ロボティクス・メカトロニクスの基礎 東京大学 生産技術研究所 倉爪 亮.

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ロボティクス・メカトロニクスの基礎 東京大学 生産技術研究所 倉爪 亮

内容 ロボットの制御 歩行ロボットの制御 移動ロボットの位置同定 フィードフォワードとフィードバック制御 ベクトル演算によるマニピュレータの運動学 マニピュレータの制御法 歩行ロボットの制御 移動ロボットの位置同定

ロボットとメカトロニクス メカトロニクス(Mechatronics) Mechanics + Electronics コンピュータで機械を制御 数値制御された自動車、洗濯機などの家電製品

ロボットとメカトロニクス ロボット(Robot) メカトロニクスの一分野 何らかのダイナミックな作業 をするもの 工場の組立作業ロボット 火星探査ロボット

マニピュレータの種類 バーサトラン ユニメート 直交座標型 円筒座標型 極座標型 水平多関節型 垂直多関節型 (スカラ型)

ロボットの制御 非線形フィードフォワード制御 予測制御 大まかに制御 線形フィードバック制御 誤差の修正 通常はこの2つを併用して性能を向上させる

非線形フィードフォワード制御 既知量から制御量を推定 バネ ダンパ F を操作して、 望みの       にする バネの自然長

非線形フィードフォワード制御 初期位置 バネ ダンパ 目標位置 時刻  での位置 目標軌道を決める

非線形フィードフォワード制御 境界条件 解軌道

非線形フィードフォワード制御 位置 加速度 速度

非線形フィードフォワード制御 加速度を指令 バネ ダンパ 時刻  で発生すべき力 は計算量

非線形フィードフォワード制御 目標軌道 制御量 通常 は の関数 → 非線形 目標軌道を先に与えて、システムの非線型状態方程式から 通常     は  の関数 → 非線形 目標軌道を先に与えて、システムの非線型状態方程式から 最適な制御量を推定 → 非線形フォードフォワード制御

非線形フィードフォワード制御 利点 センサが不要 問題点 すべてのパラメータを正確に知らなくてはいけない 誤差が発生しても修正できない

線形フィードバック制御 バネ ダンパ 位置フィードバックゲイン 速度フィードバックゲイン はセンサからの測定量

線形フィードバック制御 利点 単純 問題点 ゲインの決定法が試行錯誤 定常誤差が生じる場合がある

非線形フォードフォワード制御と線形シードバック制御の結合 実測値 計算値

ロボットマニピュレータの制御 3自由度マニピュレータ 手先を望み通りに動かすには どのようにすればよいか?

座標系と位置ベクトル 座標系 座標系で記述した 点  の位置

ベクトルの座標変換 を   座標系で記述すると?

ベクトルの座標変換 から   への座標変換行列

ベクトルの座標変換 から   への座標変換行列

連続した座標変換行列 から   への座標変換行列 から   への座標変換行列 から   への座標変換行列

軸回りの座標変換行列 x 軸回りの座標変換行列 y 軸回りの座標変換行列 z 軸回りの座標変換行列

回転軸の向き 右手系では、右手を握ったときに 親指の方向が回転軸 人指し指の方向が回転方向

一般的な座標変換行列 任意の座標変換行列は、軸回りの座標変換行列の積で 表現できる から への座標変換行列 オイラー角表現 から   への座標変換行列 オイラー角表現 ロール ピッチ ヨー表現

座標変換行列の例 新しい座標系   をz軸回りに-θ回転させると 元の座標系   に一致する場合、    は 新しい座標系をどう回転させるかを考える

座標変換行列の例 をx軸回りに-90度回転させると に一致する

座標変換行列の例

座標変換行列の例 元の座標系 新しい座標系 y軸回りに-90度 x軸回りに-90度 座標変換行列の計算は、新しい座標系から元の座標系へ

座標変換行列の例 回す順番に右側から掛ける y軸回りに-90度 x軸回りに-90度

座標変換行列の例

原点の移動を伴う座標変換 から   への座標変換行列 から   への原点移動 または

マニピュレータの運動学 3自由度マニピュレータ

座標系の設定 第3関節 第2関節 第1関節

リンク長の定義

座標変換行列の定義 座標変換行列

各関節の位置

手先位置の再帰的計算法

手先位置から関節角度を求める 実際の作業では、手先の目標位置から、関節角度を計算する必要がある 逆運動学 (Inverse Kinematics) この計算は非常に複雑 解が存在するとは限らない

手先位置と関節角度の関係を学習 人間が目の前の物体を掴むことができるのはなぜか? 目で見た映像と、腕の関節角度の関係を学習 ならば、ロボットもそれを学習すればよい ニューラルネットを使って学習

ニューラルネットによる逆運動学の学習

ニューラルネットによる逆運動学の学習

マニピュレータの制御 位置制御 速度制御 加速度制御 力制御・ハイブリッド制御 Point To Point (PTP)制御 Continuous Path (CP)制御 速度制御 分解速度制御 加速度制御 分解加速度制御 力制御・ハイブリッド制御

マニピュレータの位置制御 (PTP制御) PTP制御 移動開始点と終了点を決める 開始・終了点の関節角度を計算 各関節の動かし方を計画 (滑らかな角度変化) 各関節を一斉に動かす 手先の途中の軌道は考えない

マニピュレータの位置制御 (CP制御) CP制御 移動開始点と終了点を決める ・ 開始・終了点間に多数個の点を配置 すべての点を通るように各関節の 動かし方を計画 ・ 各関節を一斉に動かす 手先の途中の軌道も考える

マニピュレータの速度制御

マニピュレータの速度制御 ヤコビ行列

マニピュレータの速度制御 (分解速度制御) 目標速度軌道     から、各瞬間の 関節速度    を計算

マニピュレータの加速度制御 (分解加速度制御) 目標加速度軌道     から、各瞬間の 関節加速度    を計算

マニピュレータの加速度制御 (分解加速度制御+フィードバック) 分解加速度制御はフィードフォワード制御 フィードバック制御と結合 は実測値

マニピュレータのインピーダンス制御 手先にインピーダンス特性を仮定 分解加速度制御で   を実現 手先にあたかも質量があるように動く

マニピュレータの運動方程式 関節空間での運動方程式 慣性項 コリオリ力、速度二乗項 粘性項 重力項 外乱 関節トルク

マニピュレータの運動方程式 手先に加わる力  と関節トルク 関節トルク 手先に加わる力 ヤコビ行列の転置行列

マニピュレータの運動方程式 手先空間での運動方程式

マニピュレータの力制御 手先に発生する力   を制御 目標手先力 現在の手先力 運動方程式 から関節トルクを計算

マニピュレータのハイブリッド制御 ある方向には力制御 残りの方向は位置制御 位置と力のハイブリッド制御 位置制御 力制御 ならい作業

マニピュレータのハイブリッド制御 力制御 位置制御 選択行列  を用いて結合 力制御を行う方向の対角成分1 位置制御を行う方向の対角成分0

マニピュレータのハイブリッド制御 力制御 位置制御 位置と力のハイブリッド制御 から関節トルクを計算

マニピュレータの動力学 3自由度マニピュレータ 手先の加速度 を実現するのに 必要な関節トルクを計算 ラグランジェ法 手先の加速度   を実現するのに 必要な関節トルクを計算 ラグランジェ法 力ずくでラグランジェ方程式を解く 計算量が膨大 計算トルク法 ニュートン・オイラー方程式を 再帰的に解く

座標変換行列の微分 ロール ピッチ ヨー表現 ロール ピッチ ヨー角の時間微分と回転角速度

座標変換行列の微分

座標変換行列の微分 歪対称行列

ベクトルの一次微分 から   への座標変換行列 から   への原点移動 微分すると

ベクトルの一次微分 座標系での点  の速度を   座標系で表現した速度 座標系の回転により発生する速度 座標系の並進速度

ベクトルの一次微分 並進速度 回転角速度 点  の  座標系の並進速度、回転角速度 座標系の並進速度、回転角速度

ベクトルの二次微分 並進加速度 遠心加速度 コリオリ加速度 座標系の加速度

ベクトルの二次微分 回転角加速度 ジャイロモーメント

台風の回転方向 地表に固定された座標系 上空に浮かぶ雨粒の位置 地球外部に静止している座標系 地球の自転 地表に固定された座標系    上空に浮かぶ雨粒の位置    地球外部に静止している座標系    地球の自転 雨粒が地表から見て一定速度で移動しているとする

台風の回転方向 遠心加速度 コリオリ加速度 (地球から飛び出す方向) 上空に浮かぶ雨粒の速度 北半球 北向きの速度を持つ場合、西向きの加速度 上空に浮かぶ雨粒の速度    北半球 北向きの速度を持つ場合、西向きの加速度 南向きの速度を持つ場合、東向きの加速度 半時計回り

一輪車の方向転換 地表に固定された座標系 一輪車の車軸に固定された座標系 車輪の回転角速度 車軸の回転角速度 地表に固定された座標系    一輪車の車軸に固定された座標系    車輪の回転角速度 車軸の回転角速度 車軸、車輪の回転方向に直交する方向に加速度が発生 前進時に右に倒れこむと半時計回りの角速度

運動量ベクトル 慣性座標系 剛体Lの重心 を原点とし、剛体Lに固定した座標系 重心から各微小部分 へのベクトル 運動量ベクトル ただし 重心から各微小部分   へのベクトル 運動量ベクトル ただし Gは重心だから 剛体だから

角運動量ベクトル 角運動量ベクトル

ニュートン・オイラー方程式 運動量ベクトル 角運動量ベクトル これらを微分 ニュートン方程式 オイラー方程式 運動量の微分は加えられた力、モーメント

計算トルク法 3自由度マニピュレータ ニュートン・オイラー方程式を各リンク毎に 順々に解いて、必要なトルクを計算 フォワード計算 根元から手先の向きに加速度を計算 バックワード計算 手先から根元の向きにトルクを計算

まとめ ロボットの制御 フィードフォワードとフィードバック制御 ベクトル演算によるマニピュレータの運動学 マニピュレータの制御法

問題 問題1 右のマニピュレータの を求めなさい 問題2 手先位置 を ベクトルの形で書きなさい 問題3 ピンポン玉を連続的に発射できる 手先位置         を ベクトルの形で書きなさい 問題3 ピンポン玉を連続的に発射できる 玩具を設計しなさい