3章 イオン結合とイオン結晶 出典 有機物性化学の基礎 斉藤軍治 化学同人(2006) 3章     物性化学 松永義夫 裳華房(s60年)2章 (高学年向き)     Wikipedia 目的:ここでは、NaCl、Na2SO4などのような原子および多原子イオンから成るイオン結晶の生成、構造、格子エネルギー、物性の解説とともに、有機イオンやラジカル電子を含むイオン結晶、イオン液体などを紹介する。

Slides:



Advertisements
Similar presentations
物理化学 福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛. 物理化学: 1 章原子の内部 (メニュー) 1-1. 光の性質と原子のスペクトル 1-2. ボーアの水素原子モデル 1-3. 電子の二重性:波動力学 1-4. 水素原子の構造 1-5. 多電子原子の構造 1-6.
Advertisements

無機化学 I 後期 木曜日 2 限目 10 時半〜 12 時 化学専攻 固体物性化学分科 北川 宏 301 号室.
1 今後の予定 8 日目 11 月 17 日(金) 1 回目口頭報告課題答あわせ, 第 5 章 9 日目 12 月 1 日(金) 第 5 章の続き,第 6 章 10 日目 12 月 8 日(金) 第 6 章の続き 11 日目 12 月 15 日(金), 16 日(土) 2 回目口頭報告 12 日目 12.
FUT 原 道寛 名列___ 氏名_______
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
1.ボイルの法則・シャルルの法則 2.ボイル・シャルルの法則 3.気体の状態方程式・実在気体
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
環境表面科学講義 村松淳司 村松淳司.
医薬品素材学 I 1 物理量と単位 2 気体の性質 1-1 物理量と単位 1-2 SI 誘導単位の成り立ち 1-3 エネルギーの単位
物質量 原子量・分子量・式量.
元素の周期表 教科書 p 元素を 原子番号 順に並べる 性質の良く似た元素がある周期で現れる 元素の周期律 周期表
教養の化学 第14週:2014年1月20日   担当  杉本昭子.
医薬品素材学 I 3 熱力学 3-1 エネルギー 3-2 熱化学 3-3 エントロピー 3-4 ギブズエネルギー 平成28年5月13日.
無機化学 1      5回   10/19/2012 3章 イオン結合とイオン結晶 目的:NaCl、Na2SO4などのような原子および多原子イオンから成るイオン結晶の生成、構造、格子エネルギー、物性を紹介する。
医薬品素材学 Ⅰ 相平衡と相律 (1) 1成分系の相平衡 相律 クラペイロン・クラウジウスの式 (2) 2成分系の相平衡 液相―気相平衡
セラミックス 第4回目 5月 13日(水)  担当教員:永山 勝久.
化学反応式 化学反応:ある物質が別の物質に変化 反応物 → 生成物 例:酸素と水素が反応して水ができる 反応物:酸素と水素 生成物:水
無機物質 金属元素 「金属イオンの分離」 3種類の金属イオン      をあてよう! 実験プリント 実験カード.
固体の圧電性.
金箔にα線を照射して 通過するα線の軌跡を調べた ラザフォードの実験 ほとんどのα線は通過 小さい確率ながら跳ね返ったり、
無機化合物の構造と特性 との関係を理解する
基盤科学への招待 クラスターの不思議 2005年6月3日  横浜市立大学 国際総合科学部  基盤科学コース 野々瀬真司.
3章 イオン結合とイオン結晶 2回目 陽イオン、陰イオン、希ガス型電子配置、He型、Ne型、 Ar型、クーロン静電引力、食塩(岩塩)
医薬品素材学 I 4 物質の状態 4-1 溶液の蒸気圧 4-2 溶液の束一的性質 平成28年5月20日.
5章 物質の三態(気体・液体・固体)と気体の法則 2回
薬学物理化学Ⅲ 平成28年 4月15日~.
HPLCにおける分離と特徴 ~逆相・順相について~ (主に逆相です)
好気呼吸 解糖系 クエン酸回路 水素伝達系.
福井工業大学 工学部 環境生命化学科 原 道寛 名列____ 氏名________
一成分、二相共存系での平衡 一成分 固液共存系    氷-水.
3)たんぱく質中に存在するアミノ酸のほとんどが(L-α-アミノ酸)である。
TTF骨格を配位子に用いた 分子性磁性体の開発 分子科学研究所 西條 純一.
空孔の生成 反対の電荷を持つイオンとの安定な結合を切る必要がある 欠陥の生成はエンタルピーを増大させる
3章 イオン結合とイオン結晶 3回目(最終) まず 復習 (2R+2r)/2R=3
科学的方法 1) 実験と観察を重ね多くの事実を知る 2) これらの事実に共通の事柄を記述する→法則 体積と圧力が反比例→ボイルの法則
セラミックス 第4回目 5月 7日(水)  担当教員:永山 勝久.
基礎無機化学 期末試験の説明と重要点リスト
ボルタ電池 (-)Zn|H2SO4aq|Cu(+)
◎ 本章  化学ポテンシャルという概念の導入   ・部分モル量という種類の性質の一つ   ・混合物の物性を記述するために,化学ポテンシャルがどのように使われるか   基本原理        平衡では,ある化学種の化学ポテンシャルはどの相でも同じ ◎ 化学  互いに反応できるものも含めて,混合物を扱う.
微粒子合成化学・講義 村松淳司
平成18年度 構造有機化学 講義スライド テーマ:炭素陽イオン 奥野 恒久.
22章以降 化学反応の速度 本章 ◎ 反応速度の定義とその測定方法の概観 ◎ 測定結果 ⇒ 反応速度は速度式という微分方程式で表現
平成30年度 教職員サマーセミナー  【教師も楽しむ理科実験】 酸性・アルカリ性.
平成30年7月7日 平成30年度 宇都宮大学教員免許状更新講習  【中学校理科の実験講習】 ボルタ電池、備長炭電池.
教養の化学 第8週:2013年11月11日   担当  杉本昭子.
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
福井工業大学 原 道寛 学籍番号____ 氏名________
平成30年度教員免許更新講習 小学校理科の実験講習 2.水溶液の性質.
学年   名列    名前 物理化学  第2章 1 Ver. 2.1 福井工業大学 原 道寛 HARA2005.
課題 1 P. 188.
(d) ギブズ - デュエムの式 2成分混合物の全ギブスエネルギー: 化学ポテンシャルは組成に依存
化学1 第12回講義        玉置信之 反応速度、酸・塩基、酸化還元.
◎ 本章  化学ポテンシャルの概念の拡張           ⇒ 化学反応の平衡組成の説明に応用   ・平衡組成       ギブズエネルギーを反応進行度に対してプロットしたときの極小に対応      この極小の位置の確定         ⇒ 平衡定数と標準反応ギブズエネルギーとの関係   ・熱力学的な式による記述.
今後の予定 (日程変更あり!) 5日目 10月21日(木) 小テスト 4日目までの内容 小テスト答え合わせ 質問への回答・前回の復習
モル(mol)は、原子・分子の世界と 日常世界(daily life)をむすぶ秤(はかり)
近代化学の始まり ダルトンの原子論 ゲイリュサックの気体反応の法則 アボガドロの分子論 原子の実在証明.
13族-遷移金属間化合物の熱電材料としての応用
これらの原稿は、原子物理学の講義を受講している
La及びY添加した層状熱電変換酸化物Ca349の結晶構造と熱電特性 H.Nakatsugawa and G.Kametani
今後の予定 7日目 11月12日 レポート押印 1回目口頭報告についての説明 講義(4章~5章),班で討論
福井工業大学 原 道寛 学籍番号____ 氏名________
物質とエネルギーの変換 代謝 生物体を中心とした物質の変化      物質の合成、物質の分解 同化  複雑な物質を合成する反応 異化  物質を分解する反応 
イミダゾリウム系イオン液体(3)ー分子性液体(2)混合溶液の二酸化炭素溶解度(1)
相の安定性と相転移 ◎ 相図の特徴を熱力学的考察から説明 ◎ 以下の考察
原子記号の復習 日本語→記号 記号→日本語   H.Kadoi.
電解質を添加したときの溶解度モデル – モル分率とモル濃度
V = VW nW + VE nE ヒント P142 自習問題5・1 溶液の体積を 1000 cm3 とすると、 溶液の質量は?
K2 = [ln K] = ln K2 – ln K1 = K1.
固体→液体 液体→固体 ヒント P131  クラペイロンの式 左辺の微分式を有限値で近似すると?
学年   名列    名前 物理化学  第2章 1 Ver. 2.0 福井工業大学 原 道寛 HARA2005.
Presentation transcript:

3章 イオン結合とイオン結晶 出典 有機物性化学の基礎 斉藤軍治 化学同人(2006) 3章     物性化学 松永義夫 裳華房(s60年)2章 (高学年向き)     Wikipedia 目的:ここでは、NaCl、Na2SO4などのような原子および多原子イオンから成るイオン結晶の生成、構造、格子エネルギー、物性の解説とともに、有機イオンやラジカル電子を含むイオン結晶、イオン液体などを紹介する。 ラジカルー不対電子を持つ化学種を「遊離基」「フリーラジカル」「イオンラジカル」と言い、その不対電子をラジカル電子という。ラジカル電子の存在は、反応性、導電性、磁性、生理活性、遺伝に密接に絡んでいる。

****復習****  化学式, 分子式, 実験式, 化学方程式 ●元素記号を用いて物質を表した式( chemical formula)のうち、分子を表記するのは      (molecular formula)(例:He, H2O, O2, C6H6)で、イオン結晶では各構成元素の最も簡単な整数比で表す(       empirical formula 例:NaCl, NH4Cl、Na2SO4)。 化学式 分子式 実験式 ●化学式を用いて        (chemical reaction)を示したものを         (chemical equation)という。左辺に      (reactant)、右辺に      (product)を書き、左辺と右辺で同じ種類の原子数は同じである。         2H2 + O2 → 2H2O  (反応式は→を用いる) 化学反応 化学方程式 反応物 生成物

アボガドロの法則、モル ●「同温同圧のもとでは、すべての気体は同じ体積中に同数の分子を含む」というのが「             」で 0℃、1.013×105Pa(パスカル)(1気圧)で、6.0221×1023個(NA, 凡そ6×1023)の気体分子を集めると、その種類によらず22.414 l(リットル、凡そ22.4 l)となる。 アボガドロの法則 ●この粒子数を含む純物質を        という単位でカウントする。基準は炭素で、炭素12.0 g が1モルである。上の化学反応は、2モルの水素と1モルの酸素が反応して2モルの水ができることを示す。 1モル(mol)

物質量、分子量、式量、化学量論係数 ●酸素原子1モルは16.00 g、酸素分子1モルは32.00 gで、物質量という。純物質1モルの質量はモル質量(M g/mol)で、分子の場合、単位を除いたのが       (molecular weight)である。イオン結晶では実験式を用いた化学方程式が用いられ、分子量の代わりに    (formula weight)が用いられる。 分子量 式量 ●化学反応で重要なのは反応物、生成物の前につく係数と熱の出入りである。エタノールを燃やすと、炭酸ガスと水が生成するので   aC2H5OH + bO2  →  cCO2 + dH2O 係数a―dを         (stoichiometric coefficient)という。炭素で 2a = c, 酸素で a + 2b = 2c + d, 水素で 6a = 2dであるから, a:b:c:d =1:3:2:3となる。    C2H5OH + 3O2  →  2CO2 + 3H2O 化学量論係数

熱化学方程式 ●熱の出入りを考慮した熱化学方程式(thermochemical equation)では、反応物、生成物の状態が重要であり、化学式の後ろに気体      , 液体      , 固体      の 記号を付ける(熱化学方程式は等号を用いる)。  C2H5OH(l) + 3O2(g) =  2CO2(g) + 3H2O(l) + 1366.7 KJ 1モルのエタノール(液体)と3モルの酸素(気体)の反応に より、2モルの炭酸ガス(気体)と3モルの水(液体)が生成し、1366.7 KJの発熱を伴う。 (gas)g (liquid) l (solid) s

イオン化傾向 ●イオン化傾向:2つの元素のどちらがより酸化され易い(あるいは還元され易い)か、つまり酸化還元反応における化学平衡がどちらに偏っているかの序列である。イオンの溶液中での安定性や電気化学活量など化学平衡として反応が進む方向を決定づける他の因子に大きく影響され、定量化は困難。(Li, K, Ca, Na) > Mg > (Al, Zn, Fe) > (Ni, Sn, Pb) > (H2, Cu) > (Hg, Ag) > (Pt, Au) のように( )内のイオン化傾向は条件に依存する。貸そうかな、まああてにすな、ひどすぎる借金。化学電池ではイオン化傾向の大きい金属が    、逆が   。 負極 正極 負極 正極

3.1)イオン結晶 3.1.1) 原子イオン間のイオン結晶 ●無機イオン結晶は、電子を出して安定な陽イオンとなる原子と、電子を受容して安定な陰イオンとなる原子との間にクーロン静電引力が働いてできる結晶である。 ●各イオンは最外殻が満たされた安定な希ガス型電子配置をとる。代表例は、周期表1族Na(電子配置1s22s22p63s1)と17族Cl(1s22s22p63s23p5)から構成される食塩(岩塩)で、3.1式である。   Na + Cl  Na+(Ne型) + Cl(Ar型)      (3.1) ●NaNa+のイオン化反応に必要なエネルギー(イオン化ポテンシャル、Ip)は5.14 eVである。一方, ClClにより3.61 eVのエネルギー利得(電子親和力, EA)がある。従って、3.1式の右辺のイオン対形成に5.14  3.61 = 1.53 eVのエネルギーが必要である。結晶に凝集すると、異種イオン対間のクーロン引力、同種イオン間のクーロン反発の総和による安定化エネルギー(マーデルング・エネルギー, M)が得られる。岩塩の凝集エネルギーは約7.9 eVで、3.1式の右辺へ必要な1.53 eVを凌駕しているので安定なイオン結晶となる。 ●イオン結晶を得る第一の条件は3.2式である。         Ip  EA  <  M         (3.2)

イオン結晶の一般的性質 無機原子イオンから成るイオン結晶は、融点が高く、電気の絶縁体で、水などの極性溶媒によく溶け、電解質として働く。 中には、イオン伝導性に優れたものがある。しかし、これらの性質に従わない多くの例外があり、また、有機-無機複合系イオン結晶や有機物イオン結晶は次節で紹介するように、一般的性質を要約するのが困難なほど多様性に富んでいる。

3.1.2) 多原子イオン、分子イオンを含むイオン結晶およびイオン液体  アンモニウム(NH4+)、フォスフォニウム(PH4+)、その水素原子をフェニル基で置換したアニリニウム(C6H5-NH3+)やテトラフェニルフォスフォニウム[(C6H5)4P+]、またシクロプロペニル、シクロヘプタトリエニル(トロピリウム)など多くの無機多原子陽イオン、有機陽イオンがある(図3.1)。また、過塩素酸イオン (ClO4)、硫酸イオン(SO42-)、トリ フルオロメチル硫酸イオン(トリ フラート)(CF3SO3-),燐酸イオン (PO43-)、などの無機多原子陰イ オン、フェノラート(C6H5-O-)、p-ト ルエンスルフォネート(トシラート アニオン、CH3-C6H4-SO3, TsO)、 ピクラート(C6H2(NO2)3-O ) 、シク ロペンタジエニル(Cp )などの 有機陰イオンがある。

変わった物質として、アルカリ陽イオンを包摂したクラウンエーテルなど多種多様なイオンが開発されている。その中でも、融点が室温より低いイオン液体が、蒸気圧が極めて低いので環境を汚さないグリーンな反応溶媒として、最近注目を浴びている。これは、エチルメチルイミダゾリウム(EMI)などのような対称性の低い陽イオンを用いた塩である。 イオン液体:室温で液体であるイオン性化合物を言う。1914年 にヴァルデンがエチルアミンと硝酸の反応でエチルアンモニ ウム硝酸塩(融点14C)を得たのが最初で、1992年に湿気にも 安定なイオン性液体EMIBF4が発見されて以来、アルキルイミ ダゾリウム陽イオンと無機および有機陰イオンよりなる多数 のイオン液体が開発された。他にホスフォニウム、ピリジニウムを陽イオンとしてイオン液体が多く報告されている。一般にイオン性化合物の結合エネルギーは分子性化合物のものより大きいので, 融点を下げるため融解エントロピーを大きくできるような非対称性成分分子がイオン液体に用いられる。蒸発エンタルピーは大きいので沸点は高く、蒸気圧はきわめて低い。高いイオン伝導度(104~101 Scm1)を示す。液体温度領域が広く、引火性が無く、粘性が低いことから、電解質、反応溶媒、抽出溶媒への応用が期待されている(エントロピー、エンタルピーは5章)。

ミセルと逆ミセル:石鹸、界面活性剤などの親油基と親水基を持つ両親媒性物質を水に溶かすとある濃度(臨界ミセル濃度、critical micelle concentration , cmc)以上で親水基を外側に、親油基を内に向けた球状会合体(球状ミセルと言う)を形成し、ミセルの中心に溶媒中の油成分が閉じ込められる。これが、石鹸が衣服から油性の汚れを取り除く機構である。球状ミセルの濃度が増すと層状ミセルなどの構造に変化する。エアロゾルOTとも言われる図のような界面活性剤を無極性溶媒に溶かすと、親水基が内側にした逆ミセルを形成し、球状ミセル内に水を含み、このミセル内部の水の極性は普通の水とは大きく異なる。

クラウンエーテル:ペダーセンにより発見された環状エーテル 化合物で、環内に様々のアルカリ金属イオンやアンモニウム イオン(M+)をゲスト分子として包含する。包含される陽イオ ンのサイズと環の中央にある空隙サイズの適合性に依存し た錯形成(ホストーゲスト化合物)が行われる。陰イオン(X-) は強いイオン対形成から緩和される。従って、イオン結晶MXはクラウンエーテルを含む無極性非水溶媒(多くの有機溶媒)に可溶となり、X-はM+に強い束縛を受けずに存在するので、反応性が極めて向上する。このような陰イオンをnaked anionという。生体内で、活性なnaked anionを生成することは危険であり、クラウンエーテルを飲取しないよう取り扱いに注意する。クラウンエーテルは、それを形成する原子数と環内の酸素の数で慣用名が決定される。18-クラウン-6 エーテルが 最も一般的に利用される。レーンは クリプタンドを用い、3次元包摂化 合物の化学を展開し、クラムは、こ れらの包摂化合物(ホスト-ゲスト) の化学を分子認識の視点で展開し、上述3化学者は1987年にノーベル化学賞を受賞した。包摂化合物(クラスレート化合物)として、ヒドロキノンへのメタノール、Ar, Kr, Xeの挿入、-シクロデキストリンへの中性分子の挿入、ヨウ素デンプンなどがある。