上海市精華外語専修学院 特別講座(全十回) 第1回 日本文会計 日商簿記検定3級を中心に 上海市精華外語専修学院 特別講座(全十回) 講師:謝 少敏 2007年1月12日から 毎週金曜日於吴泾总部
第一章 簿記の意義 簿記とは 簿記の役割 会計期間 財務諸表 簿記の一巡 練習問題
簿記とは 企業はいろいろな経営活動を営んでいる。 簿記とは、企業の経営活動を、帳簿に正しく記録・計算・整理する技能である。
いろいろな経営活動 現金の収入・支出 商品の仕入れ・売り上げ 商品代金の支払い・受け取り 給料・交通費などの経費の支払い 机・いすなどの備品の購入 現金の貸し借り
簿記の語源 簿記:帳簿記録 Book-Keeping(ブックキーピング)
技能として(1) 簿記を理解することによって、企業の経理事務に必要な会計知識だけではなく、財務諸表を読む力、基礎的な経営管理や分析力が身につく。
技能として(2) ビジネスの基本であるコスト感覚も身につくので、コストを意識した仕事ができるとともに、取引先の経営状況を把握できるために、経理担当者だけではなく、全ての社会人に役立ちつ。
技能として(3) 公認会計士や税理士等の国家資格を目指す方や他の資格・検定と組み合わせてキャリアアップを考えている方々にも必須の資格といえる。
技能として(4) 日本では、多くの企業が社員に対して簿記検定の資格取得を奨励しているほか、大学や短大の推薦入試、単位認定の基準に採用されている。
日商簿記検定3級の効果 財務担当者に必須の基本知識が身につき、商店、中小企業の経理事務に役立つ。 経理関連書類の読み取りができ、取引先企業の経営状況を数字から理解できるようになる。 営業、管理部門に必要な知識として評価する企業が増えている。
簿記の役割 財政状態を明らかにする 簿記の役割 経営成績を明らかにする 簿記の成果は会計情報利用者に利用されている。
一定時点において企業がもっている現金、物品や借入金などの現在高のこと 財政状態 一定時点において企業がもっている現金、物品や借入金などの現在高のこと
経営成績 一定期間において企業がどのような経営活動により、どれだけの利益をあげたかということ
会計情報の利用者(1) 投資家(株主) ー投資収益の予測(ファンダメンタル分析)、経営者のモニター(数値分析) 債権者ー経営者をモニター(財務特約) 金融機関ー貸付業務(融資決定・債権管理)
会計情報の利用者(2) 従業員ー給与(ベースアップ交渉) 地域住民ー環境の保全(環境情報) 国・地方公共団体ー課税(利益≒所得) 経営者ー経営活動の反省、経営計画の作成
会計期間 なぜ会計期間か 会計期間の概要
理由(1) 企業が、継続して活動を行うためには利益をあげることに続けていかなければならない。これをやめてしまうと 「倒産」ということになってしまう。 そうならないためには、利益(経営成績)を知るということが非常に重要になってくる。
理由(2) しかし、企業の活動は半永久的に続いているのだから、利益や財産を計算するためにはどこか期間に区切りをつける必要がある。 そこで、簿記では期間を区切って、その期間の利益や財産を計算するようにしている。
会計期間の概要 会計期間は自由に決めることができるが、通常は1年ごとに区切られている。 会計期間の初めを期首といい、終わりを期末という。また、期首と期末の間を期中という。 現在の会計期間を当期、1つ前の会計期間を前期、1つ後の会計期間を次期(または、翌期)という。
会計期間の図示
基本財務諸表 貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう) 損益計算書(そんえきけいさんしょ) 現金収支計算書(げんきんしゅうしけいさ(キャッシュフロー) けいさんしょ)
貸借対照表 貸借対照表(Balance Sheet, B/S)- 一定時点の財政状態を記録 貸借対照表等式- 資産 = 負債 + 資本
資産 企業がもっている財貨や債権のこと 財貨⋯⋯現金・商品・建物・備品など 資産 債権⋯⋯売掛金・貸付金など 財貨⋯⋯現金・商品・建物・備品など 資産 債権⋯⋯売掛金・貸付金など 資産は資金の使い道を表し、左側に書かれている。この左側は、借方(かりかた)と呼ばれる。
債権 債権:将来、一定の金額を受け取る権利 売掛金:商品を掛け売り(代金を後日受け取る約束で売り渡すこと)したときに生じる債権 貸付金:現金を貸し付けたときに生じる債権
負債 企業が負っている債務のこと 債務⋯⋯買掛金・借入金など 企業が負っている債務のこと 債務⋯⋯買掛金・借入金など 負債は調達した資金で、右側に書かれている。この右側は、貸方(かしかた)と呼ばれる。
債務 債務:将来、一定の金額を支払わなければならない義務 買掛金:商品を掛け仕入れ(代金を後日支払う約束で仕入れること)したときに生じる債務 借入金:取引先や銀行にお金を借りたときに生じる債務
貸方 貸方のうち、右上が負債(ふさい)、右下が資本(しほん)となる。 負債は将来返済の義務があるもの、資本は返済義務がないものである。
資本 企業の正味の資産(純資産) 資本 = 資産 ー 負債 資本は資本主の出資額とその増加分を表し、貸方の右下に書かれている。
資本の構成 資本金(資本主の出資額) 資本 未処分利益(その増加分)
貸借対照表の例示
損益計算書 損益計算書(Income statement, Profit and loss statement, P/L)- 一定期間中の経営活動を記録 損益計算書等式- 費用+当期純利益=収益
費用 企業の経営活動のうち、資本を減少させる原因となるもの(給料、広告料、売買損、支払利息) 企業が収益を生み出すためにかかったコストのことで、儲けを得るための代償とも考えられる。
収益 企業の経営活動のうち、資本を増加する原因となるもの(商品売買益、受取手数料、受取利息) 企業の経営活動の結果生み出された成果のことで、商品を販売したりサービスを提供したりして得た収入のことである。
当期純利益 収益から費用を差し引いたもの(儲け) 収益 ー 費用=当期純利益 (マイネスの場合は、当期純損失) 収益 ー 費用=当期純利益 (マイネスの場合は、当期純損失) 企業の経営成績を表す基本的な指標
B/SとP/Lの関係 B/Sから(期末資本)-(期首資本)=当期純利益(または純損失)
損益計算書の例示
簿記の一巡 簿記は貸借対照表と損益計算書を作成するために、日々の取引が行われる度に仕訳帳という帳簿に仕訳(しわけ) という処理を行い、総勘定元帳という帳簿に転記(てんき) という処理を行う。取引の仕訳から財務諸表の作成までの過程を簿記の一巡という。
練習問題(1) 填空 ( )-経営活動を行うために所有する現金・商品・建物・備品、および売掛金・貸付金 などの債権など ( )-経営活動を行うために所有する現金・商品・建物・備品、および売掛金・貸付金 などの債権など ( )-経営活動を行うための買掛金、借入金などの債務 ( )-資本主の出資額およびその増加分、( )-( )でも求められ、純資産ともいう
練習問題(2) 填空 ( )-企業の経営活動のうち、資本を増加する原因となるもの(売買益、受取利息) ( )-企業の経営活動のうち、資本を増加する原因となるもの(売買益、受取利息) ( )-企業の経営活動のうち、資本を減少させる原因となるもの(売買損、支払利息) ( )-( )=当期純利益(純損失)
練習問題(3) 填空 (期末 )-(期首 )=当期純利益(または純損失) ( )-( )=当期純利益(または純損失) (期末 )-(期首 )=当期純利益(または純損失) ( )-( )=当期純利益(または純損失) B/SおよびP/Lから求めた当期純利益(純損失)は必ず( )する。