目標純利益 CVP分析を用いると目標利益を達成するために必要な販売量と売上高を算定できる 損益分岐点の式を「変形する」 貢献利益で回収するもの 固定費→(固定費+目標純利益) 目標売上高=(固定費+目標純利益)÷貢献利益率 目標販売量=(固定費+目標純利益)÷単位当たり貢献利益
例題 Winston(固定費$6,000、変動費@$0.4、価格@$0.5)において、目標純利益を$480とすると目標売上高と販売量はそれぞれいくらになるか? 目標売上高=(固定費+目標純利益)÷貢献利益率 (6,000+480)÷0.2=$32,400 目標販売量=(固定費+目標純利益)÷単位当たり貢献利益 (6,000+480)÷0.1=64,800個 増分アプローチ 損益分岐点(60,000単位、$30,000)を越えると純利益(増分)は貢献利益と等しくなる 480÷0.1=4,800個←増分販売量 4,800×0.5=$2,400←増分売上高
主要な要因の複合的変化 マネジャーは複数の要因の起こり得る変化にについて意思決定を行わなければならない Winstonにおいて、賃金(固定費)が$820節約できるが販売量が10,000個減少する場合、賃金を減らすべきか考えてみる 62,000個と90,000個の販売水準を仮定する 62,000個から52,000個の場合 90,000個から80,000個の場合 販売量 売上高 変動費 貢献利益 固定費 純利益 純利益の変化 62,000 52,000 $31,000 $26,000 24,800 20,800 6,200 5,200 6,000 5,180 200 20 ($180) 90,000 80,000 $45,000 $40,000 36,000 32,000 9,000 8,000 6,000 5,180 3,000 2,820 ($180)
CVP分析の応用 CVP分析により最も利益の多くなるコスト構造を求めることができる 固定費と変動費の変化 経営レバレッジ 貢献利益と売上総利益 貢献利益=価格-総変動費 総変動費との関係で売上を見る 売上総利益=価格-売上原価 売上原価との関係で売上を見る
経営レバレッジ 経営レバレッジ 変動費に対する固定費の比率 レバレッジが高い‥固定費が大きく、変動費が少ない レバレッジが低い‥固定費が少なく、変動費が大きい 経営レバレッジが高い企業の特質 販売量の変化に対する純損益の変化が大きい リスク高 経営レバレッジが低い企業の特質 販売量の変化に対する純損益の変化は小さい リスク低
例題 レバレッジの高い企業と低い企業を考えてみる、予想売上高、純利益、価格は両社とも80,000単位、$2,000、@$0.30である 固定費$14,000 変動費@$0.10 レバレッジの低い企業 固定費$2000 変動費@$0.25
図解 総収益線 低レバレッジ 収益・費用 高レバレッジ ($) 販売量 (千) 24,000 22,000 $0.25 14,000 図解 総収益線 低レバレッジ 高レバレッジ 収益・費用 ($) 24,000 22,000 $0.25 14,000 $0.10 $0.30 2,000 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 販売量 (千)
売上水準の変化による影響(1) 販売量が80,000単位から70,000個に減少 レバレッジの高い企業 利益は急激に落ち込む 純利益$2,000→$0 レバレッジの低い企業 利益はそれほど落ち込まない 純利益$2,000→$1,500
図解-1 総収益線 低レバレッジ 収益・費用 高レバレッジ ($) 販売量 (千) 24,000 22,000 21,000 19,500 図解-1 総収益線 低レバレッジ 高レバレッジ 収益・費用 ($) 24,000 22,000 21,000 19,500 14,000 2,000 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 販売量 (千)
図解-2 拡大図 2,000 1,500 高レバレッジ $2,000→$0 低レバレッジ $2,000→$1,500 24,000 22,000 21,000 1,500 高レバレッジ $2,000→$0 低レバレッジ $2,000→$1,500 19,500 70 80
売上水準の変化による影響(2) 販売量が80,000単位から90,000個に増加 レバレッジの高い企業 利益は利益は急激に増加する 純利益$2,000→$4,000 レバレッジの低い企業 利益はそれほど増加しない 純利益$2,000→$2,500
図解-1 総収益線 低レバレッジ 収益・費用 高レバレッジ ($) 販売量 (千) 27,000 24,500 24,000 23,000 図解-1 総収益線 低レバレッジ 27,000 高レバレッジ 収益・費用 ($) 24,500 24,000 23,000 22,000 14,000 2,000 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 販売量 (千)
図解-2 拡大図 2,500 4,000 2,000 高レバレッジ $2,000→$4,000 低レバレッジ $2,000→$2,500 27,000 2,500 4,000 24,500 24,000 2,000 高レバレッジ $2,000→$4,000 低レバレッジ $2,000→$2,500 22,000 80 90
セールズミックス分析(補論A) ほとんど全ての企業は複数の製品を販売しているため、セールズミックスの変化によるCVP関係の変化を考える必要がある セールズミックス 総売上を構成する各製品の量の相対的な割合 経営者は最も収益性の高いセールズミックスを実現しようとする
法人税の影響(補論B) これまでの説明においては、法人税を無視してきたが、多くの国において、私企業には法人税が課されるため、法人税の影響について考える必要がある 税引後純利益=税引前純利益-法人税 税引後純利益=税引前純利益×(1-法人税率) 目標利益設定時 目標売上高-変動費-固定費=目標税引前純利益 目標税引前純利益×(1-法人税率)=目標税引後純利益
Review コストのコントロール コストビヘイビアの理解 「コスト」が組織の「活動」とどう関連付けられどのように影響を受けるのか コストドライバー 固定費、変動費 CVP分析 生産・販売量が収益、費用、純利益に与える影響の分析 損益分岐点 目標純利益 最適コスト構造 経営レバレッジ 第2章
参考・引用文献 Horngren,C.T., G.L.Sundem, and W.O.Stratton, Introduction To Management Accounting, Eleven Edition, Prentice Hall, 1999(渡邊俊輔監訳『マネジメント・アカウンティング』TAC出版、2000年)