統計リテラシー育成のための数学の指導方法に関する実践的研究 ~関数指導から~ 都立田柄高等学校 倉井 庸維
統計は、数学基礎で学習
数学基礎の履修率の低さ
(2)規則性の発見と予測の力の育成 関数指導 一次関数:ばねばかりの重さと伸び 二次関数:斜面のころがり 時間と距離 一次関数:ばねばかりの重さと伸び 二次関数:斜面のころがり 時間と距離 測定ー収集ー分析ーまとめ 関数式
統計と近接領域である関数
関数指導において統計リテラシーの育成
学習指導要領から統計リテラシーの検討
統計リテラシー 学習指導要領 小学校と数学基礎で学習する内容
(1)小学校 【内容】 ・表 ・グラフ(棒、折れ線、円、帯) ・百分率 ・平均
【方法】 観点を決めて分類整理する 目的に応じて資料を集める 特徴を調べる 目的に応じて資料を分類整理する グラフから特徴や傾向を調べる
(2)数学基礎 3つの内容 ・「数学と人間の活動」 ・「社会生活における数理的な考察」 ・「身近な統計」
目標 目的に応じて資料を収集し、それを表やグラフなどを用いて整理するとともに、資料の傾向を代表値を用いてとらえるなど、統計の考えを理解し、それを活用できるようにする。
学習内容 ア 資料の整理 イ 資料の傾向の把握
内容の取り扱い 身近なテーマを取り上げ、ある目的に応じて資料を収集・整理し、それを分析して結果を表現するといった一連の活動を通して、統計に関する基本的な考えを理解させ、それを標本調査などに活用できるようにする。 →一連の活動を重視
ア 資料の整理 目的に応じて資料を集め、集めた資料をどのように整理するのが適切か、ということを中心に資料の整理方法について学習する。 ア 資料の整理 目的に応じて資料を集め、集めた資料をどのように整理するのが適切か、ということを中心に資料の整理方法について学習する。 → 度数分布、ヒストグラムの作成 → 相関表や相関図の作成
イ 資料の傾向の把握 平均値、中央値、最頻値などを代表値として用いて資料の傾向をとらえる。 イ 資料の傾向の把握 平均値、中央値、最頻値などを代表値として用いて資料の傾向をとらえる。 実験や観察を通して、標本調査の意味や母集団と標本の関係について考察できるようにする。
学習指導要領にみる関数指導 (1)中学校まで (2)数学Ⅰ(必履修科目)
中学校 小学校以来、 ある数量が変化すれば、ほかの数量が変化するかどうかを調べること 対応の特徴を調べていくこと 変化の規則性などの関係を見つけること 文字式を活用して、関数を表現すること。
中学校の関数指導 【目標】 ア 関数についての基礎的な概念や性質を理解する イ 関数を探求する能力を伸ばす ウ 関数を利用する能力を伸ばす ア 関数についての基礎的な概念や性質を理解する イ 関数を探求する能力を伸ばす ウ 関数を利用する能力を伸ばす エ 関数的な見方や考え方を活用する態度を養う
ア 関数の基礎的な概念の理解 伴って変わる二つの数量の変化や対応を調べることを通して、比例、反比例、一次関数、関数y=ax2 を文字式によって理解し、表、式、グラフなどを用いて、グラフの特徴や変化の割合などの関数の性質を理解する。 (下線は、筆者による)
イ 関数を探求する能力 伴って変わる二つの数量の変化や対応を、表、式、グラフによって調べることができるようにする。 (下線は、筆者による)
ウ 関数を利用する能力 関数を実生活などの具体的な場面で利用できるようになること (下線は、筆者による)
(2)数学Ⅰ 【目標】 二次関数について理解し、関数を用いて数量の変化を表現することの有用性を認識するとともに、それを具体的な事象の考察や二次不等式を解くことなどに活用できるようにする
【学習内容】 ア 二次関数とそのグラフ イ 二次関数の値の変化 (ア)二次関数の最大・最小 (イ)二次不等式
関数指導を通して 二つの数量の対応関係を調べること 規則性を見つけること グラフの特徴について調べること →統計リテラシー育成の一端
3.統計リテラシーを育成するための関数指導 (1)グラフの読みとり能力の育成 (2)規則性の発見や予測する力の育成
(1)グラフの読みとり能力の育成 統計:「グラフから特徴や傾向を調べる」(小学5年) 関数:関係把握のためにグラフ作成 数学Ⅰ: 数学Ⅰ: 文字式→表の作成→グラフの作成 →特徴把握→一般化
数学Ⅰ y=x2ー4x+3 ・範囲(xの範囲、値域) ・最大値・最小値 ・増加・減少区間 ・変化の割合 ・X軸との交点 数学Ⅰ y=x2ー4x+3 ・範囲(xの範囲、値域) ・最大値・最小値 ・増加・減少区間 ・変化の割合 ・X軸との交点 ・y≦0となるxの範囲等
グラフを見る場合の着眼点 xの範囲 最大値・最小値(そのときのxの値) 増加・減少区間と変化の割合 x軸、y軸との関係(x軸、y軸との交点、y≧0となるxの範囲等)
2つの関数の比較 交点の意味
時系列グラフへの応用 現代社会等時系列グラフは多く使用。 横軸(x軸):時間 縦軸(y軸):輸出額 Xの範囲 最大値・最小値 増加・減少区間 変化の割合
数学リテラシー調査問題 問1 1980年からみると、20歳の女子の身長は2.3cm伸びて、現在170.6cmです。1980年の20歳の女子の平均身長はどのくらいでしたか。 日本78.3% (平均67.0) 問2 女子の平均身長について、12歳以降はその増加の割合が低下しています。このことがグラフでどのように示されているか、説明して下さい。 日本43.3%(平均44.8)
数学リテラシー調査問題(続き) 問3 このグラフによると、女子の平均身長が同じ年齢の男子の平均身長を上回っているのはいつですか。 問3 このグラフによると、女子の平均身長が同じ年齢の男子の平均身長を上回っているのはいつですか。 日本 62.5%(平均54.7) 2000年からみると3ポイント低下。