短期均衡モデル(3) AD-ASモデル ケインジアン・モデルにおける物価水準の決定 AD曲線 AS曲線 AD-ASモデル

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 「マクロ経済学Ⅰ」 蓮見 亮
Advertisements

終章 結論~迷走する経済学~ E班 堀口・石川・細野・武井・赤見・伊藤 デフレの原因はマネーサプライでもない!人工減少でもな い!ではデフレの正体は何か … この章ではその正体を含め、歴史的に見る経済低滞とデフレ の関係性、デフレの害悪、そして現在の経学の現状について も論じていく。 1.
2014 年 10 月 17 日初級ミクロ経済学 1 初級ミクロ経済学 -消費者行動理論- 2014 年 10 月 17 日 古川徹也.
需要と供給. 需要と供給の概念 需要:ある財の価格の下で、消費者が買 いたい(消費したい)と思う量。 (注意:実際に買った量だとは限らない) 供給:ある財の価格の下で、企業が売り たいと思う量。 (注意:実際に売った量だとは限らない)
『マクロ金融特論』 ( 2 ) 一橋大学大学院商学研究科 小川英治 マクロ金融特論
1 IV 長期における貨幣と価格. 第11章 貨幣システム 物々交換 欲望の二重の一致 1.貨幣の意味 貨幣の機能 – 交換手段 – 計算単位 – 価値貯蔵手段 富 流動性 貨幣の種類 – 商品貨幣 金本位制 – 不換紙幣.
貨幣の役割と貨幣市場 経済学B 第 9 回 畑農鋭矢 1. 貨幣の役割 価値尺度 財の価値を表す共通の尺度 交換手段 物々交換⇒欲望の二重の一致 貨幣によって交換が容易に 価値の保蔵手段 安全資産としての保蔵手段.
短期均衡 (2) IS-LM モデル 財市場 IS 曲線 – 財市場の均衡 – 政府支出の増加,減税 貨幣市場 LM 曲線 – 貨幣需要,貨幣市場の均衡 – マネーサプライの増加 IS-LM モデル – 財政政策の効果,金融政策の効果 – 流動性の罠 – 実質利子率と名目利子率の区別 貨幣供給.
貨幣について. 講義概要 貨幣の概念 名目と実質貨幣ストック 貨幣に対する需要 政府による金融政策.
IS-LM 分析 マクロ経済分析 畑農鋭矢. 貨幣の範囲 通貨対象 M1M2M3 広義流動性 現金通貨(日銀券 +補助通貨) 預金通貨 (普通預金・当座 預金など) 主要銀行・信 用金庫など ゆうちょ銀 行・信用組合 など 準通貨 (定期預金など) 主要銀行・信 金など ゆうちょ銀 行・信用組合 など.
陰関数定理と比較静学 モデルの連立方程式体系で表されるとき パラメータが変化したとき 如何に変数が変化するか 至るところに出てくる.
第1章 金融の基本的要素 Q.4~Q /5/6 棚倉 彩香.
乗数効果 経済学B 第6回 畑農鋭矢.
第6章 閉鎖経済における短期のマクロ経済理論
初級ミクロ経済学 -消費者行動理論- 2014年9月29日 古川徹也 2014年9月29日 初級ミクロ経済学.
労働市場マクロ班.
入門 計量経済学 第02回 ―本日の講義― ・マクロ経済理論(消費関数を中心として) ・経済データの取得(分析準備) ・消費関数の推定
貨幣の役割と貨幣市場 経済学B 第11回 畑農鋭矢.
第16章 総需要に対する 金融・財政政策の影響 1.総需要曲線は三つの理由によって右下がりである 資産効果 利子率効果 為替相場効果
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
第2回講義 文、法 経済学.
<キーワード> 生産関数、労働、資本 限界生産物
入門B・ミクロ基礎 (第7回) 第4章続き 2014年12月1日 2014/12/01.
第8回講義 文、法 経済学 白井義昌.
IS-LM分析 経済学B 第10回 畑農鋭矢.
7: 新古典派マクロ経済学 合理的期待学派とリアル・ビジネス・サイクル理論
マクロ経済学 II 第9章 久松佳彰.
(景気が良くなり)ハンバーガーの需要が拡大すると
第4章 IS-LMモデル 労働市場との関係 IS・LMの交点(Y0, i0)は財市場と貨幣市場において,それぞれ需給均衡が達成しているが,労働市場において需給均衡を保証していない。 例えば,賃金の硬直性などの理由により,非自発的失業者が存在する可能性は十分にある。 完全雇用GDPがYFであるとすると,この経済にはY0YFに相当する所得不足が存在することになる。この不足は有効需要の不足によって発生したものである。
第8章 開放マクロ経済学.
6: 失業とインフレーション/デフレーション
3. 消費の理論.
マクロ経済学 II 第5章 久松佳彰.
硬直価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
伸縮価格マネタリー・アプローチ MBA国際金融2016.
<キーワード> 景気循環 総需要・総供給モデル
マクロ経済学 II 第10章 久松佳彰.
マクロ経済学初級I 第4回.
マクロ経済学初級I (春学期) 2006年 白井 義昌 4月11日 マクロ経済学初級I.
経済学入門7 丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2007年6月8日
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
丹野忠晋 跡見学園女子大学マネジメント学部 2006年6月8日
市場経済 商品を買 いたい人 商品を売 りたい人 市場 (いちば) 外国と交易し, 商品範囲を広げる 商人は 利得を拡大 客の要望 が増大.
動学的一般均衡モデルについて 2012年11月9日 蓮見 亮.
経済原論IA 第5回 西村「ミクロ経済学入門」 第5章 消費者需要理論の応用と拡張 京都大学経済学部 依田高典.
第10回講義 文、法 経済学 白井義昌.
貨幣の流通速度 貨幣が平均して1年間にいくつの経済主体 の間を移動するのかを表わす MV=取引総額(年間) Vは流通速度あるいは平均回転率.
ミクロ経済学II 第14回 生産の決定3 産業の長期均衡 市場と均衡1.
V. 開放経済のマクロ経済学.
VI 短期の経済変動.
V. 開放経済のマクロ経済学.
3. 消費の理論.
第8回講義 マクロ経済学初級I .
第5回講義 マクロ経済学初級I  白井義昌.
固定相場制のもとでの財政・金融政策の効果
マクロ経済学体系のフローチャート 財 市 場 (IS曲線) IS・LM モデル 総需要 曲 線 所 得 と 物価水準 の 決 定 インフレと
固定相場制下の財政・金融政策 田中 靖人.
日本の経常収支黒字  → 外国に失業輸出? 高齢化の進展 → 日本の国内貯蓄超過の減少         → 日本の経常収支黒字は減少へ.
マクロ経済学初級I (春学期) 2005年 白井 義昌 4月19日 マクロ経済学初級I.
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
7: 新古典派マクロ経済学 生産要素の完全雇用 ケインズ経済学の中心的な考え方(需要サイド,4章と5章のIS/LMモデル) ↑ ↓
第6章 IS-LMモデル.
© Yukiko Abe 2014 All rights reserved
3. 消費の理論.
古典派モデル(1) 基本モデル 生産要素市場の均衡(労働市場,資本市場) 生産関数 消費関数,投資関数 財市場の均衡 政策の効果
経済学(第7週) 前回のおさらい 前回学習したこと(テキストp.16,19) ◆ マクロ経済学における短期と長期 ◆ 完全雇用とはなにか ◆ 短期のマクロ経済モデルの背後にある考え方 (不況の経済学/有効需要原理) ◆ 民間部門はどのように消費や投資を決定するか ◆ ケインズ型消費関数とはなにか ◆
第6回講義 文、法 経済学 白井義昌.
マクロ経済学初級I 第12回 今学期のまとめ.
経済学入門 ミクロ経済学とマクロ経済学 ケインズ経済学と古典派マクロ経済学 経済学の特徴 経済学の基礎概念 部分均衡分析の応用.
IV 長期における貨幣と価格.
Presentation transcript:

短期均衡モデル(3) AD-ASモデル ケインジアン・モデルにおける物価水準の決定 AD曲線 AS曲線 AD-ASモデル フィリップス曲線,オークンの法則 AD曲線 IS-LMモデル,物価水準と実質マネーサプライ AS曲線 AS曲線の理論モデル AD-ASモデル インフレーションのコスト

AD-AS分析

AD-ASモデル IS-LMモデル+物価水準の決定 部分均衡モデルの需要曲線・供給曲線によく似たグラフ 縦軸は一般物価水準 部分均衡モデル個別の財の価格(相対価格) 縦軸は一般物価水準 AD曲線IS-LM分析,Mは一定 PとYの関係(M/Pが変わる) AS曲線何らかの供給側の要因(複数のモデル)

AS曲線の歴史 フィリップス曲線 オークンの法則 インフレ率(DP/P)と経済成長率(DY/Y) 物価水準(P)と産出量(Y)の関係 インフレ率と失業率の負の相関(短期的) 長期的には無関係 長期フィリップス曲線 オークンの法則 失業率と経済成長率の間の関係 インフレ率(DP/P)と経済成長率(DY/Y) 物価水準(P)と産出量(Y)の関係 経験的な関係 1970年代の経験で,短期フィリップス曲線は安定的でなく,長期的にはインフレ率と失業率は無関係(長期フィリップス曲線,自然失業率仮説)というコンセンサスが経済学者の間には出来上がった

フィリップス曲線 Phillips Curve インフレと失業の負の相関

オークンの法則 Okun’s Law 失業率と経済成長率の負の相関

AS曲線の導出 フィリップス曲線とオークンの法則 p: インフレ率 pe: 期待インフレ率 u: 失業率 uN: 自然失業率 g: 経済成長率 gN: ノーマルな経済成長率 AS曲線

AS曲線

AS曲線 なぜAS曲線は供給側の要因を反映していると考えるのか 理論モデル 短期総供給曲線(AS曲線)はなぜ右上がりか 短期総供給曲線と長期総供給曲線はなぜ異なるか

AD曲線(1) IS-LM分析 Mを一定にして,様々なPのもとでの均衡産出量を求める 高い物価水準名目マネーサプライは一定実質マネーサプライの減少均衡産出量は低い 背後で名目利子率が変化している(したがって,投資が変化している)ことに注意

AD曲線(2) IS-LMモデルとPの関係

AD曲線(3)

AD曲線(4) AD曲線は右下がり Pの低下M/Pの増加 貨幣市場の超過供給名目利子率の低下 投資の増加(インフレ期待は一定)乗数効果でYの増加 貨幣の取引需要の増加利子率が上昇 当初の乗数効果はやや弱まる

AD曲線(5) 貨幣需要の利子弾力性が小さかったら 投資の利子弾力性が大きかったら 限界消費性向が大きかったら 実質マネーサプライの増加が名目利子率を低下させる効果は大きい 投資の利子弾力性が大きかったら 一定の利子率の低下で投資の増加は大きい 投資の増加による乗数効果 限界消費性向が大きかったら 乗数効果は大きい AD曲線の傾きはどのような要因に依存しているか

政府支出の増加・減税の効果

政府支出の増加・減税の効果(2)

マネーサプライの増加

マネーサプライの増加(2)

財政・金融政策の効果 政府支出の増加・減税 マネーサプライの増加 利子率の変化の方向が違うことに注意 AD曲線を水平方向右にシフト シフトの大きさはIS-LMモデルから 乗数効果,利子率上昇による投資の削減 マネーサプライの増加 利子率の低下 利子率の変化の方向が違うことに注意

AS曲線(1)

AS曲線(2)

AS曲線の理論モデル 名目賃金硬直モデル 労働者錯誤モデル 一般物価水準と個別価格の混同 不完全競争モデル ケインジアンの標準モデル Friedman = Phelps 一般物価水準と個別価格の混同 Lucas 不完全競争モデル

名目賃金硬直モデル 当初の物価水準P0のもとでの実質賃金率は高すぎるが,労働市場では名目賃金が硬直的なので失業は解消しない 物価水準がP0からP1に上昇すると,実質賃金率が低下し,雇用が増加し,その結果,産出量が増加する

労働者錯誤モデル 雇用主は物価水準を観測でき,実質賃金を正確に把握 労働者は物価水準を把握できない(名目賃金は把握できる) 物価の上昇と名目賃金が同率で上昇したとする 雇用主:実質賃金に変化はないことを知っている 労働者:名目賃金の上昇を実質賃金の上昇と錯覚(本当の)実質賃金は不変だが,労働を増加させようとする労働供給曲線のS‘へのシフト やがて,労働者が錯覚だと気づくと,労働供給曲線はもとのSにシフトバックする インフレは一時的に産出量を増加させる。ただし,錯覚に気づけば元の産出量にもどる

一般物価と個別価格の混同 多数の生産者からなるモデル 個々の生産者 piの上昇 PとYの短期的な相関関係 一部は個別価格の上昇と判断 自企業の生産の拡大 一部はPの上昇と判断  生産を拡大しない PとYの短期的な相関関係 インフレの激しい国では,PとYの短期的相関系は弱くなる

AD-ASモデル 短期均衡と長期均衡

財政金融政策と物価水準

古典派モデルとAD-ASモデル 形式的な類似性がある インフレの一時的錯覚があれば, Ys曲線(短期)は右上がりになる