「ダブルリミテッド/ 一時的セミリンガル現象を考える」 母語・継承語・バイリンガル教育研究会 第6回研究集会 国際医療福祉大学言語聴覚学科 学習障害との比較から 「ダブルリミテッド/ 一時的セミリンガル現象を考える」 母語・継承語・バイリンガル教育研究会 第6回研究集会 国際医療福祉大学言語聴覚学科 田中 裕美子
質問1. 特別支援対象児の発見法とは
通常学級の軽度発達障害とは 学習障害 行動が著しく困難 学習が著しく困難 境界域 高機能広汎性発達障害 ADHD 1.2% 4.3% 2.9% 高機能広汎性発達障害 ADHD 境界域
LD発見・診断の難しさ 1.定義の不明瞭さ 2.日本における2つのスタンダード 3.診断手続き上の難しさ (1) 行動特徴による診断 3.診断手続き上の難しさ (1) 行動特徴による診断 ・・・ 原因疾患が明らかか否か (2) 診断に用いる検査や基準 ・・・ どの程度低い・高いことが必要か 例:言語性IQ < 動作性IQ
2つのスタンダード 原(1995) LD= 学習に躓いているという状態像
★発達障害=LDではない!! 学習評価・LD発見法見直しの必要性 ダイナミックアセスメント (Dynamic Assessment:DA) RTI (Responsiveness To Intervention)
質問2 セミリンガルとLDは…
現象が同じ=原因が同じ??? (研究例) Paradis(2005) SLIとバイリンガルの文法の問題が類似 現象が同じ=原因が同じ??? (研究例) Paradis(2005) SLIとバイリンガルの文法の問題が類似 文法形態素の獲得困難がpathologicalな原因のみで起こるとは限らない! =原因が同じでなくても症状が同じ場合もある (interaction between 2 languages) ⇒ 指導法が同じ ?
字が読めるようにならないのは 考えられる原因: ☛知的なレベル(ex. 境界域知能/非特異型) ☛情緒・行動の問題 (ex.高機能自閉) ☛特定の情報処理困難 ⇒ LD ☛言語環境 (バイリンガルなど) ☛本人の興味・やる気が乏しい どうやって鑑別するのか?
ディスレキシアの近年の捉え方 Orton Dyslexia Society (Lyon, 1995) “Dyslexia… is a specific language-based disorder*3 of constitutional origin*4 characterized by difficulties in single word decoding*1, usually reflecting insufficient phonological processing *2” *1 Decoding(文字-音の連合)困難 *2 音韻処理能力の問題を反映 *3 言語発達障害の特異型 *4 先天性の障害
指導法が同じ? セミリンガルはdecodingだけの問題か? NO. decoding + Language
学習障害(LD) 言語学習障害(Language-based Learning 学習障害(LD) 言語学習障害(Language-based Learning Disability:LLD) ディスレキシア(Dyslexia) 学習障害 (LD) 情報処理(認知)プロセスに困難がある 言語学習障害 (LLD) 言語の発達障害を根底に持つ 音韻情報処理の障害を根底に持つ ディスレキシア
字が読めるようにならないのは…その2 ディスレキシア それとも LLD?
質問3. 生理的な発達との関連? Q1)1歳 話し始める(初語) 独立歩行 時期が同じだと関連するのか? Q1)1歳 話し始める(初語) 独立歩行 時期が同じだと関連するのか? Q2)話しことばが先で書きことばが後で発達する 前者が後者の土台になる? ★科学的根拠はない!