パイプ風鈴の振動理論 どの様な振動をしているか。周波数は何で決まるか。 (結論) ・振動数は棒の長さLの二乗に反比例する。 ・共振のモードは複数あり、それらが混合された波形となる。 ・両端フリーの時、振動の様子は下図のとおり。理論は次ページ以降。 振動の混合
断面積 S 断面2次モーメント I 密度 r 縦弾性係数 E のはりの微少部分が曲げ振動する場合を考える。 (理論) 断面積 S 断面2次モーメント I 密度 r 縦弾性係数 E のはりの微少部分が曲げ振動する場合を考える。 Mは曲げモーメント、Vはせん断力、mは微少質量。 Y 曲げの式より、① M=E・I・Y‘’ 曲げのつりあいから、 M(x)=M(x+δ)+V・δ よって、② V=-M’ y方向の運動方程式より、 V(x+δ)-V(x)=m・a よって、③ V‘=ρ・S・a 、aは加速度 ①②③より、 ④ a=-(EI/ρS)・Y’’‘’ ・・・ 波動方程式 V(x+δ) M(x) M(x+δ) V(x) X X X+δ L
一般に、 ⑤ a=-A・Y‘’‘’ の波動方程式は、 Y=F(t)・G(x)とすると、 特解は以下。ただしω=(√A)・k・k ・・・⑧ F(t)=exp(jωt)、exp(-jωt) の2つ G(x)=exp(jkx)、exp(-jkx) 、exp(kx)、exp(-kx)の4つある。 よって、一般解は以下。 ⑥ F(t)=c1・sinωt+c2・cosωt ⑦ G(x)=a・sinkx+b・coskx+c・exp(kx)+d・exp(ーkx) <初期値条件> 無変形で振動開始したとすると、t=0でy=0 よって、c2=0
<境界条件> 両端単純支持の場合・・・弦の振動に近いモード X=0でY=0、M=0 X=Lで Y=0、M=0 境界条件より、c4=0 ・・・⑩ 、 c6=c5=0 ・・・⑪ 、 sin(kL)=0 ・・・⑫ ⇒ kL=n・π 、 n=1、2、3、・・・・ ⑧より、ω=(√A)・k・k =(√A)・(nπ/L)2 ・・・⑨ また、一般解 Y=F(t)・G(x)とおくと、 F(t)=c1・sin(ωt) G(x)=sin(kx)=sin(nπx/L) 、n=1,2,3、・・・
(考察) Y=Sinωt・sinkx は進行波と後退波の合成としても表される。 =[cos(ωt-kx)-cos(ωt+kx)]/2 k=2π/λ ;λは波長 λ=2π/k 、k=nπ/Lから λ=2L/n ・・・③ 伝達速度 Cとすると、λ=C・Tから、C=λ/T=λ・f=λω/2π よって、C=ωL/nπ= (√A)・(nπ/L) ・・・一定でない!
<境界条件> 両端フリーの場合・・・風鈴がこれに当たる M(0)=0、V(0)=0、および①②から G’’=-a・sinーb・cos+c・exp(kx)+d・exp(-kx) G’’’=-a・cos+b・sin+c・exp(kx)ーd・exp(-kx) よって、G’’(0)=-b+c+d=0、 G’’’(0)=-a+c-d=0 c=(a+b)/2 ・・・⑩ 、 d=(-a+b)/2 ・・・⑪ M(L)=0、V(L)=0から -a・sinーb・cos+c・exp(kL)+d・exp(-kL)=0 -a・cos+b・sin+c・exp(kL)ーd・exp(-kL)=0 a・(sin+hs)=b・(cos-hc)、a・(cos-hc)=b・(sin+hs) よって、(hs-s)(hs+s)=(c-hc)・(c-hc) ⇒ 0=s^2+c^2-2c・hc+hc^2-hs^2 hc+hc^2-hs^2 =1なので、cos(kL)・cosh(kL)=1 ・・・⑫ ⑫を解くと、 kL=4.730、7.853、10.996 =λiとおく(後述)。 ⑧より、ω=(√A)・k・k =(√A)・(λi/L)2 ・・・⑨ G(x)=a・sin(kx) +b・cos(kx) +a・sinh(kx)+b・cosh(kx) =α・[ sin(kx)+sinh(kx)] + cos(kx)+cosh(kx) 、k=λi/L
(αを求める) 奇数次振動モードのとき、左右対称性からG(0)=G(L)なので、 α=[2-cos(λ)-cosh(λ)]/ [sin(λ)+sinh(λ)] Cos・hc=1、 hc^2-hs^2=1なので、 =[2-cos(λ)-1/cos(λ)]/ [sin(λ)-tan(λ)] =(1-cos)(1-1/cos)/ [sin・(1-1/cos)]= (1-cos)/ sin 偶数時振動モードのとき、点対象性からG(0)=-G(L)なので、 α=[-2-cos(λ)-cosh(λ)]/ [sin(λ)+sinh(λ)] =[ー2-cos(λ)-1/cos(λ)]/ [sin(λ)+tan(λ)] =-(1+cos)(1+1/cos) / [sin・(1+1/cos)]= ー(1+cos) / sin λ1=4.73004074から、α1=-0.982502 λ2=7.85320462から、α2=-1.000777 λ3=10.9956078から、α3=-0.999966
(節を求める) L=1のとき、 G(x)=0 の近似解は以下。 1次振動モード 0.22415951 0.77584864 - 2次振動モード 0.132108003 0.49999929 0.867902555 3次振動モード 0.094442893 0.35580274 0.644214063 0.905307045
(腹を求める) L=1のとき、 G’(x)= k・{-sin(kx)+sinh(kx)+α・[ cos(kx)+cosh(kx)]}=0 の近似解は以下。 1次振動モード 0.5 - 2次振動モード 0.308373036 0.6916533 3次振動モード 0.220001877 0.779925693
λを求める手法 Cos(x)*cosh(x)=1 の解をニュートンラプソン法で求める。 F=cos(x)*cosh(x)-1とし、誤差/傾き だけXを補正する手法⊿F=f‘(x)*⊿x ⇒ ⊿x=⊿F/f’(x) 4.73004074 1.5πすぎ 7.85320462 2.5π手前 10.9956078 3.5πすぎ ⊿x ⊿F
(比較)弦の振動理論 線密度 r、一定張力T がかかる場合を考える。 F T Y 弦の傾きをθとすると、F=T・sinθ 弦の傾きをθとすると、F=T・sinθ Θは小さいのでsinθ=tanθ=Y‘ よって、F=T・Y‘ ・・・① 微少部分のY方向の運動から F(x+δ)-F(x)=m・a=ρ・δ・a T[Y‘(x+δ)-Y’(x)]=ρ・δ・a ・・・② a=+(T/ρ)・Y’’ ・・・ ③ 波動方程式 +であることに留意。 一般に、 a=+A・Y‘’ の波動方程式は、Y=F(t)・G(x)とすると、 特解は、exp(jωt)、exp(-jωt) 、 exp(jkx)、exp(-jkx) よって、④ F(t)=c1・sinωt+c2・cosωt ⑤ G(x)=c3・sinkx+c4・coskx ③④⑤より、-ω・ω=A・k・k ⇒ ω=(√A)・k ・・・⑥ θ T X X+δ L
<初期値条件> 無変形で振動開始したとすると、y(t=0)=0 よって、c2=0 <境界条件> 弦はx=0とLで拘束されているから、 Y(x=0)=0から、c4=0 Y(x=L)=0から、sin(kL)=0 ⇒ kL=nπ 一般解 Y=c1・sin(ωt)・sin(kx)、k=nπ/L ω=√A ・k=√(T/ρ) nπ/L ・・・Lに反比例する。
(考察) Y=Sinωt・sinkx は進行波と後退波の合成としても表される。 進行波 cos(ωt-kx)=cosωt・coskx+sinωt・sinkx ① 後退波 cos(ωt+kx)=cosωt・coskxーsinωt・sinkx ② ①-②より、sinωt・sinkx=[cos(ωt-kx)-cos(ωt+kx)]/2 k=2π/λ ;λは波長 λ=2π/k 、k=nπ/Lから λ=2L/n ・・・③ 伝達速度 Cとすると、λ=C・Tから、C=λ/T=λ・f=λω/2π よって、C=ωL/nπ= (√A)・(nπ/L)・ L/nπ = (√A) =√(T/ρ) 波の伝達速度は一定。
縦波(粗密波)の振動理論 変位U、棒の断面積S、密度 r、ヤング率Eとする。 変位U(x、t) 弾性の法則から、 F/S=E・ε F/S=E・ε ε=u(x+δ,t)-u(x,t)/δ=u‘ よって、F=ES・u‘ ・・・① 運動の式から、 F(x+δ,t)-F(x,t)=ρSδ・a ・・・② ①②より、 a=F‘/ρS=(E/ρ)・u’‘ ・・・ ③ 波動方程式 ③式は弦の振動と同じ。よって、 伝達速度C=(√A)=√(E/ρ) チタンの場合、E=106Gpa、 ρ=4.51g/cm3から、 チタンの縦波伝達速度=4848m/秒 F F(x+δ) L X X+δ