City of Hope: Caring for both children and the elderly 演題 2 City of Hope: Caring for both children and the elderly Takako K1 Ai S1 Tatsumi S1 Takeru N1 Shoya N1 Haruka Y1 Yoko S2 1)Dokkyo Medical University 5th grade 2)Division of Languages and Humanities はじめに 私達は平成29年9月3日から9月17日の2週間、アメリカ合衆国ロサンゼルス州にある、City of Hope(以下COH)という病院での研修に参加させていただいた。COHはアメリカ合衆国において有数ながん拠点病院である。今回このポスターでは、COHでの研修で特に印象に残った、小児医療及び高齢者医療の取り組みについてまとめる。 COH Pediatrics(小児医療)の特徴 COH Geriatrics(高齢者医療)の特徴 ~Child Life Specialist(CLS)の存在~ CLSとは? ・医療環境にある子供やその家族、または成人病棟の患者の子供に心理社会的支援を提供する専門職である。 ・遊びを用いながらそれぞれの発達にあった治療、処置、手術の説明や教育を行うことで、不安やストレスの軽減に努め、医療に対して受け身になりがちな子供たちが主体的に医療と関わり、医療体験をうまく乗り越えていけるようにサポートしている。 CLSの業務内容 ・病気、処置、手術についての指導や説明 ・医療体験に向けた心の準備のサポート ・処置、検査中の精神的サポート これらの業務を行う際、主に人形や玩具などを用いて行われる。言葉だけでは理解が難しい疾患も、視覚的要素を用いることで、子供達の中でイメージがつくように工夫をしている。 CLSの業務内容の例 治癒的遊びの提供 ・メディカル・プレイ おもちゃや遊びを通して医療体験に対する理解を促すこと。 ・感情表出遊び 医療体験の中で子供たちが感じた不安や葛藤などの様々な思いを適切かつ安全な方法で表出・発散させることでストレスを和らげる。 ・Beads Of Courage 治療を受けるごとにその治療を象徴するビーズが与えられ、それを患者自身で次々と繋げていく。このビーズは患者にとって、多くの治療を乗り越えてきたという証となり、小児同士あるいは小児と医療スタッフのコミュニケーションの一助にもなる。それにより小児の治療への自発的な参加を促している。 グリーフケア(悲嘆ケア) ・グリーフケア 死に直面している子供、子供を亡くす親・兄弟、親を亡くす子供のケアを行う。その子の発達段階に沿った方法で絵本などを用いて死についての理解を促し、死に対する不安や思いの表出の手助けをする。家族に対しても死についての理解を促し、家族と患者のコミュニケーションのサポートを行う。また、大切な思い出やメッセージを込めたクッションやペンダント作りも行なっている。 ~高齢者専門Clinical Social Worker(CSW)の存在~ CSWとは? ・Clinical Social Workerは直訳すると臨床社会福祉士である。CSWは、患者の抱える様々な不安を解消する手助けをしたり、医師が疾患の治療に集中できるように、選択肢を提案し環境を整える専門職である。 ・高齢者は様々な疾患を持つ傾向があり、多くの不安が重なっているため、高齢者医療におけるCSWの影響は大きいと言える。そのため、COHでは高齢者専門のCSWが常駐する。 高齢者専門CSWの業務内容 ・高齢者の変化とそのアセスメント 高齢者には身体的な変化が起きる。そのため、高齢者専門のCSWは患者の様々な状態を評価する。その範囲は、身体的な状態のみならず、心理的、社会的、経済的状況にまで及ぶ。 高齢者専門CSWの業務内容の例 ・非医療的介入 Reiki(民間療法の一種)、認知行動療法、瞑想/リラックストレーニングなどを提案する。 ・患者教育 映像(Video Podcast)を用いた”Keys to Successful Aging”(「よりよい歳の重ね方」)による教育を行う。 高齢者の変化 ・生理学的変化が起こる ・毒性に脆弱になる ・活動性が減少する ・長期的治療を受けている アセスメント ・身体的機能 ・疾患状況(複数併発含む) ・栄養状態 ・認知機能 ・心理的状態 ・社会的支援状況 ・投薬管理状況 左:「死」に関する教育的絵本 右:疾患や治療に関する教育を 行うための模型及び人形 小児と高齢者の関わり サンタテレシータ病院(COH関連病院)における取り組み ・高齢者介護施設と幼稚園舎が同一敷地内に存在する。 サンタテレシータ病院は教会が主体となって運営しているため、このような特殊な環境が可能となっている。高齢者介護施設と幼稚園舎が同一敷地内に存在することで、高齢者は子供達からエネルギーを得ることができ、子供達も高齢者の方々と関わりを持つことで成長の助けになることも多い。 高齢者介護施設 園舎 COHの小児病棟の特徴 まとめ ・小児病棟は全て個室となっている。 ・病室にテレビゲームや患者の家族が寝るための簡易ソファベッドがある。 ・3つの特別な部屋が存在する。 ①患者とその家族のみが使用できる部屋。 ②他の患者やその家族と交流のできる部屋。 ③15歳以上の小児病棟の患者のみが使用できる部屋。 日本やアメリカでは、少子高齢化、グローバル社会における医療は大きな課題となっている。アメリカは日本以上に多様な文化・言語が混在している。COHではこういった多様性に対し、職種同士の連携を強化することで対応している。小児医療ではCLSが、高齢者医療では高齢者専門のCSWが中心となり、患者のケアを行っている。しかしながらCOHは特別な治療を行っているという意識は無い。医療に携わる一人一人が、各人に合った医療を作り上げようと努力をした結果、このような様々な取り組みが行われるようになった。小児、高齢者に対する医療で必要なことは、相手の立場に立ち敬意を持って治療を行うこと、また患者を含めた周囲と協力して問題解決に取り組むことである。 謝辞 簡易ソファベットやゲーム機が置かれている一般的な小児病棟。 ①この部屋では患者家族が遊びながら触れ合える。 この海外研修に参加して、City of Hopeと獨協医科大学の関係の中にその歴史、伝統を感じることができました。人々のあたたかさ、医療における大切なことは世界どこでも変わりなく、それらを学ぶことができたのは、今までこの研修に関係した全ての人たちが作って下さったものだと実感しております。このような貴重な機会を与えてくださったCity of Hopeの関係者の皆様方、獨協医科大学の皆様方、またお世話になった全ての方々に深く御礼申し上げます。 ③思春期を迎えた子供でも遊べるような空間。 ②この部屋では患者同士の交流が可能。