中心静脈ライン挿入法 意外に詳しい本ないような気がする?
目的は? TPN(完全静脈栄養) 蘇生・手術・集中治療時 循環作動薬使用時 肺動脈カテーテル 血液浄化用カテーテル 抗腫瘍薬使用時
不適切使用例 緊急蘇生時の最初のルート 末梢ラインで可能な薬剤の投薬 専用ライン以外からのTPN
穿刺部位 内頸静脈 鎖骨下静脈 大腿静脈 後述のごとく穿刺部位は目的と患者さんの状況により決まるのであり術者の好みで選ぶものではない。
CVラインを入れるためには 適応(Indication)を知り 技術(Technique)を学び 合併症(Complication)の知識とその対処法を身につける必要がある
これ読んだことありますか?
千葉西のCVのほとんどはモモに突き刺さってますが・・・ Site of Catheter Insertion The site at which a catheter is placed influences the subsequent risk for catheter-related infection and phlebitis. The influence of site on the risk for catheter infections is related in part to the risk for thrombophlebitis and density of local skin flora. Phlebitis has long been recognized as a risk for infection. For adults, lower extremity insertion sites are associated with a higher risk for infection than are upper extremity sites (49--51). In addition, hand veins have a lower risk for phlebitis than do veins on the wrist or upper arm (52). The density of skin flora at the catheter insertion site is a major risk factor for CRBSI. Authorities recommend that CVCs be placed in a subclavian site instead of a jugular or femoral site to reduce the risk for infection. No randomized trial satisfactorily has compared infection rates for catheters placed in jugular, subclavian, and femoral sites. Catheters inserted into an internal jugular vein have been associated with higher risk for infection than those inserted into a subclavian or femoral vein (22,53,54). Femoral catheters have been demonstrated to have relatively high colonization rates when used in adults (55). Femoral catheters should be avoided, when possible, because they are associated with a higher risk for deep venous thrombosis than are internal jugular or subclavian catheters (56--60) and because of a presumption that such catheters are more likely to become infected. 感染とDVTのため、大腿静脈は「可能ならばさけるべき」とされています。
小さなドレープと手袋だけで挿入しているのを見かけますが・・・ Hand Hygiene and Aseptic Technique Compared with peripheral venous catheters, CVCs carry a substantially greater risk for infection; therefore, the level of barrier precautions needed to prevent infection during insertion of CVCs should be more stringent. Maximal sterile barrier precautions (e.g., cap, mask, sterile gown, sterile gloves, and large sterile drape) during the insertion of CVCs substantially reduces the incidence of CRBSI compared with standard precautions (e.g., sterile gloves and small drapes) 「帽子・手袋・マスク・ガウンを着用し、体全体を覆うドレープ」が現在の国際基準です。
Indication (内頸静脈) 短期間留置用 不穏あるいは歩行可能患者には不向き 出血傾向のある場合に適応 右は Swan-Ganz Catheter の1st.Choice 左は Swan-Ganz Catheter に最も不向き 清潔が保ちにくく本人も不快
Indication(鎖骨下静脈) 長期留置用(TPN) 清潔が保ちやすく本人も不快でない 出血傾向がある場合は不向き 緊急時は不向き 左は Swan-Ganz Catheter の 2nd.Choice
Indication(大腿静脈) 緊急時専用 Elective には行うべきではない CPR時に適している 上半身の熱傷に適している 腹部・骨盤外傷時は不適切 厳密にはCVでない。循環作動薬のルートには理想的でない
Technique(一般論) 解剖の知識(目指すCVはどの位置に、どの方向で、どのくらいの深さで存在しているか?隣接臓器は?) つねに右が 1st.Choice 患者も術者も正しい Position! Full Gown ,Full Drape が標準 Seldinger 法が望ましい 穿刺はつねに持続陰圧で行う 初級者の穿刺は2回まで! 入っても入らなくても必ず X-ray にて確認 X-ray にて確認してから使用する!!!
Technique(内頸静脈) 体位はTrendelenburg 同側に薄く肩枕を入れる 顔は対側を向かせる 患者さんの頭側に立つ SCMの内側にてCAのPluseを触れながら その1cm外側からやや外側に向けて穿刺 針の角度は floor に対し45° 深さは約1.5cm 試験穿刺”Seeker”を行う
IJV穿刺
IJV穿刺(Positioningと)穿刺方向 頸を対側に向けると 極端に対側を向くとVとAが重なる! 針先が内側を向くと動脈誤穿刺の危険!
Technique(鎖骨下静脈) 体位はTrendelenburg 肩甲骨間にタオルを置く 局麻は鎖骨骨膜まで十分に行う Deltopectoral groove から鎖骨体内側部に向かって穿刺 一度鎖骨に当ててからその直下をくぐらせる 針の角度は Floor と平行 方向が正しければ穿刺針全長を刺しても動脈にも肺にも当たらない 挿管された患者では穿刺の瞬間チューブを開放!
SCV穿刺 頸は対側向き 上位胸椎下に枕
SCV穿刺 Positioning 後 肩が下がると 第1肋間がひろがる
SCV穿刺(穿刺位置と方向) A B A B 鎖骨に近いと肺を刺しやすい 正しい Position ではAとVは高さが違う
SCV穿刺(体表からのメルクマール) 鎖骨体部と肩甲骨部の境の位置の2センチ尾側から胸骨切痕を目指す
Technique(大腿静脈) 可能ならば reverse Trendelenburg 位 股関節を外転位にする 鼡径靭帯の尾側にてFAの拍動を触れ、その内側から鼡径靭帯下に向けて穿刺する 針の角度は Floor に対して30° FAの拍動が触れないときは、上前腸骨棘と恥骨結節の中点をFAとし、その1~2cm内側を穿刺
FV穿刺 股関節を外旋外転、膝を屈曲すると FV が直線化、表在化する
穿刺補助法 試験穿刺”Seeker” 推奨されているのは内頸静脈のみ、他は推奨されていない 超音波にて術前に評価 有効
Complication(IJV & SCV) 気胸 対処法は自然気胸に準ずる 動脈穿刺 凝固異常無い場合は圧迫(SCVは無理)で通常問題ない。IJV は10~15min、SCV は30~45min は Close Observation! 酸素飽和度が低い患者さんでは血の色では動脈と思わずに手技をつづけてしまうことがある。 ダイレーターあるいはカテーテルまで入れてから気づいたときは決して抜かずに外科コンサルト(通常手術を要する)
Complication(FV) 動脈穿刺 腹腔穿刺 大腿神経損傷 リンパ組織損傷
迷入? 青は血管内だが位置異常、赤は胸腔内
迷入2? 赤は腹腔あるいは後腹膜 青は腸腰静脈(左のみ)内 黒が本来のIVC
Late Complication Catheter Infection Venous Thrombosis Venous Occlusion FVに多い Complication Pseudoaneurysm AV-fistula Lymphocele
挿入後の管理 必要が無くなった時点ですぐに抜去する。 TPNの場合は専用ラインとする。3方活栓は厳禁! Mulutilumen からのTPN は1本をはじめから専用にして使用 感染症が新たに判明して抗菌薬を開始あるいは交換する場合には感染部位に関係なく、必ず抜去しカテ先培養! 予防的交換は SG-C については7日以内(CDC)それ以外については 賛否あり。ただし緊急挿入したラインは速やかに交換する。 穿刺後の刺入部の消毒には医学的根拠がない。ただし清潔は保つべき
最後に CVといえどただの静脈ラインである。 ただし中途半端な知識で行うと大きな合併症を起こしうる手技である。