義務教育における統計教育 大阪産業大学経済学部 井出 満.

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令和元年度 教職員統計教育セミナーのご案内
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義務教育における統計教育 大阪産業大学経済学部 井出 満

学習指導要領における内容の変遷 昭和26年版(1951年):生活単元学習 昭和33年版(1958年):基礎学力の向上、科学技術教育の充実 昭和42年版(1967年):数学や科学技術の進歩に対応するための数学教育の現代化 昭和52年版(1977年):基礎基本の重視、内容の精選 平成元年版(1989年):個性重視、基礎基本の重視、創造性・考える力・表現力の育成 平成10年版(1998年):ゆとりの生きる力、自ら学び、自ら考える力

小学校算数科の学習指導要領の変遷① S26年 S33年 S42年 S52年 H元年 H10年 1年 ・○×でグラフを作る ナシ 2 年 ・実際の場で、表やグラフを作り読む ・簡単な事柄を整理し、表やグラフに表す 3年 ・実際の場で、2元表を用いる ・絵・棒グラフを作り読み比較する ・概数を読む ・簡単な事柄を集計整理、表グラフに表す ・2元表・棒グラフを作り読む ・折れ線グラフを読む ・資料を表・グラフで表す ・棒・折れ線グラフを作り読む ・資料を表やグラフで表し読む(日時、場所など、観点を決めて分類、整理する) ・棒グラフの読み方・書き方を知る

小学校算数科の学習指導要領の変遷② S26年 S33年 S42年 S52年 H元年 H10年 4年 ・実際の場で、2元表、絵・棒・折れ線グラフが使える ・変化を読む ・目盛 ・落ちや重なりの検討、表やグラフを用いる ・折れ線グラフの読み書き、変化の様子 棒・折れ線グラフ ・集合を用いた資料の整理、落ちや重なりの検討 ・目的に応じた資料の整理 ・落ちや重なりの検討 ・棒・折れ線グラフから傾向・特徴を読む 5年 ・具体的な経験、折れ線グラフの傾き(減少増加)、変化の度合いの理解 ・折れ線グラフを読む能力 ・平均や延べを用いる能力 ・分布、資料のちらばり・代表値 ・円・帯グラフ、各種表グラフの特徴 ・百分率と歩合(割、歩合)を知る ・資料のちらばり、平均、度数分布、区間、一部からの全体の傾向の推論 ・円・帯グラフ ・目的に応じて資料を整理し、円・帯グラフに表す (H10年:百分率)

小学校算数科の学習指導要領の変遷③ S26年 S33年 S42年 S52年 H元年 H10 6年 ・実際の場で、正方形・帯・円グラフを作り読む能力 ・百分率で全体と各部分、部分相互の関係を扱える能力 ・場合の数を扱う能力 ・目的に応じた表・グラフを用いる能力 ・料金を早く知る表・グラフを作り読む能力 ・数量的な問題の処理、百分率を使える ・起こりうる場合の数と確からしさ(確率) ・目的に応じた表・グラフを作り使う ・資料のちらばり、資料を統計的に考察し、表現する ・度数分布、一部から全体の傾向の推測 ・目的に応じ表・グラフの活用 ・度数分布、一部から全体の傾向の推測、目的に応じた表・グラフの活用 ・起こり得る場合を順序よく整理 ・平均の意味を知り、使う

中学校数学科の学習指導要領の変遷 S26年 S33年 S42年 S52年 H元年 H10 1年 ・新聞雑誌の各種グラフを読み、グラフに表す ・目的に応じた資料の整理 ナシ 2年 ・自然・社会現象の比例関係をつかみ、問題を解決する ・多数回試行と確率 3年 ・統計的資料の整理 ・標本調査:標本と母集団 ・標本調査

中学校社会科教科書(T書院)に掲載されている統計図表の内訳 地理 公民 歴史 2元表 8 11 2 円グラフ・面積グラフ 17 棒グラフ(人口ピラミッドを含む) 48 34 12 折れ線グラフ 26 22 7 帯グラフ 39 59 5 円グラフとパイグラフ 79 29 3 統計地図 72 16 その他 計 289 167 45

全国統計教育研究協議会 昭和22年(1947) 統計協力校 昭和24年(1949) 調査統計研究校 昭和27年(1952) 統計教育研究校 昭和22年(1947) 統計協力校 昭和24年(1949) 調査統計研究校 昭和27年(1952) 統計教育研究校 昭和30年(1955) 第1回全国統計教育研究大会の開催(以後毎年開催) 昭和37年(1962) 全国統計教育振興協議会の設立 昭和47年(1972) 全国統計教育研究協議会(全統研)の発足  現在の全統研の現状:25都府県の統計教育研究協議会・650名の会員

義務教育における統計教育の将来 統計的探求力の育成 とらえる-あつめるーまとめる-よみとる-いかす    とらえる-あつめるーまとめる-よみとる-いかす 義務教育における統計教育に関する実践事例の収集とその周知徹底 昭和16年8月に第50回全国統計教育研究大会の開催 義務教育を含めた統計教育に関心を持つ組織の団結

組織の団結について 団結した組織の役割 学校教育における統計教育のあり方に関する研究 実践に役立つ教材などの開発・作成  団結した組織の役割     学校教育における統計教育のあり方に関する研究     実践に役立つ教材などの開発・作成     文部科学省に教育課程および学習指導要領の改訂          の申し入れ  etc.  考えられる団結する組織     総務省統計局      日本統計学会・統計教育委員会      (財)日本統計協会      (財)全国統計協会連合会      (財)統計情報研究開発センター      (社)日本数学教育学会  etc.