 22-2 応力ひずみ線図 9-5 質量の算出(例題) 22-3 安全率 参考 1 22-4 リフトチェーンの安全率 参考 2 23 フォークリフトの安定度 10 重 心 24 フォークリフトの定格荷重 11 物体のすわり(安定) 25 フォークリフトの許容荷重 12 重心と安定 12-1 平坦地での重心位置 12-2 積荷の状態による重心位置 12-3 坂道での重心位置 12-4 横方向の安定 Copyright by HiroTech 力学
できるだけ作業現場の感覚で理解してもらうためですので、ご理解ならびにご了承をお願いいたします。 力学 ◎ はじめにご覧ください - 力の単位表示 日本では1993年11月1日に施行された新計量法により、1999年10月1日より国際単位系”SI単位”への完全切り替えが行われました。 現在SI単位での質量と力の単位は下記のようになります。 ・質量の単位 キログラム (kg) ......国際1キログラム原器と等しい質量 ・力の単位 ニュートン (N) ......質量1キログラムの物体に1m/s の 加速度を与える力の大きさ 2 ◎以前は力の単位にトン (t)、キログラム (kg)やグラム (g)を使っていました。 1kは質量 1kgは力 (重量) とし、 質量の数値と力の数値が地上で同一になるようにしていました。 私達が日常使う「重さ」は物体が重力で地表に引きつけられる「力」で「重量」ともいいます。(重さは質量とは違います) 本教材では、重さ、重量を SI単位よる力の単位 ニュートン (N) で表示しています。 但し必要により従来の重力単位系の力の単位である キログラム(kg)を括弧で併記しています。 その場合キログラムを、便宜上 ニュートン単位の数値 X 0.1(kg) で換算し表示しています。 (実際の計算は 1kgf=9.8Nで計算します。) できるだけ作業現場の感覚で理解してもらうためですので、ご理解ならびにご了承をお願いいたします。 力学 Copyright by HiroTech
6kgと表示 1kgと表示 力学 地球上 月面上 ※月の引力は地球の引力の6分の1です 6kgの質量の物は地球上でも月の上でも同じ質量。 ◎ はじめにご覧ください - 力の単位表示 参考>> 地球上 月面上 6kgの質量 6kgの質量 60Nの力 (60Nの重量) 10Nの力 (10Nの重量) 6kgと表示 1kgと表示 ※月の引力は地球の引力の6分の1です 6kgの質量の物は地球上でも月の上でも同じ質量。 でも月の上でこの物を秤で計ると1kgを示します。 これは、この物が月の重力で月面に引きつけられる 「力」(重さ、重量)が減ったからです。 力学 Copyright by HiroTech
■ 新計量単位(SI単位系)と旧単位の対照 力学 ◎ はじめにご覧ください - 力の単位表示 ■ 新計量単位(SI単位系)と旧単位の対照 計量単位の 種類 SI単位移行以前の 計量単位 SI単位移行後の 新計量単位 吊上荷重 積載荷重 その他 切断荷重 引張荷重 衝撃荷重 引張応力 圧縮応力 質量・重量 キログラム (kg) トン (t) 力 重量キログラム (kgf) 重量トン (tf) 応力 重量キログラム毎平方 センチメートル (kgf/cm ) 重量トン毎平方 センチメートル (tf/cm ) モーメント 重量キログラムセンチメートル (kgf・cm ) 重量キログラムメートル (kgf・m ) 質量 キログラム (kg) トン (t) 力 ニュートン (N) キロニュートン (kN) 応力 ニュートン毎平方 センチメートル (N/cm ) キロニュートン毎平方 センチメートル (kN/cm ) モーメント ニュートンセンチメートル (N・cm ) ニュートンメートル (N・m ) 2 2 2 2 力学 Copyright by HiroTech
力 1 力 力とは、 などの作用をいう 静止物体を動かす 動いている物体の 速度を変える・止める 物体を変形させる 静止している物体を動かす 力学 1 力 力とは、 静止している物体を動かす 動いている物体の速度を変える 運動を止める 物体を変形させる などの作用をいう 静止物体を動かす 力 力が作用すると手に感じる 動いている物体の 速度を変える・止める 物体を変形させる 力学 Copyright by HiroTech
力には必ず、力の大きさ、力の向き、力の作用点の3つの要素があり、これを力の3要素という 力学 2 力の三要素 B方向 C大きさ A 力の作用点 A作用点 B 方向(向き) C 力の大きさ(矢印の長さ) A作用点 W B向き C大きさ 力はAを作用点として、 A→B方向(力の向き)と A→B矢印(力の大きさ)で 表した物体に与える効果を示す 力には必ず、力の大きさ、力の向き、力の作用点の3つの要素があり、これを力の3要素という 力学 Copyright by HiroTech
3 作用・反作用 壁を押すと 作用 反作用 壁は押される力を受けています。 でも、手には壁からの力を感じます。 力学 3 作用・反作用 壁を押すと 反作用 作用 壁は押される力を受けています。 でも、手には壁からの力を感じます。 これは、壁が手に力を加えている からです。 2つの物体の、一方が相手に力を及ぼすと、必ず相手は力を及ぼし返します。 一方が相手に力を及ぼすだけ、ということはありません。 このように2つの物体が力を及ぼし合うとき、一方を「作用」と呼び、もう一方を「反作用」と呼びます。 力学 Copyright by HiroTech
台の上に荷物を置くと 重さ(力) 荷物 作用 台 反作用 力 作用と反作用は、 同じ直線上で作用し、 大きさは等しく、 向きが反対 力学 3 作用・反作用 台の上に荷物を置くと 重さ(力) 作用 荷物 反作用 力 台 荷物が台の上にのっています。 台は荷物の重さを受けています。 でも、台も荷物に力を加えています。 作用と反作用は、 同じ直線上で作用し、 大きさは等しく、 向きが反対 力学 Copyright by HiroTech
4 力の合成 1つの物体に2つ以上の力が作用するとき 物体 このまとめられた力を合力という 力をまとめることを、力の合成という 合力 力学 4 力の合成 1つの物体に2つ以上の力が作用するとき 2つ以上の力を、それらの力と同じ働きをする1つの力にまとめることが出来る 物体 このまとめられた力を合力という 力をまとめることを、力の合成という 力 合力 力 力学 Copyright by HiroTech
5 力の合成・力の平行四辺形の法則 R F1 o F2 [ 2つの力の合成] 力の平行四辺形の法則で求める 力学 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 ① 1点(作用点)に作用する力の合成 [ 2つの力の合成] 力の平行四辺形の法則で求める R F1 o 作用点 O点に作用する2つの力F1とF2の合力は、F1とF2を2辺とする 平行四辺形の対角線Rとなる F2 力学 Copyright by HiroTech
R R2 R1 F1 F2 F3 Rが合成した力(合力)です F4 [多数の力の合成] 力学 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 ② 1点(作用点)に作用する力の合成 [多数の力の合成] 力F1 F2 F3 F4の合成方法 R2 R1 1) F1とF2の合力R1を求める F1 R 2) R1とF3の合力R2を求める F2 3) R2とF4の合力Rを求める 作用点 F3 Rが合成した力(合力)です F4 力学 Copyright by HiroTech
合力の大きさはそれらの和または差で示される 力学 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 ③ 一直線上の点に作用する2つの力の合成 [2人が同じ方向に一直線上に引く] 100N 50N 100N 50N 合力の大きさは 150N F1 100N F2 50N R =150N (合力) R = F1+F2 2つの力が一直線上に作用する時は、 合力の大きさはそれらの和または差で示される 力学 Copyright by HiroTech
合力の大きさはそれらの和または差で示される 力学 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 ④ 一直線上の点に作用する2つの力の合成 [2人が反対の方向に一直線上に引く] 50N 100N 50N 100N 合力の大きさは 50N F1 100N F2 50N R =50N (合力) R = F1-F2 2つの力が一直線上に作用する時は、 合力の大きさはそれらの和または差で示される 力学 Copyright by HiroTech
R O P - P R1 A B R2 F2 F1 [物体の点 A、Bにそれぞれ平行な力 F1、F2が作用している場合] 力学 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 ⑤ 平行な2つの力の合成 [物体の点 A、Bにそれぞれ平行な力 F1、F2が作用している場合] O 合力の求め方 1)A点、B点からA,Bを結ぶ直線上にそれ ぞれ P及び -Pを加えて、F1と F2との 合力 R1と R2を作る。 P - P 2)R1とR2の作用線を上方に延長して 交点Oを求める。 R1 A B R2 R 3)R1とR2の作用点をO点に移し、合力Rを 求める。 F2 F1 F1 + F2 = R1 – P + R2 – (–P) 合力の大きさはF1とF2の和 合力の方向はF1とF2と平行となる = R1+ R2 = R 力学 Copyright by HiroTech
合力 A B 200N + 100N 合力=300N 力学 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 ⑤ 平行な2つの力の合成 質量20kg 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 ⑤ 平行な2つの力の合成 A B 質量20kg 質量10kg 200N (約20kg) 100N (約10kg) 200N + 100N 合力=300N 合力 力学 Copyright by HiroTech
平行な2つの力の合成(フォークリフトの場合) 力学 5 力の合成・力の平行四辺形の法則 平行な2つの力の合成(フォークリフトの場合) フォークリフト自体の重心位置 フォークリフトの荷の重心位置 フォークリフト自体の質量による重力と、荷の質量による重力は下向に平行に働いている。 この力の合成された力は、フォークリフトの4輪で支えられている。 力学 Copyright by HiroTech
23 フォークリフトの安定度 力学 安定度とは荷積み、荷おろしおよび運搬時の転倒に対する安全性を表す。 1.荷重を高く上げたとき 23 フォークリフトの安定度 力学 安定度とは荷積み、荷おろしおよび運搬時の転倒に対する安全性を表す。 1.荷重を高く上げたとき 2.走行中に急旋回したとき 3.急制動したとき フォークリフト車体と荷重の重心の高さによる影響を 考慮し、フォークリフトが転倒する限界の傾斜・こう配を安定度という。 (フォークリフト構造規格) 安全に作業するための使用条件 1.使用する場所が平坦で、かつ堅固な路面 あるいは床面である 2.走行時に基準負荷状態、または基準無負荷状態で走行する 3.荷の積み付け、積みおろし作業を行なう時、マストを垂直にし、前傾させない 力学 Copyright by HiroTech
24 フォークリフトの定格荷重 力学 定格荷重: 基準荷重中心に積載できる最大の荷重 荷重曲線(荷重表)・・・2トン フオークの例 2000 24 フォークリフトの定格荷重 力学 定格荷重: 基準荷重中心に積載できる最大の荷重 荷重曲線(荷重表)・・・2トン フオークの例 2000 3250 1800 3500 揚高3000mm以下 3750 1600 4000 許容荷重 1400 4250 4500 1200 (kg) 1000 揚高(mm) 800 600 500 700 900 1100 1300 1500 荷重中心(フオークの根元より) (mm) 基準荷重中心 定格荷重: フォークリフトの車格を表すもので、標準揚高(3m)のマストを装着した時 の基準荷重中心に積載できる最大荷重 力学 Copyright by HiroTech
次に交点Aから許容荷重をB点から求めると 力学 25 フォークリフトの許容荷重 許容荷重の求め方 使用機種は2t車 右図の 揚高3500mm、 荷重中心が900mm の状況にて積載できる許容荷重を求める 3500 mm 900mm (kg) 基準荷重中心 2000 3250 揚高(mm) 1800 荷重中心900mmの 線上と揚高3500mmの 交点Aを求める 3500 3750 許容荷重 1600 4000 揚高3000mm以下 1400 4250 B 次に交点Aから許容荷重をB点から求めると 1200kgが許容荷重となる 4500 A 1200 1000 800 600 500 700 900 1100 1300 1500 (mm) 荷重中心(フオークの根元より) 力学 Copyright by HiroTech
おわり HiroTech これで説明を終ります。 ありがとうございました。 力学 安全の技術と信頼の輪を広げる。 これで説明を終ります。 ありがとうございました。 HiroTech 安全の技術と信頼の輪を広げる。 力学 Copyright by HiroTech
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力学 フオークリフト運転技能講習資料 (力学) ・2006年3月31日 初版 制作・発行 ヒロテック フオークリフト運転技能講習資料 (力学) ・2006年3月31日 初版 ・ホームページにはIT教材による能力向上、人材育成を図るための教材一覧を掲載しています。 サンプル教材のダウンロードも可能ですのでぜひご覧ください。 制作・発行 ヒロテック 〒350-1103 埼玉県川越市霞ヶ関東5-27-22 http://www.hirotech.jp/ Mail: info@hirotech.jp 著作 樋口健吾 編集 ヒロテック KENGO HIGUCHI, HiroTech 2006 力学 Copyright by HiroTech