目的 1996年厚生省の「公共の場の分煙のあり方検討会報告書」以来、原則禁煙とされている保健医療施設の禁煙化はいまだ十分進んでおらず、兵庫県内では保健行政担当者が机で喫煙する姿も散見される。兵庫県喫煙問題研究会では喫煙対策を率先垂範すべき保健行政の現場での、禁煙環境、職員の喫煙状況、喫煙対策について、質問紙調査をした。 方法 2001年2月中旬~3月中旬、県内各保健施設(健康福祉事務所、各市町の保健所、保健部、保健担当課)に37項目の設問からなる質問紙を送付し、郵送で回収した。はがきで督促し、締切日に回答を得た結果を集計した。 結果と回収率 結果は、健康福祉事務所、各市の保健所・保健部、各町の保健担当課の結果に分けて集計した。回収率は次の通りであった。 各健康福祉事務所長宛(以下「健康福祉事務所」)回収率62.1% (18/29) 各市の保健所長・神戸市各区の保健部長宛(以下「各市」)回収率86.8% (33/38) 各町の保健担当課長宛(以下「各町」)回収率81.8%(54/66) 合計の回収率78.9% (105/133)
施設内の喫煙状況
施設内の喫煙状況(分煙の場合について) (職員の喫煙場所・複数回答)
施設内の喫煙状況(分煙の場合について) (来訪者の喫煙場所・複数回答)
職員の喫煙問題 職員の喫煙状況 職員の喫煙場所 (複数回答)
職員が喫煙するために無駄にする時間についての意見 分煙施設設置にかかる公費についての意見
不完全空間分煙の喫煙所では受動喫煙が防げないことの知識 空気清浄機では受動喫煙の害が防げないことについての知識
全国の保健所の過半数が禁煙化を達成していることの知識 上記を踏まえて、自らの保健施設の禁煙化を推進するか ただし、すでに禁煙であると答えたところは、健康福祉事務所では0箇所、各市区では、33箇所中11箇所(33%)、各町では、54箇所中7箇所(13%)あった。
禁煙支援のための対策の現状 住民への禁煙支援をしているか 禁煙支援の形態 (複数回答)
喫煙問題に関する認識 「吸い過ぎに注意しましょう」という肺がん検診結果通知について 時間分煙では受動喫煙の害が防げないことに対する知識
保健施設管理職の喫煙状況 管理職は喫煙者か 管理職の執務時間内喫煙状況 管理職は施設内で喫煙するか 管理職の喫煙はどうあるべきか (喫煙者の場合のみ) 管理職は施設内で喫煙するか (喫煙者の場合のみ) 管理職の喫煙はどうあるべきか
考察 兵庫県内の保健施設内での不完全な受動喫煙対策の実態が明らかとなった 保健施設管理者の執務室あるいは勤務中の喫煙の実態が明らかになった 健康日本21喫煙対策を推進する立場からも保健施設とその管理者がまず率先垂範し、現状を改めなければならない 今後は、厚生労働省がこのような調査を全国的に行い、全国の保健施設の現状を把握して健康増進法の中で保健施設の禁煙化、保健医療従事者の職務中の禁煙などを、法律で定め、禁煙を推進していただきたい 今後は、健康増進法をさらに強化して、保健医療施設の禁煙を法律で義務化するように働きかけてゆきたい