認知工学 設計のための認知科学 三宅なほみ(中京大学) 橋田浩一(産業技術総合研究所) 片桐恭弘(ATRメディア情報科学研究所)

Slides:



Advertisements
Similar presentations
情報科指導法Ⅰ 第 15 回 模擬授業と総括. 自由利用マーク 文化庁 2003 年~ プライバシーマーク.
Advertisements

担当: M 竹内萌 ドナルド・ A. ノーマン の情報デザイン. そもそも情報デザインって何? 情報デザインとは情報を 視覚的にわかりやすく 、 魅力的に変換することを示す 情報を読み手や聞き手が理解しやすいように変換 ( 翻訳 ) し、 表現する手法や考え のことを示す.
社会システム論 第 1 回 システムとは何か 大野正英 経済学部准教授. この授業のねらい 現代社会をシステムという視点から捉 える。 社会の複雑さをシステムというツール を用いることによって、理解する。
認知心理学の知見のさわり 知覚、記憶、学習、思考などを研究対象とする心理学の一 分野。 [せまい意味] 認知の領域をあつかう心理学(人間の認知の働き)を 研究対象としてとりあげ、 コンピューター科学をはじめとする認知科学の枠組みの もとで 解明していこうという心理学の一領域をさす。 認知科学 心理学、コンピューター科学、脳神経科学、言語学、哲.
基礎ゼミ:電子と光と物質 多元物質科学研究所 上田潔・奥西みさき・高桑雄二・虻川匡司・佐藤俊一 大学とは何か? 大学で学ぶとはどういうことか? 大学:人類の遺産としての知識の伝 達 未知のものへの挑戦! 基礎ゼミの特徴:学生が積極的に授業に参加する。 自分で考え、自分で工夫して調べ、教室で発表する。
大規模コーパスから獲得した 名詞の出現パターンを用いた 事態名詞の項構造解析
エンジニアのためのリテラシー 学生番号順に着席する (クラスa) 1 列 12 人で 前 方
第1節 問題解決の工夫 1 情報を活用しよう 2 問題解決の工夫.
マンガ読解のプロセスモデル マンガリテラシーとマンガ読解力
プログラマのレベルアップ.
コンピュータプラクティス I 再現性 水野嘉明
工学部 知能情報工学科 准教授 高 尚策 (コウ ショウサク)
人間中心設計の 開発プロセスにおける ユーザビリティ評価の実践とその課題
日本の高校における英語の授業は 英語で行うのがベストか? 日本語の介在の意義
実証分析の手順 経済データ解析 2011年度.
Building Research Institute
東京経営短期大学 経営総合学科 准教授 玉田 和恵
プログラミング言語論 第6回 型 情報工学科 篠埜 功.
情報処理学会・経営情報学会 連続セミナー第3回 情報システム構築アプローチ 主旨
社会心理学のStudy -集団を媒介とする適応- (仮)
教育情報化 新たなスタートを迎えて 西田 光昭 千葉県柏市立土南部小学校 教諭
政策決定のプロセス 政策過程論 公共選択 ゲームの理論.
注意と眼球運動.
知性の一般認識と 認知心理学における定義の相違
スポーツ経営学 第4回目 スポーツ経営学の特徴.
複言語・複文化状況における日本語教育 -ことばの教室で私たちがめざすもの
Global Exploration Program in Beppu
人工知能特論2007 東京工科大学 亀田弘之.
Evidence-based Practice とは何か
47070 オブジェクト指向モデリング [1] 2001年10月2日.
シミュレーション論 Ⅱ 第15回 まとめ.
東京経営短期大学 経営総合学科 准教授 玉田 和恵
英語絵本と読み聞かせ -読み聞かせ体験の有効性-
ソースコードの変更履歴における メトリクス値の変化を用いた ソフトウェアの特性分析
正規分布における ベーテ近似の解析解と数値解 東京工業大学総合理工学研究科 知能システム科学専攻 渡辺研究室    西山 悠, 渡辺澄夫.
はじめに: 平均場理論を用いた情報処理の最近の動向
品質実施作業部会(Q-IWG) 現状と最新情報
高校における英語の授業は英語でがベストか
情報教育工学 [Education and Information Technology]
教育工学を始めよう ~研究テーマの選び方から論文の書き方まで~ (第1章)
技術参照モデルとシステム要件定義 に関する学習システム
   KJ法 この説明資料の内容は以下のとおりです。   〇 KJ法についての説明   〇 進め方の例 KJ法について説明します。
神戸市  神戸市  震災タイムスリップウォーク 震災タイムスリップウォーク.
参照モデルを利用したプロセスフローの調査・記述の手法
数量分析 第2回 データ解析技法とソフトウェア
組織論による特色ある カリキュラムの理論と実際 第11回 特色あるカリキュラムづくりの理論と実際 兵庫教育大学大学院 教授
第151回 リフレクションの簡素化-ゲーミフィケーション的な感じで-(仮)
日本語の仕組みと言語教育 前回のおさらい 1.
デザインの認知科学 片桐恭弘 ATRメディア情報科学研究所 日本認知科学会第22回大会ワークショップ 認知工学:設計のための認知科学
理論研究:言語文化研究 担当:細川英雄.
日常生活から社会へ~社会学理論とジェンダー 1
認知工学 学習科学への適用 中京大学 三宅なほみ.
ガイダンス 電子計算機 電気工学科 山本昌志 1E
「21世紀型コミュニケーション力の育成」研修モジュール A1 概要解説モジュール
岩手県立大学ソフトウエア情報学部 3年 鈴木研究室所属 井ノ上 憲司
東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 亀田弘之
ガウス分布における ベーテ近似の理論解析 東京工業大学総合理工学研究科 知能システム科学専攻 渡辺研究室    西山 悠, 渡辺澄夫.
東北大学 大学院情報科学研究科 応用情報科学専攻 田中 和之(Kazuyuki Tanaka)
シカゴ国際体験プログラム in DeKalb
担当 兵庫県立大学大学院 応用情報科学研究科 神戸商科大学 商経学部管理化学科 教授 有馬 昌宏
矛盾した知識 デフォルト推論 仮説を用いた推論 準無矛盾推論 デフォルト規則 デフォルト理論の拡張 → デフォルト証明 シナリオ
Copyright © 2017 Benesse Corporation All Rights Reserved.
異文化能力の概念化と応用  ― 批判的再考 ― The Conceptualization and Application of Intercultural Competence: A critical review ケンパー・マティアス.
情報ネットワークと コミュニケーション 数学領域3回 山本・野地.
知的CAIの基本構成 ① 専門知識 ・・・ 学習の対象となる分野の知識。 ② 学習者モデル ・・・ 学習者の理解状態や過程など を表現。
図15-1 教師になる人が学ぶべき知識 子どもについての知識 教授方法についての知識 教材内容についての知識.
文脈 テクノロジに関する知識 教科内容に関する知識 教育学 的知識
Q状態イジング模型を用いた多値画像修復における 周辺尤度最大化によるハイパパラメータ推定
P2Pによる協調学習システム 唐澤 信介   北海道工業大学 電気工学専攻.
Presentation transcript:

認知工学 設計のための認知科学 三宅なほみ(中京大学) 橋田浩一(産業技術総合研究所) 片桐恭弘(ATRメディア情報科学研究所) 企画者:三宅芳雄(中京大学) 話題提供者:  三宅なほみ(中京大学)  橋田浩一(産業技術総合研究所)  片桐恭弘(ATRメディア情報科学研究所)  筧一彦(中京大学)

ワークショップの問題意識と狙い 「認知過程の解明」がさまざまな現実の課題で求められている。   学習支援、ユーザビリティの問題、、、   分かり易さ、学び易さを促進する  認知過程の設計問題        → 認知工学 Norman, D. A. (1984) 認知科学の成果をもっとうまく利用するためには   →設計問題のための       認知科学の知識の体系化… 

認知科学の中の「工学的」伝統 認知工学的な関心: 認知科学の一つの出発点、立脚点でもあった 現実の問題から出発:認知過程を解明   認知科学の一つの出発点、立脚点でもあった 現実の問題から出発:認知過程を解明    旧来の理論や方法に捉われない        心の科学を方法論から再構築

認知過程についての「見方」 さまざまな状況、文脈の中で認知は成立する。 問題解決過程の一環として成立する インターラクティブな過程   問題解決過程の一環として成立する   インターラクティブな過程   適応的過程、習熟による変化 知識のレベルの解明の有効性   意識できる認知過程は氷山の一角   多重過程

認知過程は自明ではない。 調べれば分かることも少なくない。 さまざまな調べ方がある。 経験的な方法 データの収集    さまざまな調べ方がある。  経験的な方法    データの収集      言語報告のデータとしての有用性。      (認知過程そのものではない。)  理論的解明    認知過程のモデルを構成

ユーザビリティの問題例 表示設計の問題 適切なアイコンの選択問題 問題例 切符の予約システムなどで、禁煙席を表すアイコンを何にするか?  ユーザビリティの問題例 表示設計の問題  適切なアイコンの選択問題 問題例  切符の予約システムなどで、禁煙席を表すアイコンを何にするか?    禁煙マークでよいか?もっとよい選択肢は?      選択間違いを起こす可能性は?

禁煙マーク

認知過程は自明ではない。 さまざまな状況の中で、認知過程は成立する。 認知過程の多様性 実際に調べてみればよい。 調査、実験(経験的方法)  認知過程の多様性  認知過程についての自分の直観、    あてにならないことが多い。 実際に調べてみればよい。   調査、実験(経験的方法)   調べれば、認知過程について分かること多い。   どれぐらいの人がどんな状況で間違うか。   理論的解明

選択過程の解明 インターラクティブな過程 習熟による認知過程の変化 初めて使う時の認知過程 いつもの手順になった時の認知過程   インターラクティブな過程   習熟による認知過程の変化     初めて使う時の認知過程     いつもの手順になった時の認知過程       平行課題:選択誤りが生じやすくなる

禁煙マークからの推論、連想 煙草+否定  :推論   →  禁煙車          :知識(学習) → 禁煙車          :直接的連想 → 喫煙車

使い易さの認知科学から 認知科学の使い易さへ 現実の問題解決に認知科学は使えるはず。 使い易い認知科学を実現するために、   なすべきことは何か?

文献 Norman,D.A. (1986). Cognitive engineering. In D.A. Norman & S.W. Draper (Eds.), User centered systems design: (pp31 - 61). Hillsdale, NJ: LEA