第6章 子どもを愛すること ー感情と愛着の発達ー 第6章 子どもを愛すること ー感情と愛着の発達ー
道案内 1 準備 (0) 授業を始める前に * (1) 発達心理学とはどんな学問か? (2) なぜ発達心理学を学ぶのか? 1 準備 (0) 授業を始める前に * (1) 発達心理学とはどんな学問か? (2) なぜ発達心理学を学ぶのか? 2 知覚の発達 (3) 子どもに世界はどう見えるか? 3 認知の発達 (4) 子どもはものごとをどう理解するか (5) 子どもは心をどう理解するか 4 感情の発達 5 性格の発達 (7) 子どもの性格は生まれつき? 6 社会性の発達 (8) 人間関係の中で育つ (9) 自己意識と発達課題 7 発達上の問題 (10) 子どもに見られる心の問題 8 まとめ (11) まとめ * (6) 子どもを愛すること
メインメッセージ6 子どもの信頼に答えることが 養育者の責任
1 感情の分化
思い出そう! 発達の一般的方向 (Welner) 未分化→分化
新生児の感情分化 0 快 不快 興味 1 喜び 驚き 悲しみ 2 月齢 3 怒り 4 恐れ 5 6 嫌悪
赤ちゃんの微笑み 生理的微笑(0—2ヵ月) 社会的微笑(2ヶ月以降)
不快感情の分化 悲しみ 自分にとって大切なものが失われた時 2ヶ月頃 あやすのをやめると「悲しげな表情」 受動的欲求
自分がやろうとしていることが妨害された時 不快感情の分化 怒り 自分がやろうとしていることが妨害された時 4ヶ月頃 手を伸ばしてモノをつかめるようになる その頃… 能動的欲求
自分に危険や害をもたらす刺激に出会った時 不快感情の分化 恐れ(不安) 自分に危険や害をもたらす刺激に出会った時 7,8ヶ月頃 人見知り その頃… 愛着の形成
愛着の芽ばえ 人見知り (8ヶ月不安)
1歳以降の感情分化 表象の出現 自己意識 自分が他者からどのように見られているか 自分が他者から何を期待されているか
1歳以降の感情分化 0.5 喜び 驚き 嫌悪 恐れ 怒り 悲しみ 1歳 表象の出現 照れ 2歳 誇り 恥 嫉妬 罪悪感 3歳
サブメッセージ 6.1 認知機能の発達が自己意識を 生み出し、多彩な感情を育てる
感情のコミュニケーション 情報の送り手 喜び 社会的微笑 養育行動のリリーサー
感情のコミュニケーション 情報の送り手 怒り 能動的欲求の表現
感情のコミュニケーション 情報の受け手 社会的参照 養育者の表情から安全/危険を知る
お母さんの表情 視覚的断崖 社会的参照 母親の笑顔 Go! 母親の不安顔 Don’t go
感情のコミュニケーション 情報の交換 感情を表現した時に、言葉でなぞる
サブメッセージ 6.2 乳児期の感情は親子の 信頼関係を作り上げる ためにある
2 愛着理論
Harlow (1961) の実験 アカゲザルの代理母実験 [ビデオ6.1]
Harlow (1961) の実験 実験結果
Harlow (1961) の実験 アカゲザルの代理母 愛着対象に必要なもの 温もり、柔らかさ
(maternal deprivation) Harlow (1961) の実験 母性剥奪実験 (maternal deprivation) 母性剥奪の結果 社会性の欠如
Bowlby (1969) 愛着(アタッチメント)理論 母親と子どもを接近させるように働く、 心理的・情緒的な結びつき
愛着の発達 第1期 (0ー2,3ヶ月) 前愛着 誰にでも視線を向けたり手を伸ばす
愛着の発達 第2期 (3ー12ヶ月) 愛着形成 身近な人にのみ 親しみを示す
環境探索の安全基地 離れると「イヤ」と意思表示 愛着の発達 第3期 (1ー2,3歳) 明確な愛着 環境探索の安全基地 離れると「イヤ」と意思表示
愛着の発達 第4期(3歳以降) 目標修正的 協調関係 養育者の目標、感情、視点の理解
ストレンジ シチュエーション(Ainsworth & Bell, 1970) 愛着の型 ストレンジ シチュエーション(Ainsworth & Bell, 1970)
ストレンジシチュエーション
ストレンジシチュエーション 母親に対して 見知らぬ人に対して 安全基地。不在時には不安 母親がいる時に、積極的な働きかけ 不在時にも泣かない、復帰にも喜ばない 無関心 不在時には激しく抵抗。復帰には怒り 激しい感情的反応 愛着安定型 拒否型 矛盾型
サブメッセージ6.3 子どもは母親を安全基地にして 様々なことを学ぶ
ホスピタリズム (施設病) 4 愛着が形成できない不幸 4 愛着が形成できない不幸 ホスピタリズム (施設病) 1950年代の未整備な孤児院などで見られた、子ども達の運動、知能、言語の遅れ、無感動などの症状
何もしない虐待 ネグレクト (育児放棄) 心と身体の成長に深刻な悪影響を与える [ビデオ6.2]
サブメッセージ6.4 養育者に対する基本的信頼が あってはじめて人は成長する
メインメッセージ6 子どもの信頼に答えることが 養育者の責任