貨幣供給・需要 専修大学 経済の世界 作間 逸雄
貨幣供給 M=C+D M:貨幣 C:現金(人々の手から手へと流通する現金、銀行の金庫に入っている現金は含めない。) D:要求払い預金 M:貨幣 C:現金(人々の手から手へと流通する現金、銀行の金庫に入っている現金は含めない。) D:要求払い預金 H=C+R H: ハイパワードマネー(高馬力貨幣、マネタリー・ベース) R: 準備(預金に対する支払い準備、銀行の金庫に入っていてもよいが、中央銀行に対する預金のかたちをとることが多い。)
貨幣供給(続) 2つの比率を定義する。 cr: cash ratio 現金/預金 rr: reserve ratio 準備/預金
マネーサプライと決定要因 (米国のケース) 1929年8月 1933年3月 マネーサプライ 26.5 19 現金 3.9 5.5 要求払い預金 22.6 13.5 マネタリー・ベース 7.1 8.4 準備 3.2 2.9 (単位10億ドル)
マネーサプライと決定要因 (米国のケース):続 1929年8月 1933年3月 マネーサプライ 26.5 19.0 現金 3.9 5.5 要求払い預金 22.6 13.5 マネタリー・ベース 7.1 8.4 準備 3.2 2.9 準備・預金比率 0.14 0.21 現金・預金比率 0.17 0.41 貨幣乗数 3.7 2.3 (単位10億ドル)
問題 マネタリー・ベース5000億ドル、rr=0.1、 cr=0.6のとき、貨幣乗数はいくらか?マネーサプライはいくらか?
金融政策と政策手段 貨幣供給の変化を意図して中央銀行が行なう政策が金融政策。 金融政策の3つの手段 (1) 公開市場操作 (1) 公開市場操作 (2) 法定準備率の変更 (3) 公定歩合の変更
貨幣需要 貨幣数量方程式 MV=PY Vは、貨幣流通速度。 M/P=kY
取引需要以外の貨幣需要が ケインズによって発見された 国債と現金の選択の問題を考える。 現金は利子を生まない。国債は利子を生む。したがって、取引のために必要最低限の貨幣残高を現金として確保していれば、あとは、国債を買った方が得?? 国債価格は市場の需要・供給で決まるのだから、値上がり、値下がりがある。国債を買っても損をする可能性がある。リスクがあるのである。
コンソル債の値段 コンソル債を考える。 額面20万円、利息(年)1万円、表面利率5%。 市場利子率が4%になると、この国債の値段はいくらになるか?25万円になる。
国債を買うと損をする場合がある そうすると、人々の将来利子率(現在と比べてあがるかどうか)の予想(期待)が問題。 翌年に、市場利子率6%になると予想した場合、この国債は買うべきか? インカム・ゲイン1万円 キャピタル・ゲイン1/0.06-20 =16.7ー20=ー3.3万円 合計1-3.3=ー2.3万円(損)
ボーダーライン利子率は いくらか? 翌年に、利子率が6%になると思っているひとにとって、現在の利子率がいくらだったら、国債を買っても、現金で保有しても、損得なし(無差別)になるか? 要するに、リスクを避けるために、貨幣をもってていようとする需要がある。それが貨幣の資産需要であり、ケインズはそれを流動性選好によって説明した。
貨幣(の資産)需要曲線(個人) 利子率 ?% 貨幣需要
貨幣(の資産)需要曲線(社会)