日本経済の真の問題 本来の供給能力 現実のGDP(需要) <デフレギャップの猛威> ※本来の供給能力を需要が下回り、

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第8章 貯蓄,投資と金融システ ム 1.アメリカ経済における金融機関と市場 ( ↑ 日本経済でもほぼ同じ) 金融システムは、ある人の貯蓄と別の人の投資 を結びつける。投資の例として、 起業のための設備投資 住宅を購入する 金融システムは、金融市場と金融仲介機関の2 つのカテゴリーに分けられる 1 8.
終章 結論~迷走する経済学~ E班 堀口・石川・細野・武井・赤見・伊藤 デフレの原因はマネーサプライでもない!人工減少でもな い!ではデフレの正体は何か … この章ではその正体を含め、歴史的に見る経済低滞とデフレ の関係性、デフレの害悪、そして現在の経学の現状について も論じていく。 1.
国民所得 エンゲル係数:生活費に占める食事の割 合 所得の増加と逆に動く指数 食費:所得が増加してもそれほど増えな い なぜなら 娯楽費:所得が増加すると増加する このエンゲル係数を国際比較すれば、各国の生活水準を比べることができ る しかし ある国の衣服費だけ上昇したとする 生活費は上昇する、が、食費は上昇しないエンゲル係数は低下する.
経常収支とは?  一国の国際収支を評価する基準の一つ。  この 4 つのうち、 1 つが赤字であっても他で賄え ていれば経常収支は黒字となる。 貿易収支 モノの輸出入の 差 所得収支 海外投資の収益 サービス収支 サービス取引額 経常移転収支 対価を伴わない 他国への援助額 これらを合わせたものが経常収支.
1 (第 14 週) 第5章 間接金融の仕組 み § 1 銀行の金融仲介機能 ( p.91 ~ 98 ) ① 仲介機能 ② 情報生産機能 ③ 資産転換(変換)機能 ④ 銀行貸付けにおける担保の役割 § 2 貸付債権の証券化とサブプライム問題 ( p.99 ~ 104 ) § 3 銀行以外の金融仲介機関.
Nov20 Takaaki Mitsuhashi Small and Medium Enterprise Management Consultant 護国ゼミナール 11月 「これからの日本を考える」
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貨幣について. 講義概要 貨幣の概念 名目と実質貨幣ストック 貨幣に対する需要 政府による金融政策.
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資金運用表作成手順 ファイナンス入門(試験対策版).
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第6章 デフレの鍵は賃金 ー「なぜ日本だけが?」の答え
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日本経済の真の問題 本来の供給能力 現実のGDP(需要) <デフレギャップの猛威> ※本来の供給能力を需要が下回り、 GDPが押さえつけられる現象を デフレギャップと呼ぶ。 デフレギャップ 現実のGDP(需要) 2008年の日本の名目GDP(単位:兆円)  日本経済の「真の問題」は、政府の負債残高(財務省式に言う『国の借金』)などではありません。日本経済が本来持つ供給能力に対し、需要=現実のGDPが小さすぎることこそが、日本経済の「真の問題」なのです。「供給能力」と「現実の需要」のマイナスのギャップ、すなわちデフレギャップの存在です。  2009年第3四半期のデフレギャップは、内閣府の試算によるとGDPの6.7%、金額にして約37兆円にも達しています(もっと多いという人が少なくないですが、ここはコンサバティブに)。この巨額のデフレギャップの金額は、言うまでもなく世界最大です。  とはいえ、この莫大なデフレギャップの存在は、ある意味で日本経済の「財産」とも言えるのです。何しろ、日本はデフレギャップが埋まるまで日銀が国債を買い取り、政府が支出を拡大しても、インフレには「絶対に」ならないのです。デフレギャップが存在するということは、常に「供給能力>需要」の関係が成り立つので、インフレになるはずがありません。  政府の負債残高を名目GDPの中で希薄化させるには、「健全なインフレ」が必要です。とは言え、日本人にはインフレに単純な嫌悪感を抱く人が多いので、「デフレギャップを埋める分、政府支出を拡大し、日銀が国債を買い取るので、インフレには決してならない」という説明手法が有効でしょう。

日本の名目GDP(単位:十億円) 2008年 個人消費 政府支出 民間投資 出典:内閣府  前頁の「現実のGDP(需要)」を、支出側からブレイクダウンしたのが、本図になります。  実は、2008年の日本の名目GDPにおいて、外需=純輸出(=輸出-輸入)はGDPのわずか0.14%にまで落ち込んでしまいました。08年の日本のGDPは、いわゆる「個人消費」「民間投資」「政府支出」だけで、その99.4%を占めているのです。  ◆個人消費:57.59%  ◆民間投資(=民間住宅投資+民間企業設備投資):19.11%  ◆政府支出(=政府最終消費支出+公共投資):22.47%  民主党政権の行っている「事業仕分け」あるいは「ムダの削減」は、上記の「政府支出」を削り取る行為そのものです。政府支出とは、別に政治家や官僚がポケットにお金を入れるという意味でも何でもありません。政府支出とは、その支出を受け取る民間企業のビジネスなのです。政府支出=民間のビジネスの感覚のない民主党政権が政府支出を切り詰めた結果、前頁の「現実のGDP(需要)」が押し下げられ、デフレギャップは拡大することになります。 出典:内閣府

伸び悩む日本の平均給与  国内で37兆円もの需要が不足(=デフレギャップ)している以上、デフレが悪化し、企業倒産や失業率上昇が継続して当たり前です。何しろ、デフレとは、企業が「同じ製品を、同じ数量」販売しても、売上が下落する環境を意味するのです。  中期的に売上増が見込めない中で、人件費のアップに踏み込める経営者は存在しません。結果、日本人の平均給与は減少の一途を辿っています。デフレが本格化した1997年の橋本政権以降、日本人の平均給与は対前年比で上向いたことがほとんどありません。  小泉政権中盤(2002年以降)の景気拡大期は、「いざなぎ越え」と呼ばれるほど長期に渡りました。同時に「実感なき経済成長」とも言われましたが、当たり前です。この時期、現実に日本人の平均給与は、減少を続けていたのです。(主に、デフレ進行及び国際競争激化による賃下げ圧力のため)  実際、デフレーションとは国民にとって、他人事でも何でもないわけです。 出典:国税庁

日本国家のバランスシート(単位:兆円) 日本の純資産(=対外純資産)は世界最大 出典:日本銀行 ※2009年6月末時点  財務省が「問題である」と「主張」している「国の借金」とは、正しくは「政府の負債」になります。  本来、「国の借金」とは「日本国家の対外負債」を意味しているはずです。ところが、財務省は政府の負債を「国の借金」と表現し、国民をミスリードしています。ちなみに、日本国家の対外負債(すなわち国の借金)は、09年6月末時点速報値で312.4兆円に達しています。とは言え、日本は対外資産が556.9兆円もあるため、日本の対外純資産は244.5兆円(世界最大)となっています。  この対外純資産は、グラフの「純資産」(青い部分)と同一概念です。微妙に純資産の金額(247.5兆円)の方が大きくなっていますが、これは四捨五入による誤差のためです。日本の正確な純資産の金額は、対外純資産と同じ244.5兆円になります。(同一概念なので、当たり前ですが)  さて、財務省が問題視している政府の負債は、09年6月末時点で979兆円(地方自治体分含む)となっています。ところが、この巨額の負債を「誰が貸しているのか?」という疑問については、誰も説明しません。(答えは次頁参照)  当たり前ですが、「誰かの負債は、誰かの資産」「誰かの資産は、誰かの負債」なのです。この原則は絶対であり、神様も覆すことはできません。  例えば、日本は世界最大の対外純資産国です。ということは、世界のどこかに日本の対外純資産の金額分を引き受けている「対外純負債国」(もちろん、一国とは限りません)が存在しているのです。日本が「貸出超」になっている以上、反対側に必ず「借入超」になっている国があるわけです。(ちなみに、アメリカですが。)  この誰かの負債は、誰かの資産という絶対原則すら、財務省は理解していない可能性があります。 出典:日本銀行 ※2009年6月末時点 日本の純資産(=対外純資産)は世界最大

国債の「債権者」は誰なのか? 国債発行残高 国債所有残高 銀行預金等 銀行預金等 国債購入の形で、銀行等 が政府に貸付 銀行預金などの運用先 として国債を購入 銀行預金等 家計の銀行預金は、 銀行の「負債」 銀行預金等  前頁の疑問「日本政府に貸しているのは誰なのか?」の答えを書きますと、ずばり「日本国民」になります(日本の企業も含みます)。  多くの日本人が理解していませんが、わたくしたち日本国民の銀行預金は、銀行にとって「負債(要は借金)」なのです。何しろ、銀行はわたくしたちの預金に対し、「金利」を支払わなければなりません。毎日のように積み上がっていく銀行預金(=国民の資産)について、銀行が現金のまま保有していても、金利は一切産みません。これを放っておくと、銀行は「逆ザヤ」で破綻してしまいます。  そのため、銀行は運用難に悩むお金を政府に貸しつけ(=国債を購入)、運用することで金利収入を得ているわけです。  すなわち、日本政府の莫大な負債の債権者が日本国民なのです。日本国民は(銀行などの金融機関経由で)政府にお金を「貸している」立場であって、借りている立場でも何でもありません。  それにも関わらず、財務省が「日本国民一人当たり六百何十万円の借金」などというフレーズを使っているのは、許しがたいことです。何しろ、わたくしたち日本国民は日本政府の負債の債権者であり、借りている立場ではないのです。 出典:日本銀行 ※2009年6月末時点

日本国債の保有者別内訳 2009年3月末時点 出典:日本銀行 日本国債の保有者別内訳 2009年3月末時点  さて、日本国債を保有している経済主体、すなわち直接的に日本政府にお金を貸しつけているのは誰でしょうか。  実は、日本国債の保有シェアは、国内の民間銀行と生命保険・損害保険で、その六割を占めています。とは言え、別に銀行にしても生損保にしても、自己資金を国債に投資しているわけでも何でもありません。前頁で解説した通り、わたくしたちの預金や保険料の運用先に困り、政府に貸しつけ、利回りを稼いでいるわけです。  民間銀行と生損保以外の国債保有者は、主に公的年金、日本銀行、そして海外投資家などになります。一応、外国も日本国債を保有はしているのです。とは言え、海外投資家のシェアはわずかに6.4%であり、しかも全て「円建て」です。この「海外投資家の国債保有シェア6.4%」とは、極端に(と言うか、異様に)小さい値です。日本の次に海外投資家のシェアが小さい主要国はイギリスですが、それでも35%となっています。  また、日本国債の8.2%を「日本銀行」が保有している事実にも注目して下さい。実は、日本政府は日本銀行の株式の55%を持っている「親会社」になります。すなわち、日本銀行は日本政府の「子会社」となるわけです。  ということは、日本政府が国債の金利を日銀に支払っても、連結決算時に相殺されてしまうことになります。日本政府は日銀保有分の国債について、金利を支払う必要はないのです。支払っても別に構いませんが、全額政府に戻ってきてしまいます。  また、日銀が日本政府の国債ロールオーバー(繰り延べ)要請を断ることはあり得ません(何しろ、日銀は政府の子会社です)。すなわち、日銀が保有する国債は、事実上の永久国債と考えて構わないわけです。  日銀に国債を買い取ってもらえば、日本政府は「国債の償還義務もなく、利払い義務もない」ということになります。日銀に国債を(間接的にせよ、直接的にせよ)引き受けてもらい、調達した財源でデフレギャップを埋める金額分 、政府が支出を拡大する。これがソリューション(解決策)になるわけです。 出典:日本銀行

主要国長期国債金利推移 98年-08年 出典:日本銀行及び各国の中央銀行 主要国長期国債金利推移 98年-08年  日本国債の金利は、長年「世界最低」を続けています。これは、デフレギャップ拡大により国内需要が不足し、企業の資金需要が高まらないためです。要するに、長引く「不景気」が原因で、低金利が続いているわけです。  とは言え、世界最低の金利水準が続く日本において、「日本政府は財政破綻し、国債のデフォルト(債務不履行)に陥る」などと主張する人がいるのは、驚くべきことです。この手の主張をする人々は、複数ある「政府の負債」を「ごっちゃ」に考えています。  政府の負債は、主に以下の三つに分類されます。  Ⅰ.政府が国内から自国通貨建てで借りた負債(日本政府の負債の94%はこれに該当)   Ⅱ.政府が海外から自国通貨建てで借りた負債(日本政府の負債の6%がこれに該当)  Ⅲ.政府が海外から外貨建てで借りた負債  人類の歴史上、中央政府がデフォルトに陥った負債は、Ⅲの「外貨建て負債」のみです。ロシアにせよアルゼンチンにせよ、通貨危機(通貨暴落)により外貨建て負債の返済が不可能になり、デフォルトしたのです。90年代初頭にスウェーデン政府が危機に瀕したのも、全く同じパターンです。(スウェーデン政府は最終的にデフォルトは免れましたが)  歴史的に、政府の負債(自国通貨建て負債)は、名目GDP成長の中で希薄化されるものなのです。例えば、ナポレオン戦争終了時点のイギリス政府の負債残高は、GDPの三倍近い水準に達していましたが、別にイギリス政府はデフォルトしませんでした。その後の経済成長の中で、およそ八十年かけて「希薄化」させてしまいました。  実質的(例:増税などの手段で)に国内向け負債を返済した政府など、歴史的に存在しないのです。なぜならば、永続すべき国家は、負債を永久にロールオーバー(繰り延べ)することが可能だからです。すなわち、債権者が自国の経済主体である限り、政府の負債とは返済すべきものではないのです。 出典:日本銀行及び各国の中央銀行

国内銀行貸出金・実質預金・預金超過額(単位:十億円)  さて、なぜ日本政府の国債金利が世界最低なのかと言えば、別に「日本政府の信用云々」の話ではありません。単純に、日本の金融機関に運用難に悩むマネーが溢れかえっているからです。  図は国内の民間銀行の貸出金、実質預金、預金超過額(=実質預金-貸出金)をグラフ化したものです。ご覧頂くと分かりますが、橋本政権以降、国内民間銀行では預金超過額が拡大していっています。特に増えたのが、小泉政権初期です。  先述の通り、預金とは銀行にとって利払いが必要な負債(借金)に該当します。これがどんどん貯まっていく中、企業などへの貸出金が減っているわけですから、銀行の手元で運用先のない過剰な貯蓄、すなわち預金超過額が膨れ上がっていくことになります。  だからこそ、銀行は国債を買わざるを得ないのです。この状況で日本政府が国債発行を中止すると、銀行は冗談抜きに逆ザヤで破綻してしまうか、あるいは海外のハイリスクな証券化商品に手を出さざるを得なくなるでしょう。  また、貸出先のないマネーが溢れている以上、政府が「国債を償還する(=借金を返済する)」と申し出ても、間違いなく銀行側が断ることになります。政府からお金が返ってきたところで、単純に運用難に悩むマネーが増えるだけの話なのです。  問題は銀行の貸出先不足、すなわち企業の資金需要不足であり、政府の負債残高や国債発行残高などではないのです。 出典:日本銀行 金融経済統計月報

日本GDPデフレータ変動率 1981年-2008年 出典:内閣府  日本は1997年の橋本政権以降、デフレ状態が続いています。08年にGDPデフレータ変動率がプラス化していますが、これは08年夏に資源バブルが崩壊し、日本の輸入価格が極端に下落したためです。GDPデフレータは、輸入物価が下落すると上昇するという、面白い特性を持っているのです。  現実には、09年第3四半期の国内需要デフレータが対前年比マイナス2.6%と、何と51年ぶりの下落となり、CPI(消費者物価指数)も毎月対前年比で2%台のマイナスになっている以上、日本がデフレ状態にあるのは疑いありません。  なぜ日本がデフレから抜けられないのか。小泉政権期、日銀は大々的な量的緩和を行いましたが、結局デフレ脱却は果たせませんでした。現在の日本がデフレから脱却するには、金融政策のみではダメなのです。  金融政策に加え、国内の需要を高め、デフレギャップを埋める必要があるわけです。ところが、現実の日本政府は公共投資を中心に、国内の需要を削り続け、デフレ状態を「維持する」ことに邁進してきました。 出典:内閣府

日本の公共投資と対GDP比率 出典:内閣府 ※:公的固定資本形成=公共投資  日本の公共投資は、1997年の橋本政権以降、容赦なく削られていきました。(小渕政権の99年を除く)  図は日本の公共投資の「絶対額」と、「公共投資対GDP比率」をグラフ化したものです。何と、日本の公共投資の絶対額は、三十年前の1980年の水準を下回っているのです。公共投資が三十年前よりも小さい国など、世界中に間違いなく日本だけです。  また、公共投資の対GDP比率は、80年に10%弱だったのが、今や4%にまで縮小されてしまいました。ここまで政府が国内需要を削っていった以上、デフレギャップが拡大して当たり前です。  結果、今や日本の地方のインフラは、ガタガタになっています。国交省の調べによると、崩落寸前の道路橋が121基も存在しています。また、大型車の通行を禁止した橋も680基あります。ところが、公共事業削減のために予算をつけられず、直すことができないのです。  さらに、地震などの災害の際の避難場所である「学校の体育館」が危険な状態になっているにも関わらず、やはり予算がないために直せないという、大変な事態に至っているのです。 出典:内閣府 ※:公的固定資本形成=公共投資

バブル経済とは何なのか  バブル崩壊とは何でしょうか。実は、バブル崩壊とは必ずしも「資産価格の高騰」を意味しているわけではありません。資産の高騰ではなく、「民間の負債が急激に膨らむ」状況こそがバブルなのです。  図は、日本の一般企業(非金融法人)と、一般政府の負債残高をグラフ化したものです。1980年代後半、一般企業の負債残高がそれまで以上のペースで増加したのを確認できると思います。これこそが「バブル」なのです。  バブル崩壊以降、一般企業の負債残高は長期間「横ばい」を続けるという、異様な状況になりました(通常の資本主義経済では、あり得ない状況です)。本来であれば、この時期に、日本の国家経済のフロー(=GDP)が数割減少するというカタストロフィを迎えてもおかしくはありませんでした。なぜならば、一般企業の負債が増えないということは、一般企業の投資(注:GDPの構成要素の一つ)が伸びないということをも意味しているためです。  ところが、現実の日本は確かに名目GDPの成長率こそ低迷しましたが、フロー(GDP)崩壊というカタストロフィを避けることができました。その理由は、日本政府が負債を増やし(=国債を発行し)、政府支出によりGDPを下支えしたためです。  もっとも、それも1996年までの話で、それ以降は橋本政権、小泉政権のように「緊縮財政」「財政健全化」を志向する政権が、日本経済をマイナス成長に叩き落とし、小渕政権、麻生政権のように「成長優先」の政権が何とか成長率を引き戻すという、いわゆる「ストップ・ゴー」の状態に陥りました。(現在は、またまた「ストップ」というわけです。) 出典:日本銀行

日本政府の負債(右軸:十億円)、長期金利(左軸:%)の推移 日本政府の負債・長期金利 日本政府の負債(右軸:十億円)、長期金利(左軸:%)の推移  日本の「財政危機」が大々的に問題視されたのは、1995年11月国会における武村正義蔵相(当時)の「日本財政危機宣言」以降のことです。ところが、「時の大蔵大臣が財政危機を宣言した」時点から、日本政府の負債は、すでに現時点で二倍前後にまで拡大しています。それにも関わらず、この期間に国債金利は上昇するどころか、むしろ低下をしていきました。すなわち財政破綻から遠のいていっているわけです。  時の蔵相が公式に(何しろ国会で宣言したわけです)「財政危機」を宣言した時点と比較し、政府の負債(財務省式に言うと『国の借金』)は二倍になったのです。それにも関わらず、全く破綻の様相を見せないのは、なぜなのでしょうか。  要するに、1995年の財政危機宣言は間違っていたということです。政府の負債は、絶対額で「何百兆円」「何千兆円」に達したからといって、破綻するという性質の「借金」ではないのです。政府の負債が返済不能になるには、金利が上昇しなければなりません。しかし、金利が上昇した場合は、中央銀行が国債を買い取れば済む話です。中央銀行が国債を買い取れば、もちろんインフレ傾向に進みますが、「デフレギャップを埋める」ことが喫緊の課題である日本において、インフレの心配をするなどナンセンスです。そういうことは、首尾よくデフレ脱却を果たしてから考えればいいのです。(インフレは「政府のムダを削る」を実施すれば、すぐに沈静化できます。逆に、デフレ期に「ムダを削る」など、率直に言って狂気の沙汰です。何しろ、デフレギャップが拡大してしまいますので。)  すなわち、政府の負債の問題を考えるときに重要なのは「国債金利」及び「インフレ率」であって、絶対額ではないのです。とは言え、金利が上昇し、インフレになると問題かというと、そういう単純な話でもありません。何しろ、金利が上昇し、インフレになるということは「好景気」の到来を意味しています。好景気になれば税収は増え、政府の景気対策も不要になります。  また、好景気になれば、名目GDPは実質的な成長とインフレにより拡大します。そうなると、政府の負債がGDPに占める割合が縮小し、その内に誰も気にしなくなります。政府の負債は名目GDP成長の中で希薄化される、というわけです。 出典:IMF、日本銀行