パイプ風鈴の振動理論 どの様な振動をしているか。周波数は何で決まるか。 (結論) ・振動数は棒の長さLの二乗に反比例する。

Slides:



Advertisements
Similar presentations
1 構造計算の基礎用語 (材料力学の話) 第4回岐阜建築鉄骨技術交流会 (かんたん構造講義) 第 2 部 その 1 久米構造設計室 久米純一.
Advertisements

1 設計基礎コース もう一度学ぶ材料力学の基礎 座屈 ( Buckling ) 長軸に軸方向圧縮力を作用させると、ある荷 重で急に軸が曲がる。 この急に曲がる荷重条件を探る。 X の位置での曲げモーメントは たわみの微分方程式は.
Determining Optical Flow. はじめに オプティカルフローとは画像内の明る さのパターンの動きの見かけの速さの 分布 オプティカルフローは物体の動きの よって変化するため、オプティカルフ ローより速度に関する情報を得ること ができる.
三角関数演習問題 r b a [ 三角関数 ] θ 信号理論 (金田) 1演-1 (答は別紙の解答用紙に記入する)
電磁気学C Electromagnetics C 7/27講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
・力のモーメント ・角運動量 ・力のモーメントと角運動量の関係
伝達事項 過去のレポートを全て一緒に綴じて提出されている 方が何名かいらっします。 せっかくの過去の宿題レポートが紛失する可能性を
3 二次方程式 1章 二次方程式 §2 二次方程式と因数分解         (3時間).
課題 1.
学部:天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 講義の狙い=天体輻射の基礎的な知識を、 (1) 天文学の学習を始めた学部3年生 と、
電磁気学C Electromagnetics C 7/1講義分 光導波路と光共振器 山田 博仁.
次に 円筒座標系で、 速度ベクトルと加速度ベクトルを 求める.
カオス力学系と重力波 木内 建太 & 前田 恵一 (早稲田大学)  PRD、 (2004)
1.Atwoodの器械による重力加速度測定 2.速度の2乗に比例する抵抗がある場合の終端速度 3.減衰振動、強制振動の電気回路モデル
伝達事項 試験は6/6 (土) 1限目の予定です。.
第2課 黒体輻射とカラー 2.1. 黒体輻射の式 熱平衡にある振動数νの輻射を考える。 フォトンの個数は常に揺らいでいる
      線形写像  線形写像 U,V:R上のベクトル空間 T:UからVへの写像 (1)T(u+v)=T(u)+T(v)  (u,v∈U),
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
横力F N=W(自重) T Tf=μN ●滑りのメカニズム T:滑動力(すべり面に平行な力/せん断力)
長谷川修司 日本物理学会 NPO 物理オリンピック日本委員会 Japan Physics Olympiad
動力学(Dynamics) 運動方程式のまとめ 2008.6.17
電気回路学Ⅱ エネルギーインテリジェンスコース 5セメ 山田 博仁.
中心力の仮想世界 逆二乗+逆三乗 ベルトランの定理を問う
2.伝送線路の基礎 2.1 分布定数線路 2.1.1 伝送線路と分布定数線路 集中定数回路:fが低い場合に適用
授業の内容 天文学は天体からの光を研究する学問です。 そこでこの授業では、「光」をどう扱うかの基礎を学びます。 授業計画は、
プランク輻射と電子の正規分布を結ぶ式 hν=mc^2(γー1)
マイケルソン・モーレーの実験の検証 マイケルソン・モーレーの実験ではもう一つの往復光を垂直方向に分けて行った。
分布定数回路(伝送線路)とは 電圧(電界)、電流(磁界)は回路内の位置に依存 立体回路 TE, TM波
演習問題解答例 3. Fパラメータが既知の二端子対回路に電圧源 Eとインピーダンス ZGが接続された回路に対する等価電圧源を求めよ。 I1
弓射への力学的アプローチ(その7) 赤門支部 鈴木千輝
+電源端子 30mV 出力 30mV 出力 +入力端子 出力端子 -入力端子 入力 入力 -電源端子 -3mV 3mV -3mV 3mV
電力 P ( Power ) 単位 ワット W = J / sec
電磁気学C Electromagnetics C 5/28講義分 電磁波の反射と透過 山田 博仁.
せん断力図(SFD)と 曲げモーメント図(BMD)
制御系における指向性アクチュエータの効果
黒体輻射 1. 黒体輻射 2. StefanのT4法則、 Wienの変位測 3. Rayleigh-Jeansの式
第9課: 恒星のスペクトル 2005年12月19日 授業の内容は下のHPに掲載されます。
ディジタル信号処理 Digital Signal Processing
川崎浩司:沿岸域工学,コロナ社 第2章(pp.12-22)
相対論的すれ違い効果 山本文隆  長崎県立島原高等学校 H30 日本物理教育学会 香川大会 8・12.
メンバー 梶川知宏 加藤直人 ロッケンバッハ怜 指導教員 藤田俊明
物理学Ⅰ - 第 11 回 - 前回のまとめ 回転軸の方向が変化しない運動 回転運動のエネルギーとその応用 剛体の回転運動の方程式
長崎市① 長崎市における平和学習スポット (社)長崎県観光連盟.
エレベータの振動解析 (ロープ・かご) 富山大学 大学院理工学研究部(工学) 木村弘之 台北101国際金融センター.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/4講義分 電気双極子による電磁波の放射 山田 博仁.
応力(stress, s, t ) 自由物体図(free-body diagram)において、外力として負荷荷重P が作用したとき、任意の切断面で力の釣り合いを考慮すると、面における単位面積あたりの内力が存在する、それを応力といい、単位は、Pa(N/m2) で表す。面に垂直に働く垂直応力、s と平行に働くせん断応力、
電気回路学Ⅱ コミュニケーションネットワークコース 5セメ 山田 博仁.
二次方程式の解き方 ねらい「二次方程式を、平方根を利用して解くことができる。」 本時の流れ ↓ 前時の復習でax2=bの解き方を確認する。
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 6/9講義分 電磁場の波動方程式 山田 博仁.
電機制御工学 定量的制御編 清弘 智昭.
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
両端単純支持梁の フィードフォワード外乱抑制制御系における 指向性アクチュエータの効果
正弦波.
たわみ角法の基本式 長さl,曲げ剛性EIのラーメンの一部材ABが中間荷重を受けて,移動,変形したときの材端モーメントMAB,MBA (時計回りが+)は,
フロッピーケース型加速度計を利用した等速円運動の実験
回帰分析(Regression Analysis)
課題 1 N3H N3H 3 3 N2 H2 N2 H2.
K: 恒星スペクトル 2007年1月22日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一
第5課 輻射の方程式 II 平成16年11月8日 講義のファイルは
F: エディントン近似 2006年11月13日 単位名 学部 :天体輻射論I 大学院:恒星物理学特論IV 教官名 中田 好一
時間が進んでも,違う場所で引数の同じ場所がある。 一般の波動はいろいろな周波数wを持つ単振動の重ね合わせ!
① ④ ① ④ ① ④ ① ④ TC-2① ヒーター(フィラメント)回路 黒 緑 青 藤 灰 v ① ② ③
電磁気学C Electromagnetics C 5/20講義分 電磁場の波動方程式 山田 博仁.
ここでは、歪エネルギーを考察することにより、エネルギー原理を理解する。
卒論中間発表 2001/12/21 赤道の波動力学の基礎 北海道大学理学部 地球科学科 4年 山田 由貴子.
ベクトル関数の回転(カール、ローティション)
* Ehime University, Japan
振幅は 山の高さ=谷の深さ A x A.
電磁気学C Electromagnetics C 6/24講義分 共振器と導波路 山田 博仁.
管の長さを変えると・・・ ・l. 管の長さを変えると・・・ ・l このようになった時、最後の形がそろい強い音がする! 要するに ・l 波長整数個 このようになった時、最後の形がそろい強い音がする!
Presentation transcript:

パイプ風鈴の振動理論 どの様な振動をしているか。周波数は何で決まるか。 (結論) ・振動数は棒の長さLの二乗に反比例する。 ・共振のモードは複数あり、それらが混合された波形となる。 ・両端フリーの時、振動の様子は下図のとおり。理論は次ページ以降。 振動の混合

断面積 S 断面2次モーメント I 密度 r 縦弾性係数 E のはりの微少部分が曲げ振動する場合を考える。 (理論)  断面積 S 断面2次モーメント I 密度 r 縦弾性係数 E のはりの微少部分が曲げ振動する場合を考える。   Mは曲げモーメント、Vはせん断力、mは微少質量。 Y 曲げの式より、① M=E・I・Y‘’ 曲げのつりあいから、 M(x)=M(x+δ)+V・δ   よって、② V=-M’ y方向の運動方程式より、  V(x+δ)-V(x)=m・a  よって、③ V‘=ρ・S・a  、aは加速度  ①②③より、 ④ a=-(EI/ρS)・Y’’‘’     ・・・ 波動方程式 V(x+δ) M(x) M(x+δ) V(x) X X  X+δ L

一般に、 ⑤ a=-A・Y‘’‘’ の波動方程式は、 Y=F(t)・G(x)とすると、 特解は以下。ただしω=(√A)・k・k ・・・⑧ F(t)=exp(jωt)、exp(-jωt) の2つ G(x)=exp(jkx)、exp(-jkx) 、exp(kx)、exp(-kx)の4つある。  よって、一般解は以下。 ⑥ F(t)=c1・sinωt+c2・cosωt ⑦ G(x)=a・sinkx+b・coskx+c・exp(kx)+d・exp(ーkx) <初期値条件> 無変形で振動開始したとすると、t=0でy=0 よって、c2=0 

<境界条件> 両端単純支持の場合・・・弦の振動に近いモード X=0でY=0、M=0 X=Lで Y=0、M=0 境界条件より、c4=0 ・・・⑩  、 c6=c5=0 ・・・⑪     、 sin(kL)=0 ・・・⑫  ⇒ kL=n・π 、 n=1、2、3、・・・・ ⑧より、ω=(√A)・k・k =(√A)・(nπ/L)2  ・・・⑨ また、一般解 Y=F(t)・G(x)とおくと、 F(t)=c1・sin(ωt) G(x)=sin(kx)=sin(nπx/L) 、n=1,2,3、・・・

(考察)  Y=Sinωt・sinkx は進行波と後退波の合成としても表される。   =[cos(ωt-kx)-cos(ωt+kx)]/2 k=2π/λ ;λは波長 λ=2π/k 、k=nπ/Lから λ=2L/n ・・・③ 伝達速度 Cとすると、λ=C・Tから、C=λ/T=λ・f=λω/2π よって、C=ωL/nπ= (√A)・(nπ/L) ・・・一定でない!

<境界条件> 両端フリーの場合・・・風鈴がこれに当たる M(0)=0、V(0)=0、および①②から G’’=-a・sinーb・cos+c・exp(kx)+d・exp(-kx) G’’’=-a・cos+b・sin+c・exp(kx)ーd・exp(-kx) よって、G’’(0)=-b+c+d=0、 G’’’(0)=-a+c-d=0 c=(a+b)/2 ・・・⑩  、 d=(-a+b)/2 ・・・⑪ M(L)=0、V(L)=0から -a・sinーb・cos+c・exp(kL)+d・exp(-kL)=0 -a・cos+b・sin+c・exp(kL)ーd・exp(-kL)=0 a・(sin+hs)=b・(cos-hc)、a・(cos-hc)=b・(sin+hs)  よって、(hs-s)(hs+s)=(c-hc)・(c-hc) ⇒ 0=s^2+c^2-2c・hc+hc^2-hs^2 hc+hc^2-hs^2 =1なので、cos(kL)・cosh(kL)=1 ・・・⑫         ⑫を解くと、 kL=4.730、7.853、10.996  =λiとおく(後述)。 ⑧より、ω=(√A)・k・k =(√A)・(λi/L)2  ・・・⑨ G(x)=a・sin(kx) +b・cos(kx) +a・sinh(kx)+b・cosh(kx)    =α・[ sin(kx)+sinh(kx)] + cos(kx)+cosh(kx) 、k=λi/L

(αを求める) 奇数次振動モードのとき、左右対称性からG(0)=G(L)なので、 α=[2-cos(λ)-cosh(λ)]/ [sin(λ)+sinh(λ)] Cos・hc=1、 hc^2-hs^2=1なので、   =[2-cos(λ)-1/cos(λ)]/ [sin(λ)-tan(λ)]   =(1-cos)(1-1/cos)/ [sin・(1-1/cos)]= (1-cos)/ sin 偶数時振動モードのとき、点対象性からG(0)=-G(L)なので、 α=[-2-cos(λ)-cosh(λ)]/ [sin(λ)+sinh(λ)]   =[ー2-cos(λ)-1/cos(λ)]/ [sin(λ)+tan(λ)]   =-(1+cos)(1+1/cos) / [sin・(1+1/cos)]= ー(1+cos) / sin λ1=4.73004074から、α1=-0.982502 λ2=7.85320462から、α2=-1.000777 λ3=10.9956078から、α3=-0.999966    

(節を求める)  L=1のとき、 G(x)=0 の近似解は以下。 1次振動モード 0.22415951 0.77584864 - 2次振動モード 0.132108003 0.49999929 0.867902555 3次振動モード 0.094442893 0.35580274 0.644214063 0.905307045

(腹を求める)  L=1のとき、 G’(x)= k・{-sin(kx)+sinh(kx)+α・[ cos(kx)+cosh(kx)]}=0 の近似解は以下。 1次振動モード 0.5 - 2次振動モード 0.308373036 0.6916533 3次振動モード 0.220001877 0.779925693

λを求める手法 Cos(x)*cosh(x)=1 の解をニュートンラプソン法で求める。 F=cos(x)*cosh(x)-1とし、誤差/傾き だけXを補正する手法⊿F=f‘(x)*⊿x ⇒ ⊿x=⊿F/f’(x) 4.73004074 1.5πすぎ 7.85320462 2.5π手前 10.9956078 3.5πすぎ ⊿x ⊿F

(比較)弦の振動理論 線密度 r、一定張力T がかかる場合を考える。 F T Y 弦の傾きをθとすると、F=T・sinθ  弦の傾きをθとすると、F=T・sinθ Θは小さいのでsinθ=tanθ=Y‘ よって、F=T・Y‘ ・・・①  微少部分のY方向の運動から F(x+δ)-F(x)=m・a=ρ・δ・a T[Y‘(x+δ)-Y’(x)]=ρ・δ・a ・・・②  a=+(T/ρ)・Y’’ ・・・ ③  波動方程式 +であることに留意。 一般に、 a=+A・Y‘’ の波動方程式は、Y=F(t)・G(x)とすると、  特解は、exp(jωt)、exp(-jωt) 、 exp(jkx)、exp(-jkx)  よって、④ F(t)=c1・sinωt+c2・cosωt       ⑤ G(x)=c3・sinkx+c4・coskx ③④⑤より、-ω・ω=A・k・k ⇒ ω=(√A)・k ・・・⑥ θ T X  X+δ L

<初期値条件> 無変形で振動開始したとすると、y(t=0)=0 よって、c2=0  <境界条件> 弦はx=0とLで拘束されているから、 Y(x=0)=0から、c4=0 Y(x=L)=0から、sin(kL)=0 ⇒ kL=nπ 一般解 Y=c1・sin(ωt)・sin(kx)、k=nπ/L      ω=√A ・k=√(T/ρ) nπ/L ・・・Lに反比例する。

(考察)  Y=Sinωt・sinkx は進行波と後退波の合成としても表される。 進行波 cos(ωt-kx)=cosωt・coskx+sinωt・sinkx ① 後退波 cos(ωt+kx)=cosωt・coskxーsinωt・sinkx ② ①-②より、sinωt・sinkx=[cos(ωt-kx)-cos(ωt+kx)]/2 k=2π/λ ;λは波長 λ=2π/k 、k=nπ/Lから λ=2L/n ・・・③ 伝達速度 Cとすると、λ=C・Tから、C=λ/T=λ・f=λω/2π よって、C=ωL/nπ= (√A)・(nπ/L)・ L/nπ               = (√A)  =√(T/ρ) 波の伝達速度は一定。

縦波(粗密波)の振動理論 変位U、棒の断面積S、密度 r、ヤング率Eとする。 変位U(x、t) 弾性の法則から、 F/S=E・ε  F/S=E・ε  ε=u(x+δ,t)-u(x,t)/δ=u‘  よって、F=ES・u‘ ・・・① 運動の式から、  F(x+δ,t)-F(x,t)=ρSδ・a ・・・② ①②より、 a=F‘/ρS=(E/ρ)・u’‘ ・・・ ③  波動方程式 ③式は弦の振動と同じ。よって、  伝達速度C=(√A)=√(E/ρ) チタンの場合、E=106Gpa、 ρ=4.51g/cm3から、  チタンの縦波伝達速度=4848m/秒 F F(x+δ) L X  X+δ