(1)知的障害・発達障害・精神障害とは 第24回障害と多様な仕事の在り方研究会 (2017年10月27日) 国立大学法人浜松医科大学

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(1)知的障害・発達障害・精神障害とは 第24回障害と多様な仕事の在り方研究会 (2017年10月27日) 国立大学法人浜松医科大学 医学博士 桑原 斉

目次 特徴と対応 診断的フォーミュレーションと介入 疾患概念 知的障害 ASDを伴う知的障害(自閉症) 精神障害 発達障害

知的障害 乳児期 幼児期 学童期 思春期 成人期 老年期 認知 ピアジェ 社会性 エリクソン 社会 保育園・幼稚園 学校 職場 感覚運動期 象徴的思考期 直感的思考期 具体的操作期 形式的操作期 発達 課題 信頼感 自律性 自発性 勤勉性 同一性 親密性 生殖性 統合性 不信感 恥・疑惑 罪悪感 劣等感 同一性拡散 孤立感 停滞 絶望感 社会性 エリクソン 危機 社会 保育園・幼稚園 学校 職場 <能力の目安> IQ70以下;知的な能力が小学生水準にとどまる、未来を予測した判断が困難 <対応> 知的能力に合った職務 ⇒障害者雇用では知的能力を踏まえた職務としている 明確な指示(「自分で考えろ」は原則NG) ⇒CNを配置していること自体が配慮になっている

知的障害;学校 IQ100 平均 IQ50~69 軽度 特別支援学級(小中) IQ35~49 中等度 特別支援学校 IQ=精神年齢/生活年齢 IQ100  平均             IQ50~69 軽度 特別支援学級(小中)    IQ35~49 中等度 特別支援学校 IQ20~35 重度 特別支援学校 IQ ~20 最重度 特別支援学校 *学校時代に、普通学級で過ごすと配慮がなく、勤勉性が身につかず、 劣等感が身に沁みこんでいることが少なくない

知的障害;成人後 IQ100 平均 精神年齢 適応水準 IQ50~69 軽度 9歳~12歳 4度 ⇒障害者就労               精神年齢     適応水準 IQ50~69 軽度 9歳~12歳 4度 ⇒障害者就労 IQ35~49 中等度 6歳~9歳 3度 ⇒作業所(B型) IQ20~35 重度 3歳~6歳 2度 ⇒福祉園(生活介護) IQ ~20 最重度 3歳以下 1度 ⇒福祉園(生活介護) *東大の職務指導の難しさは、 同じ職場に3度水準と4度水準のスタッフが混在していること?

ASDを伴う知的障害(自閉症) 乳児期 幼児期 学童期 思春期 成人期 老年期 認知 ピアジェ 社会性 エリクソン 社会 保育園・幼稚園 感覚運動期 象徴的思考期 直感的思考期 具体的操作期 形式的操作期 発達 課題 信頼感 自律性 自発性 勤勉性 同一性 親密性 生殖性 統合性 不信感 恥・疑惑 罪悪感 劣等感 同一性拡散 孤立感 停滞 絶望感 社会性 エリクソン 危機 社会 保育園・幼稚園 学校 職場 知的障害+ コミュニケーションの障害 柔軟性の障害 ⇒能力の把握が難しい <対応> より具体的で明確な指示 (絵・図・文字>言葉) 「こだわり」の理解

知的障害を伴わないASD(アスペルガー症候群) 乳児期 幼児期 学童期 思春期 成人期 老年期 認知 ピアジェ 感覚運動期 象徴的思考期 直感的思考期 具体的操作期 形式的操作期 発達 課題 信頼感 自律性 自発性 勤勉性 同一性 親密性 生殖性 統合性 不信感 恥・疑惑 罪悪感 劣等感 同一性拡散 孤立感 停滞 絶望感 社会性 エリクソン 危機 社会 保育園・幼稚園 学校 職場 コミュニケーションの障害 柔軟性の障害 ⇒知的水準が高い分、むしろ自分と社会とのギャップに悩んでいることも <対応> 本人が相談できるサポーターが必要 見通しが必要 (障害者就労では境界知能が多い、また劣等感が強いケースも多い印象)

診断的フォーミュレーション Ⅰ 精神症状・疾患 Ⅱ 特異的発達障害 Ⅲ 知的水準 Ⅳ 身体疾患 Ⅴ 心理社会的および環境的問題 Ⅵ 適応状態 知的障害・発達障害・精神障害の診断だけでは 介入方針は立てられない

介入方針 Ⅰ;2次的な精神症状 Ⅱ;ASD Ⅲ;知的障害 Ⅳ;身体疾患 Ⅴ;心理社会的及び環境的問題 Ⅵ;適応状態 不安・抑うつ・情動不安定・異常行動 Ⅱ;ASD Ⅲ;知的障害 3度・4度 Ⅳ;身体疾患 ダウン症、てんかんなど Ⅴ;心理社会的及び環境的問題 職場のストレス 家庭のストレス 過去のストレス(勤勉性を獲得できているか) Ⅵ;適応状態 職務は合っているか わかっているようで、わかっていないことも 精神症状の改善は 職務の適合と 特性に応じた配慮で ある程度は達成される 家庭・過去は対処が?? 配慮(伝え方など) 修正

疾患概念 知的障害 発達障害 精神障害 実際のイメージ ASD 統合失調症・うつ病 DSM-5(疾患) 手帳(障害) 療育手帳 (精神保健福祉手帳) 精神保健福祉手帳 法律 知的障害者福祉法 発達障害者支援法 精神保健福祉法 障害者総合支援法

疾患概念 知的障害 発達障害 精神障害 実際のイメージ ASD 統合失調症・うつ病 DSM-5(疾患) 手帳(障害) 療育手帳 (精神保健福祉手帳) 精神保健福祉手帳 法律 知的障害者福祉法 発達障害者支援法 精神保健福祉法 障害者総合支援法

精神障害 不安性障害 強迫性障害 分離不安 選択性緘黙 摂食障害 統合失調症 うつ病 躁うつ病 知的障害 ASD ADHD LD 脳炎後遺症 器質性疾患 発達障害 内因性精神疾患 神経症 不安性障害 強迫性障害 分離不安 選択性緘黙 摂食障害 統合失調症 うつ病 躁うつ病 知的障害 ASD ADHD LD 脳炎後遺症 染色体異常 脳腫瘍 疾患概念は整理されつつあるが、 相互の重複も多く、分類は未だ流動的である。

疾患概念 知的障害 発達障害 精神障害 実際のイメージ ASD 統合失調症・うつ病 DSM-5(疾患) 手帳(障害) 療育手帳 (精神保健福祉手帳) 精神保健福祉手帳 法律 知的障害者福祉法 発達障害者支援法 精神保健福祉法 障害者総合支援法

発達障害 自閉症スペクトラム障害(ASD) 注意欠陥多動性障害(ADHD) 学習障害(LD) 所謂、“発達障害” “コミュニケーションが出来ない人” 広汎性発達障害 アスペルガー症候群 自閉症 “コミュ症” 注意欠陥多動性障害(ADHD) “落ち着きがない人“ 学習障害(LD) “なんかよくわからないけど、勉強できない人”

発達障害 1)知的障害 ;(全般的)知能 2)ASD(自閉症スペクトラム障害) ;コミュニケーション・柔軟性 「発達障害」とは、脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの (発達障害者支援法より抜粋) 1)知的障害 ;(全般的)知能 2)ASD(自閉症スペクトラム障害) ;コミュニケーション・柔軟性 3)ADHD(注意欠如多動性障害) ;注意・衝動制御 4)LD(学習障害) ;読み・書き・算数

神経発達症群/神経発達障害群; Neurodevelopmental disorders 知的能力障害群; Intellectual disabilities コミュニケーション症群/コミュニケーション障害群 自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(ASD) 注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害(ADHD) 限局性学習症/限局性学習障害(LD) 運動症群/運動障害群 発達性協調運動症/発達性協調運動障害(DCD)

自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害 Autism spectrum disorder (ASD) b)社会的交流に用いる非言語的コミュニケーションの障害 c)発達段階に相応した、対人関係を発展させ、維持することと、社会的な        文脈に行動を適応させることの障害 B 限定した興味と反復行動;RRB (現在あるいは過去;2/4以上) a)常同的、あるいは反復する話し言葉、運動・動作、あるいは物体の使用 b)型にはまった習慣(ルーチン)への過剰な固執、言語的、あるいは非言     語的行動の儀式的様式、あるいは過剰な変化に対する抵抗 c)強さや焦点が異常な極めて限定され、固定した興味 d)過剰な、あるいは、過小な感覚入力に対する反応性、または環境の感覚   面における通常ではない関心

ASDの診断 DSM5 診断の種類 “significant” ≒ 介入 C. 発達早期 D. その症状は、社会的、職業的、または他の重要な領域における現在の機能に臨床的に意味のある(significant)障害を引き起こしている “cut off”を広くとり (1 / 10 ~ 1 / 20) “significant”を絞る (1 / 50 ~ 1 / 100) 治療の過程で、”significant”と判断することも E. 全般的発達 診断の種類 Autism spectrum Autism spectrum (without disorder) Autism spectrum disorder “significant” ≒ 介入

広汎性発達障害(PDD) 自閉性障害 ASD アスペルガー障害 特定不能の広汎性発達障害 (PDDNOS) 小児期崩壊性障害 (Lord et al, 2012) Rett障害 Rett症候群 図1 PDD亜型分類とASD

DSM-Ⅳによる3因子モデルとDSM-5による2因子モデルの関係 (C1)言語・非言語伝達 (C2)会話能力 (C3)常同反復的な言語使用 (C4)遊びと想像力 (R1)普通でない興味 (R2)日課と儀式 (R3)常同反復的な運動 (R4)細部への没頭 (SC1)社会的情緒的相互性 (SC2)非言語的相互作用 (SC3)対人関係 (R1)常同反復的な運動・言語使用・物体使用 (R2)日課と儀式 (R3)普通でない興味 (R4)感覚の異常 (SA)感覚の異常

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害 Attention deficit hyperactivity disorder (ADHD) A (1) 不注意 5/9(17歳未満は6/9) (a) 綿密に注意することが出来ない (b) 注意を持続することが困難 (c) 聞いていないように見える (d) 義務をやり遂げることができない (e) 課題や活動を順序立てることがしばしば困難である(時間の管理が苦手、締め切りを守れない) (f) 精神的努力の持続を要する課題を避ける (g) 必要なものをなくしてしまう (h) 気が散ってしまう (i) 日々の活動で忘れっぽい

注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害 Attention deficit hyperactivity disorder (ADHD) 5/9(17歳未満は6/9) (a) そわそわ動かしたり、もじもじする (b) しばしば席を離れる (c) 落ち着かない感じ (d) 静かに遊んだり余暇活動につくことができない (e) “じっとしていない” (f) しゃべりすぎる (g) 質問が終わる前に答え始めてしまう (h) 順番を待つことが困難である (i) 他人を妨害し、邪魔する

ADHDの診断 B. 症状のうちいくつかが12歳になる前から存在していた C. 症状のうちいくつかが2つ以上の状況において存在する E. その症状は、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中にのみ起こるものではなく、他の精神疾患(例:気分障害、不安症、解離症、パーソナリティ障害、物質中毒または離脱)ではうまく説明されない *A項目のチェック診断による、インフレーションが懸念される

限局性学習症/限局性学習障害 Specific Learning Disorder 学習や学業的技能の使用に困難 (1) 不的確または速度が遅く、努力を要する読字 (2) 読んでいるものの意味を理解することの困難さ (3) 綴字の困難さ (4) 書字表出の困難さ(文法、句読点、段落、明確さ) (5) 数字の概念、数値、または計算を習得することの困難さ (6) 数学的推論の困難さ

LD(Learning disorder)の診断 B. 欠陥のある学業的技能は、 その人の暦年齢に期待されるよりも、著明にかつ定量的に低く 意味のある障害を引き起こしており 標準化された到達尺度で確認されている.17歳以上の人においては、確認された学習困難の経歴は標準化された評価の代わりにしてよいかもしれない C. 学習困難は学齢期に始まるが、欠陥のある学業的技能に対する要求が、その人の限られた能力を超えるまでは完全には明らかにはならないかもしれない D. 学習困難は知的能力障害、非矯正視力または聴力、他の精神または神経疾患、心理社会的逆境、学業指導に用いる言語の習熟度不足、または不適切な教育的指導によってはうまく説明されない

LD診断の具体的方法??? 著明にかつ定量的に低く 1.0~1.5~2.5SD(標準偏差);84以下、16パーセンタイル K-ABC2; 読み尺度、書き尺度、算数尺度 学習困難の経歴 他の精神疾患によってはうまく説明されない 発達性協調運動症/発達性協調運動障害(DCD) 協調運動の獲得や遂行が劣っている、遅さと不正確さによって明らかになる 書字能力にしばしば影響があるため、その結果読みやすさや字を書く速さに影響し、そして学業成績にも影響する 測定法; ?

疾患概念 知的障害 発達障害 精神障害 実際のイメージ ASD 統合失調症・うつ病 DSM-5(疾患) 手帳(障害) 療育手帳 (精神保健福祉手帳) 精神保健福祉手帳 法律 知的障害者福祉法 発達障害者支援法 精神保健福祉法 障害者総合支援法