『まるごと 日本のことばと文化』について 「まるごと」の理念から模擬授業まで まるごと紹介! 『まるごと 日本のことばと文化』について 「まるごと」の理念から模擬授業まで まるごと紹介! 2015年7月23日(木) 国際交流基金 ソウル日本文化センター 釜山日本語教育室 森田 衛
本日の予定 1.韓国の中等教育における 外国語学習の位置づけ 2.最近の第二言語習得理論の成果を踏まえた 教室活動の紹介 3.『まるごと』の紹介 4.『まるごと』授業体験 5.振り返り
2009年改訂教育課程(中学校) 1. 追求する人間像 わが国の教育は弘益人間の理念の下、全ての国民をして、人格を陶冶し、自主的な生活 能力と民主市民として必要な資質を備えしめ、人間らしい生を営為せしめ、民主国家の発 展と人類共栄の理想を実現するのに寄与せしめることを目的としている。
2009年改訂教育課程(中学校) 学校で行われる外国語教育は、言語技能の練磨という実用的価値以外に、人格の成長という教育的価値に対する考慮がなければならない。「言語とは文化を照らす鏡」ということばが意味するごとく、外国語を学ぶということは、もう一つの文化に対する眼を持つことになるということを意味するからである。
2009年改訂教育課程(中学校) 外国語学習を通して得られた言語と文化に対する知識を土台に、外国人と積極的にコミュニケーションしてみようという積極的な生活態度を養い、地球村時代を生きていく市民意識を目覚めさせることが、「生活外国語」が志向する教育的目標である。感受性の鋭い青少年期に接する「生活外国語」を通じて、学習者は互いに異なるこものごとに対する肯定的な価値観を持つようになることで、世界の中の韓国人として生きていくのに必要な基礎的素養を養うことができる。
2009年改訂教育課程(一般高校) 「日本語I」はこのような時代的要求に従い、日韓交流に能動的に対処できる人材を養成するために開設された基礎科目である。従って外国語教育の実用的目標と文化的目標、教育的目標を均等に達成するため、日常生活と関連した易しい日本語を理解し、表現できる基礎的なコミュニケーション能力を育て、文化の相互理解と国際交流に積極的に参加する態度を育てるために、次のような一般目標を持つ。
2009年改訂教育課程(一般高校) 第一に、日常生活で用いられる意思疎通基本表現の基礎的な能力を習得する。 第二に、意思疎通基本表現と、場面に応じた言語行動文化を理解し、相互行為を重視する日本語学習と、文化間の相互理解力を育てる。 第三に、情報活用の重要性を認識し、必要な情報を日本語で検索することができる基礎的な能力を育てる。 第四に、日本語学習を通して日本の文化を理解すると同時に、韓国の文化を日本に紹介する役割も遂行できる基礎的な能力を育てる。 第五に、周りにある日本語と関連した学習リソースを自ら活用し学習できる習慣を育て、自律性と問題解決能力を伸長させる。
課題遂行能力と異文化理解能力
韓国2009年改訂教育課程 JF日本語教育スタンダード 韓国2009年改訂教育課程 JF日本語教育スタンダード 理念 「相互行為を重視する日本語学習」を通じた人格の成長 相互理解のための日本語 目標 ・意志疎通基本表現と場面に応じた言語行動文化を理解 ・日本の文化を理解 ・課題遂行能力の向上 ・異文化理解能力の向上
第二言語習得理論から見た 外国語教育の目標(ゴール) 外国語教育のゴールとは? 外国語教育のゴールとは、コミュニケーションができる学習者をつくること。 コミュニケーション能力はどのように獲得されるのか? コニュニケーション能力は、真のコミュニケーションを通じて一番効果的に獲得される。 「21世紀に求められる外国語能力」當作靖彦 国際文化フォーラム通信NO.89
第二言語習得理論から見た 外国語教育の目標(ゴール) 真のコミュニケーションとは何か? コミュニケーションが必要な状況、相手、理由、内容、方法、結果という条件がそろって初めて真のコミュニケーションといえる。 しかし、外国語習得という名のもとに、そのような不自然な会話が行われていることが多い。 したがって、教室内で現実あるいは現実に近いコミュニケーションの場をつくる必要がある。
インプットとアウトプット 質問 授業の中で、どのように学習者にインプットさせたりアウトプットさせたりしていますか。 何か心がけていることはありますか?
インプットからアウトプットまでの流れ インプット ↓ インテイク プロセッシング アウトプット
インプットからアウトプットまでの流れ インプット 耳から目から大量のインプットが必要。 インテイク 学習者がインプットを通じて得られた情報がシステムに取り入れられていき、システムを完璧にしたり、拡大したりする要素となる。 プロセッシング インテイクで得られた要素をプロセス化し、新しいシステムを徐々に作り上げていく。 アウトプットへ
インプットの重要性 たくさんのアウトプットを出そうと思ったら、できるだけ多くのインプットを与えること、しかもその意味がわかるように与えることが重要。 インプットの質 インプットの量
語彙の習得活動を例に 1.導入 2.インプット活動 3.ことばで遊ぶ活動 4.アウトプット活動
トピック「趣味」 1.導入 イラストを見せながら、趣味に関する新出語彙を導入する。音声と文字の両方を使って語彙を提示する。 今回のトピックは「趣味」。
絵で導入
アニメーションで導入(動詞) あるく はしる まわる おちる
アニメーションで導入(形容詞) おそい はやい おおきい ちいさい
動画で導入 http://www.youtube.com/watch?v=_gwZCO5YwwM&list=PL2B5AB2231A6D35F9
インプット活動 2.趣味当て遊び(語彙のインプット活動) 次の人の趣味は何ですか。 A.絵画 B.グルメ C.ジョギング D.音楽 E.カラオケ 1.(おがわさん)走るのが好きです。 2.(はやしさん)コンサートによく行きます。 3.(かきうちさん)歌が好きです。 4.(みやけさん)ゴッホやピカソが好きです。 5.(もりたさん)食べることが好きです。
ことばで遊ぶ活動 3.仲間はずれ探し 仲間外れのことばはどれですか。どうしてですか。 1.サッカー、野球、ジョギング、バレーボール、 バスケットボール *自分に関係があることばを追加してください。 2.書道、茶道、華道、柔道、香道 3.マンガ、アニメ、コスプレ、ヨガ、ビデオゲーム 4.チェス、碁、将棋、ドミノ、数独
ことばで遊ぶ活動 同じように、「仲間はずれ探し」を作ってみましょう。 同じ仲間のことばを3つから4つほど考えて、それに仲間はずれになることばを1つ加えてください。 完成したらグループ内の先生に出題して、問題点があったら修正しましょう。出題された先生は、自分に関係があることばを追加してください。
アウトプット活動 4.趣味のクラスの紹介 あなたは町のカルチャー・スポーツ センターのアドバイザーです。 次の人たちがアドバイスを求めています。 どのような趣味のクラスをすすめますか。 手が器用です。→クラフトのクラスはどうですか。 毎日走りたいです。→ジョギングのクラスがありますよ。いかがですか。
趣味のクラス紹介 1.音楽が大好きです。 2.字が上手になりたいです。 3.たくさんの人と友達になりたいです。 4.体がかたいです。 5.最近ストレスがたまっています。 6. 7. 8.
『まるごと』入門(A1)のレベルイメージ
課題遂行(can-do)の学習目標
ポートフォリオ
『まるごと』の構成
『まるごと 日本のことばと文化』 教材名:『まるごと 日本のことばと文化』(A1) 学習者:海外の一般成人 日本語を気軽に勉強してみたい A1 日本に興味がある 外国語学習を楽しみたい レベル: A1(入門~) 使用機関:JF海外拠点日本語講座など 教師:日本語ネイティブ、ノンネイティブ(媒介語も 使用
『まるごと 日本のことばと文化』 JFSによる教育実践モデル 教え方、学び方、評価のしかたを教育現場にど う応用するか具体的な実践モデルとしての教材 (コースブック) 新しい日本語教育を始める 諸分野の研究成果の蓄積の応用 文型積み上げ式以外の方法の提示 言語教育の「世界標準」に沿った日本語教育
『まるごと』入門(A1)の構成
『まるごと』の全体像 内容 課構成:全18課(9トピック) シラバス:トピック、Can-do、文型 内容(トピック): 『まるごと』の全体像 内容 課構成:全18課(9トピック) シラバス:トピック、Can-do、文型 内容(トピック): 1.にほんご 6.やすみのひ1 2.わたし 7.まち 3.たべもの 8.かいもの 4.いえ 9.やすみのひ2 5.せいかつ テストとふりかえり2 テストとふりかえり1 学習時間の目安:80時間 活動編90~120分×20回、理解編120分×20回
『まるごと』とJFS 1.JFS/CEFRの熟達度に準拠したレベル設定 2.課題遂行(Can-do)で学習目標を記述 3.異文化理解能力の養成に配慮 4.ポートフォリオの導入
課の構成(活動編)
課の構成(理解編)
活動編と理解編の関係 第5課 なにが すきですか 活動編と理解編の関係 第5課 なにが すきですか