法人税収を増加させるには ~財政の健全化を目指して~
目次 1. なぜ法人税収なのか 2. 法人税徴収の問題点 3. タックスヘイブンについて 4. 租税競争について 5. タックスヘイブンの解決策
1.なぜ法人税収なのか
『法人税収を増加させるにはどうすればよいか』 1-1 取り上げるテーマ 『法人税収を増加させるにはどうすればよいか』 法人税について、近年問題になってきたグローバル企業の過度な節税対策や日本が潜在的に抱える問題において適正な法人税を集める方法について調べていく
1-2 なぜこのテーマにしたのか 法人税を逃れている企業が存在するという問題点がある( タックスヘイブン等 ) 多額の損失金額 1-2 なぜこのテーマにしたのか 法人税を逃れている企業が存在するという問題点がある( タックスヘイブン等 ) 多額の損失金額 → 財政難の日本にとって大きな問題 → 解決が急がれる
2.法人税徴収の問題点
なぜ法人税を徴収することが難しいのか? 黒字企業 赤字企業 赤字企業の多さ 日本の企業の約70%が赤字!
タックス・ヘイブンを使っている企業の存在 政府などによる補助金の多さ 日本の大企業の実際の税負担 経常利益上位100社平均で30.7%である タックス・ヘイブンを使っている企業の存在 今回はこれに注目!!
3.タックスヘイブンについて
3-1タックスヘイブンの定義 タックスは税金、ヘイブンは避難港という意味の英語 一般的に、所得に対して、無税または極めて低い税率の国・地域を指している(明確な定義は存在しない)
OECDのタックスヘイブン判定基準 1に該当し、かつ2~4のいずれかに該当する場合にタックスヘイブンと判定される 1.金融活動などにほとんど税がかからない 2.納税者の情報を外国に教えない 3.税法が不明確 4.企業が実質的な活動を行う必要がない
3-2 タックス・ヘイブンの現状 企業の国際化の進展に伴い「企業グループ全体としての租税負担の軽減」が重要な課題 ↓ 各国の租税制度の差や税率の差等を考慮する 企業目線
税率の低い国(タックス・ヘイブンなど)へ所得を移転し税負担の軽減を図る ↓ ↓ 税率の低い国(タックス・ヘイブンなど)へ所得を移転し税負担の軽減を図る ↓ 本来徴収されるはずの税を逃れられる
ライセンス(商標権) 企業 売上 かかった経費を売上から差し引く 純利益 税引き前利益 政府 法人税率をかけて 法人税 法人税が政府へ 残りが企業の純利益になる
管理会社による管理でアイルランドでの法人税ゼロ Googleのライセンスの付与 Google アメリカ本社 Google アイルランド ホールディングス (アイルランド法人) バミューダ諸島(タックスヘイブン)にある管理会社 管理 ライセンス使用料 サブライセンスの付与 (米国外事業の委託) ライセンス使用料 Google アイルランド リミテッド (アイルランド法人) Google ネザーランド ホールディングス (オランダ法人) 各国子会社の 売上をライセンス使用料 として振り込む 源泉税が無税のオランダを経由することで 源泉税ゼロ 世界各国の Google子会社
4.租税競争について これで理解できる?
4-1租税競争とは 定義 : 国同士が税率を下げあい、 企業を自国に呼ぼうとすること
4-2 問題:租税競争は有害か? 結論:租税競争は有害でありうる 式を使って説明!
2国間のみの極端に単純なモデルを考える 相手国(国B)の税率を所与として、自国(国A)の税率を自国の税収が最大になるように設定したとする 企業は一様に存在している
ある企業は線分[0,1]の間にある地点xに存在する 企業の単位当たりの移動コストをsとする 国と国は線分[0,1]の両端に存在 税率を tA , tB ある企業は線分[0,1]の間にある地点xに存在する 企業の単位当たりの移動コストをsとする 全企業数の比は x:1-x 国A 企業 国B 0 x 1-x 1
tA + sx < tB + s(1-x) 簡単なモデル 企業は国Aへ移動し、生産を行う 競争の結果最終的にこの式は等しくなる 企業は国Aへ移動し、生産を行う 競争の結果最終的にこの式は等しくなる 国Aへ移動し生産した場合のコスト 国Bへ移動し生産した場合のコスト
国Aの税収TAは? 税収 = 1企業当たりの税 × 企業数 TA = tA × x 税収を最大化してみよう!!
TA = tAx の最大化 tA + sx = tB + s(1-x) を変形して x = 1/2 + ( tB – tA ) / 2s さっきのモデルを使う
TA = tA { 1/2 + (tB-tA) / 2s } tA = ( s + tB ) / 2 これを代入すると 微分してイコールゼロとすると tA = ( s + tB ) / 2 国Bも同様にtB = ( s + tA ) / 2 国Aの税収最大化条件
よって、ナッシュ均衡における税率は tA = tB = s 税率が移動コストと等しくなる
このような状況の下では… 技術的な原因で移動コストが減少すれば両国の税率はそれに従って減少することになる もし、移動コストが存在しなければ両国は税率も税収もゼロになる
社会厚生における問題 移動コストの減少 → 税収が減少 → 各国が公共財の供給などの役割を果たすことが困難になる可能性 移動コストの異なる産業間で税率を変えることが資源配分において望ましいとは限らない 各国の租税競争が問題 租税政策について規制をかけることが有効なのでは?
5.タックスヘイブンの解決策
解決策① 世界の税率を変更する 1、共通税率を決める 2、最低税率を決める <メリット> タックスヘイブンが存在しなくなる 1、共通税率を決める 2、最低税率を決める <メリット> タックスヘイブンが存在しなくなる 租税競争が起こらない <デメリット> 小国が企業を誘致できなくなる
解決策② 利益に課税 → 企業の取引に課税 消費税と同様の形式にする <メリット> 取りこぼしが少ない 企業の所在地と課税が無関係になる 利益に課税 → 企業の取引に課税 消費税と同様の形式にする <メリット> 取りこぼしが少ない 企業の所在地と課税が無関係になる <デメリット> 企業の経営を圧迫する? 取引場所が課税に関係する
参考文献 本庄 資 (2004) 「国際的脱税・租税回避防止策」 大蔵財務協会 川田 剛 (2010) 「国際課税の基礎知識」 税務経理協会 本庄 資 (2004) 「国際的脱税・租税回避防止策」 大蔵財務協会 川田 剛 (2010) 「国際課税の基礎知識」 税務経理協会 渡辺 智之 (2001) 「租税競争は有害か」 『財務総合政策研究所 ディスカッションペーパー』 国税庁 平成23年度会社標本調査結果 財務省 法人所得課税の実効税率の国際比較 http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm
ご清聴ありがとうございました。