中国外専局・北京理工大学専門家講座項目(第1回) (2年生対象) 日本語の格助詞の魅力 中国外専局・北京理工大学専門家講座項目(第1回) (2年生対象) 日本語の格助詞の魅力 名古屋大学 杉村 泰
1.格助詞「に」と「で」のイメージ
①場所を表す「に」と「で」 a. 私は庭で洗濯物を干す。 b. 私は庭に洗濯物を干す。 →私は庭で 物干し竿に洗濯物を干す。 動作主(私) の行動範囲 対象(洗濯物)の移動先
①場所を表す「に」と「で」 a. 兄は庭{で/に}ゴミを捨てた。 b. 兄は庭で ゴミ箱にゴミを捨てた。 a. 弟は山{で/に}登った。
①場所を表す「に」と「で」 a. 姉はベッドで寝た。 b. 姉はベッドに寝た。 a. 妹はホテルで泊まった。 b. 妹はホテルに泊まった。 用床睡覚 躺在床 我在北京出生 我出生于北京
①場所を表す「に」と「で」 【練習】次の文の括弧の中に「に」と「で」のうち適当な方を入れなさい。 私は日本( )留学しています。 私は日本( )留学しています。 私はホテル( )コーヒーを飲みに行きました。 電車が突然橋の上( )止まった。 私は毎日電車( )座って通学します。
①場所を表す「に」と「で」 【練習】次の文の括弧の中に「に」と「で」のうち適当な方を入れなさい。 私は日本(に)留学しています。 私は日本(に)留学しています。 私はホテル( )コーヒーを飲みに行きました。 電車が突然橋の上( )止まった。 私は毎日電車( )座って通学します。
①場所を表す「に」と「で」 【練習】次の文の括弧の中に「に」と「で」のうち適当な方を入れなさい。 私は日本(に)留学しています。 私は日本(に)留学しています。 私はホテル(に)コーヒーを飲みに行きました。 電車が突然橋の上( )止まった。 私は毎日電車( )座って通学します。
①場所を表す「に」と「で」 【練習】次の文の括弧の中に「に」と「で」のうち適当な方を入れなさい。 私は日本(に)留学しています。 私は日本(に)留学しています。 私はホテル(に)コーヒーを飲みに行きました。 電車が突然橋の上(で)止まった。 私は毎日電車( )座って通学します。
①場所を表す「に」と「で」 【練習】次の文の括弧の中に「に」と「で」のうち適当な方を入れなさい。 私は日本(に)留学しています。 私は日本(に)留学しています。 私はホテル(に)コーヒーを飲みに行きました。 電車が突然橋の上(で)止まった。 私は毎日電車(で)座って通学します。
①日本{で/に}留学する a. 私は日本で する。 b. 私は日本に する。 で(範囲) □ に(着点) → ・ で(範囲) □ に(着点) → ・ 中国語の“留学”は「よそに行って勉強する」という意味 日本語の「留学する」は「勉強するためによそに行く」という意味
①ホテル{で/に}飲みに行く a. 私は[ホテルでコーヒーを飲み]に行く。 b. 私はホテルに[コーヒーを飲み]に行く。 で(範囲) □ で(範囲) □ に(着点) → ・ a は「ホテルで飲む」ことを強調 b にはそのような強調はない
①橋の上{で/に}止まる a. 電車が橋の上で(停止線に)止まる。 b. 電車が橋の上に止まる。 で(範囲) □ に(着点) → ・ で(範囲) □ に(着点) → ・ a の「橋の上で」は進行が急に遮られた感じ b の「橋の上に」は目的地
①電車{で/に}座る a. 私は電車で座る。 b. 私は電車に座る。 →私は電車で席に座る。 で(範囲) □ に(着点) → ・ 椅子{で/に}座る ソファー{で/に}座る。 a. 私は電車で座る。 b. 私は電車に座る。 →私は電車で席に座る。 で(範囲) □ に(着点) → ・ a の「電車で」は動作主の行動範囲 b の「電車に」は動作主(=対象)の着点
②時間を表す「に」と「で」 私は10時に寝ます。 私は10時で寝ます。
②時間を表す「に」と「で」 私は10時に寝ます。 私は10時で寝ます。 =10時で起きているのをやめる(起きている範囲)
②時間を表す「に」と「で」 この店は今年の10月に閉めます。 この店は今年の10月で閉めます。
②時間を表す「に」と「で」 私は来年の3月に北京へ帰ります。 私は来年の3月で北京へ帰ります。 (妻が夫に)3月に実家へ帰ります。 (妻が夫に)3月で実家へ帰ります。
③比較を表す「に」と「で」 中国は世界( )一番人口が多い。 北京は東京( )比べて人口が多い。 で(範囲) □ に(着点) → ・
④原因を表す「に」と「で」 彼は病で倒れた。 彼は病に倒れた。 で(範囲) □ に(着点) → ・
動詞の意味と「に」と「で」 「勤める」と「働く」 「住む」と「暮らす」
2.「は」と「が」
自己紹介 私は名古屋大学の杉村泰です。 私が名古屋大学の杉村泰です。
「は」と「が」の係り先 姉は帰ったらピアノの練習をします。 姉が帰ったらピアノの練習をします。
「は」と「が」の係り先 姉は帰ったらピアノの練習をします。 姉が帰ったらピアノの練習をします。
「は」と「が」の係り先 姉は[(自分が)帰ったら]ピアノの練習をします。 (私は)[姉が帰ったら]ピアノの練習をします。
小泉元首相 「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ。」 「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ。」 (梶原しげる 『そんな言い方ないだろう』 新潮新書 )
小泉元首相 「非戦闘地域とは どこが そうなのか?」 「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ。」 →非戦闘地域の定義がおかしい 「非戦闘地域とは どこが そうなのか?」 「自衛隊が活動している地域が非戦闘地域だ。」 →非戦闘地域の定義がおかしい 「自衛隊が活動している地域は どこだ?」 「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ。」 →単なる嘘
連体修飾節 彼( )くれた指輪( )ダイヤモンドです。 *彼(は)くれた指輪(が)ダイヤモンドです。 彼がくれた指輪は、ダイヤモンドです。
連体修飾節(例外) Gaba(2015年)
教科書に載せたい日本語 A: あなたは 誰が 好きですか。 B: 私は あなたが 好きです。 B: 私は あなたは 好きです。
あなたは誰が好きですか。
中国外専局・北京理工大学専門家講座項目(第1回) (2年生対象) 2015年9月18日(金)午後 於北京理工大学 「日本語の格助詞の魅力」 杉村 泰